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新領主誕生
披露宴〈平民編〉
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平民用、とは言うけれど、パーティーの規模としては変わらない。
そんな中で、家族やウチの商会の従業員、ギルドの長や私の誕生日パーティーに呼んでいた人々を招いてのパーティーを開催した。
……うん。お祖父様はわりと平気な顔でビールなんか飲んでるけど、お父様は笑顔が微妙にひきつってるなぁ……。
「やっぱりこうなりましたねぇ……」
ワインを片手に話しかけてきたのはルクスドの商業ギルドの狐目ギルマスだった。
「いつもお世話にはなっていますがね、やはり幼い頃から面倒を見てきただけあって、感慨深いですねぇ……」
と、しみじみと語る。
確かに彼には色々と世話になっているし、今も何かと便宜をはかったりしてくれている。
「確かにあんたにゃ孫が随分と世話になった様だ」
シレイドの職人ギルドのギルマスなお祖父様がその会話に加わってくる。
「そちらの職人ギルドのギルマスにも世話になった様だが……今回参加はしてねぇのか」
「ええ。なにしろウチは職人の街ですからね。彼のところはまさに年中無休、日々営業中ですよ」
「そちらは殆どのギルマスが参加しているようですねぇ?」
そう指摘されたシレイドのギルマス軍が嫌な顔でルクスドの商業ギルドのギルマスを睨んだ。……特に商業ギルドのギルマスは酷い。
「最近では随分と羽振りが良いとか。流石ですなぁ」
と、皮肉混じりに毒を吐く――が。
「それは当然ですよ。後にたっぷり収穫出来るように種まきして肥料と水をやってコツコツ育てのは私ですもん。……いえ、私だけの功績にしたらルクスドの職人ギルドを始めとする皆様に怒られますが……。私達は相応の身銭を切って皆を育てていますから」
と、にこにこしながら言い返す狐目ギルマス。そしてそれが正論なのは私が一番よく知っている。
可哀想だがそれを指摘してやれば、お祖父様以外のギルマスはしょぼんとショボくれた。
「シレイドでも職人ギルドは何かと色々やってたもんね。……そのお陰でレイフレッドに会えたんだし」
「当然だの。育てる者無くして職人は生まれんよ」
お祖父様は胸を張った。
そんな彼らの側を離れると、私達は両親と弟の所へと出向いた。
「アンリ……。何か……凄いパーティーだね?」
お父様が落ち着かない雰囲気でちびちびとグラスのお酒に口をつけていた。
「ウチで開いていたパーティーの……何倍かしらね。いつだったか、魔族の皇帝陛下の所へ呼ばれて行ったときもドキドキしたけど……」
「姉様、凄いです!」
弟にキラキラした目で誉められれば悪い気はせず。
「流石にいつも……と言うわけにはいかないけど。たまには招待するわね」
「はいっ!」
可愛い弟をなで回し――今夜も夜は更けていくのだった。
そんな中で、家族やウチの商会の従業員、ギルドの長や私の誕生日パーティーに呼んでいた人々を招いてのパーティーを開催した。
……うん。お祖父様はわりと平気な顔でビールなんか飲んでるけど、お父様は笑顔が微妙にひきつってるなぁ……。
「やっぱりこうなりましたねぇ……」
ワインを片手に話しかけてきたのはルクスドの商業ギルドの狐目ギルマスだった。
「いつもお世話にはなっていますがね、やはり幼い頃から面倒を見てきただけあって、感慨深いですねぇ……」
と、しみじみと語る。
確かに彼には色々と世話になっているし、今も何かと便宜をはかったりしてくれている。
「確かにあんたにゃ孫が随分と世話になった様だ」
シレイドの職人ギルドのギルマスなお祖父様がその会話に加わってくる。
「そちらの職人ギルドのギルマスにも世話になった様だが……今回参加はしてねぇのか」
「ええ。なにしろウチは職人の街ですからね。彼のところはまさに年中無休、日々営業中ですよ」
「そちらは殆どのギルマスが参加しているようですねぇ?」
そう指摘されたシレイドのギルマス軍が嫌な顔でルクスドの商業ギルドのギルマスを睨んだ。……特に商業ギルドのギルマスは酷い。
「最近では随分と羽振りが良いとか。流石ですなぁ」
と、皮肉混じりに毒を吐く――が。
「それは当然ですよ。後にたっぷり収穫出来るように種まきして肥料と水をやってコツコツ育てのは私ですもん。……いえ、私だけの功績にしたらルクスドの職人ギルドを始めとする皆様に怒られますが……。私達は相応の身銭を切って皆を育てていますから」
と、にこにこしながら言い返す狐目ギルマス。そしてそれが正論なのは私が一番よく知っている。
可哀想だがそれを指摘してやれば、お祖父様以外のギルマスはしょぼんとショボくれた。
「シレイドでも職人ギルドは何かと色々やってたもんね。……そのお陰でレイフレッドに会えたんだし」
「当然だの。育てる者無くして職人は生まれんよ」
お祖父様は胸を張った。
そんな彼らの側を離れると、私達は両親と弟の所へと出向いた。
「アンリ……。何か……凄いパーティーだね?」
お父様が落ち着かない雰囲気でちびちびとグラスのお酒に口をつけていた。
「ウチで開いていたパーティーの……何倍かしらね。いつだったか、魔族の皇帝陛下の所へ呼ばれて行ったときもドキドキしたけど……」
「姉様、凄いです!」
弟にキラキラした目で誉められれば悪い気はせず。
「流石にいつも……と言うわけにはいかないけど。たまには招待するわね」
「はいっ!」
可愛い弟をなで回し――今夜も夜は更けていくのだった。
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