36 / 162
第四章
教会……て言うか祠だよね?
しおりを挟む
うみゃーうみゃー、と、ともすると猫の鳴き声にも聞こえる鳥の鳴き声が、まるで目覚まし時計のベルのように、私を夢の世界から現実に引き戻した。
……木船の上で寝たせいで、体があちこち痛い。
ゆっくり身を起こし、伸びをする。
「あ、起きた、起きた? なら行こう、こっちだよ!」
早速急かしてくるオルカを抑え、昨日のうちに用意していたサンドイッチで朝ごはんを済ませる。
「それで、オルカ。本当に道が分かるの?」
「うーん、フィーネがこっちだって言ってたよ?」
「私は風の精霊ですから。海の中や川や湖など水の中、或いは地中、果ては空の遥か上、その様な場所でない限り、私に手に入らぬ情報はございませんもの」
「……案内、お願い出来る?」
「ええ、勿論」
島の植生は、まるで沖縄の離島の様な……。
いかにも、南の島の田舎的な雰囲気のある道を行く。
この世界に来て、最低限とはいえ人の手の入った道を歩くのは初めてだった。
やはり獣道と違って凄く歩きやすい。
そうして辿り着いたのは、港近くの村外れ。
「ほら、あれがそうよ」
示されたのは……、木造の祠。日本ならあそこにお地蔵様とかが居そうな、そんな……。
そしてこの島では信仰は盛んなようで、これから漁に出るらしい男たちが入れ代わり立ち代わりお参りに来る。
私は茂みに隠れてそれを眺めるしかない。
何しろ、海の男だけあって、みんな屈強だしよく日に焼けて見るからに元気そう。
そして、来る人くる人皆知り合い同士の様で、楽しそうに会話しながら来ては帰っていく。
これ、どう考えても田舎でよく聞くご近所皆知り合い、よそ者が来ればすぐ分かる、そう言う雰囲気だよね。
「……場所は分かったわ。夜にもう一度出直しましょう」
こんな田舎で不審者。
その扱いがどうなるかなんて……
それこそ、実は怖い昔話的な展開になりそうで、到底出ていく気にはなれないから、人の居なくなる時間を狙って来るしかなさそう。
そう結論を出すのは当然だった、の、だけど。
「えぇー、何でぇ? もうすぐ目の前なのに、何で! ボク、早く神様に褒めて貰いたいのにぃ!」
オルカが大きな声で抗議したもんだから。
「おい、あそこに誰か居るぞ!」
たちまち発見されてしまった。
逃げようにも、片やひ弱な現代っ子、ここしばらくで多少鍛えられはしたけれど土地勘もない女、片や生粋の肉体労働者で筋肉ムキムキな地元の男達。
勝負にもなりゃしない。
あっという間に取り押さえられてしまう。
「何だ、妙な格好してやがる!」
「何で娘っ子一人なんだ? 他にも誰か居るんじゃないか? 探せ探せ!」
たちまちの内に村は大騒動になってしまったのだった。
……木船の上で寝たせいで、体があちこち痛い。
ゆっくり身を起こし、伸びをする。
「あ、起きた、起きた? なら行こう、こっちだよ!」
早速急かしてくるオルカを抑え、昨日のうちに用意していたサンドイッチで朝ごはんを済ませる。
「それで、オルカ。本当に道が分かるの?」
「うーん、フィーネがこっちだって言ってたよ?」
「私は風の精霊ですから。海の中や川や湖など水の中、或いは地中、果ては空の遥か上、その様な場所でない限り、私に手に入らぬ情報はございませんもの」
「……案内、お願い出来る?」
「ええ、勿論」
島の植生は、まるで沖縄の離島の様な……。
いかにも、南の島の田舎的な雰囲気のある道を行く。
この世界に来て、最低限とはいえ人の手の入った道を歩くのは初めてだった。
やはり獣道と違って凄く歩きやすい。
そうして辿り着いたのは、港近くの村外れ。
「ほら、あれがそうよ」
示されたのは……、木造の祠。日本ならあそこにお地蔵様とかが居そうな、そんな……。
そしてこの島では信仰は盛んなようで、これから漁に出るらしい男たちが入れ代わり立ち代わりお参りに来る。
私は茂みに隠れてそれを眺めるしかない。
何しろ、海の男だけあって、みんな屈強だしよく日に焼けて見るからに元気そう。
そして、来る人くる人皆知り合い同士の様で、楽しそうに会話しながら来ては帰っていく。
これ、どう考えても田舎でよく聞くご近所皆知り合い、よそ者が来ればすぐ分かる、そう言う雰囲気だよね。
「……場所は分かったわ。夜にもう一度出直しましょう」
こんな田舎で不審者。
その扱いがどうなるかなんて……
それこそ、実は怖い昔話的な展開になりそうで、到底出ていく気にはなれないから、人の居なくなる時間を狙って来るしかなさそう。
そう結論を出すのは当然だった、の、だけど。
「えぇー、何でぇ? もうすぐ目の前なのに、何で! ボク、早く神様に褒めて貰いたいのにぃ!」
オルカが大きな声で抗議したもんだから。
「おい、あそこに誰か居るぞ!」
たちまち発見されてしまった。
逃げようにも、片やひ弱な現代っ子、ここしばらくで多少鍛えられはしたけれど土地勘もない女、片や生粋の肉体労働者で筋肉ムキムキな地元の男達。
勝負にもなりゃしない。
あっという間に取り押さえられてしまう。
「何だ、妙な格好してやがる!」
「何で娘っ子一人なんだ? 他にも誰か居るんじゃないか? 探せ探せ!」
たちまちの内に村は大騒動になってしまったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる