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鈍感な彼
第四話
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風呂場で、背中をお互い流し合いながら壱夜が漏
らした言葉に陸は素っ気ない返事を返す。
「そうかな?」
「そうだよ!なんか……逞しくなった気がする…」
壱夜はペタペタと陸の体を触ると、自分と比べれ
てみる。
実際、ぷよぷよした二の腕にお腹周り。
別に太ってはいないが、肉付きが良くない体は男
として少し貧弱に見える。
「なんかずるい……」
「壱夜も…後で鍛えるか?」
「やっぱり、鍛えてたんじゃん!ずるい!」
「一緒にやればいいだろ?」
「うん、絶対俺もバキバキにするんだからな!」
「はいはい、洗い終わっただろ?」
そう言うと、タオルを受け取ると洗い流した。
こうして、やっと湯船へと入った。
丁度いい湯加減で手足を目一杯伸ばせる。
家の風呂とは違って快適だった。
「はぁ~手足が伸ばせるっていいな~」
「そう…だな」
陸の視線はチラチラと壱夜へと向けられていた。
そんな視線など、壱夜には届いていない。
出ると、ベッドに大の字になるとすぐに眠ってし
まった。
あれほど、バキバキにすると言ってはいたが、よっ
ぽど疲れたのだろう。
壱夜は寝つきがいい方だった。
そんな壱夜をじっと眺める陸は足元で捏ねてある布
団を取ると被せてやる。
そして、ゆっくり手が伸びると頬にそっと触れる。
風呂から出て暖かいせいか、それが気持ちいいのか
触れた手にすりすりと壱夜は頬ずりしてきた。
きっと無意識だろう。
だが、陸に安心し切っているこの顔を見ると少しば
かり悪戯心が芽生えるのだった。
二人部屋なのだから、色々不便な事は多々ある。
その一つが男性によくある現象だった。
トイレへ行って抜くか、それとも部屋で抜くか。
陸の視線の先にはぐっすり眠った壱夜がいる。
それを眺めながら荒い呼吸が漏れたのだった。
何をやっているのか?
それは誰が見てもわかる行為だった。
だが、壱夜はぐっすり眠っているので、気づく
事はなかった。
ティッシュを丸めると陸は顔を赤くして部屋か
ら出ていく。
スッキリして帰ってくると勉強机に向かった。
さっきまでの邪な気持ちを振り払うようにと
勉強に打ち込んだのだった。
消灯時間になると、電気を消してベッドに入る。
早い食事のせいか、少し小腹が空いた気がした
が、いまだにぐっすり寝ている横のベッドを眺
めると、にやけてくる。
陸は小声で
『おやすみ』
と言ってから瞼を閉じたのだった。
朝起きる頃には、普通の二人に戻っていた。
「起きて、壱夜!ご飯食べる時間なくなるぞ?」
「ん~~~、ご飯、食べるっ………」
「なら起きろ!」
「もうちょっと…」
「なら飯抜きだな…」
「やだっ……」
フッと体を起こすと、フラフラしながら着替え
始める。
それを手伝う様に陸が世話を焼いたのだった。
らした言葉に陸は素っ気ない返事を返す。
「そうかな?」
「そうだよ!なんか……逞しくなった気がする…」
壱夜はペタペタと陸の体を触ると、自分と比べれ
てみる。
実際、ぷよぷよした二の腕にお腹周り。
別に太ってはいないが、肉付きが良くない体は男
として少し貧弱に見える。
「なんかずるい……」
「壱夜も…後で鍛えるか?」
「やっぱり、鍛えてたんじゃん!ずるい!」
「一緒にやればいいだろ?」
「うん、絶対俺もバキバキにするんだからな!」
「はいはい、洗い終わっただろ?」
そう言うと、タオルを受け取ると洗い流した。
こうして、やっと湯船へと入った。
丁度いい湯加減で手足を目一杯伸ばせる。
家の風呂とは違って快適だった。
「はぁ~手足が伸ばせるっていいな~」
「そう…だな」
陸の視線はチラチラと壱夜へと向けられていた。
そんな視線など、壱夜には届いていない。
出ると、ベッドに大の字になるとすぐに眠ってし
まった。
あれほど、バキバキにすると言ってはいたが、よっ
ぽど疲れたのだろう。
壱夜は寝つきがいい方だった。
そんな壱夜をじっと眺める陸は足元で捏ねてある布
団を取ると被せてやる。
そして、ゆっくり手が伸びると頬にそっと触れる。
風呂から出て暖かいせいか、それが気持ちいいのか
触れた手にすりすりと壱夜は頬ずりしてきた。
きっと無意識だろう。
だが、陸に安心し切っているこの顔を見ると少しば
かり悪戯心が芽生えるのだった。
二人部屋なのだから、色々不便な事は多々ある。
その一つが男性によくある現象だった。
トイレへ行って抜くか、それとも部屋で抜くか。
陸の視線の先にはぐっすり眠った壱夜がいる。
それを眺めながら荒い呼吸が漏れたのだった。
何をやっているのか?
それは誰が見てもわかる行為だった。
だが、壱夜はぐっすり眠っているので、気づく
事はなかった。
ティッシュを丸めると陸は顔を赤くして部屋か
ら出ていく。
スッキリして帰ってくると勉強机に向かった。
さっきまでの邪な気持ちを振り払うようにと
勉強に打ち込んだのだった。
消灯時間になると、電気を消してベッドに入る。
早い食事のせいか、少し小腹が空いた気がした
が、いまだにぐっすり寝ている横のベッドを眺
めると、にやけてくる。
陸は小声で
『おやすみ』
と言ってから瞼を閉じたのだった。
朝起きる頃には、普通の二人に戻っていた。
「起きて、壱夜!ご飯食べる時間なくなるぞ?」
「ん~~~、ご飯、食べるっ………」
「なら起きろ!」
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フッと体を起こすと、フラフラしながら着替え
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それを手伝う様に陸が世話を焼いたのだった。
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