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夏の日
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『論文的な本はキライ』
キミは言ったよね
『だってそういう本って、大抵"だからなに?"で終わっちゃうんだもん』
僕は頷いたね
『でも、ファンタジーとか、完全オリジナルとかは好き』
キミは満面の笑みでそう言うんだ
『そういうのって、話に入り込めるから』
手元に視線を落としてキミは
『わたしも……一緒に笑って、泣いて、怒って……楽しかったって』
少し寂しげに
『最後にはそう"想える"から』
そう話すんだ。
キミのその顔を見ても僕はなにも言えないんだ
言葉が口から出てこないんだ
夏の日だった。
蝉が
文字通り一生懸命に鳴く日
一見延々と続くうるさい蝉の鳴き声は
多数の蝉の寿命が波のように重なっている訳であって
夏の一生を終えた蝉は儚く落ちてゆく
そう、夏の日
ある日突然
キミが死んだ
受け入れられなかった
信じたくなかった
嘘だと言って欲しかった
病室でキミを励ますことが出来なかった
キミに声をかけられなかった
それがとてつもなく悔しい
声が出せない自分が、心底憎かった
だから僕は書くんだ
いつかキミに見せて、
『楽しかったよ』
って言って貰えるように
キミと僕の物語は『楽しかった』んだって
そう"想って"貰えるように
キミは言ったよね
『だってそういう本って、大抵"だからなに?"で終わっちゃうんだもん』
僕は頷いたね
『でも、ファンタジーとか、完全オリジナルとかは好き』
キミは満面の笑みでそう言うんだ
『そういうのって、話に入り込めるから』
手元に視線を落としてキミは
『わたしも……一緒に笑って、泣いて、怒って……楽しかったって』
少し寂しげに
『最後にはそう"想える"から』
そう話すんだ。
キミのその顔を見ても僕はなにも言えないんだ
言葉が口から出てこないんだ
夏の日だった。
蝉が
文字通り一生懸命に鳴く日
一見延々と続くうるさい蝉の鳴き声は
多数の蝉の寿命が波のように重なっている訳であって
夏の一生を終えた蝉は儚く落ちてゆく
そう、夏の日
ある日突然
キミが死んだ
受け入れられなかった
信じたくなかった
嘘だと言って欲しかった
病室でキミを励ますことが出来なかった
キミに声をかけられなかった
それがとてつもなく悔しい
声が出せない自分が、心底憎かった
だから僕は書くんだ
いつかキミに見せて、
『楽しかったよ』
って言って貰えるように
キミと僕の物語は『楽しかった』んだって
そう"想って"貰えるように
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