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29話
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本心が全く分からない。
そんな腹に一物持った人物のようだった。
だが、有能だというのは分かった。
どうにもならなかった案件をサクサクと解決して行って
くれた。それも意外な方法でだ。
見た目若そうなのに、意外だった。
そもそも雅人は人付き合いが苦手なので、誰に相談してい
いか分からなかった。
会社の事を友人に言ってもいいのだろうか?
いな、それは良くない行為な気がした。
だからといって有能な秘書に全てを任せていいのかも悩む。
前の秘書が死んだ理由も分からない。
事故だと聞いている。けど、事故るような交差点でもない。
裏で何をやっていたのかも知らない。
ただ雅人に厳しく当たる人だった。
嫌だとは思ったが殺したいほどかと言われるとそうでもな
い。
そもそも雅人自身が、そこまで人を憎んだ事が無いのだっ
た。
「上田に相談した方がいいかな……」
「なーに?相談って」
「うわっ……」
いきなり後ろから現れた上田に雅人は驚きを隠せなかった。
いつもは表情が乏しいのに、こればかりは声が上擦ってい
た。
「何か悩みでもあった?」
「うん…会社のこととか色々とかな……」
「そうだよね~、まだ学生なのに会社の後継者だもんね~
それで、悩みってなに?」
「それは………」
「俺なら誰にも話さないし安心していいよ。ずっと雅人の
味方だから…」
ハッと顔を上げると、どこか懐かしい気がする。
「一緒に……いや、ごめん…」
「言ってよ、なんでも話して」
上田がいればきっと、上手くいく気がする。
今の自分じゃなにもできないし、有能な秘書さえも疑って
しまいそうだった。
会社のことや、今雅人が置かれている状況を話すと上田は
少し悩むと、何かを決意したような顔で見てくる。
「俺にも手伝わせてよ?ね?」
「いいの?」
「いいよ、雅人が心配だもん。このままだと誰も信用でき
ないんでしょ?」
確かに、今雅人は誰を信じていいのか分からなかった。
だからと言って有能だというだけで秘書の言う事を鵜呑み
にもできない。
なぜだか、それをしちゃいけない気がするのだった。
「俺だけは信じてよ。上田なんて他人行儀な言い方じゃな
くれてさぁ~、綾でいいよ」
「それは……」
「ね!雅人。最近学校も来てないだろ?ノートまとめてお
いたからさ。後で見ておいて」
「うん、ありがとう……綾くん」
「綾でいいって。ほら。呼び捨てしてみて」
「あや………」
「うん。経営の方はどう?上手く行ってないの?」
「うん、それが…なんとか軌道には乗ってきたんだけど…今
いる秘書が結構有能でさ……」
「へぇ~、それで何か不安があると?」
「やり方に不安があるわけじゃないんだけど……なんか……」
何か嫌な気がする……。
言葉では言えないが、この人物自体がどうにも気に入らない。
悪くはないし、非の打ち所がないくらいに出来る人だ。
それなのに、なんでこんな考えをしてしまうのか自分でも分
からなかった。
「おかしいよね?どうしてこんな事思うのかな……決して悪い
人じゃないのに……若いのに、仕事もできるし……なのに…」
「そういう直感って大事だと思うけどな~」
雅人が顔を上げると、上田は否定してこなかった。
雅人自信の直感を信じてみるべきだと言ってくる。
もし、直感を信じるなら正式な秘書にせず、すぐに切りたい。
秘書を派遣してくれた会社には悪いけど、別の方に変えても
らう。
それが一番安牌な気がするのだった。
そんな腹に一物持った人物のようだった。
だが、有能だというのは分かった。
どうにもならなかった案件をサクサクと解決して行って
くれた。それも意外な方法でだ。
見た目若そうなのに、意外だった。
そもそも雅人は人付き合いが苦手なので、誰に相談してい
いか分からなかった。
会社の事を友人に言ってもいいのだろうか?
いな、それは良くない行為な気がした。
だからといって有能な秘書に全てを任せていいのかも悩む。
前の秘書が死んだ理由も分からない。
事故だと聞いている。けど、事故るような交差点でもない。
裏で何をやっていたのかも知らない。
ただ雅人に厳しく当たる人だった。
嫌だとは思ったが殺したいほどかと言われるとそうでもな
い。
そもそも雅人自身が、そこまで人を憎んだ事が無いのだっ
た。
「上田に相談した方がいいかな……」
「なーに?相談って」
「うわっ……」
いきなり後ろから現れた上田に雅人は驚きを隠せなかった。
いつもは表情が乏しいのに、こればかりは声が上擦ってい
た。
「何か悩みでもあった?」
「うん…会社のこととか色々とかな……」
「そうだよね~、まだ学生なのに会社の後継者だもんね~
それで、悩みってなに?」
「それは………」
「俺なら誰にも話さないし安心していいよ。ずっと雅人の
味方だから…」
ハッと顔を上げると、どこか懐かしい気がする。
「一緒に……いや、ごめん…」
「言ってよ、なんでも話して」
上田がいればきっと、上手くいく気がする。
今の自分じゃなにもできないし、有能な秘書さえも疑って
しまいそうだった。
会社のことや、今雅人が置かれている状況を話すと上田は
少し悩むと、何かを決意したような顔で見てくる。
「俺にも手伝わせてよ?ね?」
「いいの?」
「いいよ、雅人が心配だもん。このままだと誰も信用でき
ないんでしょ?」
確かに、今雅人は誰を信じていいのか分からなかった。
だからと言って有能だというだけで秘書の言う事を鵜呑み
にもできない。
なぜだか、それをしちゃいけない気がするのだった。
「俺だけは信じてよ。上田なんて他人行儀な言い方じゃな
くれてさぁ~、綾でいいよ」
「それは……」
「ね!雅人。最近学校も来てないだろ?ノートまとめてお
いたからさ。後で見ておいて」
「うん、ありがとう……綾くん」
「綾でいいって。ほら。呼び捨てしてみて」
「あや………」
「うん。経営の方はどう?上手く行ってないの?」
「うん、それが…なんとか軌道には乗ってきたんだけど…今
いる秘書が結構有能でさ……」
「へぇ~、それで何か不安があると?」
「やり方に不安があるわけじゃないんだけど……なんか……」
何か嫌な気がする……。
言葉では言えないが、この人物自体がどうにも気に入らない。
悪くはないし、非の打ち所がないくらいに出来る人だ。
それなのに、なんでこんな考えをしてしまうのか自分でも分
からなかった。
「おかしいよね?どうしてこんな事思うのかな……決して悪い
人じゃないのに……若いのに、仕事もできるし……なのに…」
「そういう直感って大事だと思うけどな~」
雅人が顔を上げると、上田は否定してこなかった。
雅人自信の直感を信じてみるべきだと言ってくる。
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