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日常
シフォンケーキ
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「かーちゃんただいま」
「あ、あんた靴履いてんだから、これ
桃ちゃんちに持っていきなさい」
「は?俺桃ん所行きたくねぇって」
「あんたが何意地張ってんのかは分かんないけどね仲直りしなさいよ
言ったでしょう桃ちゃん落ち込んでるらしいんだから」
なんだかんだと反論しづらい話題にぐっと喉を詰まらせると、シフォンケーキを持たされ家を追い出される。
シフォンケーキは桃の好きなものの一つだ。
小さい頃、あまりにも桃がいつでも泣くのにイラついた俺は、少ない小遣いを握りしめて飴を買ってきて常備した。
飴をやると面白いくらいに泣き止んでもっともっととせがんでいたものだ。
まぁ、流石に何個も何個も強請られるだけやっていたら俺は金が無くなるので一発殴っておいたが。
まぁ、そんな餌付けが祟り。あいつは大の甘党。
よく母さんが焼いてたシフォンケーキは好物になり女々しさに拍車がかかってしまった。
「椿ちゃん!」
俺がいつもとはどんな顔だなんて躊躇っていたら、桃が窓から体を乗り出してこちらに声をかけてきていた。
全くもって最悪だ。こちとら合わないつもりで来ていたのに
「桃」
「まってて!
今降りるから!」
会ったことも最悪っちゃ、最悪だが
それ以上に嫌なのが桃の顔に涙の跡がくっきりと残っていたことだ。
俺の問題とはいえ弟分をああやって泣かすなんて失格だろう。
シリンダーが回る音がして、ややあって扉が開いた。
「椿ちゃんいらっしゃい! どうしたの?」
「あー...母さんがこれ...やる...」
「わぁシフォンケーキだ! ありがとう」
バカは涙を拭くなんて遠慮が無く、さっきと同じようにくっきりと跡がついた顔で笑いかける。
罪悪感とかそういうレベルじゃない。
「っあー! もう! 桃じっとしとけよ!」
「えっ! う、うん」
袖を伸ばしてそれでぐいぐいと桃の顔を拭く。
桃は時々わぶなんて馬鹿みたいな声出しながらされるがままだ。気は悪くなる訳ないがそれ以上やると、変な気分になりそうだったためやることを成して、早々とやめた。
「汚れてた?」
なんて馬鹿みたいな声で、馬鹿みたいな顔して、馬鹿みたいに首かしげるもんだからイラッとして蹴りをくれてやる。
「汚れてたも何も泣いてるんじゃねぇよ、男だろ」
「え、へへ...そうだよね...」
こういう時の桃はずるい。
俺が桃に全面的に弱いことを知ってか知らずか、雨に濡れた捨て犬みたいな視線を送ってくる。
「はぁ」
頼むからため息一つで泣きそうにするな。
「仕方ねぇから一緒にシフォンケーキ食ってやるよ
おら家あげろ」
「椿ちゃん!」
自分でも素直では無いと思うが自分の精一杯がこれだ。
桃も分かるならそれでいいやなんて思いながら、第二のと言っても過言でない家に上がり込んだ。
「あ、あんた靴履いてんだから、これ
桃ちゃんちに持っていきなさい」
「は?俺桃ん所行きたくねぇって」
「あんたが何意地張ってんのかは分かんないけどね仲直りしなさいよ
言ったでしょう桃ちゃん落ち込んでるらしいんだから」
なんだかんだと反論しづらい話題にぐっと喉を詰まらせると、シフォンケーキを持たされ家を追い出される。
シフォンケーキは桃の好きなものの一つだ。
小さい頃、あまりにも桃がいつでも泣くのにイラついた俺は、少ない小遣いを握りしめて飴を買ってきて常備した。
飴をやると面白いくらいに泣き止んでもっともっととせがんでいたものだ。
まぁ、流石に何個も何個も強請られるだけやっていたら俺は金が無くなるので一発殴っておいたが。
まぁ、そんな餌付けが祟り。あいつは大の甘党。
よく母さんが焼いてたシフォンケーキは好物になり女々しさに拍車がかかってしまった。
「椿ちゃん!」
俺がいつもとはどんな顔だなんて躊躇っていたら、桃が窓から体を乗り出してこちらに声をかけてきていた。
全くもって最悪だ。こちとら合わないつもりで来ていたのに
「桃」
「まってて!
今降りるから!」
会ったことも最悪っちゃ、最悪だが
それ以上に嫌なのが桃の顔に涙の跡がくっきりと残っていたことだ。
俺の問題とはいえ弟分をああやって泣かすなんて失格だろう。
シリンダーが回る音がして、ややあって扉が開いた。
「椿ちゃんいらっしゃい! どうしたの?」
「あー...母さんがこれ...やる...」
「わぁシフォンケーキだ! ありがとう」
バカは涙を拭くなんて遠慮が無く、さっきと同じようにくっきりと跡がついた顔で笑いかける。
罪悪感とかそういうレベルじゃない。
「っあー! もう! 桃じっとしとけよ!」
「えっ! う、うん」
袖を伸ばしてそれでぐいぐいと桃の顔を拭く。
桃は時々わぶなんて馬鹿みたいな声出しながらされるがままだ。気は悪くなる訳ないがそれ以上やると、変な気分になりそうだったためやることを成して、早々とやめた。
「汚れてた?」
なんて馬鹿みたいな声で、馬鹿みたいな顔して、馬鹿みたいに首かしげるもんだからイラッとして蹴りをくれてやる。
「汚れてたも何も泣いてるんじゃねぇよ、男だろ」
「え、へへ...そうだよね...」
こういう時の桃はずるい。
俺が桃に全面的に弱いことを知ってか知らずか、雨に濡れた捨て犬みたいな視線を送ってくる。
「はぁ」
頼むからため息一つで泣きそうにするな。
「仕方ねぇから一緒にシフォンケーキ食ってやるよ
おら家あげろ」
「椿ちゃん!」
自分でも素直では無いと思うが自分の精一杯がこれだ。
桃も分かるならそれでいいやなんて思いながら、第二のと言っても過言でない家に上がり込んだ。
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