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1. 予期せぬ出会い

【そいつ】

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なんだろう。
なんと例えれば良いのだろうか。

そいつは
アメーバみたいな形の
馬鈴薯に鳥っぽい脚が生えているような
生物だった。

「おせーぞこら!」

おかしい。
こんなはずじゃない。
普通だったらこんなはずじゃない。

普通だったらこのタイミングで
異世界転生してるはずだ。

でもまだ現実に私はいる…


「ぺしっ」
「いってーー!このやろー!」

頭の上で騒いでるそいつをとりあえず
叩き落とした。
うるさい。

きっと疲れてるんだ。
今日も三時間くらいしか寝てないし。
幻覚と幻聴か…

「オイ。」

なんかまだ騒いでる。

「へっ?!」

呼ばれて周りを見渡すと
近所の人が大集合。

まずい。
これはまずい。

「あら~小林さんちのあの子…」

「なぁに?あの動物?あの子の?…」

いつも私の悪口を言ってくる
ご近所さんたちの目線が痛い。

違う。
私のせいではない。

「ていうかなんで周りにもお前が見えてるのさ?!こういうのって普通私しか見えないんじゃ…」

「いやそれアニメの見すぎ。
序にゲームのしすぎ。」

いちいちこのへんな生物のセリフは
私に突き刺さる。

「いいから早く!
ポケットの中にでもオレを隠せよ!」

偉そうに指示された。
なんだコイツ。

「その方がオマエの身のためだろ!」



この瞬間から
私がコイツの面倒をみるのと同時に
コイツが私の面倒をみる生活が始まったのだった。
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