偽物の恋

秋元智也

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第十九話

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腹の中に目一杯液体が入ってきていた。
苦しくて、痛くて、何も考えられなかった。

(僕…死ぬのかな?嫌だ…やっと先輩と本当に付き合える事に
 なったのに…でも、こんな僕を先輩が抱きたいって思ってく
 れるかな…もう、全部終わりだ…)

「あぁっぁあっあぁぁっぁーーーー」
「もういいな、止めろ!」

液体は止まりお腹の中をたぷたぷと詰まっている。

「全部しっかり出せよ!しっかり動画撮ってやるからな~、いっそ
 全校生徒の前で流すか?それとも男のちんこ咥えてる様子を張り
 出してやろうか?」
「…」
「おい、返事しろっ!おい!」

頬を叩くと真っ赤になっていく。
胸の飾りを思いっきり抓ると痙攣しながらビクビクッと震えて反応する。

「壊れたか?まぁ、いい、時間だ!」

奥に突き入れらえたホースに力を込めると倉庫に光が差し込んできた。

「誰だ?」
「…てめぇーらよくも…」

田辺が殴りかかると前田は近くの棒を持つと花園の横にいる男に振り下
ろしていた。
田辺は喧嘩慣れしているせいか順番にのしていく。
そして最後の一人を叩きのめすとロープで縛った。

「綾音!綾音聞こえるか?」
「…ぅ…」

揺らすと苦しそうなうめき声は漏らすが、反応がない。

「それ、抜いた方がいいよな?」
「あぁ、だが…勇太、そいつらの服全部脱がしてもってこい。」
「あぁ?そんな趣味はねーよ!」
「違う、このままで放置なんて生ぬるいだろ?」

ニヤリと笑うと全て脱がせるとその上に花園を寝かせるとゆっくりと中の
モノを抜いた。

バシャぁぁぁーぶりゅりゅりゅッ…ぶちゅぶちゅっ!

大きな音が響いて内容物と共に大量の水が噴き出てきた。
涙が溢れ出てきて声にならない吐息が漏れる。

「綾音!大丈夫か?平気か?痛いところはないか?」
「けんじ…汚れちゃ…」
「俺はいい、起きれるか?」
「力が…入らなっ…」

田辺はまだマシな服で身体を拭くと抱き上げた。

「保健室連れてくぞ!」
「そうだな。」

綾音の服を回収し、見えないように綾音を隠す。
そして全裸の男達の写真を彼らの携帯で取ると澪に送りつけてやる。
あとはスマホを壊して立ち去ったのだった。



教室では澪と先輩がその場を動けないでいた。

「私と付き合う気になった?」
「余計に嫌気がさしたよ。君とは絶対にない!」
「そんな事言ってていいの?可愛い後輩くんがどうなっても知らないわよ?」
「それは仕方がないな…だが、傷ついた後の彼を俺が癒すのもいいんじゃない
 かと思ってね。それに俺達はまだ付き合ってないんだよ。でも、綾音は俺
 のモノにするって決めたんだ。だからいくら傷つけても俺は手放さない。」
「そんな執着貴方にあったの?」
「そうだな~俺も初めて知ったよ。君のおかげだな~」

お互い笑いながら腹のうちを探る。
そこに次の写真が送られてきた。

ピロンッ。

「今度はしっかり男を咥え込んでるんじゃないかしら?」

余裕を見せながらスマホを触ると、いきなり真っ青になった。
その隙にスマホを取り上げるとそこには男達の全裸写真が写っていた。

「ふっははははっ、これは傑作だな。」

自分のカメラで撮ると窓かから彼女のスマホを放り投げた。

「なにするのよ!」
「それはこっちのセリフだ。あいつの映像が入ったスマホをそのままに
 しておくとでも思ったか?もし、同じ事したら…今度は自分がこの仲
 間入りする事になるからな…」

情けなく全裸で写っている男たち思い浮かべると薄ら笑いを浮かべて横を
通り過ぎる。
その場に崩れ落ちるのを無視して保健室へと向かったのだった。
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