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領主のお仕事

厄介な外遊

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    闇ギルドの一件を影に渡してしばらく。
    私達は三大帝国皇帝との会談に呼ばれた。
    ……一同に介しての会談ではなく、それぞれ個々の会談が日をずらして行われる。
    故に、二週間近くこの領地を空ける事になる。
   「……現状、あまり好ましくはないのですが――」
   「断る訳にもいかないもんね……」
    領主である私は絶対に行く必要がある。だけど従者なら他でも良いか、と領にはレイフレッドを置いていくつもりであったのだ、最初は。
    なのに、従者はレイフレッドとの注文が入った。
    勿論、闇ギルドの件を出し断ろうとしたのだけれど、大臣が煩いからと頼み込まれてしまったのだ。
   あからさまに怪しかった。
   「取り敢えず何かあったらすぐ帰れるようにしとこう」
    城には元々空間出口を繋いであるけど、念の為、極秘で町にも幾つか出口を繋いだ。
    ……まぁ気休め程度なんだけどさ。
    子供達にも気を付けるように口を酸っぱくして言い聞かせ、私達は旅立った。
    まず最初の訪問国はマルクニアだ。
    ある意味懐かしの、武骨すぎる城へと招かれた私達は、翌日の会談に備えつつ、まずは会食に臨む。
    晩餐には、マルクニアらしく肉々しい料理と草々しい料理とが並んだ。
    レイフレッドは勿論、肉料理を好んで食べる。私は――バランスよく半々位に食べながら近況など当たり障りの無い話をして食事を終えた。
    ここまでで特別変わった事由は無い。特に怪しい人物も居なかった。
   「――もしもし、そっちは何か変わったことはあったかしら?」
     電話で子供達やシリカに連絡を取るけど、今のところは何事もなく平和に過ごしているようだ。
    「このまま、本当に何事もなく過ぎれば良いのだけど――」
    不安なまま、翌日には会談に臨んでいた。
    主な議題は貿易と移民についてだ。
    始めこそ孤児達とウチの従業員が大半だったけれど、次第にウチの領地と取引する商会が支店を置いてその従業員を住まわせ始め、やがてウチのやり方が気に入ったと腰を下ろす者も増えてきた。
    ……特に厳しい領地に住んでいた者がよくウチに流れ込んでくる。
    そうなると――それが面白くない者も出てくるわけで。
    「国境を越える際に、通行税的な何かを課すというのはいかがでしょう?」
    そんな事を言う大臣がいたりする訳だ。
   「我が領地はご存知の通り、私達が開拓する以前は森以外何も無い場所でした。私が力業で開拓し、今でこそ町並みも整いましたが、まだ領地をいただいて十数年。食糧自給率だけは頑張って100%を維持しておりますが、まだ様々な物を各国からの輸入に頼っております」
    その主軸を担うのが疾風の牙なんだけども。
    通行税なんか取られたら、我が商会的にも大打撃なんだから、ここは頷くわけにはいかない。
    ――徹底抗戦だ。
    眼光鋭く睨んでやったら、あのアライグマめびびってやんの。
    可愛い顔して実は狂暴な奴の代表格め、論破してやるから掛かって来いやぁ!
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