唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

パーティーが始まります。

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    私はこの世界に生まれる前の記憶がある。
    そしてそこで、この世界にとてもよく似た世界を舞台にした物語があった。
    それはいわゆる恋物語。
    一人の女主人公ヒロインと、彼女の相手役となる男性キャラが数人存在する。
    プレイヤーは、その主人公に自分を投影して物語を楽しむのだ。
    「そうね、例えるなら決闘で代理人に試合を任せるみたいに、物語の主人公――お芝居の主演女優に自分を託しつつ、遠隔で全て自分の思う通りに操れる存在を動かして、その物語の世界を楽しむの」
    例えば好みのキャラクターと会話を交わしたり等交流を繰り返し、目当てのキャラクターとの疑似恋愛を楽しむのだ。
   「その物語に出てきたライバルキャラクターの一人がアンリ=カーライルで、そのヒロインとやらがアレを気に入ると邪魔に入ると?」
    「……ゲームでは、そうだったわ。けど、既にこの私はゲームのアンリ=カーライルとはまるで別人状態だし、ゲームのアンリのようにいじめなどしなければ断罪される謂れはない。けどね……」
    ゲームのシナリオの強制力云々より、やつらが貴族で、現状の私が未だに平民である事は私の不利になる。
    貴族の多少の横暴や理不尽は平民が飲み込むのが当たり前な国で、子爵家の長男と元は庶子でも伯爵家に迎え入れられたヒロインと、平民の小娘な私。
    その不利を覆せるだけの価値を皆に認めさせる。
    「その為に、これまで出来ることは精一杯やってきたわ」
    「……成る程、お嬢様の規格外っぷりはそのせいだったと」
    「ええ。……ごめんなさい。私が大人びてたり知識があったりしたのもだからよ。……ずるみたいなものなのに、黙っていてごめんなさい」
    「いえ、簡単に明かせる内容で無いことくらい分かります。……いえ、理由が分かってちょっとほっとしてしまったのもありますけど……でも、こうして話して下さったと言うことは、私をそれだけ信頼していただけたということでしょう?」
    ……多少の非難は甘んじて受けるつもりが、レイフレッドは嬉しそうに、私をエスコートしながら会場入りした。
    「お嬢様は、そのゲームであの男を好きでしたか?」
    「いいえ。ゲームでも面倒臭い奴だったから無視してたけど……。でも、現実のあいつに比べたらあんなの可愛いものだったわ」
    遠目にあの男といちゃつくヒロインちゃんを見つけてため息が漏れる。
    「……馬鹿ですね。お嬢様の素晴らしさも分からないなど……私にとっては最高に好都合ですが」
    やがて。
    本日の主賓、王太子と第二王子が入場し、パーティーが始まる。
    「それではお嬢様、踊りましょうか」
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