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第二章 ダンジョン生活

新たな魔物ちゃんカモーン!

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 「モ?」

 私の血と引き換えに新しく生まれた魔物は。

 「――ノーム。土属性の妖精だな」
 妖精、か。ノームってゲームとかじゃ精霊としてメジャーな名前だった気がするけど、

 ずんぐりむっくりな茶色いモグラさんの背に、背びれのような丸っこい小さな透明の羽が一対生えている。

 「だが、変異種だ。ガルディアダンジョンの固有種だな」
 「え、どの辺りが違うの」

 「ノームとは、本来もっと醜い小人の姿をしている。こんな愛らしいモグラ姿じゃない」

 セイランの毛はカシミアのように肌触りもよく温かいけど、ノームの毛はタオル地のような少しひんやりとした触り心地だった。

 まぁ、先の教訓もある。まずは名前を付けちゃおう。
 「ラムくんで」
 ……名前的にうっかり雷柄の水着(?)をつけた某漫画ヒロインが浮かびそうになるのが難点だけど。
 男の子だしモグラさんだし、良いよね?

 「んじゃ、もう一周、素材ゲットしに行って来るか!」

 「もっ!」
 ……うん。ラムくんの戦闘能力を甘く見てました。

 だって、このダンジョンは洞窟ダンジョン。
 周囲は地属性の物ばかり。

 落石、落とし穴、岩弾丸ロックバレット……。
 セイランの出番がありませんでした。
 ラムくん無双です。
 私? セイランに出番がないのに私に出番なんかある訳ないじゃん。

 ただひたすらドロップアイテムの回収の為スキルを発動してましたよ?

 「――ただいま」
 「……何か荒んでないか?」

 「いや、なかなか戦闘能力が上がらなくて」
 「そりゃテイマーはテイムした魔物で戦うジョブだろ。魔物の攻撃一撃でやられる様な紙防御ってんならヤバいが、攻撃力は要らんだろ」
 「あれ、まともなアドバイスも出来るんだ?」

 「いや、この程度は常識だぞ? 身の回りの事が一通り自分で出来るようになった年頃の子供なら誰でも知ってるレベルの」
 「……そう」

 とにかく!
 まずはこのインゴットを何とかせねば!

 「……と言う訳なんだけど。何とか出来る? ラム」

 「むぅ!」

 任せろ!
 とばかりにインゴットを手にすると。

 「ももももも~!」

 何と言う事でしょう! 金属の塊が、キッチンの天板に――勿論シンク付き――に変形していくではありませんか!
 金属だけじゃありません。
 木板も、見る間に組み合わされ、収納付きのステキキッチンへと形を変え。
 それらを組み合わせて出来たのが――……

 「おおー、包丁に鍋まで! ラムくん、すごーい!!」
 思いっきり撫でて褒めてやりました。

 ……さて。あとはかまどだな。どうするかな。

 「……ラムくん、こんなの作れる?」

 材料は……、材料の材料になるか分からない岩は沢山あるけど……大丈夫かな?

 かまど作りの第一歩。……これでだめならダンジョンの出入り口からちょっと土を失敬してこなくちゃかな……。
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