恋は愛より重い?

秋元智也

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付き合い初めて

第十七話

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流石に、人の多い場所では手も繋がないし、キス
もしない。

そんな事は分かってはいたが、少し期待してしま
っていた。

「………はずっ…」

ボソッと呟くと、陸の後を追う様に歩く。
浅草は休日のせいか外国人も多くごった返してい
た。

観光スポットなせいか誰もが自分の事で精一杯だ。

すると、前を歩いていた陸が話しかけられている。

綺麗な女性二人に何事か話しかけられると、平然
と答えていた。
そして笑顔で手を振っている。

「なにデレデレしてんだよ…」
「あぁ、東京タワーの行き方だってさ」
「へぇ~。俺たちも行く?」
「いや、それは今度でいいだろ?それに…」

陸が耳元でこっそりと声を顰めた。

「壱夜には、恋人って自覚を持ってもらわないと
 ね」
「なっ……」

そういうと楽しそうに腕を引いて歩き出した。

「そういえば夏休みは家帰るの?」
「うーん、悩んでるかな」
「そっか、壱夜が帰るなら俺も帰ろっかな~」

今まで知らなかった隠れ名所を回りながら食べ
歩きをして回った。

「はぁ~今日は楽しかったぁ~」
「壱夜が好きそうな店多かったからなー」
「うん、全然知らなかったんだなって思うと、
 俺ら結構もったいない事してたよな~」
「休み明けにもテストあかるから遊びすぎない
 様にしないとな!」
「あぁ~そうだった!陸~」
「いいよ、一緒にやろう。今度はしっかり勉強
 見てあげるよ」

持つべきものは優秀な友……いや、恋人か!

結局、帰ってきたのは陽も落ちた頃だった。
部屋に帰ると一緒にお風呂へと入る。

大きな浴場には、誰もおらず貸切り状態だった。

「やっぱり貸し切りはいいよな~」
「あまりはしゃぐなよ?それにそんなつるつる
 にしてるの見られたいのか?」
「これは陸が剃ったんだろ?」
「でも、ちょっと生えてきちゃってるし?もう一
 回剃る?」
「う~ん、剃ってからちょっとかゆいんだよな~」

ツンツンと毛が生えてきているせいか布が触ると
痒いらしい。

「部屋で剃ろうか?」
「へ…部屋で?」
「そう、部屋で。誰も来ないし、恥ずかしくない
 でしょ?」
「それは……そうだけど……」

下の毛を剃ることに全く躊躇がなかった。

普通、他人の剃るのって嫌じゃないの?

どうしても聞けずにいる自分に壱夜は悶々として
いた。

そう思いながらも、部屋に帰るとバスタオルを広
げられると。
その上に横になった。

「壱夜の肌ってスベスベだよな?このままの手触り
 でいて欲しいな…」

陸の呟きに、少しムッとする。

「俺も男だし?筋肉だってしばらくしたらついて、
 手触りだって、女みたいには行かないんだぞ?」
「それで?」
「それでって……だから……」
「俺とは付き合いたくない?」
「それは……そうじゃなくて……陸が求めるような
 ままじゃいられないつーか……イテッ!」

口籠もりながら言う壱夜の尻を思いっきりつねって
きたのだった。

「誰が女の子がいいって言ったの?俺は初めからち
 ゃんと言ったけど?壱夜がいいって」
「でも…俺は……」
「もう、悪い頭で考えてないで、しっかり俺を見て」
「悪い頭って…悪かったな!頭が悪くて!そんなの
 のどこがいいんだよ!ばかっ!」

一瞬で、いつもの調子で反論した壱夜に陸が噴き
出して笑ってしまった。

笑ってから、ハッと思った時には壱夜は服を着る
と部屋を飛び出て行ってしまった。

「あ……まっ……はぁ~、しまったな……」

ちょっと揶揄うと可愛い反応をする壱夜だが、機嫌
を損ねると、本当にめんどくさい。

どうにも陸の好きな子はまるで猫の様に自由気まま
に気分がコロコロと変わるのだった。
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