唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

領地経営研究部

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    私がそれを提出したのは。
    現時点では私には全く以て不要であると思われる技能を磨くための部である。
    だから。
    私の入部届けを見た部長――上級学校領主候補生コース三年、ブラウン・フォン・スミス先輩が私を不愉快そうに睨み付けて来るのは……まあ当然だろう。
    そのクラブの部室のプレートに記された名は――「領地経営研究部」。
    文字通り領地経営について研究する部なので、この部に所属しているのは大半が後継ぎの長男。たまに下克上を狙う次男以下の男子も居る。そして極々希に、城で役職に付く、或いはその予定の男性との婚約が決まり、将来は家令と共に家と領地を守る必要のあるご令嬢が所属する場合もあるらしいけど、しつこいようだけど私の今の身分は平民の商家の娘。
    この部は決してお遊びの部ではなく、かなり真剣に活動している部なのだから、平民の小娘が何の用だと言わんばかりの表情も無理はない。
    だけど、私には間違いなくこの部で得られる知識と経験が必要なのだ。
    しかも攻略候補で領主になるのはビル――私の婚約者だけなのだが、彼がゲーム通りに動くなら、女の子と触れ合う機会の多い楽奏部あたりを選ぶはず。
    ちなみに楽奏部というのは吹奏楽の進化系みたいな部で、金管楽器や木管楽器だけの吹奏楽ばかりでなく、バイオリン等のオーケストラ楽器も含めた演奏技術を高めつつ、観賞も楽しめる部だ。
    貴族は大抵教養として何かしら楽器演奏は学ばされてるからね。奴でも最低限の演奏はできるのだろう。……いや、少なくともゲームの中のビルは確かにその演奏で女の子を喜ばせていたから――出来ると、信じたい。
    そしてこの部は上級学校と共同で運営されている。
    だから――
   「済みません、私の入部届けも受け取って下さいませんか?」
    レイフレッドと同じ部で活動出来る。
    「部長、私は確かに今現在は平民であり商家の娘でございます。……しかし、婚約者が貴族でありその家のご長男となれば、無知は恥となります。……どうか私にも学ぶ機会をいただけないでしょうか」
    丁寧に、カーテシーをしてみせながら懇願する。
   「……今月中は仮入部扱いとなる。その間、貴重な機会を不意にするような不真面目な活動をしたなら即座にこの届けは破り捨てるぞ」
    「はい」
    「――いいだろう。……アッシュ」
    部長が中へ呼び掛ける。
    「彼はアッシュ・フォン・シレーネ。初等部三年Sクラス、我が部の副部長だ」
     「……よろしく」
    部長と副部長が私達の入部届けにそれぞれサインを済ませると、どこからか分厚い冊子を持ってきた。
    「これを。まずは明日までに読み込み、明日の放課後にまた来てくれ。他の部員への紹介はその時にする」
    授業で使うどの教科書より分厚く重たい本。
    「これは……今夜は徹夜になりそうですね」
    「そうね。でも適当にして行って明日いきなり退部宣告受けるなんて嫌だもの。頑張りましょう」
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