唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

夏休み!

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    ふ、ふふふふふ。
    髪型、よし!
    メイク、よし!
    服のコーディネート、よし!
    忘れ物、ナシ!
    オールオッケー、いざ出陣!
    「レイフレッド、お待たせ!」
    敢えて和風なテンガ首長国の民族衣装――なんちゃって浴衣みたいなの――を着て、懐かしの日本で夏祭りのお約束とも言える格好をしてみた。
    ウチの商会が積極的に買い付けては各国支店にて販促アピールしたことで、じわじわと着物ブームが到来しつつある。
    ……女の子の浴衣姿も可愛いんだけどさ。女の私からしたら男の子の浴衣姿も結構色っぽいからね。こう、絶妙なチラリズム加減がたまらんのですよ。
    ――勿論若い――ある一定以上の容姿の者に限るけど。……間違っても温泉旅行で見かけるメタボ腹なオッサン達には色気なんぞ感じる訳がない。
    けど、吸血鬼ならではの色白な肌色と綺麗な鎖骨のラインが見える締まった胸板とか……骨っぽい腕から手にかけてのしなやかな筋肉とか、見え隠れする足のくるぶしとか、ね?
    ほぼ黒に近い藍染に白の細い縦ラインが、フリーハンドで描いた線の様なラフさ加減で等間隔に入る柄の浴衣が彼の身体のラインを綺麗に主張しているせいもあって、普段の見慣れた洋装とはまた違った格好良さを見せつけられる。
    うう、私だって頑張ってめかし込んだつもりだけど、この天然の美形の前じゃたかが知れてるよ……。
    その素敵なイケメンが、
   「お嬢様」
    と、エスコートの為に手を差し出してくるのだ。
    うん。日本人じゃ、この年頃どころか大人でも中々スマートにエスコートして貰えないからね。それでもイケメンに手を差し出されるこのシチュエーションには、お嬢様として生まれた今世では正にレイフレッド相手に慣れたはずだったのになぁ……。
    「まずは小腹を満たして、その後で色々見て回りましょうか」
    ……周囲の屋台からは美味しそうなソースの香ばしい匂いが漂い、じゅうじゅうと鉄板に油が跳ね食材が焼ける音が食欲をそそる。
    この乙女ゲームの世界に和食が存在するとはいえ、文化的には西洋風の強いこの世界で、この空間だけ妙に和風に寄せられている。
    ……まぁ、外国人が見よう見まねで用意したなんちゃってジャパンな感じは否めないけど。
    だからこそ私達のこの格好も周囲から浮く事はない。
    「……スポンサーにウチの商会の名前があるわね?」
    「はい。以前ちらりとお嬢様にお伺いしたお話が、衣料品部門と外食部門及び食料部門の販促に大いに利用できそうでしたし……何よりお嬢様がお望みでいらした様でしたので」
    あ……相変わらず優秀な従者だ。何、このソツの無さ!
    ていうか取り敢えず滅茶苦茶嬉しいけど恥ずかしい!
    何なの、この出来た十五才は……。
    ドキドキしてくる心のまま、レイフレッドの手に触れる。――そのままがっつり恋人繋ぎしてぴったり彼に寄り添って歩く。
    だって、人間に比べて美形が多い吸血鬼の国のはずのここでもレイフレッドは特別格好良く見えるんだもん。
    研修中はずっと我慢してたけど、今日はもう自重なんかしてられない。思う存分レイフレッドとイチャイチャしてやる!
    私はとある目的を達するため、レイフレッドを連れてまずはたこ焼きの屋台目掛けて人混みの中をかき分け突進したのだった。
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