僕を抱いて下さい

秋元智也

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4 いつもの日常

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涼介は倦怠感の中目を覚ました。
目の前は真っ暗なままだった。
目隠しの事を思い出して自由になる手で外すとよろめきながらバスルーム
へと向かった。
身体は綺麗にされており、どこも気持ち悪くはなかった。
目隠しはされたままだったので顔は見られていないという事だった。
改めて鏡を見ると首筋から胸にかけて赤い跡が残されていた。
さっきまでやっていた行為を思い出して顔を真っ赤に染めた。

「やっちゃったんだ…どうしよう…すげー気持ちよかったぁ~」

されるがままに責められた身体は予想以上に涼介を高揚させた。

「そうだ!そろそろ時間!」

慌てて服を着るとふとテーブルにメモ書きを見つけた。


ケイ
  今日はいかがでしたか? 
  僕はとても気持ち良かったです。
  よかったらまた、連絡下さい。
  ホテルの時間は5時間追加しておきました。
              連絡待ってます。



時間はまだ大丈夫なのだとわかると、少し休んでいく事にした。

 (これってまた連絡しても良いって事だよな…俺ってこんなに節操なかっ
  たっけ?いや、気持ち良すぎたのが悪い。相手がいるってこんなに…)

やめられない、やめられる訳がない!
知ってしまった快楽はどうしても求めてしまう。
またすぐに連絡して、嫌われないだろうか?
いや、今度は別の人にした方がいいだろうか?
目隠しは弱い自分を隠す為、ケイに言われた事を考えながら明日、ケイに連絡
する事にした。
今はこの気持ちのいい倦怠感の中、ゆっくり休みたかった。

日曜は家でのんびり過ごすことが多く、冷蔵庫の中身を買い出しする為スーパー
へと出かける。
昨日の事情から首元まである服を着ると、黒縁メガネをかけると出かけた。
伊達だが、言い寄ってくる人を減らすには効果的だった。
自分の見た目で近寄って来て、面白みがないと去っていく。
勝手に人を見た目で判断する連中には流されたくなかった。

「顔がいいのは、得だよね~」

どこかから聞こえてくる声に反応してしまう自分が嫌だった。

 (得な事なんて何もない!勝手に理想を押し付けてくるだけだ!)

一週間分の食事を買い込むと早々に家に帰った。
一人暮らしのせいか時間は自由だった。

昨日の事を思い出す様に下着を脱ぐと後ろに指を這わせた。
目を瞑って再現でもする様に自分の乳首を弄る。
自分では手加減してしまうせいか昨日の様な高揚感が湧かなかった。
そこで外で干してある洗濯物を取り込みながらふと洗濯バサミを掴んだ。
Tシャツ一枚で下半身裸で取り込んでいても誰も気づかない。
ベランダでは開放感があって好きだった。
10階の為、誰からも見られる事もなく、自由だった。

ベッドに戻ると恐る恐る乳首の先端を洗濯バサミで挟んだ。

 涼介 「あっ…いたっ…ぃ…あっ…」

自分で弄るより一気にツネられる感じで痛いけどそれ以上に自身が反応
している事に驚きを感じた。
両方につけると動く度に揺れてジンジンと痛みが広がった。
その間も指は止まる事なく後ろをいじると、たまに指で乳首を弾くだけで
今まで以上の快感が押し寄せて来てすぐにイッてしまっていた。
しばらく息を整えると再度玩具を取り出すとアナルへとゆっくりと挿入し
ていく。
その日は夜までずっと弄っていた為、食事を取るもの面倒になっていた。
シャワーを浴びると早々に寝る事にした。



その頃、昨日の事を忘れられずにいる人物がもう一人いた。
スマホで取った画面を見直しながら家のモニターで拡大して眺めていた。
縛られ喘ぐ涼介に姿を目に焼き付ける様に見入っていた。

「今度は三脚とちゃんとしたビデオで撮ろう。綺麗に写ってないじゃないか!
 僕の前ではじめての潮吹きなんて素敵だよ。そうだ今度はフェラもやっても
 らおう。きっと素敵だよ。僕の精液をたっぷりと飲ませて…そして…。」


そんな中、電話が鳴り響いた。
相手は上司のお嬢さんだった。今の出席街道はこの女をうまく捌けるかにかかっていた。
今日は特に機嫌が良かった。

 圭佑 「はい、もしもし祥子さんどうしたんですか?」
 祥子 「いえ、来週末いかがかと思いまして。」
 圭佑 「あ~、少し予定がありまして。いっそ今から会いませんか?」
 祥子 「いいんですか?今近くに来てるんです!」
 圭佑 「そうなんですか?なら、近くの美味しいレストラン行きましょう。
     下のフロントで待ってて下さい。すぐに行きます。」

すぐに電話を切ると舌打ちをした。
さっきまで見ていた映像をパソコンに保存すると服を羽織ると身支度を整えた。
フロントの近くの花屋に電話して花束を注文すると、すぐに受け取って祥子の
元へと向かった。

 (めんどくさい女だ!まぁいい。僕の為にいい印象を伝えるがいいさ)

ロビーで祥子を見つけると真っ赤な花束を渡した。

 圭佑 「今日も一段と美しい貴方に。」
 祥子 「まぁ、圭佑さんにそう言って貰えるなんて嬉しいわ」
 圭佑 「こんな事いうのは君だけだよ。さぁ、行こうか!」
 祥子 「はいっ」

うっとりとした彼女の顔は反吐が出るほど見飽きていた。
少し食事に行って別れ際に抱きしめて、後は別れにディープキスでもすれば
それだけで満足する様なお嬢様なのだ。
今噂の男を酔わせる香水などと言われている臭い匂いを漂わせている女に欲情
するはずなんかないというのに。

 (そうだ!明日にでも涼介にケイとして連絡を入れてみよう。今週末はまた
  空けておいてくれるだろうか?)

祥子といる間も昨日の涼介の事ばかり考えていた。
終始笑顔の圭佑に祥子も満更ではなかったようだった。
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