唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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念願の旅路で

世界の国々

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    「それでお嬢様、まずはどこへ参りますか?」
    地図とにらめっこしている私にレイフレッドが問いかける。
    ――改めて復習おさらいしよう。
    この世界には三つの大陸がある。
    中央はこの世界のまさに中心。
    教会の総本山があり、この世界の国連件世界の警察役を担うエルシー大陸のエルシー神国。宗教国家で、その教えに従い、人間も魔族も獣人もその能力以上の差異なく暮らす国だと言う。
    そしてダムフール大陸とリクスミー大陸。
    ――ダムフール大陸の地図は見たことがあるから、各国の名は知っているし、その名からおおよその政治体制は想像がつくけれど、あまり多くの情報はない。
    一方リクスミー大陸こそが私達の住む大陸だ。
    ご存知、人間の帝国ヒューリア、魔族の帝国シュミエル、獣人の帝国マルクニアの三国が、傘下の各国を纏め上げている。
    その内、私の故郷はヒューリア帝国傘下のシレイド王国のラッセル子爵領の町。
    隣国アディエンスのジルコフ伯爵領にあるのがルクスドの町。
    魔帝国シュミエル傘下にある吸血鬼王が治めるはドルトムント王国。
    ちなみに私達の馬車は今、魔帝国シュミエル直轄領、シエル・カイエン・シュミエル皇子が領主を務める国境の町に居る。
    ――フロスを従魔にしたあの町だ。
    以前ドルトムント王国への旅路では素通りしてしまった国や町もあるけど、全くの新天地も勿論沢山ある。
    でも、特に気になる国がある。
    主に鬼族が住まう国、テンガ首長国。
    一言に鬼、と言っても色々種族が居て、各種族ごと部族長が纏めあげ、族長らで議会を設け政治を行う国。
    そしてその国の文化は、かつて読んだ書物によれば古都平安時代の京都のような雅な文化と、源平の様な武士の文化が見事に融合した個性的な国なんだそうで。
    「観光がてら見に行ってみたい!」
    「では、決まりですね」
    当然その国に辿り着くまでには途中幾つかの国を通過する必要がある。
    「ここからですと、妖精の国――シルフィア王国と亜人の国ライアン民国を通って行くルートになります」
    それでテンガにお邪魔した後、エルフの森を通って獣帝国マルクニアへ抜ける。
    無論都度都度空間経由で各地の用事をこなしながらの旅だ。
    「……けど、馬車にフロスだけ留守番に置いて野宿知らずの旅を旅と称したら、絶対起こられますよ……。例えばユリス様とか」
    「う……。けど、そろそろフロスとリルフィ以外の従魔が欲しいわね。いつもフロスにばかり馬車の見張りを頼んでしまうから……」
    「馬車の見張りに向きそうな従魔……ですか。戦闘無しに見張りだけなら私のスキルで使い魔を作れば良いだけなんですがね」
    「ただ寝ずの番をすればいいだけなら、スライムで事足りるの。でも、それだと見てるだけだから魔物や悪い人間に対抗出来ない、役立たず。フロス、魔物も人間もやっつける。役に立つ!」
    「私が常駐すればお前より役立てるぞ」
    「それすると、昼間役立たずになる、フロス知ってる」
    「……ぐっ、」
    「はいはい、誰でも良い訳じゃないからね。途中でこれはと思った子が居ればテイムするし、居なければしないわよ」
    相変わらずの二人の鞘当てを聞き流し、私はリルフィの手綱を握るのだった。
    
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