唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

文字の大きさ
176 / 370
目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

異変の原因

しおりを挟む
    「ここが夜営研修用のコテージですか」
    「……私じゃ人の事言えない気はするけど、夜営と言いつつコテージ付き……かぁ」
    「まあ、普段は使用人付きの生活が当たり前の貴族からすれば、使用人なしに自炊での一泊でも大事でしょうから」
    ここまで、少し開けた場所に出る度に大型の魔物と戦ってきたけど、今のところそれ以上の異常は見つからなかったんだけど。
    ここまで来て初めてその異変の片鱗を明確に感じ取った。
   「ああ、これは……何か居るわね確実に」
   「ええ。やはり普段はもっと奥に棲むはずの魔物達は皆あれから逃げてきた。……理由としてはとても単純明快なものでしたね」
   けど……。
   「厄介ね」
   「ええ。こういう事態は当然想定していましたが、ちょっと予想を越えて敵が強い。……倒す事は容易でも、彼らを連れて完璧に守りながらとなると難易度が跳ね上がります」
     「一番楽なのはここに結界張って彼らに待機して貰ってる内に片付けてくる、ってのなんだけど……」
     「説得、大変そうですね」
     「でなければ……頑丈に作った馬車にメンバーを乗せていくか。一纏まりになって動かずいてくれるなら、あるいは……」
     「一応、提案してみますか」
    ……結果。多少不満は出たけど、ここまでの戦闘である程度自分の実力の程を体感できたからだろうか、思ったほど説得は面倒ではなく、装甲馬車の中で見学という事でご納得いただけた。
    「こんなこともあろうかと……思って作った訳じゃないけど、これ、使うときが来るとはね……」
    それは商会の商品とは別に私が冗談半分で作った代物で、空間の肥やしになりつつあった物。……日の目を見る機会があった事は嬉しいけどこの状況……素直に喜べないわね……。
     まあいい。とにかくメンバーを馬車に詰め込んで、早速気配の元へと急ぐ。
    ……車を引かせるためにグリフィン召還してもう一騒動あったりもしたけど、まあ無事(?)に目的地に到着した。
    そこは、幾つも連なる山脈の一番手前の低い山の山頂にあるコテージから少し先に下った谷間の近く。
    「――居たわ」
     ちょっとした沢の、一つ張り出した岩の上。せっせと草木を運んで作ったらしい巣の中、丸まって寝ているらしい魔物の姿。その身を包むのは――羽毛、だ。
     「大鴉の魔物……だけどオークやオーガを補食出来るとなるとユニーク個体ね」
     「空中戦ですか」
     「これはリルフィに頑張って貰わないとね!」
     馬車からリルフィを外してやると、やる気に満ち満ちた顔で敵を睨み据えた。
     「――頼むぞ」
     リルフィに乗るのは遠距離担当の私でなく前衛役のレイフレッドだ。
     「ぎゅい!」
     リルフィは自分だけで充分だと不満そうだけど。
     「リルフィ、今日は初心者の見学者が居るの。これからパーティーで力を合わせて戦う事の意味と重要性を学ばなきゃいけない人達の前で私達が個人プレイで独走する様を見せる訳にはいかないのよ」
     「だから、リルフィ。背に乗るのがお前の主人じゃなくて済まないけど、彼女のためにも頼むよ」
     ――さあ、狩りの始まりだ!
しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

処理中です...