あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

文字の大きさ
32 / 45

ラーのSNSとリィの陸上クラブ

 
 祭の準備は、色々進んでいる。
 まずは学校や裏山の歴史を調べる事から始まるが、光と麻那人は学校と裏山の模型作りなので小林先生とクラスのみんなで写真を撮りに外に出た。

「此処の裏山はなぁ、色々と伝説があるんだよな」

 小林先生が言う。

「どんな伝説ですか?」
 
「悪い悪魔を偉い人がバーン! とこの山を作ってドーン! と封じ込めたとかね」
 
 小林先生の話はとても大ざっぱだ。

「私も聞いた事あるけど……本当かな?」

 光が麻那人に聞く。

「確かにこの場所は、この街の中でも特に不思議な場所ではあるね。色々なものが発生しやすい……うん、不思議だ」

「(麻那人も発生したもんな……)」

 そして追いかけ鬼を生み出す犯人も、追いかけ鬼も発生した。
 追いかけ鬼が裏山付近で目撃されるのは、そういう理由なのだろう。

 教室に戻って、先生が写真をパソコンに入れてくれた。
 写真やインターネットの航空図をみんなで見ながら、設計図を書く。
 
「ふぅん……面白いね」

 麻那人が、航空図を見ながら呟いた。

「どしたの?」

 こっそり光が麻那人に聞く。

「この学校も色々計算されている造りっぽいな……」

「ど、どういうこと?」

「配置、方角、形……色々とね」

「それって、悪い事?」

「うーん、悪い事と良い事って裏表でさ。光と影。君達子どもも元気になるけど、僕達みたいな存在も元気になる……ふふ」

「えぇ!」

「でもその周りに結界のようなものが張ってあるから、子どもに危害を加えるような悪いものは入ってこれないね」

「そ、そうなんだ……それはすごく安心」

 追いかけ鬼も学校には入ってこないということだ。
 そんなふうに守られているなんて気が付かなかった。

「この学校を創った人に会ってみたいよ」
 
 楽しそうに麻那人は笑う。

 この眠子寝子小学校は、とっても古い。

 来年から、校舎の改装工事が始まる予定だ。

「この校舎も利用させてもらおう」

 麻那人のつぶやきに、何故か光はゾクッとしてしまった。
 
 ◇◇◇
 
 昼休み。
 
「ねぇ~光、麻那人君。ちょっと話を聞いて」

 ラーが困った顔で二人に話しかけてきた。

「どうしたの?」

「私のSNSね、マネージャーさんとお母さんにも見てもらってるんだけど……この前、ちょっと『追いかけ鬼って流行ってるんだって都市伝説てやつかな?』って一眼レフで撮った取材先の神社の写真と一緒にアップしたら『追いかけ鬼って流行ってるんだってね俺はラーちゃんの追いかけ鬼だよ。追いかけ鬼に興味ない?DM待ってるよ☆』って書き込みがあったの」

 ラーはモデルの仕事をしているので、日々の生活をSNSにあげているのだ。
 
「えぇ!?」

 光はSNSをした事がないので、よくわからない。

「もしかしたら、犯人……? DMしてみる?」

 ラーは迷っているようだ。
 光は麻那人を頼るように見てしまう。

「いや、それは危ない人だと思うから、マネージャーさんとお母さんに聞いて絶対に自分からダイレクトメールしたりしちゃダメだよ」

 麻那人はピシャリと言い切った。
 
「そ、そっか。わかった」

「悪魔や妖怪も怖いけど、悪い人間もすごく怖いね。子どもをそうやって誘ってくる大人には、絶対に近づいたらいけないよ」

「うん、ありがとう。麻那人君ってやっぱり頼りになる! すごくかっこいい!」

「そんな事ないさ」

 ラーのウインクにも、麻那人は照れもしない様子で微笑む。
 
「ねぇ、蘭子ちゃんってカメラは持っているの?」

「カメラ? うん、私モデルだけど撮るのも好きでね。一眼レフで撮った写真をSNSにアップしてるの」

「フラッシュを焚いて?」

「そうよー夜の写真もキレイに撮れるの」

 今回も神社の写真だったように、ラーは自撮りだけではなく自分で撮影した写真も載せているようだった。

「そうなんだ。今度詳しく教えて」

「もちろんよ! じゃあ今度、放課後ね!」

 ラーはまるで麻那人とのデートでも決まったかのように、飛び跳ねて自分の作業に戻っていった。

「麻那人はSNSにも詳しいの? すごいね」

「詳しくはないけれど、悪い奴らの考えることなんかすぐにわかるのさ」

 『だって僕は悪魔王子だからね』とでも言いたそうな笑顔だった。
 
 「ねぇ! 聞いてよー」

 ラーの次にやってきたのはリィだ。

「陸上クラブのさ代表になれたんだよね! 短距離走の!」

 リィの所属する陸上クラブは放課後、週に何度か練習もあって大会にも出場する特殊クラブだ。
 空太のサッカークラブも同じである。
 
「わー! すごいね! おめでとう!」

 光も嬉しくて拍手した。

「おめでとう」
 
 麻那人も言う。
 
「えへへ、ありがとうー!」

梨香りかちゃんってどのくらい足が速いの?」

 麻那人が聞く。

「あは、梨香ちゃんなんて呼ばなくてリィでいいよ。放課後見に来る? 今日も陸上クラブは練習があるんだ」

「うん、見てみたいな」

「じゃあ私も行くー!」

 麻那人と光が喜んで頷く。 

「オッケー! 二人が見に来てくれたらテンションあがって、ますます速くなっちゃう!」

 リィが明るく笑った。
 放課後に校庭に行くと、かっこいいジャージを着たリィが陸上クラブのみんなと準備運動をしている。

「麻那人も走るの速いんでしょ?」

「ふふ、まぁ……でも悪魔は走らないからなぁ。人間みたいに一生懸命に頑張って汗を流して輝く……なんて事はしないから」

「なるほど」

 確かに悪魔が陸上大会やサッカーをして、さわやかに過ごしているとは思えない。
 光は苦笑いをする。

「あ、リィが走るよ!」

 先生の合図で、リィがクラウチングスタートで走る。

「わー! 速い!」

 さすがのリィだ。
 走る! 走る! 走る!
 六年生の先輩も男子も追い抜いて、あっという間に一位でゴールに飛び込む。

「リィー! かっこいい!!」

「すごいよ!!」

 二人の声援に気付いて、リィが大きく手を振ってくれた。

「追いかけ鬼より速いんじゃない!?」

 興奮して光が叫んだ。
 リィなら追いかけ鬼に追いかけられても逃げられる速さだ。

「うん、短距離ならいけそうだね……人間ってすごいな」

 うんうん、頷いて何か考えている様子の麻那人。

「え? まさか本当に……?」

「うん。計画でリィちゃんの足にも、協力してもらおう」

 麻那人の頭の中では、何か追いかけ鬼と犯人に対しての計画が出来上がりつつあるようだった。

 
感想 24

あなたにおすすめの小説

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

【完結】またたく星空の下

mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】 ※こちらはweb版(改稿前)です※ ※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※ ◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇ 主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。 クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。 そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。 シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。

魔法少女はまだ翔べない

東 里胡
児童書・童話
第15回絵本・児童書大賞、奨励賞をいただきました、応援下さった皆様、ありがとうございます! 中学一年生のキラリが転校先で出会ったのは、キラという男の子。 キラキラコンビと名付けられた二人とクラスの仲間たちは、ケンカしたり和解をして絆を深め合うが、キラリはとある事情で一時的に転校してきただけ。 駄菓子屋を営む、おばあちゃんや仲間たちと過ごす海辺の町、ひと夏の思い出。 そこで知った自分の家にまつわる秘密にキラリも覚醒して……。 果たしてキラリの夏は、キラキラになるのか、それとも? 表紙はpixivてんぱる様にお借りしております。

異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】 「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」 そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。 しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!? 死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。 目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”! 剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に―― そう、全部は「異世界で生きるため」! そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。 ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”! 「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」 未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く! ※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!

由香、塾へ帰る

はまだかよこ
児童書・童話
母由美子はなんと自宅で塾を開くという 四年生の由美子は自分は関係ないと思っていたのに…… ちょっと聞いて下さい

【完結】森の中の白雪姫

佐倉穂波
児童書・童話
 城で暮らす美しいブランシュ姫。  ある日、ブランシュは、王妃さまが魔法の鏡に話しかけている姿を目にしました。 「この国で一番美しく可愛いのは誰?」 『この国で一番美しく可愛いのは、ブランシュ姫です』  身の危険を感じて森へと逃げたブランシュは、不思議な小人たちや狩人ライと出会い、楽しい日々を送ります。

【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】

旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】 魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。 ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。 「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」 不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。 甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!

オバケの謎解きスタンプラリー

綾森れん
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞 奨励賞をいただきました! ありがとうございます! ――七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映るんだって。 小学六年生の結菜(ユイナ)が通う三日月(みかづき)小学校では、そんな噂がささやかれていた。 結菜は難関中学に合格するため、塾の夏期講習に通って勉強に励んでいる。 だが一方で、自分の将来にひそかな期待と不安をいだいてもいた。 知らない自分を知りたい結菜は、家族が留守にする夏休みのある夜、幼なじみの夏希(ナツキ)とともに七不思議めぐりを決意する。 苦労して夜の学校に忍び込んだ二人だが、出会うのは個性豊かなオバケたちばかり。 いまいち不真面目な二宮金次郎のブロンズ像から、二人はスタンプラリーの台紙を渡され、ルールを説明される。 「七不思議の謎を解けばスタンプがもらえる。順番に六つスタンプを集めて大階段の鏡のところへ持って行くと、君の知らない君自身が映し出されるんだ」 結菜と夏希はオバケたちの謎を解いて、スタンプを集められるのか? そして大階段の鏡は二人に何を教えてくれるのか? 思春期に足を踏み入れたばかりの少女が、心の奥底に秘めた想いに気付いてゆく物語です。