115 / 162
第十一章
作戦会議 その1
しおりを挟む
「おー、あれかな?」
海面に少しだけ顔を出し、景色を伺う。
潜望鏡を使っても良かったんだけど、それだと一人ずつしか見れないからな……。
「間違いないな」
そう、ようやく目的地に到着するところなのである。
つまり――お仕事開始。
「まずは情報収集だな。早速これからの動きを指示する」
アルトはテーブルに島の地図を広げた。
……うん、これ明らかに手書きだよね?
「勇者ルイス、アンタはどれだけ隠密系の依頼を成功させた事がある?」
「……無い。いや、新人の頃に入れてもらった先輩パーティーでは何度かその手の依頼を受けたことがあるが、情報収集は斥候役の仕事で、俺は最後に戦力要員として活躍するのが定番だったし。一人前になってからはその手の依頼は不得手で受けた事はない」
その答えにチベットスナギツネみたいな表情になりかけたのを何とか顔面の表情筋の動きを抑えて無表情のまま、小さく息を吐き出した。
「ならば、俺が一度一人で潜入し、情報を集めて来よう。……すまんが後でクルーザーで島の裏へ付けてくれるか?」
「分かった」
「俺が戻るまではしばらく船の中で待機。情報次第で次の行動を決める」
うわー、アルト無しでこの女と一緒の船……。
同じ屋根の下、と言うには広すぎる船の中とはいえ……。
面倒な予感しかしないが、これは仕事なのだ。我儘ばかりも言っていられない。
「了解。なら日が沈んだら船を出すのでいいんだよな?」
「ああ。……近々お前にも少しこの手の事も仕込まないとな」
うげっ、さらなるスパルタの気配がする!
……けどまだ昼前だしな。まだまだ時間はある。甘いものでも食べて未来の憂いは一旦忘れよう、そうしよう。
少しばかり現実逃避しかけた思考。
それを引き戻すセリフが鼓膜に突き刺さったのはその瞬間だった。
「あの、本当に邪魔するんですか?」
おずおずと上目遣いに尋ねてくる女。
「説得に応じて取りやめる輩なら良いんだがな。話を聞かない輩なら力尽くもやむなしだな」
「けど、何か困ってるから召喚に頼るのでは……?」
「何か本当に必要な支援があるなら女帝に報告して我が国で支援してやらん事もない、が……十分豊かで困った事なんか無い国に俺には見えるが、お前の目には違って見えるのか?」
「……よその国が成功させたら、上司は怒りそうですが、神の導きがそれを促したなら、それを邪魔するのは――」
「説明したはずだがな。神はこれ以上の召喚を望まない、むしろそれを望んだことは一度も無いと」
……ああ。これだから、顔が良いだけで頭の悪い女って嫌なんだよね。
海面に少しだけ顔を出し、景色を伺う。
潜望鏡を使っても良かったんだけど、それだと一人ずつしか見れないからな……。
「間違いないな」
そう、ようやく目的地に到着するところなのである。
つまり――お仕事開始。
「まずは情報収集だな。早速これからの動きを指示する」
アルトはテーブルに島の地図を広げた。
……うん、これ明らかに手書きだよね?
「勇者ルイス、アンタはどれだけ隠密系の依頼を成功させた事がある?」
「……無い。いや、新人の頃に入れてもらった先輩パーティーでは何度かその手の依頼を受けたことがあるが、情報収集は斥候役の仕事で、俺は最後に戦力要員として活躍するのが定番だったし。一人前になってからはその手の依頼は不得手で受けた事はない」
その答えにチベットスナギツネみたいな表情になりかけたのを何とか顔面の表情筋の動きを抑えて無表情のまま、小さく息を吐き出した。
「ならば、俺が一度一人で潜入し、情報を集めて来よう。……すまんが後でクルーザーで島の裏へ付けてくれるか?」
「分かった」
「俺が戻るまではしばらく船の中で待機。情報次第で次の行動を決める」
うわー、アルト無しでこの女と一緒の船……。
同じ屋根の下、と言うには広すぎる船の中とはいえ……。
面倒な予感しかしないが、これは仕事なのだ。我儘ばかりも言っていられない。
「了解。なら日が沈んだら船を出すのでいいんだよな?」
「ああ。……近々お前にも少しこの手の事も仕込まないとな」
うげっ、さらなるスパルタの気配がする!
……けどまだ昼前だしな。まだまだ時間はある。甘いものでも食べて未来の憂いは一旦忘れよう、そうしよう。
少しばかり現実逃避しかけた思考。
それを引き戻すセリフが鼓膜に突き刺さったのはその瞬間だった。
「あの、本当に邪魔するんですか?」
おずおずと上目遣いに尋ねてくる女。
「説得に応じて取りやめる輩なら良いんだがな。話を聞かない輩なら力尽くもやむなしだな」
「けど、何か困ってるから召喚に頼るのでは……?」
「何か本当に必要な支援があるなら女帝に報告して我が国で支援してやらん事もない、が……十分豊かで困った事なんか無い国に俺には見えるが、お前の目には違って見えるのか?」
「……よその国が成功させたら、上司は怒りそうですが、神の導きがそれを促したなら、それを邪魔するのは――」
「説明したはずだがな。神はこれ以上の召喚を望まない、むしろそれを望んだことは一度も無いと」
……ああ。これだから、顔が良いだけで頭の悪い女って嫌なんだよね。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる