好きになっていいですか?

秋元智也

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36 ストーカーと脅迫文

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実習も一旦終えて、課題提出と今後の医療についてのレポート提出が
待っていた。
帰り側に靴の中に手紙らしきものが押し込められているのに、気が
ついた。


拝啓 リヒト様。
君に会って話がしたいです。
今日この手紙を見たら食堂の一番隅の席で待っています。
君のTwitterは毎回見てるよ。
田嶋君、君がやっている事を是非とも手伝わせて欲しい。
いつまででも待っているよ。来なかったら、その時は
大学中の人間に君の事を知ってもらおうと思う。
では、期待している。


 リクト「完全に脅しじゃないか!」

どこからバレたんだ?
行かないという選択肢はなかった。
食堂の様子をうかがいながら隅と書かれてたいた場所へと向かう。
そこには一人の女性が窓の外を眺めていた。

(違うよな?)

横を通り過ぎると、他も見渡すが、大体は数人でおしゃべりをしてい
たりして、利久斗の存在には気付いていない。悪戯かと思い直し、帰
ろうとする。

 ヒトミ「どこいくの?リヒト君」
 リクト「君は…?」
 ヒトミ「自己紹介がまだだったわね。私は三宅仁美。君と同じ学科
     を専攻してるんだけど、興味も持てれてなかったかな?」
 リクト「すまないが、人違いじゃないのか?」
 ヒトミ「あってるわよ。リヒト君でしょ?結構際どい写真あげるわ
     よね~。」
 リクト「なんの事かな?」
 ヒトミ「まぁ、いいわ。ここじゃなんだし、どっかいこっか!断ら
     ないでしょ?」

そう言って、場所を移動した。仁美に案内されたのは個室のある居酒屋
だった。

 ヒトミ「聞かれると困るでしょ?」
 リクト「…」

否定しないので、肯定とみなしたようだった。
店の中は各部屋でどんちゃん騒ぎの為、雑音でうるさかった。

 ヒトミ「こういう店のが話しやすいのよね。緊張しなくてもいいわよ。
     取って食おうなんて思ってもいないし、恋人になってとかでも
     ないから。貴方の写真を私に撮らせて欲しいの」
 リクト「何の事だ?」
 ヒトミ「だーかーらー。田嶋君がリヒトとしてTwitterであげてる写真だよ。
     素人が撮ってるからか、加工してもやっぱり荒いのよね。もっと
     綺麗に取ってあげる。私の父がカメラマンだったの、だから私も
     趣味で撮ってるんだけど、被写体に悩んでてね。今度のイベントで
     優勝狙ってるのよ。」
 リクト「何故、リヒトだと思ったんだ?」
 ヒトミ「あら、簡単よ。ずっと観察してたから!かな」
ガタッと席を立とうとすると、仁美は慌てて訂正を入れた。
 ヒトミ「誤解しないで、今回の被写体探しで男女関係なしに探してたのよ。
     それでネットに綺麗な体してる子がいるなって思ってたんだけど、
     指怪我してた時に写真あげたでしょ?そしてその日、君の指にも
     同じ傷がってね。」
 リクト「偶然じゃないか」
 ヒトミ「うん、偶然だよ。でも、すごい偶然じゃない?それから観察する
     様になって、確信に変わったわけ」
 リクト「断る。誰とも組まないし、一人でいいよ」
 ヒトミ「えーーー。もったいないよ。私ならこーんな場所も知ってるよ」

そう言って見せられたのは、色々なセットが置かれた写真だった。
まるで外を思わせるセットや、教室、よく作りこまれている桜の花見の風景
もあった。

 リクト「これは?」
 ヒトミ「どう?いいでしょう?こういうセットがあるんだよ。こういうと
     ころで撮って見たくない?いつも部屋で撮ってるでしょ?気分
     転換にもなるよ。それとも…私が女だから恥ずかしい?」
 リクト「まぁ、それもあるが…」
 ヒトミ「大丈夫よ、もしポロリしても修正して見えなくしてあげるわよ。
     それに兄貴ので見慣れたわ。私ね、今恋人と同棲中なの!安心
     した?」
 リクト「今回だけな!…それと、誰にも言うなよ」
 ヒトミ「分かってるわよ。それとね、イベントの為に写真集も作りたいの!」
 リクト「だから、今回だけって言ってるだろ!」
 ヒトミ「ケチ~。いいじゃん!減るもんでもないし~。それと、これが私の
     名刺ね」


連絡を交換して帰路についた。今日はいつも以上に疲れる日だった。
コンビニで朝ご飯を買うとアパートのドアを開けて中に入ろうと手をかけた
瞬間後ろに気配を感じ振り向いた時には、いきなり電流が流れて体中が痺れ、
その場に崩れ落ちていた。
意識はあるが、体が動かなかった。
影になって顔は見えないが誰かがいるのはわかった。

 影男 「今日も疲れているんだね、可哀想に~、マッサージしに来
     てあげたよ」
 リクト「…」


返事も聞かず利久斗の体を抱えると部屋の中に運ぶと鍵を閉めた。
帽子をかぶってマスクをした男はいつも撮影で使っているベットに
横たえると服を脱がし始めた。

 影男 「あれ?なにこれ?普通のボクサーパンツ?君らしくないよ」

写真に写す時だけエロい下着をチョイスしてきたが、普通に履いて
いるのは安い物ばかりだ。いつもあんなモノ入れるわけがないだろ
と思うが声が出ない。
いつのまにか震えているのに気がついた。この侵入者の目的がわか
らない。
ただわかるのは自分がリヒトとして配信してるTwitterを見ている
フォロワーの誰かである事だけだった。

 影男 「今日は女の子と食事してたね。俺が待ってたのに、
     酷いじゃないか?」
 リクト「だ…れっ…」
 影男 「あー。まだ俺の事わからないの?礼司だよ。眞野礼司。
     何度もメッセージ書いたのに返事がなくて寂しかったよ。
     だから来ちゃった」

いつも気持ちの悪いコメントを書いていた張本人だった。
最近後を付けられていたのはこいつの仕業だったという事らしい。

 レイジ「今日はたっぷりマッサージしてあげる。ゆっくり眠れる
     様にね」

礼司は勝手に部屋を漁ると、撮影に使った下着を手に取ると匂い
を嗅いで興奮しているようだった。

 レイジ「そうだよ、いつもこう言うのを履かないとね、今から
     履かせてあげるよ。こんなダサい服なんて似合わない
     よ。これなんて似合うと思うんだ」

薄いスケスケの生地の部屋着のような物を取り出すと利久斗に
合わせてみる。

 レイジ「ぴったりだ!是非来てよ」
 リクト「誰がきるかよ!出て行けよ!」

だいぶ体が動く様になったが、服を剥ぎ取られたせいで、このまま
外に出るわけにもいかない。
さっきはかされたパンツだけの姿だったからである。
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