あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

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おはよう悪魔王子

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 悪魔王子と出逢って、悪魔王子が家に来た夜……の次の日。

 昨日は疲れて疲れて、とりあえず自分の部屋で寝た光。
 怖い夢や楽しい夢を見て、あぁあれは夢だったんだ! と思っていたが……。

「おはよう光! 良い夢見れたかい??」

 今日も朝からエプロン姿のお父さん。
 いい香り。
 パンの焼ける匂い、卵の焼ける匂い。
 ココアの匂い。

「おはようお父さん~~(あぁ……やっぱり昨日のは夢……)」
 
「おはよう光! おじさんのハムエッグ、すごく美味しいよ!!」

 朝日が差し込むリビングで、ハムエッグとトーストを頬張る麻那人こと悪魔王子。
 
「(ガーーーン!! 夢じゃなかった……)」

 嬉しそうに微笑む麻那人と、反対にユラユラと幽霊のように落ち込む光。
 
「光は目玉焼き? ハムエッグ? どっちにする?」

 お父さんは今日もニコニコだ。

「……目玉焼き……お願い」

「了解♪」

「へぇ~人間も、物騒なもの食べるんだね」

「なにを想像してるわけっ? 目玉焼きってこういうの!」

 お父さん特製の目玉焼きは、半熟で黄身が二つ。
 それに醤油をかけて、ご飯と食べるのが光は大好きだ。
 一緒に焼いてもらったベーコンも絡めると、朝からおいしさ天国!

「むっふ~美味しい~~」

 光の幸せそうな顔を見て、麻那人は興味津々のようだ。
 
「美味しそうだね! 僕も次はそれを作ってもらおう~♪」

「もう~~ほんっと、調子がいいんだから……」

「うわぁこの泥水みたいなの、美味しいなぁ」

「ココアっていうの!」

 麻那人は何もかもが初めてのようで、ココアも嬉しそうに飲む。
 嬉しそうに歯ミガキをして、身支度を整え、ランドセルを背負う。

「どうだい?」

 黒光りする、かっこいいランドセルに麻那人はご機嫌だ。
 昨日とは違う、シャツに棒タイに、ズボン。
 確かに、すごく似合っているけど……。

「い、一緒に行くの?」

「うん♪ 学校の場所、知らないし」

「先日、ご挨拶に行ってるけどよろしく頼むよ光」

「えっ!? あ、う、うん(挨拶なんてしてるわけない……絶対、さいみん術だ!)」
 
 お父さんに見送られて二人で小学校へ向かう。
 光はどんよりだが、麻那人は鼻歌を歌っている。

 しかし、ふと足を止めた。

「どしたの?」

「……この町……不思議だ」

「え?」

 朝の爽やかな風に吹かれて、それなのに麻那人は少し顔をしかめた。

「ここの町は、怪異が起こりやすいね」

「怪異……」

 怪異、とは不思議で異様なこと。
 お化けや妖怪……悪魔なんかをいう言葉でもある。

「そうですのぅ……さすが王子でございます」

「え? どっから声が? あ! まんじゅう悪魔おじさんが、ランドセルにキーホルダーになって付いてる!」

 麻那人のランドセルに、ぶら下がっていたキーホルダー!
 大きな目がこっちを見た。
 
「誰がまんじゅうじゃ!」

「い、言ってないよ!」

 言ったけど……。
 誤魔化そうと、さっきまでの話に光は戻す。

「この町が怪異が起こりやすいって……?」

「うん、たとえば『追いかけ鬼』もふつうなら、あんな人をおそうレベルにはならない。でもこの町では実体化してしまう」

「えぇ? なんで……?」

「よどみやけがれがたまりやすい性質なのか……答えはわからない。僕が誘われたのも、この町のそういう気質ゆえ、なのかな……」

「ふーん?」

「あの、ステッキは持ってきたかい?」

「あ……おじいちゃんの? うん、麻那人が言うから……学校で見つからないようにしないと」

「大丈夫さ。それを身に着けていないと……危ないよ」

「ま、またそういう事を言う~~」

 おじいちゃんの赤い石がついたステッキ。
 麻那人から、それを学校にも持っていくように言われたのだ。

「この町の小学生達は、大変だなぁ。くくく」

 光は気付いていなかったが、自動販売機の下から伸びる長い白い手。
 麻那人はわざとに、思い切り踏んづけたのだった。
 白い手は飛び上がって痛がり、消えた。

 
 
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