大海サバイバル! チートな船で俺TUEEE な旅を満喫します

彩世幻夜

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第五章

与えられた選択肢

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 ――今更な話であるけれど。

 私はそもそも二人姉妹の長女として生まれ育った。……が、私の親は少々“毒”親の傾向のある人達だった。

 暴力を振るわれた訳ではない。
 最低限の衣食住は与えられたから、ネグレクトと言うには弱いだろう。

 しかし、私の親は、徹底して妹ばかりを可愛がる人達だった。

 私には最低限の衣食住――服はし○むら、食事も質素でメニューのリクエストなんかは軒並み却下、部屋の家具もベッドと机だけ、みたいな。

 だから早々に手に職をつけて家を出たくて職業高校を選んだ訳なんだけど。

 ……いや、私の鬱歴史はどうでもいいんだ。
 ただ、男に対する免疫ってのがね……、クラスメイトの男子とは普通にやり取りしてた――いや、男子達にはほぼ男扱いされてたな、私。

 だから、こんなイケメンに対する免疫が無いんだよね。
 もっと田舎の芋男的な奴ならこんな悩まなくて済んだのに!

 「……同室で寝るか、外で野宿か。選んでほしい」

 「この宿に部屋が無さそうなのは分かったし、多分ここが普通の宿じゃないのは察するけどさ、他の宿を探すって選択肢は無いわけ?」

 「俺にはそもそも戸籍がない。影だからな。任務で仮に与えられたそれはあっても、な。あまり一般人に覚えられたくない」

 ちなみに当然だけど、この世界に来るまで、私にレジャーキャンプ以外で野宿の経験なんか無い。

 そしてこの世界に来てからも、モンスターの出る場所では船の中で、モンスターの出ない所なら砂浜にでも寝転がって寝る事はあったけど。

 賊もモンスターもいつ出るか分からないような外で野宿とか、戦闘系チートも無いのにあり得ない。

 だから、選択肢があるようで無いこの問いに、私の答えは一つしかなかった。

 「同室で良いのでベッドで寝かせて下さいお願いします」

 ……宿代払うのもアルトだしね。
 私は頭を下げるしかない。

 「んじゃ、話がまとまったんなら……ほれ、鍵だ。飯は後で部屋に運んでやるよ。湯は要るか?」

 食事はともかく湯とは何のこっちゃ?
 ……と思っていたら、コソリとアルトが説明してくれた。

 この世界じゃフェリーにあったようなシャワーや風呂は貴族の館か超高級宿にしか無く、こういう宿ではタライに湯を張り、お湯に浸した手拭いで身体を拭くんだそうで。

 私はまたしても恐ろしい二択を迫られた。

 この男の前で裸になって汗を拭うか。
 汗のにおいをそのままに、このイケメンの隣で寝るのか。

 因みにその間だけアルトに部屋を出てってもらうのも無しらしい。

 ……私は泣く泣く井戸水で、服を脱がず捲れる部分だけを拭くという逃げ道で我慢する事になった。
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