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新月の夜大作戦3 絶体絶命!?
体育館に飛び込んできた、みんな。
二体の追いかけ鬼を見て、光は混乱する。
「追いかけ鬼が二体!?」
「光! やっつけて!」
体育館に飛び込んできたラーが、光に叫ぶ。
体育館の真ん中で待っていた光は、ステッキを空に向けてまずは一匹の追いかけ鬼へ向けた。
「悪の化身よ! 散れ! サンダァアアアア! アロー!!!」
ラーを助けた時と同じように、マジカルフェンリーの呪文でサンダーアローを放った!
「あぁ!? 速い!!」
しかし大きさが小さくなった分、素早くなった追いかけ鬼はその攻撃をすり抜けた。
広い体育館のなかで入ってきた四人は、それぞれバラバラに逃げ回る。
「きゃああ! いやぁ!」
二つに分離した追いかけ鬼を見て、ルルがリィに手を引かれながら泣いてしまう。
みんなも少なからず恐怖した。
その子どもの恐怖心を、追いかけ鬼は吸い込んでいく。
「でりゃあああ!」
空太が転がっていたバスケットボールを、ぶん投げた。
しかしなんの力も付与していないボールに追いかけ鬼はびくともしない。
そのまま顔に当たっても、空太に噛みつこうとした!
「サンダーアロォーーー!」
すんでのところで、光が空太との間に入り空太を守った。
しかし追いかけ鬼は避ける。
当たらない!!
追いかけ鬼は光と空太を諦めて、他の三人を狙いに行く。
二体の追いかけ鬼は、まるで狩りをしているようだ。
次にラーを狙いに定めた。
「いやぁあ!」
「みんなこっちへ来て! スライム! ダウン!」
『ぐぁああ!?』『うぎぃ!』
ラーが二体に挟まれた時に、光が必死に叫んだ。
そして少し下に引っ張られるように、二体の追いかけ鬼はスピードが遅くなる。
最初の攻撃で使ったスライムが、まだ追いかけ鬼に沢山くっついていた。
光の言った『ダウン』は『伏せ』だ。
くっついたスライムが反応して伏せをした力が、追いかけ鬼のスピードを奪った。
「バカァ!」
ラーが必死にカメラのフラッシュを焚いてくれたので、更に二匹へダメージを与える事ができた。
そして体育館前方のステージの前で、みんなが光の背後に逃げることができた。
ふらふら……と1つ目になった二体の追いかけ鬼は、隙を伺うように五人を見ている。
いつ噛みつこうか、見定めている獣のようだ。
まるでライオンと子鹿達。
「ハァハァハァ……もう走れないよ」
リィが座り込む。
「うう……二体に増えるなんて……怖い……」
ルルも腰が抜けて動けない。
恐怖に必死に堪えているけれど、怖いものは怖いのだ。
「くそ……! バスケットボールは蹴るもんじゃねーしな!」
またバスケットボールを拾ってきた空太が、追いかけ鬼を睨む。
「もうカメラも電池切れだわ!」
みんなを背後にかばいながら、光は何度か光の矢を放つ。
が、やはり遊びのように簡単に避けられてしまう。
しかも、どんどんと距離が縮まってきているのだ。
ジリジリ……ジリジリ……。
「どうしようどうしよう!」
ラーが焦る。
「もう、ダメなんじゃないの!? 麻那人君はどこなの!?」
麻那人がいない事に気付いて、リィが叫んだ。
もう話すこともできずに震えたルルは、リィに抱きついている。
「まさか、あいつ逃げた……!?」
「違う! 麻那人は今、真犯人を追ってる! 麻那人は逃げたんじゃない!」
空太が言った事を、思い切り否定した光。
「ごめん……そうだよな……」
「ううん……だから、ここは私がどうにかしないと!」
どうしたら、どうしたら、どうしたらいい!?
用意した武器はもう、ない!
戦えるのは、私一人!!
焦りで冷や汗がにじみ出る。
ステッキを持つ手も汗が出る。
臭い、腐った臭いがまたしてきた。
追いかけ鬼の口の臭いだ。
二体の追いかけ鬼はギラギラと目を輝かせ、狙っている。
このままでは、みんなが追いかけ鬼に食べられてしまう!
そうしたらザボは、一気に力を取り戻す。
どうしようどうしようどうしよう!!
光は考える!
みんなを守るために、何ができるか!!
「(麻那人と一緒に過ごした時間を思い出せ! きっと何かヒントがあるはず……!!)」
光もみんなを背で守りながら、追いかけ鬼の前に立ちはだかっているのだ。
怖くないわけはない。
二匹は確実に、光を一番に喰うだろう。
足も震える。
「でも、負けないもん!」
麻那人――!!
どうしたらいい!?
ぺちゃっ……。
追いかけ鬼の顔に付いたスライムが、体育館の床に落ちた。
その時、ふと思い出す!
「もしかしたら、これが武器になるかも……!!」
起死回生!
そんな難しい言葉が、光の脳内に浮かぶ。
「光!?」
光がひらめいたのを感じたラー。
「何か思いついたの? 光ちゃん」
ルルもリィと一緒に勇気を出して立ち上がる。
「どうするんだ? 光!」
「みんな、私の話を聞いて……これが最後の作戦だよ!」
こっそり、しかし力強く言った光の言葉にみんなも強く頷いた。
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