異世界で最強無双〜するのは俺じゃなかった〜

秋元智也

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4話 兄弟

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食事を終えると、すぐに出て行ってしまった。
残ったのは自分と兄のハイドと呼ばれていた少年だった。

「おい、ケイル!お前俺の弟なんだろ?俺を敬うよな?」
「はい、お兄様」

これは下手に怒らせると面倒な気がしたので、従う事にしたのだが…

「なら、何おとなしくしてんだよ?お父様の前で暴れてみろよ?いいか?
 今度呼ばれたら、目の前で叫んで踊れよ?分かったな?」
「はい、お兄様」
「わかればいいんだよ」

なんとも幼稚な発想だった。

帰り際に横に置いてあった花瓶にぶつかると床に落とした。
大きな音がして割れると使用人達が慌てて片付け始めた。

「おい、ケイルがぶつかって割ったぞ?早く片付けろよー」

使用人達もハイドがぶつかって割ったのを見ていたが、何も言わずに黙々
とカケラを片付けた。

「ケイル様、そろそろお戻りになりますか?」
「うん…そうだね」

リーさんに案内されて来た道を戻っていく。
その途中で庭園を見つけた。
さっき見た時も実に見事に咲き乱れる花々を見て心躍った。

「綺麗だ…」
「えっ…!」

つい口から出た言葉に、目の前にいた少女と目があった。

「あっ、ごめん。ここの花がすごく綺麗だったから…」
「あぁ、そうですね。ここは私の庭園なんです」
「君の?それはすごいな!俺はケイル。君の名は?」
「私は…アンネ。よろしくねケイル。」
「うん、よろしく。アンネ。」

手を振って別れると門をくぐって自分の住む屋敷へと戻った。

「あの庭園すごかったね?リーさんは知ってたの?」
「あそこはアンネ様が丹念に育てた花で…溢れています。アンネ様は今年
 で7歳なので精霊との契約をして魔法を覚えられる年になります。」
「へ~アンネって凄いんだね…アンネ様?」
「はい、ケイル様の姉君になります」
「えぇーー!姉がいるの?何人いるのさ~」
「兄がさっきのハイド様ともう一人ロイド様がおります、ですがロイド様は
 部屋にこもりっぱなしで出てきません。アンネ様はロイド様と双子でござ
 います。その下がケイル様にあたります」

聞けば聞くほど、めんどくさい様だった。
一番上の兄のハイドは自分勝手で、散々ロイドを虐めた挙句、部屋から出て
こなくなったと、そして双子の片割れのアンネはそれを苦にして庭園を作っ
て自分だけの世界に閉じこもっているらしい。

とても綺麗で素敵に見えた庭園はアンネ自身の檻の様なものだったのだ。

「じゃ~なんでみんなはあっちの豪華な屋敷にいるのに僕はこっちにいるの?」
「それは…お母上が…」
「お母様が?」
「ケイル様の容姿を見たくないとおっしゃって…」
「容姿?…あぁ、そう言う事か…」

醜いと言ってたっけ?
と言うか、自分で産んでおいて、髪と目の色だけでそれを言うのか?
マジでこの世界おかしいだろ?

姉のアンネも、兄のハイドも、母のイリーナさえも金髪で碧眼なのに、なんで
自分だけ銀糸の髪で産まれたのだろう?
鏡を見ても容姿だけはどうしようもない。
確かに、普通に見たから可愛いと思う見た目だが、異質といえば、異質だ。

「まぁ、いいや。書庫に籠るから、食事の時に教えてもらえる?」
「はい、分かりました」

それからは、しばらくの間は剣術の稽古といって朝から昼まで指導に先生がついた。

午後からはいつも通り書庫にこもって読書だった。
ここにあるものはあらかた読み終わると、少し実践してみたくもなった。

簡単な生活魔法は覚えたし、もう使える。
あとは他の属性魔法は7歳の儀式を受けないと使えないと言われていたが、難なく使
える様だった。

ふよふよと手の中に浮く球体の中には炎の属性を浮かべ、そこ横には渦巻く風を、そ
して、もう一個には水を入れてお手玉の様に浮かせては回してみる。

「う~ん、ここまではいいけど…土属性ってどうやって操るんだろう?」

3属性を極めると他のも使えるのだろうか?
悩みながらもゆっくりと消し去り再び再現させたのだった。
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