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58 仁美の仕事
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AV男優として世の中に名を売り始めていた者がいる。
主にレイプなど無理やり連れ込まれて気持ちよくされる
という設定での進行が多く、本人もノリノリで撮影に参加
していた。生田雅美。名前もさることながら、顔も小顔で
華奢なせいかメイク次第では化ける事がある。
その担当になったのが三宅仁美と角谷恭子だった。
表紙の写真と際どい写真で裏を飾り、見たいと思わせる写真
を頼むと言われた。メイクは角谷恭子の得意分野で、とにかく
色っぽく見せる事が重要視された。
撮影現場では、スタッフさん達の立ち会いの元、ゲイビの撮影も
同時に行われている。その合間に撮れというのだ。
ゲイビは続けて取られているように見えるが、シーン毎に退位を
変える間は休憩が入る。なのでちゃんと繋がっているように見え
るシーンでも、実際はそうでもない。それに、挿入される側も
実際はそこまで奥には入っていないとか、感じていないけど、
感じたフリをするなどの細かな芝居が入る事が多いらしい。
最近はそういった依頼も大く、恥ずかしがるほうが余計恥ずか
しいという事を理解した。
女性が現場にいる事に違和感はあるが、そこはプロである。
何も表情を変えず、ただひたすらに仕事に取り組む。
あとで、どれがいいかも本人の意見を聞くので、いやらしいと
か思っていては、失礼なのである。
それに、仁美は昔、情熱的なセックスを目の当たりにしてから、
人が一番輝く瞬間というのを理解した気がした。
角谷恭子は未だに慣れないのか、男女の絡みやゲイビであっても
顔を赤くしてしまうので、別室で待機していてもらっている。
佐藤監督「さて、撮影を始める。よろしくお願いします。では、
スタート!」
監督の合図で撮影が開始される。スタジオは下町の路地と倉庫
でのシーン。下町の路地を歩いている生田雅美がいきなり絡まれ
て、連れさらわれると倉庫で監禁される。
嫌がる主人公に仮面をつけた男達が服を力ずくで破くと色々な
玩具で責めていく。最初は嫌がっていた主人公は、抗うことを
忘れ、快楽へと落ちていくというものだった。
撮影がストップする度に、シーン毎の写真を撮らせてもらう。
マサミ「ねー。女性なのによく真剣に見てられるね~。何?
こういうの好きだったとか~?」
ヒトミ「いえ、仕事ですので」
マサミ「ふ~ん。ま、いいや。ね~もっと乱暴にしてよ!
その方が面白いからさ~」
佐藤監督「大丈夫かい?痛かったら、すぐに止めてくれていい
からね」
監督もあまり無理はさせたくないらしい。
全部を取り終わると、仁美は別室でパソコンを取り出して写真の
選別に入った。
片付けをしている間に、候補を数枚印刷すると、監督と俳優に渡す。
ヒトミ「今回の映像ですが、これなどいかがでしょう?」
佐藤監督「いいねー。写真映りもいいし。これ見ると、続きがみた
くなるね」
マサミ「へ~。結構綺麗に撮れてるじゃん。これ見たら襲いたく
なってくれそう?」
冗談なのか、本気なのか分からないコメントに困惑すると、ニッコリ
笑って『冗談、いいと思うよ』と返された。
そこへ依頼者の杉本悠星が入ってきた。
撮影が終わってスタッフも、役者も着替え終わって帰る準備をしている
時だった。
ユウセイ「お疲れ様でした。最近はこの分野の需要も増えてますからね。
それと、生田くんちょっと、女性との絡みはやってみる気は
ないかい?きっと幅も広がっていいと思うんだが。」
マサミ「断りまーす。僕はこっちのがあってるんで~。社長~それは
他の俳優に任せまーす。」
ユウセイ「そうか、残念。まぁ、あてはあるんだがね。なかなか落ちなく
てもどかしいんだよ。」
マサミ「へー。いい男?こっちにも回してよ~。」
ユウセイ「スカウトできたら、聞いてみよう。」
監督との話も終えて帰ろうとするのを仁美は引き止めた。
ヒトミ「あの!社長。待って下さい。」
ユウセイ「なんだい?こういう仕事は嫌かい?」
マサミ「嫌そうには見えなかったけど?社長~これからどう?」
ユウセイ「事務所の俳優に手を出す気はないよ」
ヒトミ「あの!さっきスカウトしようとしてるのって…」
ユウセイ「あぁ、そうだね。君の個展の被写体でもあるんだったね。
最近、彼を見つけてね。それで…」
ヒトミ「止めてください。彼をこっちの世界には引き込まないで
下さい。」
ユウセイ「何か彼の事を知ってるのかい?」
ヒトミ「いえ…でも、もう彼の写真を撮ることもないし、自分の
道に進んでるんです。」
ユウセイ「白衣とは、なかなかそそる光景だったよ。田嶋利久斗
くんだったかな?」
マサミ「ん?田嶋…利久斗?」
出てきた名前に聞き覚えがある生田雅美が先に反応した。
杉本悠星も三宅仁美もなぜという顔で、生田雅美を振り返った。
マサミ「えー。だって、中学の時に隣のクラスだったし~。
でも~多分向いてると思うなぁ~。多分、こっち側
の人間だろうし~」
ユウセイ「どういう事だね?」
マサミ「えー。教えてあげてもいいけど、今からホテルどう?」
杉本悠星はしばし考えると、携帯でホテルの予約を入れた。
ヒトミ「待って!彼を巻き込まないで!」
ユウセイ「そんなに、彼を芸能界には入れたくない理由はなんだ?」
ヒトミ「…」
ユウセイ「言えないのなら、俺は諦める気はない。あれは原石な
んだ。これから光だす。絶対にだ!」
そういうと、杉本悠星は生田雅美を連れて帰ってしまった。
後ろから角谷恭子が仁美の肩を抱きしめると元気づけるように頬
にキスを落とした。
キョウコ「大丈夫だ、そんなに心配することでもないだろう?怒ら
せて仕事を無くす方が損害が多きいと思うぞ」
ヒトミ「うん…そうなんだけど。なんかね、そっとして置いて
あげたかったの」
ただ見送る事しかできない自分が歯痒くて、折角彼の事を彼女とし
て認識して探していた社長には悪いが、気づかないままでいて欲し
かったと…思ってしまった。
主にレイプなど無理やり連れ込まれて気持ちよくされる
という設定での進行が多く、本人もノリノリで撮影に参加
していた。生田雅美。名前もさることながら、顔も小顔で
華奢なせいかメイク次第では化ける事がある。
その担当になったのが三宅仁美と角谷恭子だった。
表紙の写真と際どい写真で裏を飾り、見たいと思わせる写真
を頼むと言われた。メイクは角谷恭子の得意分野で、とにかく
色っぽく見せる事が重要視された。
撮影現場では、スタッフさん達の立ち会いの元、ゲイビの撮影も
同時に行われている。その合間に撮れというのだ。
ゲイビは続けて取られているように見えるが、シーン毎に退位を
変える間は休憩が入る。なのでちゃんと繋がっているように見え
るシーンでも、実際はそうでもない。それに、挿入される側も
実際はそこまで奥には入っていないとか、感じていないけど、
感じたフリをするなどの細かな芝居が入る事が多いらしい。
最近はそういった依頼も大く、恥ずかしがるほうが余計恥ずか
しいという事を理解した。
女性が現場にいる事に違和感はあるが、そこはプロである。
何も表情を変えず、ただひたすらに仕事に取り組む。
あとで、どれがいいかも本人の意見を聞くので、いやらしいと
か思っていては、失礼なのである。
それに、仁美は昔、情熱的なセックスを目の当たりにしてから、
人が一番輝く瞬間というのを理解した気がした。
角谷恭子は未だに慣れないのか、男女の絡みやゲイビであっても
顔を赤くしてしまうので、別室で待機していてもらっている。
佐藤監督「さて、撮影を始める。よろしくお願いします。では、
スタート!」
監督の合図で撮影が開始される。スタジオは下町の路地と倉庫
でのシーン。下町の路地を歩いている生田雅美がいきなり絡まれ
て、連れさらわれると倉庫で監禁される。
嫌がる主人公に仮面をつけた男達が服を力ずくで破くと色々な
玩具で責めていく。最初は嫌がっていた主人公は、抗うことを
忘れ、快楽へと落ちていくというものだった。
撮影がストップする度に、シーン毎の写真を撮らせてもらう。
マサミ「ねー。女性なのによく真剣に見てられるね~。何?
こういうの好きだったとか~?」
ヒトミ「いえ、仕事ですので」
マサミ「ふ~ん。ま、いいや。ね~もっと乱暴にしてよ!
その方が面白いからさ~」
佐藤監督「大丈夫かい?痛かったら、すぐに止めてくれていい
からね」
監督もあまり無理はさせたくないらしい。
全部を取り終わると、仁美は別室でパソコンを取り出して写真の
選別に入った。
片付けをしている間に、候補を数枚印刷すると、監督と俳優に渡す。
ヒトミ「今回の映像ですが、これなどいかがでしょう?」
佐藤監督「いいねー。写真映りもいいし。これ見ると、続きがみた
くなるね」
マサミ「へ~。結構綺麗に撮れてるじゃん。これ見たら襲いたく
なってくれそう?」
冗談なのか、本気なのか分からないコメントに困惑すると、ニッコリ
笑って『冗談、いいと思うよ』と返された。
そこへ依頼者の杉本悠星が入ってきた。
撮影が終わってスタッフも、役者も着替え終わって帰る準備をしている
時だった。
ユウセイ「お疲れ様でした。最近はこの分野の需要も増えてますからね。
それと、生田くんちょっと、女性との絡みはやってみる気は
ないかい?きっと幅も広がっていいと思うんだが。」
マサミ「断りまーす。僕はこっちのがあってるんで~。社長~それは
他の俳優に任せまーす。」
ユウセイ「そうか、残念。まぁ、あてはあるんだがね。なかなか落ちなく
てもどかしいんだよ。」
マサミ「へー。いい男?こっちにも回してよ~。」
ユウセイ「スカウトできたら、聞いてみよう。」
監督との話も終えて帰ろうとするのを仁美は引き止めた。
ヒトミ「あの!社長。待って下さい。」
ユウセイ「なんだい?こういう仕事は嫌かい?」
マサミ「嫌そうには見えなかったけど?社長~これからどう?」
ユウセイ「事務所の俳優に手を出す気はないよ」
ヒトミ「あの!さっきスカウトしようとしてるのって…」
ユウセイ「あぁ、そうだね。君の個展の被写体でもあるんだったね。
最近、彼を見つけてね。それで…」
ヒトミ「止めてください。彼をこっちの世界には引き込まないで
下さい。」
ユウセイ「何か彼の事を知ってるのかい?」
ヒトミ「いえ…でも、もう彼の写真を撮ることもないし、自分の
道に進んでるんです。」
ユウセイ「白衣とは、なかなかそそる光景だったよ。田嶋利久斗
くんだったかな?」
マサミ「ん?田嶋…利久斗?」
出てきた名前に聞き覚えがある生田雅美が先に反応した。
杉本悠星も三宅仁美もなぜという顔で、生田雅美を振り返った。
マサミ「えー。だって、中学の時に隣のクラスだったし~。
でも~多分向いてると思うなぁ~。多分、こっち側
の人間だろうし~」
ユウセイ「どういう事だね?」
マサミ「えー。教えてあげてもいいけど、今からホテルどう?」
杉本悠星はしばし考えると、携帯でホテルの予約を入れた。
ヒトミ「待って!彼を巻き込まないで!」
ユウセイ「そんなに、彼を芸能界には入れたくない理由はなんだ?」
ヒトミ「…」
ユウセイ「言えないのなら、俺は諦める気はない。あれは原石な
んだ。これから光だす。絶対にだ!」
そういうと、杉本悠星は生田雅美を連れて帰ってしまった。
後ろから角谷恭子が仁美の肩を抱きしめると元気づけるように頬
にキスを落とした。
キョウコ「大丈夫だ、そんなに心配することでもないだろう?怒ら
せて仕事を無くす方が損害が多きいと思うぞ」
ヒトミ「うん…そうなんだけど。なんかね、そっとして置いて
あげたかったの」
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かったと…思ってしまった。
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