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新月の夜大作戦2 魔術クラブVS追いかけ鬼
追いかけ鬼の前に、空太が立ちはだかった!
魔法陣で強化されたサッカーボールは、紅く黒い炎をまとったように輝いている。
スライムに絡みつかれた追いかけ鬼が、牙を剥く。
しかし空太はフン! とこっちも睨みつけリフティング!
そしてサッカーボールを豪快に蹴り上げた!
「ハイパー! ミラクルボンバーッ空太シューッ!! ダイレクトッアタック!!」
爆発威力のサッカーボールが、追いかけ鬼の右目にぶち当たった。
『うぎゃあああ!!』
サッカーボールの魔法陣がボォ! と燃え上がり追いかけ鬼を火だるまにする!
「落ちろ!」
更に、二個目のボールで二回目のシュート!
追撃を受けて、追いかけ鬼は階段を転がり落ちていく。
ふぅ! と空太は緊張から湧き出た額の汗を拭う。
『空太! 技の名前がださい!』
「な! なんだよ!」
必殺技のダサさで、女子達のツッコミが入ったのだった!
『ぐごがあおぁああぐがああああああああ!』
追いかけ鬼は四階の壁にぶち当たり、更に怒りで顔から湯気と怒鳴り声をあげた。
追いかけ鬼との鬼ごっこはまだ続く!
『どべし! どば! どぶっぼ!』
四階に転げ落ちてきた、追いかけ鬼。
目を回しながら、キョロキョロと当たりを見回す。
なにやら汗の臭いを抑えるスプレーの花の香りがして、光の居場所がわからないようだ。
しかし四階の廊下の先に、女の子の姿が見える。
大きな目でギョロリと見て、鬼は見定めた。
暗闇にボオッと映ったのは、間違いなく光の姿だ!
『まずはぁあお前をくうっでからだぁあああ!!』
やはり少し滲み出てしまう、みんなの恐怖を食って、更に追いかけ鬼は凶暴になっていく。
力を増して、言葉もしっかりわかるようになってきた。
ザボは、追いかけ鬼で、まず食べるのは光だとやっぱり決めているようだ。
陰湿でしつこい悪魔には、そういうタイプが多い。
「きゃあああああ! いやぁ! 食べないでぇえ!!」
光の叫び声に、追いかけ鬼はニヤッと笑う。
ザボも笑ったに違いない。
『いだだきまぁああああす!!』
飛び散る血!
と思ったが、追いかけ鬼の口の中にあるのは……紙!!
ビリビリに破けた紙だ!
『なんだとぉ……!?』
遠目で光だと思った姿は、ルルが大きな紙に描いた絵だったのだ!
そこに光はイヤイヤながら、自分の汗をベタベタと染み込ませた。
更に怒りに燃えた追いかけ鬼は、その先に立っているルルを見つける。
光の悲鳴は、ルルのバッジから聞こえた演技だ!
『じくしょぉおおおおおおお! もう誰でもいいわぁ!! 喰ってやるぞぉ!!』
「きゃあああ!」
さすがに追いかけ鬼に大口を開けて襲われそうになり、ルルは叫んだ。
しかし追いかけ鬼は襲いかかろうとした瞬間に、動きが止まる。
「……ステイの魔法陣! ステイ!!」
ルルが叫んだ。
スライム調教用に麻那人が用意した『ステイの魔法陣』の再利用。
数秒だけ『待て』の効果が現れる!
『こんなものぉ! すぐに解除されるぞぉおお!』
グギギギギと今にも動き出そうとした、その時!
暗闇に閃光が走る!
カメラのフラッシュだ!
「よくも私を襲ったわね! フラッシュ攻撃! あんたをイケメンに撮影するのは無理だけどね!!」
夜に闇にまぎれた悪魔にとって、眩しい光は毒の光。
『ぎやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁl!』
バシャ! バシャ! バシャ!!
ラーの愛用のカメラにも魔法陣が書かれていた。
これは光が麻那人に言われて書いたもの。
光強化の天使の魔法陣だ。
「あんたなんか滅びて!」
ラーがフラッシュを浴びさせるたびに、追いかけ鬼は溶け出していく。
これでもう、追いかけ鬼を十分に弱らせる事ができたか!
「ま、まだステイ! ラーちゃん行こう!」
「うん!」
二人で手を繋いで走り出す。
待っていたリィと空太とも合流して、最終地点へと向かった。
しかしそこで、追いかけ鬼が大きく叫んだ。
『もう許さんぞぉ!! ガキども!!』
それはザボの心の声なのかもしれない。
なんと追いかけ鬼の顔面が裂けた。
分裂したのだ。
小さくなって1つ目顔の鬼が二体!
二体になった追いかけ鬼は、大きな口を開けて四人を追いかけた!
小さくなった分、スピードが増している!
「げぇ! まじかよ!」
空太が階段を降りる前に振り返って、驚いた。
慌てて階段を飛び降りながら急ぐ。
「みんな急いで!」
リィがルルの手を引っ張る。
『みんな、頑張って!!』
みんなのバッジから光の声がする。
追いかけ鬼を仕留めるのは光だ……!!
四人が肝だめしで通った廊下を走る!
誰かが落ちていた追いかけ鬼の模型を蹴り飛ばした。
「みんな……頑張って……!」
体育館で待つ光は、おじいちゃんのステッキを握りしめていた。
麻那人との会話を思い出す……。
【作戦前日の部屋での会話】
『え? 麻那人は校内の作戦の時はいないの?』
麻那人に言われて、びっくりする光。
『うん、僕はザボを探す。追いかけ鬼を倒しただけでは、また同じ事が繰り返される』
『そうか……そうだね』
追いかけ鬼を一体倒しても、ザボがいるかぎり永遠に追いかけ鬼は創られ続ける。
『だから、追いかけ鬼を倒すのは光に任せたい。……でも僕はサーチ能力を最大限に使うから通信もできなくなる』
『そ、そんな……』
つまりは光達だけで追いかけ鬼をどうにかするというわけだ。
普段どれだけ麻那人を頼っているのかがわかった瞬間。
『光……どうする? 今回は追いかけ鬼だけを退治するってことにもできるよ』
しかし、それではザボの復活を見過ごすことになる。
追いかけ鬼を好き勝手させていれば、いつか本当に食べられてしまう犠牲者が出るかもしれない。
『大丈夫! できる! 私頑張るから! 麻那人も頑張って……!』
『うん! 魔術クラブリーダー、頼りにしてるよ!』
『うん』
お互いを信じる。
光は麻那人と微笑み強く頷いたのだった。
【思い出し終了】
光はステッキを握りしめる。
「頑張らなきゃ! 一撃で仕留める!」
「「「「わぁああ! 鬼が、二匹になったぁああ!!」」」」
「え!?」
しかし予想外に二体になった追いかけ鬼が体育館に乱入してきたのだ!
一体どうする!!
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