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第九章
釣り
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「……ん?」
カサリ、と。葉擦れの音がした。
風によるものではない、不自然な葉擦れの音が。
果たして。
待ち人か、それともモンスターか。
「(いや、モンスターらしき気配は感じねぇ。なら……)」
咄嗟に背に背負った大剣の柄を握っていた手を降ろし、その者の接近を静かに待つ。
かくして。現れたのは……ボロっちい服を身に着けた、長身痩躯の若い優男だった。
タンクや戦士をするには到底向かない体格の――恐らく魔族の何れかの種族。
しかし、コンパスは彼を示しているようで、しかし僅かに振れる。
「よぉ、同業かい? 俺は今日初めて……つーか夕べ着いて夜を明かしたとこなんだけどよ。ココ長いなら一緒にパーティー組まないか? 俺、強いぜ?」
と、まずは冒険者流の軽い挨拶をしてみる。
「……ここには人は来ず、ダンジョンで最低限の物資は手に入る。そう聞いたからここに居たんだが。あんた何者だ?」
「世捨て人かよ。まぁ、自己紹介が先なのは認めるよ。俺の名はルイス・カールトン。一応冒険者だが、ギルドじゃ『勇者』で通っているよ」
「……ほぅ、“勇者”、ねぇ?」
「疑うか? ほれ、勇者とは書かれてないが、俺の冒険者タグだ」
「済まないが、見ても良く分からないのだが?」
「へー……。うん、実は俺、とある任務を承っていてね? 人探ししてるんだ」
「……何故それを俺に言うんです?」
「いやぁ、ね。探し人は一応女って聞いてるんだけどさ。この近辺に居るって情報があってね? ……何か知らないかなーって」
「女、ねぇ。見ての通り俺一人、そもそも人が来ないと聞いたから来たと言ったはずだ。この近くの街のある島ならともかく、この島ではアンタ以外居ないと思うが?」
「ふーん、隠してるんじゃなきゃ、じゃああんたが俺の探し人って事で良いのかな? 女じゃなくて男ってあたりは事故か? 俺の知ったこっちゃないが」
「……それで。どうするつもりだ」
「あぁ、悪いが俺のトコの偉いさんがあんたを欲しがってるんだわ。大人しくついてきてくれれば乱暴な事はしねぇよ」
「断る、と言ったら?」
「申し訳ないけど力尽くって事になるかな?」
「……やはりロクなモンじゃないか。ならば覚悟せよ。お前には聞きたい事が山程ある。俺に負けたら存分に吐いて貰うとしよう」
「うへぇ……。面倒臭ぇ……」
こうして、二人の男の戦いの火蓋は切って落とされた。
カサリ、と。葉擦れの音がした。
風によるものではない、不自然な葉擦れの音が。
果たして。
待ち人か、それともモンスターか。
「(いや、モンスターらしき気配は感じねぇ。なら……)」
咄嗟に背に背負った大剣の柄を握っていた手を降ろし、その者の接近を静かに待つ。
かくして。現れたのは……ボロっちい服を身に着けた、長身痩躯の若い優男だった。
タンクや戦士をするには到底向かない体格の――恐らく魔族の何れかの種族。
しかし、コンパスは彼を示しているようで、しかし僅かに振れる。
「よぉ、同業かい? 俺は今日初めて……つーか夕べ着いて夜を明かしたとこなんだけどよ。ココ長いなら一緒にパーティー組まないか? 俺、強いぜ?」
と、まずは冒険者流の軽い挨拶をしてみる。
「……ここには人は来ず、ダンジョンで最低限の物資は手に入る。そう聞いたからここに居たんだが。あんた何者だ?」
「世捨て人かよ。まぁ、自己紹介が先なのは認めるよ。俺の名はルイス・カールトン。一応冒険者だが、ギルドじゃ『勇者』で通っているよ」
「……ほぅ、“勇者”、ねぇ?」
「疑うか? ほれ、勇者とは書かれてないが、俺の冒険者タグだ」
「済まないが、見ても良く分からないのだが?」
「へー……。うん、実は俺、とある任務を承っていてね? 人探ししてるんだ」
「……何故それを俺に言うんです?」
「いやぁ、ね。探し人は一応女って聞いてるんだけどさ。この近辺に居るって情報があってね? ……何か知らないかなーって」
「女、ねぇ。見ての通り俺一人、そもそも人が来ないと聞いたから来たと言ったはずだ。この近くの街のある島ならともかく、この島ではアンタ以外居ないと思うが?」
「ふーん、隠してるんじゃなきゃ、じゃああんたが俺の探し人って事で良いのかな? 女じゃなくて男ってあたりは事故か? 俺の知ったこっちゃないが」
「……それで。どうするつもりだ」
「あぁ、悪いが俺のトコの偉いさんがあんたを欲しがってるんだわ。大人しくついてきてくれれば乱暴な事はしねぇよ」
「断る、と言ったら?」
「申し訳ないけど力尽くって事になるかな?」
「……やはりロクなモンじゃないか。ならば覚悟せよ。お前には聞きたい事が山程ある。俺に負けたら存分に吐いて貰うとしよう」
「うへぇ……。面倒臭ぇ……」
こうして、二人の男の戦いの火蓋は切って落とされた。
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