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四,明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな
Ⅱ,聖夜のプロポーズ
年末と言うのは何故こんなにも忙しなく過ぎていくのだろうか……。
つい先日カレンダーをめくったばかりだと思ったのに、気付けばもうクリスマス目前。
今年のクリスマスはイヴが木曜日、二十五日が金曜日なので、街の飲食店も今年はイヴより二十五日の方が忙しくなりそうだ。
ペルシュでも去年に引き続き、クリスマスパーティーを開催する事が決定していた。
そしてむかえた二十五日当日。
ペルシュに集ったのは幸そんと春海ちゃん母子、雅隆さんと亮仁君父子、嘉谷様。
ちなみに三太君はマツコさんと地域猫達と嘉谷様宅のテラスにて猫集会と称した家呑みを楽しむそうだ。
神野さんは年末年始に向けて、神使として神界に呼び付けられていづみ荘を留守にしており、当然その主たるサラスヴァティ様も忙しくしているらしい。
一方、明日から始まる冬休みに嬉しそうな春海ちゃんと亮仁君を暖かく見守る嘉谷様。
そんな三人を挟む様にカウンター席に着く幸と雅隆。
「ウチはこの通り天狗の俺が経営する店なんでね。
とくにあちらの神様をリスペクトする気も無いんだが、街中こうもクリスマスムードだと、やっぱりそれっぽいメニューを作りたくなるんだよなぁ」
言いながら、春暁が今日の前菜を厨房から運び、舞がそれぞれに給仕する。
葉物野菜の上に海老とアボカド、モッツァレラチーズ、トマトとをバジルの葉とオリーブオイル、黒胡椒を混ぜた特製マヨネーズで和えた海老マヨカクテルサラダだ。
「俺は吸血鬼だからな、あの神はリスペクトどころか天敵なんだが。
ハロウィンにしろクリスマスにしろイースターにしろ、あっちじゃ宗教色の強い行事も日本じゃ見事に商業ベースのイベントに落とし込まれているもんな。
その辺の若い奴らなんか、絶対本来の由来だの何だの知らずに楽しんでるだろう」
カウンターに並べたワイングラスに氷を積みながらルシアンが肩を竦める。
「……流石にクリスマスがイエス・キリストの誕生日って位は私も知ってるけどね?」
まぁ、日本のクリスマスに宗教色など皆無なのはその通りなのだが。
ルシアンはワイングラスにメジャーカップを介してジンを注ぎ、その上からスパークリングワインを注いでいく。
そのグラスにバースプーンを突っ込み、炭酸が抜けない程度に軽くステアして――
「お待たせしました、クイーンズベックです。カクテル言葉は【決心】」
ルシアンの台詞に、雅隆の眉がピクリと動いた気がしたのは気のせいだろうか……?
並べたグラスの内三脚を幸、嘉谷様、雅隆へと押しやる。
次いで同じワイングラスに白ぶどうジュースとレモン果汁、炭酸水を注いでこちらも軽くステアして春海と亮仁へと提供する。
シュワシュワと炭酸の泡が立ち上るグラスを手に、ルシアン、春暁、舞、茅もクイーンズベックが注がれたグラスを軽く掲げた。
「そいじゃ、メリークリスマス!」
代表して春暁が音頭を取り、各々グラスに口を付ける。
舞もグラスを傾け口を付ける。
炭酸の刺激の後に残る味は辛口だ。
一方ぶどうジュースを美味しそうに飲みながらサラダを突く亮仁君は春海ちゃんと学校の話で盛り上がっている。
真澄のせいですっかり萎縮しきっていた頃が嘘の様で、それを見守る雅隆は微かに目を潤ませながら、迫り来る感情を誤魔化す様に海老を口に入れ執拗に咀嚼しながら、彼は鞄から一枚の紙を取り出し、カウンターに置いた。
つい先日カレンダーをめくったばかりだと思ったのに、気付けばもうクリスマス目前。
今年のクリスマスはイヴが木曜日、二十五日が金曜日なので、街の飲食店も今年はイヴより二十五日の方が忙しくなりそうだ。
ペルシュでも去年に引き続き、クリスマスパーティーを開催する事が決定していた。
そしてむかえた二十五日当日。
ペルシュに集ったのは幸そんと春海ちゃん母子、雅隆さんと亮仁君父子、嘉谷様。
ちなみに三太君はマツコさんと地域猫達と嘉谷様宅のテラスにて猫集会と称した家呑みを楽しむそうだ。
神野さんは年末年始に向けて、神使として神界に呼び付けられていづみ荘を留守にしており、当然その主たるサラスヴァティ様も忙しくしているらしい。
一方、明日から始まる冬休みに嬉しそうな春海ちゃんと亮仁君を暖かく見守る嘉谷様。
そんな三人を挟む様にカウンター席に着く幸と雅隆。
「ウチはこの通り天狗の俺が経営する店なんでね。
とくにあちらの神様をリスペクトする気も無いんだが、街中こうもクリスマスムードだと、やっぱりそれっぽいメニューを作りたくなるんだよなぁ」
言いながら、春暁が今日の前菜を厨房から運び、舞がそれぞれに給仕する。
葉物野菜の上に海老とアボカド、モッツァレラチーズ、トマトとをバジルの葉とオリーブオイル、黒胡椒を混ぜた特製マヨネーズで和えた海老マヨカクテルサラダだ。
「俺は吸血鬼だからな、あの神はリスペクトどころか天敵なんだが。
ハロウィンにしろクリスマスにしろイースターにしろ、あっちじゃ宗教色の強い行事も日本じゃ見事に商業ベースのイベントに落とし込まれているもんな。
その辺の若い奴らなんか、絶対本来の由来だの何だの知らずに楽しんでるだろう」
カウンターに並べたワイングラスに氷を積みながらルシアンが肩を竦める。
「……流石にクリスマスがイエス・キリストの誕生日って位は私も知ってるけどね?」
まぁ、日本のクリスマスに宗教色など皆無なのはその通りなのだが。
ルシアンはワイングラスにメジャーカップを介してジンを注ぎ、その上からスパークリングワインを注いでいく。
そのグラスにバースプーンを突っ込み、炭酸が抜けない程度に軽くステアして――
「お待たせしました、クイーンズベックです。カクテル言葉は【決心】」
ルシアンの台詞に、雅隆の眉がピクリと動いた気がしたのは気のせいだろうか……?
並べたグラスの内三脚を幸、嘉谷様、雅隆へと押しやる。
次いで同じワイングラスに白ぶどうジュースとレモン果汁、炭酸水を注いでこちらも軽くステアして春海と亮仁へと提供する。
シュワシュワと炭酸の泡が立ち上るグラスを手に、ルシアン、春暁、舞、茅もクイーンズベックが注がれたグラスを軽く掲げた。
「そいじゃ、メリークリスマス!」
代表して春暁が音頭を取り、各々グラスに口を付ける。
舞もグラスを傾け口を付ける。
炭酸の刺激の後に残る味は辛口だ。
一方ぶどうジュースを美味しそうに飲みながらサラダを突く亮仁君は春海ちゃんと学校の話で盛り上がっている。
真澄のせいですっかり萎縮しきっていた頃が嘘の様で、それを見守る雅隆は微かに目を潤ませながら、迫り来る感情を誤魔化す様に海老を口に入れ執拗に咀嚼しながら、彼は鞄から一枚の紙を取り出し、カウンターに置いた。
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