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第六章 闇の国の王妃教育

陛下とお仕事

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 「あれ?」

 今週のスケジュールをロナルドに尋ねたところ、これまでに比べて随分とスカスカになっていた。

 「え、授業は午前中だけ? 午後は陛下とお仕事?」

 しかも週に一日だけだった休日が二日になってる。

 「お休みですが、連休にしてとるか、別々に取るかどちらになさいますか?」
 「連休でお願いします」
 「ではその様に予定を組ませていただきます」

 朝食後、三コマの授業を終え――これも何だか一気に楽になった――お昼ご飯を城の食堂で陛下と一緒に食べた。
 今日のご飯は普通に城の料理長作である。グラタンうまうま。

 そして、昼食後。

 私は初めて陛下の執務室に足を踏み入れた。

 そこは私の執務室に比べ広く、その分本棚が多かったが、それ以外は大差なく、とてもシンプルな部屋だった。

 ただ。
 執務机に築かれた書類の山はなかなかに壮観だった。

 そして、その陛下の机の両脇に、少し小さめの執務机が一つずつ。
 片方には既に宰相様が着席し、黙々と書類と向き合っていた。

 「エルシエルはそちらの机を使うと良い」
 「ありがとうございます」

 席につくと、宰相様がやってきて、書類の山を一つ机に置いた。

 その山から一枚抜いて、書類の処理の仕方を教えてくれる。
 ふんふん、まぁ特に難しい事はない。
 多分難しい書類は陛下と宰相様の机の山に入っているんだろう。

 私は初心者だし、初めから無理するのは良くないよね?

 早速仕事を進めていく。

 あ、これこないだ習ったところだ。
 おお、こっちも。

 なる程、大変だったけどあれは確かに必要な事だったんだな……。

 因みに処理済の書類が小山になると、宰相様の部下だと紹介されたロドリゴさんが持っていってくれる。
 ……そして処理前の書類が残り半分を切ると新しい書類の山を一つ増やしてくれる。

 ……むむむむむ。

 お代わりを用意されるせいで一向に減らない書類の山と格闘していると、
 「そろそろお茶の時間ですね。少し休憩しましょうか」
 宰相様が侍従にお茶の支度を命じた。

 「ああ……やっと休憩か」
 陛下が机に突っ伏した。

 お茶と一口サイズのチーズケーキが用意される。

 「珍しいな、茶菓子が出て来るとは」
 「エルシエル様へのご褒美ですよ。随分頑張って下さいましたから」
 「うん……? もしや……あの書類の山は」
 「ええ、エルシエル様が処理して下さった書類ですよ」

 微笑んだ宰相様の笑みを見た陛下が、何故か顔を引つらせた。

 甘味に夢中でその場面を見逃したエルシエルは、甘酸っぱいレアチーズケーキに舌鼓を打った。

 「美味しいです!」
 「それは良かった」

 宰相様は変わらず笑顔を浮かべていたけど。
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