ダンジョン・ホテルへようこそ！ ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します！

第五章 進むリゾート計画

警備隊

　「点呼！　用意！」

　「アイ！　イチー！　ニー！　サン！」

　丈夫な槍を持った、筋骨隆々のオーガ。
　強面な彼らが一様に同じデザインの衣服を身に着け、“敬礼”をしながら規律正しく大きな声で点呼を終えていく。

　「……これは？」
　「警備隊の訓練です」
　「警備隊？」

　そう。テーマパーク開設の時点では、槍を持たせずキグルミを着せて仮運用していた組織。

　そしてそれは。

　リゾートの本命、ビーチの開設を虎視眈々と狙っているが故。

　「ビーチと言えば海！　海と言えば水着！　……そこには必ずハシャギ過ぎて良からぬ企みをする男クズ共が発生します。それらを捕獲し、然るべき処置を行いダンジョンから放逐する、その為に組織した魔物達です」

　「……そうか」

　さらに将来的にはスキー場での万が一の事故対応やそもそも事故が起きない為のパトロール隊にも彼らを導入する予定でいるのだが、まずはビーチが先だ。

　だってやっぱり“リゾート”って聞いて一番に思い浮かべるのはハワイやグアム、沖縄なんかの南の海だと思うもん。

　まずは階層としては他の層より物凄く楽に作れた。

　海の層と言うのはダンジョン的には珍しくもなんともないそう。

　……とはいえそれは魔物でいっぱいの海と、サスペンスドラマ並みに高い波の飛沫が似合いそうな断崖絶壁や、裸足でなんか歩いたら確実に足が血塗れになる岩場とか。
　綺麗な砂浜に見えても、モンスターが埋まっていたりする、間違ってもリゾート地には向かない海だけど。

　勿論私が作るのはモンスター皆無の海と砂浜。

　海水浴場と、潮干狩り専用の浜と、マリンスポーツ専用の海、ついでに海釣りを楽しめるゾーンも作った。

　そして、潮干狩り＆釣り客がその日の獲物で楽しめる海鮮焼きの店の料理人役を今育成中だ。
　……念の為、ボウズの客用の食材の育成係も。

　勿論更衣室とトイレ、シャワー室を完備し、軽食も提供する〈海の家〉も忘れてはいけない。

　焼きそばにかき氷……あと何をメニューに盛り込むかな。

　ついでに浮き輪やビーチボールの開発も忘れない。

　そして、水着の販売も。

　「……これ、選ぶ奴居るのかよ」

　ヴォルティスが男性用のビキニパンツを摘んで嫌そうな顔をしていた。

　「うーん、ネタってのもあるけどねぇ……」

　そういうのがお好きなおねぇ様ってのも居ると思うわけよ。……勿論イケメン限定で。

　流石にお尻丸見えのＯ型パンツは却下しといたよ。
　紐パンは……、ねぇ、ギリギリまで悩んで。

　貸し切りビーチに限りオーケーとした。

　さぁ、開放日も近づいて来たし。

　「気合入れてくよ！」
　「アイアイサー！」