星の迷宮と英雄たちのノスタルジア

いわみね

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第23話 赤い屋根の屋敷と魔物もどき

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「これは」
 ジャックくんとロデリックくんの合図で応接室に入ると、予想していなかった光景が現れて私は思わず息を飲んだ。私ほどではないものの、ガイアスくんやバッシュくんたちも驚いている。
「光る物体がこんなに」
「想像してたのとだいぶ違うな」
 依頼書では光る物体のようなものがせいぜい一つ二つという印象しかなかったのだけど、実際に訪れた屋敷の応接室には、光る物体のようなものが、そこかしこに漂い浮かんで飛び回っている。

 赤や青、虹色、黄金色さまざまな色合いの丸い光が部屋中を漂い飛ぶ光景は、幻想的な美しさがある反面、不気味でもあった。

 シナップくんがおもむろにアイテムバッグの中から長い柄の付いた虫取網のようなものを取り出して「えい」と小さな掛け声を発したかと思うと、光に向かって網を被せた。

「捕まえたのだ」

「シナップ、それは?」
「これは妖精なのだ」「妖精?!」
「うん。この種の妖精は植物や生き物、とりわけ人の多い所に好んで住みたがる。その癖人目に触れるのは嫌がるのだ。だから普通は葉っぱや花の近くに隠れていたり、虫とかに紛れてるのだけど」
「ちょうど良い空き家を見つけて住み着いたのね」
「推察するに、そんなところだろうと思うのだよ」
「なら、この光ってるのは全部妖精なのか?!」
「光ってるのはほとんど塵なのだ」
「塵」
「空気中を漂ってる塵と魔力が何かの拍子で結び付いて結晶化してその時生まれたエネルギーが光って見えてるのだよ」
「こんなに強く光るものなのか」
 漂う光る物体を良く見ると確かに中心に言われてよく見てもわからないほど小さな結晶のようなものが見えた。
「近くに妖精がいるから、その影響は受けているかも知れないのだよ」
 シナップくんはそう言うとバッグの中から四角い箱を取り出し「しばらくの間この中にいてもらうのだ。居心地は悪くないはずなのだ」と言って妖精を中に入れた。
 それから光る塵の方も1つ取って瓶にしまうと、部屋を見回した。
「依頼人は『夢幻象』の仕組みを知りたいみたいだから、ここはあとすこし調べたら、このままにして別の部屋を見に行くのだ」

「そうだ、報告のために記録しておかないとダメなのだね。部屋の状態は木窓が閉まっていて……ん?まあいいのだ。応接室の窓は全部木窓の扉が閉じられているのだ。大きなテーブルと椅子、暖炉」
「シナップ!これは何だろう」
「シナップちゃん!これは何?!」
「シナップ!こっちにこんなものが」
「今行くのだ」

 ◇

 応接室を調べ終えた私たちが次に向かったのは配膳室と繋がった食堂だ。靄のかかったような屋敷内ではあるものの、はぐれること無く無事に扉まで到着した。
 広いとはいえ、直ぐ向かいの部屋なので通常ならはぐれないのが当たり前なのだけれど。
「食堂から配膳室を通って厨房に向かうか、廊下を通って奥へ向かうかどうする」「応接室の隣はお客さん用の寝室になっているのだ。使うなら見た方がいいのだ」「なら廊下のようすも見るついでだ。そっちへ行こう。皆もそれでかまわないか」
 次の行き先を相談したあと応接間に入った時と同様にジャックくんとロデリックくんに先に行ってもらい、ガイアスくんと私が周囲を警戒しつつエレイナさんたちと中へ続いた。

 食堂に入ると20人ほどが食事できる長方形の立派なダイニングテーブルが私の目に入ってきた。

 奥に配膳室への扉があって見た目だけだと応接室で見たような異変はわからない。
 外に面した壁の上の方に明かり取りの小窓があるけれど、下に作られた窓の木扉は閉じられていて薄暗い。
 家具などの大きな調度品はそのまま残されている。
 壁の高めの位置には灯り用の台が等間隔に取り付けてある。
 元は古いタイプの物で、魔術が使えないヒトでも使える油と火で照らすものを、灯り用の魔石が置けるようにした改良版だ。
 天井を見上げるとテーブルの無い天井に幾つかの椅子があって、その下の床に置かれたテーブルに椅子はない。
 椅子の無いはずの空間に手をやると、椅子のような形状のなにかに触れる。

 エレイナさんがバッグから布を取り出して被せると椅子が現れた。布をはずすとなにもない。
 それが今の食堂の状態だ。

 そろそろ日が傾き始める頃合。
 シナップくんが言った。
「ここには食事時にまた訪れることにして、廊下とお客さん用の寝室を確認しに行くのだ」

 ふたたび廊下へ出て今度は応接室の隣にある扉へ向かう。
 見取り図だとゲスト用の寝室になっている。
 これまでと同じように中へ入ると、続き部屋になった広い空間に大きめの寝台が4つとテーブルと長椅子、物がしまえそうな棚一つが置かれたままになっていた。脇をよくみると衝立が一つ、折り畳み式の寝台が5つある。
 明かり取りの小さな窓以外、窓の木扉は閉じられている。
 時間的にも日が暮れてくる頃合いで、一層部屋が薄暗く感じられた。
「ここは特別に変わった様子は無いのか?」
 部屋を確認しながらガイアスくんが言うと、バッシュくんが
「ん、どうかな。時間帯のせいもあるかもしれない。この部屋の中だけで魔力濃度に高低差が出来てるけど、それでも『夢幻象』が起きることの方が少ないから全部の部屋で『夢幻象』がみられる方が変とも言える」
 というと、ノアくんが
「朝や夜間、決まった時間にだけ現象が起きる報告もあるんです。それを確かめるのにここが寝室なのはちょうど良いかもしれません」と言って、いそいそと背中の背負袋から小さな『寝袋』を取り出した。
「この部屋で皆で過ごして明日の朝になっても何も変わったことがなければ、客用の寝室は魔力濃度の異常だけで済んでるということだな」
「そうね」
「では『調査』のために今日は全員この部屋に泊まるので決まりなのだ!」「おー!」シナップくんの号令と共にバッシュくんとノアくんの掛け声と小さな拳が上がった。

 お客さん用の寝室を見た後は、ふたたび廊下まで出て今度は奥の方まで確認に行く。厨房へ続く扉は開けずに、直角に曲がった廊下の先をガイアスくんが灯り用の石で照らした。この先は外に面した窓が無く、灯りが無いとほぼ真っ暗だ。
「廊下は壁伝いを意識してさえいれば特に問題はなかったな。この先はわからないが」
 ガイアスくんはそう言うと「ところでシナップ。もう日が暮れている時間だ。俺は腹が減った」
 とシナップくんに向かってやや情けない声で言った。
 そういえば今日のお昼ごはんは馬車の中で早めに食べたのだった。急にお腹が空いてきた。
 時刻魔導具を確認すると魔石が青く光っている。
「それじゃあ、ご飯を食べに食堂に移動するのだ!」
 シナップくんが言って、私たちは来た廊下をすこし戻って食堂へ入った。
 屋敷の食堂の中はすこしまえに入った時と変わらない様子で、早速私たちは各々の荷物を置くと、テーブルにお弁当や買ってきたパンや買い足した食料を広げた。
 お弁当の方につけてもらった保存用の魔石は役目を終えて消えかけている。買ったお弁当にはおまけで温め用の袋と小さな魔石がセットになってついていて、それを使ってお弁当が温められるようになっている。
 バッシュくんたちが防御結界『屈強なコテージ』を途中で解除した時にもらえた『おまけ』のセットによく似ている。
 製品化された同じ物なのかもしれない。
「中々気が利いているのだ」
 温め直したお弁当を頬張りながらシナップくんが言った。
 バッシュくんとノアくんが嬉しそうにお弁当を食べている。

 ◇

「湯浴み場も異常無しなのだ」「異常なーし」
 お湯を浴びてサッパリしてきたバッシュくんたちがホカホカとした様子で寝室へ帰ってきた。
「こっちも異常無しだ」
 持参した飲み物を飲んでガイアスくんが言った。
 食事と食堂の様子の確認も済ませた私たちは予定した通りお客さん用の寝室にやって来た。部屋には一通りの設備が整っていて、外観は古風だけれど比較的新しい造りになっている。
『夢幻象』に部屋の明るさは関係がないということで、寝室には灯り用の魔石を灯り台に置いて、交代で部屋の様子を見ることになった。
 今のところ全員で起きている。
 エレイナさんがバッシュくんたちと髪を乾かし合っているのを見ながらガイアスくんが「交代で見張るとは決めたがお前たちは寝てかまわないぞ。この部屋は俺たちだけで足りそうだ」と声をかけた。
 私とロデリックくん、ガイアスくんだけでも3人もいるからね。
 ロデリックくんも「任せたまえ。深夜に良からぬ何事かがあっても私が蹴散らせて見せよう」とやる気を見せている。
「蹴散らさなくていいけど、わかったのだ!眠くなったら眠るのだよ。何か起きたら起こしてなのだ」シナップくんはそう言って寝台によじ登ると、早速横になってフカフカの布にくるまった。夜も遅くなって眠かったらしい。
「バッシュ、ノア、お前たちも寝た方がいい。遅い時間だ。調査期間はまだ2日ふつかある」
「オレたちも交代して眠るから大丈夫だ」
「エレイナ、お前も休むといい」
 ガイアスくんたちに言われてエレイナさんとバッシュくんたちも「じゃあ遠慮無く」そう言って仲良く寝台で横になった。

 そしてすぐにエレイナさんが「変なことしたら酷いめに合わせるわよ。イシュタルさまに言いつけて死ぬまで呪ってもらう」
 と誰にとは無しに釘を刺した。
 たぶん反射的に「誰もしない」とガイアスくんとジャックくんが言い掛けたのだけど。
「……なんだ?」
 無意識に私たちの視線がロデリックくん集まったようだ。
「なんだ。なぜ私を見る!」
 気づいたロデリックくんが不快そうに言った。

 ◇

 何処だったか忘れたけれど、他国にこんな言葉があるらしい。
 “草木も眠る丑三つ時うしみつどき
 深夜の時間帯の静まり返った夜をこんな風に表現したようだ。
 その国では丑三つ時には死者やその魂、物の怪の類いが現れると信じる人も多いそうで。ひょっとすると『夢幻象』に悩まされている国なのかもしれない。
 私は薄明かりの中、ガイアスくんとテーブルに置いた灯り石を眺めながら、そんなことをぼんやりと考えはじめていた。
 夜が更けてきても部屋の様子に変わったことが起きる気配は無い。
 自然襲ってくる睡魔を振り払うため、私は用意した少し苦めの飲み物を飲んだ。

 コン、コン

 不意に扉を叩くような音がして出入り口の扉の方を振り返った。遂にこの部屋にも魔力の澱みの影響で『夢幻象』が起こり始めたのだろうか。

 コン、コン
 再び音が聞こえた。
 まるでヒトがノックでもしているような。
 音に気がついてジャックくんとロデリックくんも起きてきた。
 扉の覗き穴からガイアスくんが扉の外を確認すると驚いた表情になって、私たちにも見るよう身振りで合図した。

「女の子…?こんな時間に」
 扉の外に見える物が『夢幻象』による虚像でないなら、扉の向こうに少女がひとり立っている。

「どう思う」ガイアスくんが小声で言った。
「どうもこうも、退治する」ロデリックくんが言った。
「待て待て待て!何でいきなりそうなる」
 ガイアスくんが小声のまま慌ててロデリックくんを止めた。
「簡単だ。あの娘の魔力は一般のそれではないからだ。しかもこんな時間に姿を現して勝手に屋敷に忍び込み扉を叩くなど、まともな輩ではない」
「勘違いだったらどうする!取り返しがつかん」
「それこそ勘違いでなかったら、どう責任を取る気だ」
「もっと穏便なやり方があるんじゃないのか」
 ガイアスくんがロデリックくんと言い合っていると、ジャックくんが「ガイアス、取り返しのつくやり方ならかまわないか」と聞いた。
 良かった。穏便な方法に着地しそうだね。

 私がそう思っているとガイアスくんが
「そうだな。いきなり退治するはあんまりだと思うだけだ」
「わかった。ロデリック、だ。ガイアスもマクスさんもこれならいいだろう」
「ちょっまっ…」生け捕りって、すごく物々しくない?!

 ◇

「本当にごめんなさい!」
「いえ、連絡も無しに突然こんな時間にやって来てしまった私が悪いんです。どこにも怪我していませんし」
「エレイナ君、彼女自身が言っている通りなのだ。こんな時間に急に来られたら怪しむのが普通なのだ。“魔物もどき”や人に擬態した魔物の可能性もあったのだ。仮にボクたちが対応したとしても、似たようなことをしたのではないのかね?」
 シナップくんが言った。
 それを受けて
「たしかに僕らも普通には扉を開けなかっただろうね」
 とバッシュくんが言った後、それに続いてノアくんも「魔障壁で囲んで身動き出来なくしたりはしたかと思います。『三郎太ヒルデブラント』との一件もありますし」と言った。
「そうかもしれないけど……」
 実際に訪れた少女の正体は、依頼人のホッペンさんだったのだからエレイナさんがひたすら謝ろうとするのも道理だった。
「すまなかった」
 ガイアスくんが言って、ジャックくんとーロデリックくんも私も一緒に頭を下げた。
「い、いえ、もう謝らないでください!」
 ホッペンさんがそう言うとロデリックくんが
「ではこの件はこれで終わりにしよう。だが君はこんな時間になぜ来た。どう考えても、君のような娘が出歩く時間ではない」
 夜明けが近いとはいえ、外はまだ日も昇らない真っ暗な時間だ。この時間帯に乗り合い馬車は寝台馬車以外ほとんど走っていない。それでも来たということはよほどの事情だ。

「それなんですが、実は」

 ◇

「今回私の依頼を受けてくださったのがシナップさんだとお聞きしまして。シナップさんと言えばイシュタルさまから大変な才気溢れる魔導術師であると伺っております。いてもたってもおられず馳せ参じました」

「イシュタルさまと言えば幼少のみぎりより天才の名をほしいままにしてきた大魔導師です。そのイシュタルさまをもってしてあまりある才気をお持ちだというシナップさん。是非是非お会いしたくて!!」

 なんて情熱的なんだろう。
 でもなんとなく危険な臭いもするような。
「それで、シナップはどの方なのでしょうか?!あなたさまですか!?」

「ヒト違いなのだ!キミは別の名前を『シナップ』と聞き違えたか、その『イシュタルさま』が『』をしたのだ」
「え?でも……」
たなのだ」シナップくんが重々しく言った。
「い、言い間違い……イシュタルさまほどのお方が?」
 ホッペンさんが目を凝らすようにしてシナップくんを見た。
 私にはその様子がシナップくんのペンダントの術を破ろうとしているように見えて少しドキリとした。
「『大賢者の杖滑り』いかに優れた大魔導師であっても、手にした杖を落としたり、詠唱を間違うことはあるのではないかね?」
 納得行かなそうなホッペンさんにバッシュくんが「その噂の才気溢れるヒトの話は僕も聞いたことがあるけど、そのヒトの名前はもっと違う名前だったと思うんだ。思い出せないけど」
「そうだね。ボクも思い出せないけど、もっと違う名前だったと思うよ。思い出せないけど」ノアくんも続けた。

「私もイシュタルからその者の話を聞かされたことがあるが、違う名だったと記憶しているな。思い出せそうにないが」
 バッシュくんとノアくんに続いてロデリックくんも言った。
「そ、そうですか。では本当にヒト違い……」
 ホッペンさんの呟きにシナップくんが大きくうなずいた。
 そして「それに世界には上があるものなのだ。君にはもっと素晴らしい、そのヒトよりも才気溢れるヒトがいつの日か現れるのだ。気を落とす必要は無いのだよ。今回は縁が無かっただけなのだ。縁の無いヒトのことは忘れるのが良いのだよ」と慈愛に満ちた表情で言った。

 ホッペンさんが帰る頃、外は日が昇ってうっすらと空が白んで来ていた。
 屋敷の玄関口の扉を開けて、見送る私たちに彼女は調査の依頼を改めて頼むと小さくお辞儀して帰っていった。
 彼女はイシュタルさんからシナップくんのことを聞いたと言っているけれど、塔や古代種族の話は聞いてもいないようだった。
「はじめは驚いたが、中々良い娘だったじゃないか」
 ガイアスくんが言った。
「見も知らないボクの評判だけ聞いて、あの時間に馬車を走らせて会いに来てしまう行動力の持ち主なのだよ。ボクはそれに応じられるような深い度量も器量も持ち合わせていないのだ」
「それに彼女は嘘もついているのだ」
「嘘?」
「イシュタル君がまだ秘密のはずのボクのことを、わざわざ彼女に話して聞かせたと言うのは嘘なのだ」
「根拠は?つい口が滑ったのかも。このくらいならと思ったかもしれない」
「イシュタル君はボクのことを『魔導師』や『魔導術師』とは言わないのだ。それに」
「それに?」
「何でもないのだ。それより調査なのだ!任務続行なのだよ」
「俺はイシュタルさんが喋ったと思うんだけどなぁ」

 ◇

「この時間になっても何も変わらないということは、お客さん用の寝室は魔力濃度の異常だけだね」
 バッシュくんが魔導具で確かめながら言った。
 まだ夜が明けて間もない早い時間だけれど、時刻魔導具の小さな魔石は白い光を放っている。
 ロデリックくんが
「そろそろ次へ向かおう。まだ見ていない配膳室と厨房を確認してから奥の部屋を調べに行くというのでどうだ?」と提案すると、エレイナさんが「それなら食堂で朝食を取った後にそのまま配膳室、厨房へ行けばいいわね」と賛同する。
 見取り図だと厨房の扉から廊下へ戻って奥の部屋へ進める。
 奥にあるのは家人用の寝室と雇用している人が住み込める部屋になっている。
「その順番なら早ければ今日の昼前に全ての部屋の様子を一度確認して昼飯に出来そうだな」ガイアスくんと一緒に私たち全員がうなずいた。

 食堂へは行かずに直接厨房と配膳室へ向かうのも良いかもしれないけれど、厨房で食事可能な場所が足りないと結局食堂まで戻ることになりそうだものね。

 私たちは早速荷物を持って食堂に向かった。
 廊下は相変わらず靄がかかったような状態で、その上『夢幻象』の影響か、わずかな距離でも方向感覚が狂わされる。ホッペンさんはそれをものともしないで私たちのいる寝室に一人でたどり着いたのだから優秀だ。研究のため何度も訪れているのかもしれないけれど。
 ロデリックくんは彼女も魔力を探知出来るのだろうと言っていた。「行動力も目を見張るものがあった。あの娘に標的にされたら逃げるのに骨がおれるだろう」

 食堂に着くと、念のために変わったことが新たに起きていないか手分けして確認してからテーブルに食料を取り出した。
「柔らかいパンはこれが最後なのだ」
 シナップくんが名残惜しげに、広げた布の上に置いたパンの包みを見つめた。
 その様子を見たガイアスくんが
「シナップ。お前の魔導技術があれば、パンでもやわらかいままで長期間保存できるんじゃないのか?塔型迷宮メイズの食糧庫や倉庫では色んなものが保存できてるんだろ?」
 と少し不思議そうに聞いた。
 するとシナップくんが
「あれはボク自身の技術というより塔の仕組みと魔宝石の力も借りてるから……そうか!ガイアス君、キミ、ありがとうなのだよ!」
 そう言うと、うって変わってご機嫌な様子になった。

 朝食を食べ終えて配膳室に向かうと、さほど広くない空間に細長い長方形の台と荷台や台車、食器棚が置かれたままになっている。食器の類いはほとんど後始末したようで、棚の中にはほとんど何も残っていない。
 光る物体や靄などもなく、ごく普通の様子に思えた。
 すぐそばに扉の無い厨房へ続く出入り口があって、そこから私たちは厨房へ入った。

 中では先に入ったジャックくんとロデリックくんが待っていて、私たちがこれ以上中へ入らないよう片手で制止しながら、厨房の中央辺りを声を出さずに指差している。
 何かあるみたいだ。
 厨房の調理台と棚が置かれたそばに、すごく年季の入っていそうな鍋や樽なんかが幾つも置きっぱなしになっていて、2人が指差す方を見てみるとそこで何かが動いている。
 あれはもしかして包丁……。嫌な予感がする。
 私がそう思った瞬間
 ビュン!
 包丁が勢いよく飛んで来た。
 ロデリックくんがカキン!と跳ね返す。
 ほっとしたのも束の間、まるでそれが合図だったかのように厨房にある物が一斉に私たちに向かってビュンビュンと飛んで来た。依頼書に書かれた物音の正体は“コレ”かもしれない。
「わぁあ!」「“魔物もどき”だ!」「包丁はダメだろ!」「戦略的・撤退ーーー!」

 ◇

 食堂まで戻るとロデリックくんが配膳室との扉をバタンと閉じてしまった。すぐさまエレイナさんが「ジャック!ガイアス!」と叫んだ。ジャックくんとガイアスくんがいない。
 どうやら配膳室に残っている。
 エレイナさんが扉を開けようとするとロデリックくんが扉を押さえて開けさせない。扉は配膳室側から見た押戸になっていて、ロデリックくんが押さえてしまうと開けられない。
「ロデリック開けて!」
「奴らが良いと言うまで開けることは出来ない」
 エレイナさんが頼むのに、ロデリックくんはあっさりとした表情で返した。
 大して待たずにガイアスくんの「何故閉めるんだ。開けてくれ」という声がして来た。するとロデリックくんが「そちらから見れば引く扉になっている。自分で開けたまえ」と返したのだ。
 思わず私とエレイナさんは「え?」という顔でロデリックくんを見上げてしまった。
 同時に自身に支援魔術がかけられたのを感じ、後ろを振り返るとバッシュくんとノアくんのふたりが防御魔術を発動させている。
「開かないぞ、開けてくれ」ガチャガチャと扉の取っ手を動かす音とガイアスくんの声が聞こえる。
 ガイアスくんなら引扉でないことを知っていて咎めるのではないだろうか。いや、ガイアスくんは優しいからロデリックくんの言葉を疑っていないだけかも。
「それは変だな。こちらは何もしていないのに」
 ロデリックくんが冷たい声色で言った。
「冗談は止めて開けてくれ!奴らに殺されそうなんだ!」
 焦ったようなガイアスくんの声がして、ロデリックくんが「ああそのようだ。わかっている」と言葉を返した。
 エレイナさんの手が扉から離れ、私と一緒に後ろへ2歩、3歩と下がる。
「あと少しで終わる!まだ開けるなよロデリック!」
 ジャックくんの声がハッキリと聞こえた。

 ◇

「よく倒せたのだよ。お疲れ様だったなのだ」
 壁や床のあちこちに傷跡の出来た厨房と配膳室の出入り口を見ながらシナップくんが言った。
「シナップが魔導具コレを預けてくれていなかったら、正直大怪我だった。助かったよ。まさか王都で『包丁』に襲われるとは」
 ガイアスくんが言うと、ロデリックくんが「“魔物もどき”は弱いという思い込みもあって軽装備で来てしまったからな」
 と言って、やや自嘲気味に笑った。
「ずっと前、旅をしていたときにさっきみたいな魔物もどきに遭遇したことがあるのだよ。あの時の“魔物もどき”は『使い古された剣』で、エリィたちでも手こずってしまったのだよ」
 シナップくんが少し懐かしむ表情になった。
 ほんのわずかな一瞬。
 すぐにいつものシナップくんに戻る。
 そして言った。
「確かに“魔物もどき”は『弱い』のだ。でも」
 シナップくんによると100年くらい使われているのに壊れていないような、年季の入った古い物が“魔物もどき”になると様子が違うそうだ。
「ヒトに使われていたときの記憶がそこそこあって、ヒトみたいにしゃべったり知恵を働かせるのだよ。使っていたヒトの魔力が強いとそのヒトが物に残した魔力分、強いこともあるのだよ」
 それが本当なら、ヒトが使った年数が増して行くほど“魔物もどき”は強いということになる。一部の由緒ある品が経年で魔導具になるといわれる所以に似ている。
「それでロデリックに弾き返されてもまだ動けたのか」
「“魔物もどき”が生まれる頻度も、100年も壊れずに使われてきた物が残っていることも、どっちも滅多に無いから、備える必要があるのか迷ったのだけど」

「備えて正解だ」
 ガイアスくんがシナップくんから借りていたらしい魔導具をシナップくんに返した。ギルド本部で見せてくれた魔導具とは別の、褐色の美術彫刻のような見た目をした物だ。
「とんでもなく硬いのに、それでいて柔軟で頑丈。おかげで助かった。何で出来ているんだ?」
 ガイアスくんたちと話ながら移動して厨房の中央辺りへ着くと床に“魔物もどき”になっていたらしい物の残骸があった。壁沿いに目をやると、壊されずに布にくるんで紐で縛られた“魔物もどき”が並べて置かれている。
 近づくと微かに『助けて!』『殺さないで!』という声が聞こえる。
「刃物だけは危ないんで魔導具で無力化してから念のため刺さっても怪我にならないように壊した。ヒトが刃物を振り回してるのと違って、へし折っても、叩き落としても包丁が自分で動いて襲ってくるのは不味い」とガイアスくんが言った。
 それは……折り曲げるとか丸めるとかだろうか?
 流石というか、すごい力だ。

「それにしてもこのお屋敷は建物はそれほど古くないみたいなのに、置かれている調度品は古そうな物が多いのだ」
 シナップくんが厨房の中を見回して言った。
 確かに応接室の調度品も古風な意匠だったし、食堂のテーブルや椅子も使い込まれた感じがあった。
「奥の部屋にも“魔物もどき”がいたら強いかもしれないね」
「依頼の趣旨を考えると、なるべく無力化せずに、しかも壊さずに捕獲したいから大変かも」バッシュくんとノアくんがシナップくんと3人で話し合っている。

 ◇

「僕たちの防御魔術の効果がまだ残ってるうちに、残りの部屋を見に行く?」
 バッシュくんが私たちを見回して聞いた。
 時間はお昼時にはまだだいぶ早いけれど、はじめの予想よりは時間がかかってしまったから、聞いてくれているみたいだ。
「そうだな、昼時までに全部見て回ることは出来ないかもしれないが、もう一部屋なら確認するくらいは行けそうな時間だ」
 ガイアスくんが時刻魔導具を確認しながら言った。
「そうね、次にも“魔物もどき”がいたら私も残る」
「ああ頼む、エレイナ」
 私もジャックくんもロデリックくんにも異論はない。
「じゃあ決まりだね。どっちの部屋へ行く?」
 バッシュくんが言っている間に、ノアくんがガイアスくんとジャックくんにも支援魔術を施している。
「“魔物もどき”がいなかった場合無駄になるかも知れませんが、安全のために」「助かる、ノア」

 これで全員の能力が上がっている状態になった。
 私たちが次に向かうのは隣の部屋だ。
「よし、行こう」
 ガイアスくんが廊下へ続く扉を開けた。

 廊下へ出ると途端に靄のなか、自分がどちらを向いているのか曖昧になる感覚に襲われる。手の先から感覚が奪われていくような気がする。「こっちだ」ガイアスくんの力強い声と、灯り石の光が私の意識を立て直した。手で触れて、壁があるのを確認する。
 もう片方の手にはシナップくんの手が繋がれている。
 私のすぐあとをエレイナさん、一番後ろでロデリックくんが歩いている。
 私がおかしな方向へ行けば、3人が気付いてくれそうだ。
 万一はぐれてもバッシュくんたちがくれた珠で皆の位置はわかる。
 先を行くガイアスくんが、灯り石を壁に取り付けられた灯り台に置いてくれるので、真っ暗だった廊下が明るくなって直に靄が気にならないほどになった。

 灯りってすごい。
 ガイアスくんとバッシュくん、ノアくんとジャックくんが扉の前に到着して、私たち4人も続いて到着した。
「到着なのだ!」
 ホッとして周囲を見る余裕が生まれたおかげで、私は自分が家人用の寝室の扉の前を通りすぎていたことに気がついた。

「開けるぞ」
 そう言うとガイアスくんがゆっくりと扉を開け、部屋の中へ入った。私たちもそのあとに続く。

 ◇

「何も無いな」
 それは言葉通り拍子抜けするほど部屋には何も置かれていなかった。
 外に面した窓は2ヶ所。
 その両方とも木扉が閉じられているけれど、天井と壁の上の方に横長に設けられた明かり取りの窓から明るい陽が射している。
 床は布も絨毯も敷かれておらず、四隅まで木板が見えている。
 一人か二人くらいで住めそうな部屋の広さだ。
 廊下からの出入り口と別に造られた扉の先は湯浴み場も出来る水場になっていて、こちらにも何も残されていなかった。
 廊下のような靄もなければ、応接室のような光る物も見当たらない。
「この部屋は魔力濃度の高低差が少ないみたい」
「ふん、それならもう次の部屋を見に行っても構わないだろう」
「今のところそうだな。念のため今日の夜と明日の朝にもう一度来て確認しに来れば足りそうだ」
 見えない『何か』が『絶対』に『無い』のかと言われれば、それに答える術はないけれど。それを言えばキリがない。
「なら、今から寝室も確かめに行くのだ?」
 シナップくんが自分の時刻魔導具を見ながら言った。
 まだこの屋敷に『夢幻象』を引き起こしている決定的な『原因』はよくわからないままだ。
 それとも『妖精』だけで引き起こされているんだろうか。
「そうだな。今の時間に何か強めの魔導具が置かれていないかだけでも確認しに行こうか。支援魔術の恩恵もまだある。何事もなければ食堂で昼飯にする、というのはどうだ?」
「ボクは賛成なのだ!」
「それがいい」
 私たちはまだ見ていない家人用の寝室へ向かうことにして、再び廊下へ出た。
「明るいとこんなに雰囲気が変わるのね」
 エレイナさんが廊下を見渡して言った。
 ガイアスくんが置いてくれた灯り石のおかげで、明り窓の設けられていない通路も見通しが良くなって、たちこめた靄のようなものが奇妙ではあるものの、雰囲気も明るくなった。

「入るぞ。準備はいいか」「うん」「ああ問題無いな」「大丈夫」
 私たちに確認してガイアスくんが扉を開け、ジャックくんと部屋の中へ入った。私たちも続いて中へ入ると室内には寝台が2台置かれたままになっている。
 部屋は先ほど見てきた部屋よりも広い造りだけれど、お客さん用に造られた部屋よりは狭い。
 天井付近の壁に木の板で閉じられるようになっている灯り取りの小さな窓がある。下側の窓は1ヶ所で木扉は閉じられていた。
 屋根裏へ上がれるような仕掛けも無さそうに見える。
「寝台以外は物は置かれていないな」
「魔導具でもあるかと思ったんだが」
 奥の扉を開くとこちらにも湯浴み場やかわやが設けられている。廊下にもどこにも階段は見当たらなかった。
「屋敷は平屋の1階建てで間違いなさそうだな」
 ガイアスくんがそう言って部屋を見回した。
 屈んで床を確かめていたジャックくんも
「見取り図も1階部しか描いていない。地下や隠した部屋も無さそうに思う。バッシュたちは何か探知できたか?」
 ジャックくんに聞かれてバッシュくんたちが首を横にふった。
 天井裏や地下に魔導具があったとしても、作動していない状態の魔導具を見つけるのはおそらく困難だ。
 壊して調べるなら許可が必要になる。
「我々に課せられた調査はこの辺りが限界だ。そろそろ結果をまとめ始めるのがいい」
 ロデリックくんが少し屈んだ姿勢で壁に触れながら言った。
 するとシナップくんが突然「えい」と小さく言って、ロデリックくんに向かって網を被せた。
「いきなり何をする!」
 ロデリックくんが立ち上がって被せられた網を外そうとすると「待て、ロデリック」とガイアスくんとジャックくんが同時に言った。
 制止をかけられてもロデリックくんが網を外そうとしたので、ジャックくんが仕方なく、ロデリックくんの手を掴むと「お前の頭に何かいるんだよ」と教えた。
 エレイナさんも近づいて「ロデリック、本当。小さいけど何かいる」
「そうなのか。シナップ説明くらいしたまえ」
 悪ふざけか何かだと思ったらしいロデリックくんが、頭に網がかかった状態を受け入れた。
「ごめんなのだ。でも説明してる間に逃げられる気がしたのだ!」

 ◇

「これは?虫?」
「ボクに種類は特定出来ないけど、魔物なのだ」
 シナップくんが網で捕まえたのは、とても小さな魔物だ。
 パッと見ただけではわからなかったけれど、よく見ると蝶に似ている。ただ、似ているだけで蝶や蛾と違うのも確かだ。
 羽をたたんでじっとしていると色合いと模様で木屑にも見える。
「弱いから結界をすり抜けたんだな」
 王都の結界は人が活動する日中は網のような構造で展開され、夜間になると城壁の閉門と合わせて結界が多重に強化される仕組みで動いている。
 日中は適度に魔力を通すことで、大きな魔力を受け流すことが出来るこの構造は、広大な敷地を少ない魔力で保護するための工夫なのだけど、網目の隙間を通れるくらいの魔力しか持たない魔物なら監視の目を誤魔化せば侵入可能と言い換えることが出来る。
 王都側も住民も、その事を承知しているけれど、入れるのは最弱と謂われる魔物スライムよりもさらに弱い魔物だけなので、侵入時には衛兵の人や住民で対応するというのが一般的だ。
「ロデリック、いつからくっつけてたんだ」
「知るわけないだろう。わざとつけていたわけではない」
 少なくともこの屋敷のなかにいる間についたはずだ。
 湯浴みもしているし。
 私が考えているとロデリックくんが少し目を細めて言った。
「それにしても小さいな。本当に魔物なのか?魔力をほとんど感じない。小型の蝶のように見える」
 するとノアくんも「そうですね。精一杯大きく見せてこの大きさという感じの魔力しか持っていなさそうです」と言った。
 ノアくんはあくまでも、この魔物の魔力量が少ないことを表現するために言ったのだけど。
 私は少し空想した。
 もし、それが正しくて、この魔物が自分を精一杯大きく見せようとしているのなら。
 おそらく保護色で目立たないよう木屑のような見た目になっているのに、自分を大きくは見せたいという、どこか矛盾した不可思議さがある。けれどそれが事実だとしたら、弱いこの魔物が生き残るのにその矛盾が何かしら必要な要素なのだ。
 わからないけれど。魔物も懸命に生きているのだ。
 染々と感傷に浸る私を知ってか知らずなのか、それを打ち破るようにシナップくんが言った。
「弱いと思って油断してたら痛い目に遭うのだよ」
「え?」
「小さくても魔物のご飯は魔力なのだ。もしこの魔物が集団で襲ってきたらボクは絶滅させる気で凍らせるか燃やすかして、全力で逃げるのだ」
 シナップくんが至って真面目な表情で言った。
「あくまでも襲ってきたらの話なのだ」
 それはまるで魔物に釘でもさしているようだった。

 ◇

 ─昼を過ぎた食堂

「美味しいのだ!」「美味いウマい!」「美味しいね!」
 家人用の寝室を調べ終えた後、私たちはロデリックくんとエレイナさんが厨房で調理してくれた肉料理を食べて昼の食事を楽しんでいた。
「料理は殆どロデリックが用意して作ってくれたの」
 エレイナさんが笑顔で言った。
 テーブルには野菜を使った数種の肉料理のほかにも炊いた穀物や乾パンやスープが並び、燻製肉や木の実、飲み物やビスケットなども添えられている。
「ロデリック、本当に旨い」ガイアスくんがそう言ってパクパクと料理を口に運んだ。ジャックくんは言葉の代わりに勢いよく美味しそうに食べている。
「料理の仕上がりが良いのは味見役助手が優秀だったおかげだ」とロデリックくんが満足げに言った。

 それから食事が一段落ついてきた頃、私たちは先ほどシナップくんに発見された魔物について話し合うことにした。
「その魔物も『夢幻象』の原因になってるのか?」
「ボクはそう思ってるのだ」
 ガイアスくんの問いかけにシナップくんが答えた。
「こんなに小さくて矮小な魔物が原因になるのか?」
 ロデリックくんの驚いた様子にシナップくんが「この魔物1匹だけならキミの言う通り原因にはならないだろうけど」
「屋敷にいるのは捕まえた1個体だけではないということか」
「住み着いてるのは廊下の床下だと思うのだ」
 シナップくんの言葉にバッシュくんとノアくん、ロデリックくんが口を開けて1つ息を吸ったまま動きを止めた。
 何か思い当たるようだ。

 食事を終えて片付けを済ませると、ロデリックくんを先頭にバッシュくんとノアくんが食堂の出入り口から廊下へ早足で出ていった。
「俺たちも行ってみよう」
 私たちも後を追いかけて廊下へ行くと、3人で廊下の床を調べている。
「シナップ!君の言う通り廊下の床下に沢山の弱い魔力反応がある」「全部合わせても大した魔力量じゃないけど……妖精の魔力や古い調度品に蓄積した魔力を考えると、この屋敷が内包する魔力量はかなりの量になってるみたい」
 バッシュくんとノアくんが教えてくれた。
 魔物の存在や、魔力量、魔力濃度が必ずしも『原因』にはならないというけれど。
「実際に床を剥がして見なければわからないことも多いが、原因の大元と見て間違いなさそうだ。あの蝶のような魔物が屋敷の魔力を餌にして魔力の循環まで狂わせている」
 ロデリックくんが私たちの方を見て説明してくれた。
「シナップはいつ気付いたの」
 バッシュくんとノアくんが聞くと、シナップくんが
「ガイアスくんが廊下に灯り石を置いてすっかり明るくしてくれたときなのだ。あれほど床から変質した魔力の靄が立ち込めてるのに、明るい中でハッキリ確認するまでボクも床下の魔力がのだよ」
「あの魔物に探知が阻害されていたのか?」
 ガイアスくんの質問にシナップくんは「違う」と首を横にふった。そして
「ロデリック君は屋敷の中でホッペンさんの魔力を感知できてたのだ。それなのに“魔物もどき”や『夢幻象』を引き起こしてる魔物は探知できない。だから探知が阻害されていたのとは違う、別の要因で探知が難しくなっている、とボクは仮定したのだ。ならその要因とは何かと考えたとき、ロデリック君が妖精や塵の魔力にも鈍い反応だったことを思い出したのだよ」

「そうか。ロデリックたちの魔力探知はある程度強い相手に特化した能力なんだな」

「そういうことだね、なのだよ。けどそれは仕方のないことなのだ。虫ほどの弱い魔力まで感知して拾ってたらキリがないのだよ。だから自分でも知らないうちに一定以下の魔力を気にしなくなっちゃってるのだ」
「決定的になったのは魔物が頭にくっついてるのに、ロデリック君が全く気付いてないことがわかったときなのだ」
「まあ通常なら『夢幻象』の原因になり得ない魔物が相手になってしまった、今回はたまたま運の悪い案件だったのだよ」
 そう言うとシナップくんはエレイナさんからもらったビスケットを、それは美味しそうに頬張った。
「そうなると、あとはこのことを報告書に纏めるための裏付けだな」「裏付けなのだ?」
 シナップくんが聞き返した。
「シナップは床下に魔物が住み着いていると報告するだろ?」
「するのだ」
「逆にシナップがそういう報告をされる立場だったら、素直に信じるか?」
「信じるのだ!」
「そうか。信じるのか」
 ガイアスくんが口を閉じてこの話は一旦終わった。

 ◇

 ─夜になって食堂

 ロデリックくんのお手製スープを飲み終えて、ガイアスくんがコトっと音を立てて器を置いた。
「一通り屋敷の中は確認し終わったな!」

 日中に応接室の様子に変わりが無いことも確認し、厨房も先ほど調理のためにエレイナさんとロデリックくん、シナップくんとバッシュくんの4人が向かって確認済みだ。
 私の方は先ほどノアくんとジャックくん、ガイアスくんの4人で家人用の寝室とその向かいの部屋を見て日中と変わり無いのを確認してきた。
 屋敷全体を把握できたので二手に別れることにしたのだ。
「明日は早めに切り上げて報告書を作る?」
「キミたちが良ければ、昼の3刻までは屋敷にいて、調べられるだけ調べておこうと思うのだ」
「僕はかまわないよ。ロデリック君の手料理は美味しいし、“魔物もどき”の様子も見たいから。ノアは?」
「かまわないよ。ボクは応接室の方を見たい」
 ノアくんは妖精と塵に興味があるようだ。
「私も大丈夫よ」
 エレイナさんが美味しそうに湯呑茶碗でお茶を飲んだ。
「私も大丈夫だ」
 ロデリックくんはお茶を冷ましながら湯呑茶碗に口をつけた。
「オレも問題ない」
 ジャックくんが言ったのと一緒に私とガイアスくんもうなずいた。
「ありがとうなのだ!」
 シナップくんが嬉しそうに言った。
 スープの器はすっかり綺麗になっていた。

「ところでなのだ。捕獲した魔物と妖精と塵は報告書に添えて提出出来るけど、“魔物もどき”はどうしたらいいなのだ?屋敷の外へ出すと“物”に戻ってしまうのだよ」

「ギルドで説明が無かったのか。“魔物もどき”は滅多に遭遇しないからな」「あったかもしれないけど、覚えてないから教えて欲しいのだ」「よし」

 シナップくんの問いかけに、ガイアスくんがうなずいて説明を始めた。

「結論から言えば、“魔物もどき”はあのまま置いていく。シナップも知っている通り“魔物もどき”は生まれた場所から離れると“物”に戻ってしまう。討伐依頼なら別にそれでも良いんだが、今回のような依頼の場合、なるべく“魔物もどき”が“魔物もどきのまま”でギルドに回収されるようにするんだ」
「置いていくだけで良い、ということなのだ?」
「そういうことだ。“魔物もどき”が人に危害を加えられないようにした後は“魔物もどき”が発生していることを『ギルド』に報告すれば良い。あとは『ギルド』の運営側が対処する」

 どうやら冒険者ギルドは“魔物もどき”を生まれた場所から回収する術を手に入れているらしい。
 そもそも何故“魔物もどき”は生まれた場所を離れられないのだろう。
「今回出現した“魔物もどき”はロデリックに跳ね返されても物に戻らなかったことも報告しておいた方が良いかもしれないな」
「わかったのだ!」

 明日は朝から廊下、応接室、客人用の寝室、家人用の寝室、住み込の人が使う部屋、厨房、配膳室、食堂を二手に別れて順に見て行くことに決めて私たちは屋敷の調査2日目を終えた。

 ◇

 ─調査最終日の朝

「この隙間からも魔物は出入りしてるみたいだね」
 廊下の壁際でシナップくんとバッシュくんが這うようにして床を調べている。
 ノアくんがそれを記録しながら
「これで3ヶ所目ですね」
「ロデリックくんの頭に魔物が付いたのは、住み込みで働く人用の部屋の扉の前が濃厚だね」
 私がそう言うとノアくんもうなずいてくれた。
 朝食を終えた後、私たちは廊下を調べて、3匹の蝶型の魔物を捕獲している。見つけたのは5匹だったのだけど、2匹のうち1匹は捕まえる前に目の前で霧散するように消えてしまって、もう一匹はロデリックくんに触れられた瞬間消えてしまった。
 ロデリックくんが強すぎるのか、魔物が弱すぎたのか。
「合計で4匹、これなら魔物が屋敷内にいる証拠になる?」
 エレイナさんがロデリックくんに確認すると「証拠になるかどうか、ギルドの連中をここまで調べに来させるだけの根拠になれば問題ない。十分だ」ロデリックくんが爽やかな表情で答えた。
 一番奥の部屋と家人用の寝室を見に行っていたガイアスくんとジャックくんが、厨房の扉の前から「バッシュ」と声をかけた。
「厨房に入るみたい、僕行ってくる」
 そう言うとバッシュくんは壁伝いに急ぎ足でガイアスくんたちが待つ厨房の方へ歩いていった。
 厨房はエレイナさんとロデリックくんが調理の際にも使って見ている。
「ではは応接室へ向かうのだ!準備は良いかね」
「はいであります、シナップ隊長!」
 私とエレイナさん、ノアくんがビシッと姿勢を正して返事した。『シーバ隊長ごっこだ』
 シーバ隊長というのは犬族の中だけでなく文武両道の優れたヒトとしてガレディアでも多くの人から尊敬を集める人物なのだ。
「うむ、では参るのだ!」
 シナップ隊長の号令で私が扉を開けようとすると、ロデリックくんが前に立って扉を開けてくれた。
 私では万一の場合に頼りないと思ったのだろう。
 応接室の中へ入ると初めて中を確かめた時と同じように、色々な色をした光る物体が其処ら中にキラキラと漂って飛んでいる。
 とりわけきれいに見えたのは黄緑色の光だ。
「塵の種類によって色が変わるのだ」
 私が眺めているのに気づいたシナップくんが教えてくれた。

 エレイナさんも色とりどりの光を眺めて「塵だなんて信じられないくらい綺麗」と呟いた。
 光の反射が部屋をより幻想的に彩っている。
「人が『視る』ことをしないだけで、空気にはたくさんの物が混ざっているのだ。キミたちがいう『夢幻象』の光の正体の一部は、その物質を核にして結晶化した魔力がそれぞれの在り方でエネルギーを発して光っている、なのだよ。少々魔力の無駄遣いとも言える現象なのだ」
 最初に来たときより少し丁寧なシナップくんの説明にノアくんが「宝石や炎に色んな色があるのと似ているね」とキラキラ光る結晶を観察しながら言った。
 光は不思議に私たちとぶつかったりはしないで飛び回っている。
 ひとしきり応接室の中を確認し終えたロデリックくんが「光がたまに目の前で消えてしまうことがある」と言うとシナップくんが「魔力が少ない結晶が燃え尽きたのだ」と返事した。

「案外儚いものだな」ロデリックくんが漂って来た光る結晶に視線を向けた。

 一般的に『夢幻象』ではこうした光るものが現れること自体は珍しいことではなく、寧ろ『夢幻象』と言えば何か光ってる物が現れるという報告がついてくるの方が普通と聞く。
 それでもこれ程たくさんの光が現れているのはエレイナさんたちもはじめて見るそうだ。
 妖精が紛れている影響なのかもしれないね。

「シナップ、ノア、羊君、私とエレイナはそろそろ部屋を出たいと思うのだが?」
「うむ、ではこの部屋の調査はこのくらいにして、そろそろ我々もガイアス君たちと合流するのだ!」
「はいであります、シナップ隊長!」

 私たちが応接室から廊下へ出ると、ちょうどガイアスくんたちも厨房から戻って廊下へ出ていた。
「今朝エレイナたちから聞いた通り、こっちは特に変わった様子はなかった。そっちも変わりないか」
「変わり無かったのだ!」
「前に見たときの光景と似たようなものだ。見ただけでは光る物体が漂っている以外の異常には気がつかなかった」

 互いに見たことを言い合って報告を終えるとガイアスくんが言った。
「そろそろ昼メシの準備をしよう。腹が減ってきた」
 時刻魔導具を確認すると昼時の少し前だ。
「野菜はもう残り少ないが、バターとチーズがある。先に食堂へ行って他の食べ物を準備して待っていると良い。ガイアス、米と小麦。薬草を少し持っていくぞ。すまないがエレイナ手伝ってくれないか」
 ロデリックくんはそう言うと厨房へ歩いていった。

 ◇

「旨い」「美味しい!」
 乾パンや木の実を盛った皿の並んだ食堂のテーブルに、ロデリックくんたちが厨房で調理してくれた料理が加わると途端に良い香りと共に食卓が華やいだ。味もとても美味しい。
 甘味のある野菜とスープで煮込まれたお米の料理は特に美味しく感じられた。薬草を使うことでお米に綺麗な色がついている。
「依頼を受けて異国へ行ったときに食べたものを見よう見まねで作っているが、口に合うようで幸いだ。味はエレイナに確かめてもらっている」
 この美味しい味付けはエレイナさん仕込みらしい。
「そういえば『ギルド』でチラッと聞いたんだが、シーバ隊長の『百犬隊』が『ヤマルの森』の近くで周辺の警戒の任を請け負ってるらしい」
 とガイアスくんが言った。
 調査が終盤になって話題が『夢幻象』や屋敷以外のことに向くのは久しぶりかもしれない。
「私も聞いたが『百犬隊シーバ隊』を引っ張り出すとは随分大袈裟なことだ」ロデリックくんが湯呑茶碗でお茶を飲むと「調査の邪魔を余程されたくないのだろう」と言った。
 バッシュくんとノアくんが誇らしげな表情になる。
 一人残らず『冒険者ギルド』でいう銀級シルバークラス以上の精鋭揃い『百犬隊シーバ隊』を動かすということはそういうことなのだ。

 昼食をすませて片付けを終えた後は、屋敷を出る前の最終確認を行う。

「他に見落としていることは無いか」
「あったとしても現時点ではわからないな」
 食堂の状態も、食事の度に見ているけれど、屋敷へ来たとき以上の変化は見られない。
 靄の原因になっていそうな“魔物”も捕まえたし、この屋敷内の光る物体の正体も突き止められている。
 厨房の“魔物もどき”は勝手に動き回れないようになっているし、刃物やそれ自体が危険な物はガイアスくんとジャックくんが対策済みだ。
 ロデリックくんとエレイナさんも調理の時に都度見てくれている。今朝はガイアスくんとジャックくん、バッシュくんも見に行っているからね。

「ではそろそろ調査を終了するのだけど、報告は依頼を受けた『本部』にしか出来ないのだ?」
 シナップくんが時刻魔導具で時間を確かめながら、ガイアスくんたちに聞いた。
「そんなことはないぞ。王都内にある王都認定『冒険者ギルド』なら何処ででも報告書を受け取ってもらえる」
「日に数度、各ギルドで『伝魔』や『伝鳥』が飛ばされて情報がある程度共有されているの」
 伝鳥には種類があって、多くは『鳩』が使われている。中でも『ポーン』と呼ばれる『伝鳩』は長距離飛行能力と帰巣本能が高く、保有魔力も高い種が選ばれて『冒険者ギルド』が好んで使っている。
「依頼もその『情報』に含まれているから大丈夫だ」
 エレイナさんの言葉を引き継いでガイアスくんが言った。
 暗号化しなければならないような情報でない限り、ガレディアではこれが一般的な情報のやり取りになっている。
「報告書を受け取ったギルドはそれを『本部』へ送って、確認がされれば報酬が支払われる仕組みよ」
「なるほどなのだよ。ありがとうなのだ」
 今回の依頼はシナップくんとノアくんとバッシュくんの3人が引き受けたものになっていて、私たちは12歳以下の彼らを補佐する同行者として参加しているので報酬は彼らのものだ。
「他に気になっていることや知りたいことはあるか?」
「これからのボクたちの行き先なのだ。『ヤマルの森』の調査が出されたら西へ行く必要があるのだ。ならここから『本部』に戻るより、西にある『ギルド支部』に向かえばすぐに参加出来るのだ?」

『報告書の提出先』が気になった理由はそれらしい。
 提出期限は明日中、今から乗り合い馬車を乗り継いで移動すれば明日の今くらいか、遅くても日の明るいうちに西門の『ギルド支部』へ到着出来る。そこから『ヤマルの森』まで速い馬を乗り継げば数刻程度で到着するはずだ。

「それはそうだが」

 私たち大人はそれが都合良いけれど、シナップくんたちは大丈夫だろうか?
「そのペースで動くと明日までちゃんと休めないぞ」
 ガイアスくんが言うと、シナップくんがノアくんたちと顔を見合わせてうなずきあってから言った。
「平気なのだ!」

 行き先を決めると私たちは戸締まりを確認して屋敷を出た。
 外はとても良い天気で晴れ晴れとしている。
『夢幻象』に関わる証拠を逃がさないために窓の木扉は閉めたままだったから、屋敷内はどうしても薄暗かった。外は明るくて良い。

「陽の光は灯り石よりやっぱり明るいな!」
 ガイアスくんが大きく伸びをした。

 ◇

 ─翌日

 お屋敷の調査を終え、報告書を仕上げたシナップくんが西門地区ギルド支部に預かったお屋敷の『鍵』と報告書を提出し、無事依頼を達成させた。

 さらに日を置いて数日後─

 『夢幻象の仕組み解明に一歩近づく!』『空き巣常習犯捕まる!』という2つの見出がガレディア王都住民向けの地方紙を小さく飾った。



 ────────
 ────────

 □共有アイテム□

 ◇主な食料の在庫
 内訳(長期保存食料189食分)
 ◇嗜好品お菓子(魔導系回復あり)、各種調味料、未調理穀物5日分

 ◇魔力回復ポーション(EX102本、超回復74本、大153本、中647本、小970本)
 ◇治癒ポーション(治癒薬EX107本、超回復69本、大885本、中2,072本、小4,588本)、薬草(治癒1,059袋)1,059袋、他

 □各自アイテムバッグ
 ガイアス (魔力回復薬小3本)(治癒薬EX2本、超回復4本、大10本)薬草(治癒5袋、解毒5袋)麻痺解除薬5本

 ジャック (魔力回復薬小4本)(治癒薬EX2本、超回復4本、大10本)薬草(治癒5袋、解毒5袋)麻痺解除薬1本)

 エレイナ (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大6本、中1本、小3本)(治癒薬EX3本、超回復3本、小10本)薬草(治癒5袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)

 マクス (魔力回復薬EX3本、超回復5本、大5本、中5本、小10本)(治癒薬超回復5本、大5本、中10本、小20本)薬草(治癒18袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)

 バッシュ (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大2本)(治癒薬EX1本、超回復1本)薬草(治癒1袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)

 ノア (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大2本)(治癒薬EX1本、超回復1本)薬草(治癒1袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)

 シナップ 『塔にあるもの全部』
 ロデリック『私物とお菓子』

 □背負袋

 ガイアス 『共有アイテム』『バッシュとノアの本』『エレイナ、バッシュ、ノア、シナップの荷物』『食糧』

 ジャック (魔力回復薬EX11本、超回復10本、大50本、中210本、小140本)(治癒薬EX1本、超回復85本、大35本、中80本、小120本)薬草(治癒10袋、解毒10袋)麻痺解除薬2本)『もしもの時の燻製肉』

 エレイナ (魔力回復薬EX3本、超回復10本、大20本、中50本、小100本)(治癒薬EX5本、超回復25本、大30本、中50本、小50本)薬草(治癒60袋、解毒20袋)麻痺解除薬2本、万能薬3つ)『お菓子』

 マクス (魔力回復薬大10本、中100本、小100本)(治癒薬超回復50本、大100本、中200本、小200本)薬草(治癒1,000袋、解毒30袋)麻痺解除薬4本、石化解除薬4つ、万能薬4つ)『草』

 バッシュ (魔力回復薬EX5本、超回復5本)(治癒薬EX5本、超回復5本)薬草(治癒25袋、解毒5袋)麻痺解除薬5本、石化解除薬1つ、万能薬5つ)『カリカリフード』

 ノア (魔力回復薬EX5本、超回復5本)(治癒薬EX5本、超回復5本)薬草(治癒25袋、解毒5袋)麻痺解除薬4本、石化解除薬2つ、万能薬5つ)『カリカリフード』

 シナップ 『塔にあるもの全部』
 ロデリック『私物とお菓子』

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