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12話
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家の中に入れられては、もう見張る事もできない。
「今日はここまでか…」
すると、ちょうどいいタイミングで雅人が帰ってきていた。
「霧島~」
「上田?どうしてここに?家ってこっちだっけ?」
「う~ん、ちょっと探し物してたらこっちの方に来る事になっ
ちゃってさ~。霧島はこのへんに住んでるの?」
「うん、すぐそこなんだけど。ごめん、今から家庭教師の先生
が来るんだ」
何か言いたげだったが、断ると家に入っていく。
上田はこれ以上引き止めるわけにもいかず、今日は諦めるよう
に家に帰っていった。
上田には疲れる一日だった。
あんな変わった現象をまのあたりにして、二年の教室での飛び
降り事件。
そして、警察による学校全体での事情聴取。
各生徒ごとにメンタルケアと称して、精神面の調査、ききとり、
など、色々とあったからだった。
それに、さっきあった霧島は少し顔色が悪かったように見えた。
「あいつ…大丈夫だったんかな……」
少し心配になった。
人と距離を取ろうとする割に、誰かと話したそうにしているのが
みていて、不思議だった。
距離をとっているのは自分だろうに。
あれでは、逆効果だろうに…。
「まぁ、俺だけは好きなようにさせてもらうけどなっ」
次の日からも、霧島へはどんどん絡んでいくようにしたのだった。
そして、何度も霧島から離れていく影を追うようになった。
「なぁ~あんた話せるんだろ?何か言ってよ?なんで勝手にうろ
ついてるんだ?」
『なぜ見える?』
「なぜって言われてもな~、君は知ってる?」
『………』
ただじっとみると、すぐに興味をなくしたように歩き出す。
本体の霧島とも仲良くしながら、影へとも話してみる。
どうにも、影自身の独自の考えがあるらしい。
共有というわけではないようで、記憶もお互い別のようだった。
「やっぱり永人も標的なのか?」
『…なぜそれを聞く?』
「やっぱりさぁ~、霧島の家族だから?かな~」
『あいつのどこが家族なんだ?あいつを虐めるような奴が大事
なものか…』
やっぱり、虐めていると思っているらしい。
それは、実際間違っていないのかもしれないが、霧島自身はどう
思っているのだろうか?
こっそり話題に上げて見るとしようか?
学校で毎日会うのだから、それくらい他愛もな会話くらいは答え
てくれるだろう。
軽く考えると、今日の尾行はこれくらいにしておく事にしたのだ
った。
それが、こんな大きな事件になるとは、上田自身もわかっていな
かったのだった。
「今日はここまでか…」
すると、ちょうどいいタイミングで雅人が帰ってきていた。
「霧島~」
「上田?どうしてここに?家ってこっちだっけ?」
「う~ん、ちょっと探し物してたらこっちの方に来る事になっ
ちゃってさ~。霧島はこのへんに住んでるの?」
「うん、すぐそこなんだけど。ごめん、今から家庭教師の先生
が来るんだ」
何か言いたげだったが、断ると家に入っていく。
上田はこれ以上引き止めるわけにもいかず、今日は諦めるよう
に家に帰っていった。
上田には疲れる一日だった。
あんな変わった現象をまのあたりにして、二年の教室での飛び
降り事件。
そして、警察による学校全体での事情聴取。
各生徒ごとにメンタルケアと称して、精神面の調査、ききとり、
など、色々とあったからだった。
それに、さっきあった霧島は少し顔色が悪かったように見えた。
「あいつ…大丈夫だったんかな……」
少し心配になった。
人と距離を取ろうとする割に、誰かと話したそうにしているのが
みていて、不思議だった。
距離をとっているのは自分だろうに。
あれでは、逆効果だろうに…。
「まぁ、俺だけは好きなようにさせてもらうけどなっ」
次の日からも、霧島へはどんどん絡んでいくようにしたのだった。
そして、何度も霧島から離れていく影を追うようになった。
「なぁ~あんた話せるんだろ?何か言ってよ?なんで勝手にうろ
ついてるんだ?」
『なぜ見える?』
「なぜって言われてもな~、君は知ってる?」
『………』
ただじっとみると、すぐに興味をなくしたように歩き出す。
本体の霧島とも仲良くしながら、影へとも話してみる。
どうにも、影自身の独自の考えがあるらしい。
共有というわけではないようで、記憶もお互い別のようだった。
「やっぱり永人も標的なのか?」
『…なぜそれを聞く?』
「やっぱりさぁ~、霧島の家族だから?かな~」
『あいつのどこが家族なんだ?あいつを虐めるような奴が大事
なものか…』
やっぱり、虐めていると思っているらしい。
それは、実際間違っていないのかもしれないが、霧島自身はどう
思っているのだろうか?
こっそり話題に上げて見るとしようか?
学校で毎日会うのだから、それくらい他愛もな会話くらいは答え
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