あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

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新月の夜大作戦4 光VS追いかけ鬼

 
 光の考えた作戦を、みんなに伝えた。

「で、でもそれで何も起きなかったら……光がヤバいじゃんか!」

 空太が不安そうに、光を見る。
 
「今はもうそんな事言ってられないから! みんな早く!」

 光の作戦を、みんな聞くことにした。

 追いかけ鬼は、これからの食事が楽しみのようだ。
 舌を出して、二匹で左右交互に行ったり来たりして近づいてくる。

『ぐひひひひぃどんな味がするのかなぁ』『この、こどもはぁやっぱりうまそうだあ』

 光のことだ。
 麻那人に付与された力とは知らない追いかけ鬼は、光の存在が特別な人間に見えているのだろう。

「追いかけ鬼! 私はね! すごく美味しいらしいよ!」

『おいじぃいいいいい』『おいじぃいいいいいいい』

「だから私を一番に食べた方がいいよ!」

 光の言葉に乗せられて、二匹の追いかけ鬼が牙を剥く!
 そして一気に襲いかかってきた!

「サンダーアロォオオオオオオオ!」

 真横に一直線、サンダーアローを放つ。
 それは追いかけ鬼には当たらない!

「みんな走って!」

「「「「うん!」」」」

 五人で一気に走り出す!
 そしてラーと空太。
 リィとルル。
 体育館から校庭に出る両開きのドアを開け放った!

 光のサンダーアローは、そのドアの鍵を貫いていたのだ。

「私を追いかけてきなよ!」

 光はそのままドアを出て、校庭に向かって全力疾走だ!

『までぇええ!』『までぇええ!!』

 二匹ともドアを開けた四人を無視して光を追いかける!

「「「「光!!」」」」

 真っ暗な校庭だ。
 光の後ろを追いかけ鬼二匹が猛スピードでやってくる。
 光の矢はどちらかにしか狙えない。
 もしくは、外してそのまま食いちぎられるか――!!

 真っ暗な夜。
 光は走る!
 光は走る!!

 そして校庭の真ん中で、息を切らせながら光は走るのをやめた。

 『ぎゃははははは!』
 『いただきまぁああああああす』

 光が疲れ果てて、諦めたと思ったんだろう。
 二匹の追いかけ鬼は大喜びで口を開ける。

「いただかれないよっ!!」

 光は右のポケットから天使の加護の紋章バッジを五人分取り出し、左のポケットから悪魔のバッジを五人分取り出した。
 それを口を開けた追いかけ鬼の前に放り出す。

「サンダーアロー!!!」

 天使と悪魔のバッジが十個、宙に舞う。そこに一気にサンダーアローを落とした。
 精一杯、最大の、力と祈りを込めた。

 これでもう終わりだったら……そんな事は考えない!

 絶対うまくいく!

 光と影の力が混ざり合い、反発して、そして爆発した――!!
 
 カメラのフラッシュの何倍も何倍もの光。
 そして突き刺さる衝撃。

 追いかけ鬼は吹っ飛んで、光も吹っ飛んだ――。
 みんなが光と叫ぶ声が聞こえる。

 でも、まだ!
 まだ、これから二匹を仕留めなきゃいけない!
 弱った二匹を最後に……。

 でも……。

 光と影の爆破ダメージからはステッキが守ってくれたようだった。
 でも吹っ飛ばされた衝撃で頭がクラクラして、光はスローモーションのように感じた。

 このままドカン! と地面に叩きつけられるのかな……と思ったが、ふわりと抱きとめられる。

「……?」

 目をつむって、歯を食いしばっていた光はゆっくり目を開ける。

「よく頑張ったね光」

「麻那人……!」

 悪魔王子の姿になった麻那人が、吹っ飛ばされた光を空でキャッチしてくれたのだった。

 ふわっとお姫様抱っこで、麻那人は地面に着地した。

 麻那人を見て、緊張が一気にほぐれていく。
 涙が出そうになるけれど、まだ……まだ終わってない。

「とどめをささなきゃ……!」

「うん」

 追いかけ鬼二体は、重なるようにボロボロの姿になって転がっていた。
 ピクリとも動かない。

 追いかけ鬼にくっついていたスライムは、全部落ちている。
 きっとまた体育館で、ひとつに集まっているはずだ。

 だから、追いかけ鬼には容赦はしない!

「サンダーアロー!!」
 
 折り重なった追いかけ鬼は、一撃だけで弾け飛ぶ。
 燃えカスの呪符も、今度こそ燃え尽きて消えていった。

「やったぁああ! 光が勝ったぞ!」

 遠くでみんなが走って、駆け寄ってくるのが見えた。
 どうやら、みんなには麻那人の姿は見えていないようだ。
 ふらりとし倒れそうになった光を、麻那人は支えて地面に座らせた。

「……麻那人、ごめん。助けにこさせちゃった……」

 此処に麻那人が来たという事は、麻那人は光を助けるためにザボの追跡を諦めたということだ。

 安心なのかごめんという気持ちからなのか、光の瞳からがポロポロと涙が出てくる。
 でも麻那人はにっこり笑う。

「大丈夫。今から行ってくるよ」

「追えたの……?」

「なんとかする大丈夫」

 麻那人は黒いハンカチを泣いてる光に渡した。

「こんなに光も、みんなも頑張って追いかけ鬼を退治したのに、僕だけが失敗したなんて許されないよ」

 バサァっと麻那人のマントが大きく広がってなびく。
 瞳が不思議に輝いて、微笑む口から牙が見えた。

「だって、僕は悪魔王子だからね」

「麻那人」

 そう言うと、麻那人は一気に飛んでいった。
 
「麻那人……」

 光はこれから、麻那人がザボと戦う事がわかった。

 そして今日がお別れの日なのかと思うと、一気に光の心に寂しさが浮かぶ。
 泣きそうになってしまうけど、それでも麻那人の姿を目で追うしかできない……。

 いや、泣いてるだけじゃダメなんだ。

「光!? どこへ行くの!?」

 光は目をこすって涙を拭うとまた走り出した。
 
 裏山が光ったのを見て、麻那人は裏山に行ったんだとわかった。
 光は麻那人を追いかけた。
 
  
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