あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

文字の大きさ
19 / 45

お家に帰ろう

 麻那人と一緒に汗だくになって、夕暮れの風がちょっと冷たく感じた光。

「今日の夕飯は何かなぁ」

「なんだろうね」

 光のお家はコテージのような洋風の、三角屋根のお家。

 『あの映画に出てくる魔法の家みたい!』ってキャッキャと家の前を通り過ぎる人もいる。

 玄関の優しいランプ照明を見ると、ホッとした。

 夕飯の、いい香りがもうしてくる。
 お父さんが、料理をしているんだ。

 光のお父さんは、光が三年生までは、毎日帰りが遅い会社員をしていた。

 お母さんは冒険家で、家に帰ってくることは殆どない。
 
 寂しいなと思うけど、光はお父さんとお母さんの活躍が嬉しかった。

 おじいちゃんもいなくなって、一人でご飯を食べるのが寂しい時もあったけど、両親に言うことはしなかった。

 でもお父さんが少し体調を崩してしまったあと、お父さんは会社を辞めて家にいるようになった。

 お父さんが毎日美味しい料理を作ってくれるようになって、光は嬉しいと思う。

「ただいまーー!

「ただいま帰りました」

「おかえりー! うわー二人とも汗だくじゃないか!」

 そう言われて、二人とも笑う。

 手洗いうがいをしっかりしてから、冷蔵庫の麦茶を出して一気に二人で飲み干した。

「今日のご飯なに!?」

「今日はカレイの煮付けだよ」

「えっ! またカレー! やったぁ」

 麻那人の瞳が輝いた。

「麻那人、給食のカレーだと思ってる?」

「うん! 昼も夜も食べたい!」

「カレーじゃないよ」

「ん?」

「あはは、カレーライスだと思ってるのかな? 麻那人君」

「違うんですか?」

 目をパチクリさせる麻那人。

「今日の夕飯はお魚だよ!」

「魚のカレーライス?」

「違うよー! カレイっていう名前のお魚!」

「ふむふむ、そのカレイという魚の……なに?」

「煮付けと言って、魚を甘じょっぱく煮た料理だよ。麻那人君が食べられるといいんだけど」

 お父さんがちょっと心配そうに言う。

「僕、なんでも食べるよ。楽しみだなぁ。とってもいい香りだ。甘じょっぱいってどんな感じかなぁ」

 麻那人はクンクンと、鼻を動かす。
 猫のクロも一緒に、クンクンと鼻を動かした。

「ふふ。麻那人君は猫みたいだなぁ。じゃあご飯にしよう! 光、手伝って!」

「はーい!」

「僕も手伝うよ」

 お父さんと二人でも、とっても楽しい。
 でももう一人、悪魔王子だけど増えたら、なんだか楽しさも増えるなぁと思った。

 カレイの煮つけを見て麻那人は目を丸くする。

「さかな……」

「うん。食べたら頭がよくなるよ!」

「……なにそれ……古の賢者の加護でも付与してるの?」

「んん? 麻那人君、なんて?」 

 麻那人の言葉に、反応するお父さん。
 
「ち、ちがうって~! ドコサヘキサエン酸っていうのが脳にいいんだって」

「へぇー すごい魔術だ。ドコサヘキサエンサンか……」

「んんん? 麻那人君、なんて?」

 また麻那人の言葉に、反応するお父さん。
 慌てる光。

「お、お父さん、なんでもないって! 魚って海を泳いでいるんだよ! 知ってる?」

「あぁ。知ってる。こんな形で泳いでるんだぁ」

 カレイの煮つけは、もちろん綺麗に切られた姿だ。
 このまま泳いでいるわけもない。

「麻那人って……」 

 麻那人は今日の学校の授業でも、ラーが言うように頭がよくスラスラと答えていた。
 でも、知らないこともあるようでかたよっている? と光は思う。

「ん~?」

「あとで教えてあげるね! いっただきま~す」

「いただきます!」

「あ、麻那人君、骨があるからね」

 ガブッとそのままかぶりつきそうになった麻那人を、お父さんが止めた。
 麻那人は初めての箸も案外器用に使って、言われたとおりに骨を綺麗に身から外した。

「うわぁ、美味しいなぁ。カレイも大好きだよ」

 美味しい甘じょっぱいタレが染み込んで、フワッと美味しい身のカレイ。
 麻那人はカレイも、大好物の一つになった。

 それから風呂上がりに、宿題のプリントを終えてアイスタイム。

 ふと、ラーの事を思い出す。
 暗い顔をしたからか、麻那人もそれに気付いたようだ。

「君と蘭子ちゃんは元から仲が悪いの?」

「……一番の仲良しだったよ……」

 仲が悪いと思われても、仕方ないと光は思った。

「ラーとはね保育園の時から一緒だったの」

 お父さんがお風呂に入っている時間なので、ファルゴンもパタパタと光の頭の上を飛ぶ。

  
感想 24

あなたにおすすめの小説

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

【完結】またたく星空の下

mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】 ※こちらはweb版(改稿前)です※ ※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※ ◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇ 主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。 クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。 そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。 シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。

魔法少女はまだ翔べない

東 里胡
児童書・童話
第15回絵本・児童書大賞、奨励賞をいただきました、応援下さった皆様、ありがとうございます! 中学一年生のキラリが転校先で出会ったのは、キラという男の子。 キラキラコンビと名付けられた二人とクラスの仲間たちは、ケンカしたり和解をして絆を深め合うが、キラリはとある事情で一時的に転校してきただけ。 駄菓子屋を営む、おばあちゃんや仲間たちと過ごす海辺の町、ひと夏の思い出。 そこで知った自分の家にまつわる秘密にキラリも覚醒して……。 果たしてキラリの夏は、キラキラになるのか、それとも? 表紙はpixivてんぱる様にお借りしております。

異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】 「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」 そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。 しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!? 死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。 目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”! 剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に―― そう、全部は「異世界で生きるため」! そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。 ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”! 「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」 未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く! ※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!

【完結】森の中の白雪姫

佐倉穂波
児童書・童話
 城で暮らす美しいブランシュ姫。  ある日、ブランシュは、王妃さまが魔法の鏡に話しかけている姿を目にしました。 「この国で一番美しく可愛いのは誰?」 『この国で一番美しく可愛いのは、ブランシュ姫です』  身の危険を感じて森へと逃げたブランシュは、不思議な小人たちや狩人ライと出会い、楽しい日々を送ります。

由香、塾へ帰る

はまだかよこ
児童書・童話
母由美子はなんと自宅で塾を開くという 四年生の由美子は自分は関係ないと思っていたのに…… ちょっと聞いて下さい

【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】

旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】 魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。 ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。 「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」 不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。 甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!

オバケの謎解きスタンプラリー

綾森れん
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞 奨励賞をいただきました! ありがとうございます! ――七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映るんだって。 小学六年生の結菜(ユイナ)が通う三日月(みかづき)小学校では、そんな噂がささやかれていた。 結菜は難関中学に合格するため、塾の夏期講習に通って勉強に励んでいる。 だが一方で、自分の将来にひそかな期待と不安をいだいてもいた。 知らない自分を知りたい結菜は、家族が留守にする夏休みのある夜、幼なじみの夏希(ナツキ)とともに七不思議めぐりを決意する。 苦労して夜の学校に忍び込んだ二人だが、出会うのは個性豊かなオバケたちばかり。 いまいち不真面目な二宮金次郎のブロンズ像から、二人はスタンプラリーの台紙を渡され、ルールを説明される。 「七不思議の謎を解けばスタンプがもらえる。順番に六つスタンプを集めて大階段の鏡のところへ持って行くと、君の知らない君自身が映し出されるんだ」 結菜と夏希はオバケたちの謎を解いて、スタンプを集められるのか? そして大階段の鏡は二人に何を教えてくれるのか? 思春期に足を踏み入れたばかりの少女が、心の奥底に秘めた想いに気付いてゆく物語です。