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毒溜まりの谷
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4人は慎重に先へと進むと先に洞窟が見えてきた。
手前には毒々しい色の水が充満しており中には虹色の水晶が浮かんでいた。
「ここで一旦セーブしておきたいんだが・・・体力も魔力も減ってるしな~」
「大丈夫じゃない?さっと入って宝石で回復すれば!」
ミナは他人事のように言うが誰か一人でもセーブすればこの毒溜まりは消えてなくなるのだ。
「じゃー。ミナ、行ってこい。」
背中を押すように指差すと眉を歪めて俺の方を見てきた。
「何いってんの?ここはリーダーの出番じゃない?早く行ってきてよ。」
「なんで俺なんだ?」
「一番スピード特化にしてあるのはシリの方じゃん。さっさとして~休憩したいんだから!」
「なっ・・・」
すると横からゼムが申し訳なさそうに肩を叩いた。
「すまんな。わしじゃどうしても鈍いからなぁー」
「うぅ・・・分かったよ。行けばいいんだろう?」
やけくそになりながら叫ぶと毒の池に足を踏み入れた。
全身を痺れが駆け抜けるとHPがぐいぐいと減り始めた。
「マジかっ!」
足に力を込めると一気に走りきる。
中へと転がり込む頃にはHPは半分を切っていた。
それでも断続的に減り続けるのを確認しながら宝石へと触れた。
光が辺りを覆い隠すと、それまであった毒池が消えてただの水に変わっていた。
じゃばじゃばと音をたててゼム、ミナ、カールが入ってきた。
「お前らなぁ~危なかったんだからな?」
「おっつかれ~」
「シリ、感謝してますぞ。」
「シリさん、ありがとうございます。」
カールは丁寧に頭を下げた。
ミナの傲慢な態度は変わることなく一発どつきたくなる。
セーブを終えるとHPもMPもマックスに回復していた。
透明になった水を渡ると先に佇む女性に出会った。
早速話しかけるミナにつられるようにして近づいていった。
「ねーねー。そこで何してるの?」
「こんなところに人が来るなんて珍しいわね。私はリリカよ。父が鍛冶屋をしているわ。」
「どうしてこんなところに一人でいるの?ここは危険だよ?」
ミナが話しかけるが一向に動く気配はない。
「危険?どこにいても危険は付き物よ。それよりもここの石を見てみて。こんなに純度の高いものは見たことがないわ。是非とも研究のために集めなくちゃ。」
俺はぶっきらぼうに話しかけた。
「何個集まればここを離れるんだ?」
「えーっと、そうね15個は欲しいわ。集めるのを手伝ってくれるの?」
ゲームの時と同じで鍛冶屋の娘リリカは石オタクだった。
集めない限りここを動くことはない。
逆を返せば、石を集めて家に返せば鍛冶屋の親父が感謝して販売の品がグレードアップするのだ。
「分かった。俺たちが集めてきてやる。だから、集まったら家に帰るんだ!」
「えー。家には帰りたくないな~」
NPCの癖に生意気な性格である。
するとミナが近づくと話しかけだした。
「心配じゃないの?あまり会ってないんでしょう?」
「心配なんて・・・」
「きっと、寂しがってるよ?」
「うー。分かったわ。石を集めてくれたら帰るわ。」
「よしっ!約束だよ!」
無邪気に話しかけるとリリカと別れた。
坂を下ると段々と視界が悪くなってきていた。
毒沼にはデカイ体をしたでく人形が立ち尽くしていた。
その頭にはフードを被った敵が跨がっていた。
左右に操作して動かしているようだ。
「アイツを倒せばでく人形は止まるな。」
「うーん。遠いからムリかな?シリ、よろしく~」
ミナは接近戦を得意とするため近づけない相手には不利なのだ。
「お前、弓でも攻撃は出来るだろう?」
「当たってもダメージないじゃん?シリの大弓なら行けるっしょ?」
「なっ・・・人を宛にするなよ。弓が少ないっていうのに」
「わしも手伝いますぞ?」
「僕もやります!」
ゼムとカールは加勢するようだった。ミナだけは傍観を決め込むようだった。
「ミナ。後で働いてもらうからなっ!」
それだけいうと大弓を構えた。
まだこちらに気づいてないうちに仕留めたかった。ゆっくりと、静かに弓を引くと敵の頭を狙って矢を放った。
勿論外すことなく敵の頭を破裂させ絶命させた。
制御を失ったでく人形はその場で止まると動かなくなった。
手前には毒々しい色の水が充満しており中には虹色の水晶が浮かんでいた。
「ここで一旦セーブしておきたいんだが・・・体力も魔力も減ってるしな~」
「大丈夫じゃない?さっと入って宝石で回復すれば!」
ミナは他人事のように言うが誰か一人でもセーブすればこの毒溜まりは消えてなくなるのだ。
「じゃー。ミナ、行ってこい。」
背中を押すように指差すと眉を歪めて俺の方を見てきた。
「何いってんの?ここはリーダーの出番じゃない?早く行ってきてよ。」
「なんで俺なんだ?」
「一番スピード特化にしてあるのはシリの方じゃん。さっさとして~休憩したいんだから!」
「なっ・・・」
すると横からゼムが申し訳なさそうに肩を叩いた。
「すまんな。わしじゃどうしても鈍いからなぁー」
「うぅ・・・分かったよ。行けばいいんだろう?」
やけくそになりながら叫ぶと毒の池に足を踏み入れた。
全身を痺れが駆け抜けるとHPがぐいぐいと減り始めた。
「マジかっ!」
足に力を込めると一気に走りきる。
中へと転がり込む頃にはHPは半分を切っていた。
それでも断続的に減り続けるのを確認しながら宝石へと触れた。
光が辺りを覆い隠すと、それまであった毒池が消えてただの水に変わっていた。
じゃばじゃばと音をたててゼム、ミナ、カールが入ってきた。
「お前らなぁ~危なかったんだからな?」
「おっつかれ~」
「シリ、感謝してますぞ。」
「シリさん、ありがとうございます。」
カールは丁寧に頭を下げた。
ミナの傲慢な態度は変わることなく一発どつきたくなる。
セーブを終えるとHPもMPもマックスに回復していた。
透明になった水を渡ると先に佇む女性に出会った。
早速話しかけるミナにつられるようにして近づいていった。
「ねーねー。そこで何してるの?」
「こんなところに人が来るなんて珍しいわね。私はリリカよ。父が鍛冶屋をしているわ。」
「どうしてこんなところに一人でいるの?ここは危険だよ?」
ミナが話しかけるが一向に動く気配はない。
「危険?どこにいても危険は付き物よ。それよりもここの石を見てみて。こんなに純度の高いものは見たことがないわ。是非とも研究のために集めなくちゃ。」
俺はぶっきらぼうに話しかけた。
「何個集まればここを離れるんだ?」
「えーっと、そうね15個は欲しいわ。集めるのを手伝ってくれるの?」
ゲームの時と同じで鍛冶屋の娘リリカは石オタクだった。
集めない限りここを動くことはない。
逆を返せば、石を集めて家に返せば鍛冶屋の親父が感謝して販売の品がグレードアップするのだ。
「分かった。俺たちが集めてきてやる。だから、集まったら家に帰るんだ!」
「えー。家には帰りたくないな~」
NPCの癖に生意気な性格である。
するとミナが近づくと話しかけだした。
「心配じゃないの?あまり会ってないんでしょう?」
「心配なんて・・・」
「きっと、寂しがってるよ?」
「うー。分かったわ。石を集めてくれたら帰るわ。」
「よしっ!約束だよ!」
無邪気に話しかけるとリリカと別れた。
坂を下ると段々と視界が悪くなってきていた。
毒沼にはデカイ体をしたでく人形が立ち尽くしていた。
その頭にはフードを被った敵が跨がっていた。
左右に操作して動かしているようだ。
「アイツを倒せばでく人形は止まるな。」
「うーん。遠いからムリかな?シリ、よろしく~」
ミナは接近戦を得意とするため近づけない相手には不利なのだ。
「お前、弓でも攻撃は出来るだろう?」
「当たってもダメージないじゃん?シリの大弓なら行けるっしょ?」
「なっ・・・人を宛にするなよ。弓が少ないっていうのに」
「わしも手伝いますぞ?」
「僕もやります!」
ゼムとカールは加勢するようだった。ミナだけは傍観を決め込むようだった。
「ミナ。後で働いてもらうからなっ!」
それだけいうと大弓を構えた。
まだこちらに気づいてないうちに仕留めたかった。ゆっくりと、静かに弓を引くと敵の頭を狙って矢を放った。
勿論外すことなく敵の頭を破裂させ絶命させた。
制御を失ったでく人形はその場で止まると動かなくなった。
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