僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也

文字の大きさ
9 / 75

9話 得意、不得意

しおりを挟む
美咲が去った後で、後ろから笑い声が聞こえて来た。

「ごめん、ごめん。なんか兄妹ってこんな感じなんだ
 ね?一人っ子だったから面白いなって思って……」

「ちょっと郁也、笑ったら失礼でしょ。ごめんね、失
 礼なこと言って…」

「別にいいですよ。いつもあんな感じなので……僕は
 気にしてないです」

「ねー、美咲ちゃんって言ったっけ?あの子駅前のケ
 ーキ屋が好きなの?」
『あそこってマジで甘いよな~、ちょっと苦手かも』

「好きじゃないならはっきり言った方がいいですよ?」

「ん?俺って甘いの苦手だって言ったっけ?」

確かに、そんな事は聞いていない。
今、郁也が言ったのを聞いていただけだった。

「さっきの食事でも選んだものを見れば多少はわかり
 ますよ」

「へ~、そんな事で分かるの?」

「歩夢くんはすごいわね。ほら、郁也も意地悪言って
 ないで、お兄ちゃんなんだからもう……」
『この子、ちょっと悪戯っぽいのよね~大丈夫かしら』

何に興味を持ったのか知らないが、あまり関わらない
ようにすればいい。
そもそも受験生なのだ。

遊んでいる時間などない。

「そういえば歩夢くんは今年受験生よね?勉強は大丈
 夫?」

「はい、大体は家で勉強なので部屋へは来ないで欲し
 いです。あと、片付けは自分でやるし掃除も自分で
 できるので構わなくていいです」

「何?勉強教えてあげよっか?」
『俺意外と成績はいいんだよね~。生意気そうなのが
 いいじゃん。面白すぎっ』

何が面白いのかわからないが、今はそっとしておいて
欲しかった。

家に着くと、ちょうど追いかけてきた美咲と一緒にな
った。

「私が案内するからお兄ちゃんは部屋にこもってれば?」
『ここは私がリードして頼れる妹を確立しなきゃだわ』

「はいはい、じゃー任せるよ。では、僕は勉強してる
 ので、何かあったら言ってください」

張り切っている美咲をおいて買い物をしまうと部屋に
篭ったのだった。

微かに聞こえてくる声に自然と心の声のが大きく聞こ
えてきていた。

『やっぱり可愛い。部屋に入ったらどんな顔するかな』

『お兄ちゃんかぁ~、今は彼女いないし、私じゃダメ
 なのかな~』

『触ったら嫌がるかな?少し触れてみたいな……家族に
 なるんだし、ちょっとくらい…いいかな?』

『初めてのキスとか……いや、絶対アリでしょ!家族だ
 っていいよね?口じゃなければいいかな?おやすみの
 チューとか?いやぁぁ~恥ずかしい~~~』

「はぁ~、一体何を考えてるんだか……」

一息つくとキッチンへと降りて来た。
まどかさんがキッチンで夕飯の下拵えをしていた。

「あ……ごめんなさいね、勝手に使って…」
『どうやって切ればいいかしら……魚は苦手なのよね…』

「あぁ、大丈夫です………魚苦手ですか?」

「え……そんな事はないわ!ちょっと考えてしまっただ
 けよ?」
『魚捌くのなんていつも魚屋さんに任せてたから丸一匹
 買うだなんて思ってもいなかったわ、スマホで動画で
 もみようかしら?』

「苦手なら言ってください。僕がやるんで…」

「出来るの?」

「そうですね、家の事は全般僕がやっていたので…貸して
 ください」

そう言って、包丁を受け取ると綺麗に捌いて見せたのだっ
た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

三ヶ月だけの恋人

perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。 殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。 しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。 罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。 それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。

聖女の兄で、すみません! その後の話

たっぷりチョコ
BL
『聖女の兄で、すみません!』の番外編になります。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~

上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。 ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。 「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」 そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。 完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか? 初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。

先輩のことが好きなのに、

未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。 何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?   切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。 《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。 要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。 陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。 夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。 5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。

処理中です...