唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜

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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

夜は大人の時間です

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    庶民向けの施設ではあるけど、ファミリー向けではなくカップルや夫婦、もしくは社員旅行御用達施設なだけあって、バイキング会場も明るくガチャガチャした雰囲気はなく、ちょっとムーディーに薄暗くした室内に、ちょっと高級感が演出された給仕役付のブュッフェ台が並ぶ。
   けど、客側にはドレスコードなんて無いから、皆風呂上がりの楽な格好でいる辺りが、マナーに煩い貴族御用達施設との差なんだろうね。
    食事用のテーブルは、部屋ごとに決められているらしく、入り口の受付で部屋番号を告げると即座にホール係が席へ案内してくれる。
    そうして見てみると、二人席、四人席、六人席……一番広いところでは十数人分の席が用意されたテーブルもあるとなると部屋ごと、というよりは団体ごとに用意されてるみたいだ。
    子供が全く居ない訳じゃないけど、少なくとも日本のファミレスみたいに放牧された子供がきゃっきゃとはしゃいで走り回る様な事はない。
    ……庶民向けの、とは言うけれど、ここまでの仕様を見れば中流以上の富裕層向けな事は察して貰えると思う。ただ、貴族向けの本物と比べると色々と荒が目立つと言うだけで、躾の悪い子供を連れてくればそれはそれは白い目で見られるだろう。
    メニューも子供が好みそうなものより大人向けの、下手すればご飯やパンに合うおかずより酒に合う肴のようなメニューが多いような。
    お陰でこちらが何もしなくとも、勝手に夜のデートっぽい雰囲気作りが既に出来上がってる状態だ。
   ……で。レイフレッドは吸血鬼で。基本、夜が似合う種族であるからして。色っぽさが強制的に三割増しくらいになっている。
    レイフレッドが取ってきた前菜の、カプレーゼや生ハムのサラダなんかをつつきながら、ブドウのジュースをいただく。
    ……ワイングラスに注がれているのがジュースと分かっているのに。
    今、レイフレッドがラフな格好をしてくれているからこのくらいで済んでいる。……もし彼が貴族らしい格好なんかしていたら。
    私、呑気に食事なんかしてる余裕は無かっただろう。間違いなく萌えに悶え死んでたよね、これ。
    お腹は空いてるはずなのに、心臓がバクバクし過ぎてて、なかなか食事が喉をすんなりと通過していってくれない。
    「お嬢様、これ美味しいですよ」
     そう言って。次に取ってきたカルパッチョをフォークで「あーん」を誘うように差し出すとか……。萌え殺す気かな?
    お酒も呑んでないのに、体が熱い。
    雰囲気だけで酔わされてる気がする。
   「ふふ、これは……楽しいですね。これなら自腹切ってでもまた来たいですね」
   「……ここじゃなくても、温泉巡りの旅とか楽しいかもね。――今度私も正統派温泉宿とか企画してみるかな」
    お帰りなさいと迎えてくれて、行ってらっしゃいとお見送りしてくれる、温泉旅館を。
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