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15話
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いつも通り、学校へついても上田は普通に話してきた。
それをみたクラスの連中も霧島がいても話かけてきていた。
「おはよう。上田~昨日のテレビ見たか?面白かったよな~」
「ごめーん、昨日はちょっと疲れてすぐに寝ちゃった。それに
もうすぐ期末試験じゃん?勉強もしないとね~。な?霧島~」
「真面目じゃん。って霧島とやるのか?」
「あぁ、なんで?学年順位いいんだろう?」
「まぁ…そうなんだけど………」
どうにも霧島には良くない噂の方が多く聞こえているようで、一
緒にはいたくないという反応を示す。
「俺は、霧島とやるからいいよ。学年上位に入っても後悔すんな
よ~」
笑顔で笑える上田は強いと思う。
霧島と一緒にいると絶対に怪我をする。
これは誰もが知っている噂の一つに過ぎない。
それでも、上田が無傷でそばにいれば、すぐに無くなるだろう事だ
った。
「あのさ……僕といて平気なの?」
「何が?誰が流したか分からないような噂の事?大丈夫だって~俺
信じてねーから」
「でも………」
「いいの、いいの。大体事情は知ってるつもりだから…」
そう、上田には見えているのだから。
何かがある前にはアイツが出てくる。
それが、何かがある合図なのだから…。
それさえちゃんと見ていれば、何が起ころうと、大体は対処できる
はずなのだ。
霧島が自分の殻に閉じこもる事はない。
自由にいられるように、少しは手助けできたらいいと、今は思えて
くるのだった。
「今日は家庭教師いつまで?」
「あぁ……うん、もうすぐ試験だからって7時には帰ると思う…」
「そっか、なら、そのあと行ってもいいか?」
「え……家に?」
「当たり前だろ?他にどこいくんだよ~」
家に友人が来る事なんて、初めて………いや、昔にきていた気がする。
だが。成長してからは初めてかもしれなかった。
「うん……わかった」
「おっけ~、じゃ~近くで時間潰してるな?」
そんな友人との、待ち合わせの会話があった後で、それが延期になる
事など、考えもしなかったであろう。
今日も彼の影はいつも通りおとなしくしていた。
授業中も、放課後も、一緒にご飯を食べながら観察していたが、全く
動く気配すらなかった。
今日は何事もなく無事に終わるものだとばかり思っていた。
そんな時、廊下が騒がしくなっていた事に気づく。
霧島は目の前にいるし、影も動く気配もない。
「何かあったのか?」
「ん~、なんだろうな~……なんか外が騒がしいらしいぞ?」
「外?」
窓の外を眺めると暴走族らしき、ゴテゴテのバイクに跨った若者が、
手には鉄パイプを持って校門付近を彷徨いていたのだ。
先生達も出て行くと、警察にも連絡を入れたらしい。
もうすぐ帰宅だと思うと、少し不安になってきていた。
それをみたクラスの連中も霧島がいても話かけてきていた。
「おはよう。上田~昨日のテレビ見たか?面白かったよな~」
「ごめーん、昨日はちょっと疲れてすぐに寝ちゃった。それに
もうすぐ期末試験じゃん?勉強もしないとね~。な?霧島~」
「真面目じゃん。って霧島とやるのか?」
「あぁ、なんで?学年順位いいんだろう?」
「まぁ…そうなんだけど………」
どうにも霧島には良くない噂の方が多く聞こえているようで、一
緒にはいたくないという反応を示す。
「俺は、霧島とやるからいいよ。学年上位に入っても後悔すんな
よ~」
笑顔で笑える上田は強いと思う。
霧島と一緒にいると絶対に怪我をする。
これは誰もが知っている噂の一つに過ぎない。
それでも、上田が無傷でそばにいれば、すぐに無くなるだろう事だ
った。
「あのさ……僕といて平気なの?」
「何が?誰が流したか分からないような噂の事?大丈夫だって~俺
信じてねーから」
「でも………」
「いいの、いいの。大体事情は知ってるつもりだから…」
そう、上田には見えているのだから。
何かがある前にはアイツが出てくる。
それが、何かがある合図なのだから…。
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霧島が自分の殻に閉じこもる事はない。
自由にいられるように、少しは手助けできたらいいと、今は思えて
くるのだった。
「今日は家庭教師いつまで?」
「あぁ……うん、もうすぐ試験だからって7時には帰ると思う…」
「そっか、なら、そのあと行ってもいいか?」
「え……家に?」
「当たり前だろ?他にどこいくんだよ~」
家に友人が来る事なんて、初めて………いや、昔にきていた気がする。
だが。成長してからは初めてかもしれなかった。
「うん……わかった」
「おっけ~、じゃ~近くで時間潰してるな?」
そんな友人との、待ち合わせの会話があった後で、それが延期になる
事など、考えもしなかったであろう。
今日も彼の影はいつも通りおとなしくしていた。
授業中も、放課後も、一緒にご飯を食べながら観察していたが、全く
動く気配すらなかった。
今日は何事もなく無事に終わるものだとばかり思っていた。
そんな時、廊下が騒がしくなっていた事に気づく。
霧島は目の前にいるし、影も動く気配もない。
「何かあったのか?」
「ん~、なんだろうな~……なんか外が騒がしいらしいぞ?」
「外?」
窓の外を眺めると暴走族らしき、ゴテゴテのバイクに跨った若者が、
手には鉄パイプを持って校門付近を彷徨いていたのだ。
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もうすぐ帰宅だと思うと、少し不安になってきていた。
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