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29話 獣王の御用達
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私たちが話を終えて『冒険者ギルド、カマル出張所』を出ると、太陽はすでに高い位置まで来ていた。
──百犬隊の無事は確認できたけれど、大陸全土で魔物の異変が起きている。
魔物たちが徒党を組んで何かを行うようになったという異変が、魔物の脅威を、これまでと比較にならないほどに増幅したと私に感じさせていた。
──異変はここアルファルト大陸だけでなく、世界中に及んでいるのかもしれない。東の大陸で魔物が力を増しているという噂だって本当のことかもしれない。
レオパルド領域でカマルの冒険者パーティが魔物の襲撃を受けたこと、何よりも消息がわからなくなっていた百犬隊が、この大陸から出て東の大陸にいた事実が、私にそう予感させる。
彼らは今も東の大陸にいるだろうか。
また何処か別の大陸へ移動してしまったのではないか。
──移動したのか、移動させられているのか。移動したのであれば、大丈夫。けれど移動させられたとしたら?
ブンブンと私は頭をふった。
百犬隊は伝梟を使って全員の無事を報せたのだ。伝梟は伝鳩よりも遥かに多くの情報を持ち帰る。
──彼らは伝梟を飛ばすことが可能な状態に戻っている。
何より彼らはバカみたいに強くて、魔導にも精通していると言うのだからね。ここで何も見ないで私が想像するばかりじゃどうしようもない。行って確かめなくてはわからない。
私は気持ちを切り替えようと周囲に目を向けた。
少し離れた通りから子供たちの楽しげな声が聞こえてきた。
数人で地面の砂地を棒で引っ掻き、なにかを描いて遊んでいるようだ。
それを見て、私は不意に『島』の古い遺跡の壁画を思い出した。
島の壁画はおおよそで3,000年前の物とされていて、壁画には羊人たちが祈りを捧げている様子などが描かれている。一説では降臨した神に祈りを捧げている場面だと云われているが、定かではない。
世界には『島』の壁画なんかより、もっともっと古いものが存在する。
何万年も昔の人々に描かれた、色のついた精彩な壁画が各地で見つかっているのだ。
その多くには当時の魔物や魔獣以外にも野性動物が描かれているため、大昔の、古代のヒトが狩り場を伝えるための絵であるという説の他、神への捧げ物、祈りの儀式の一部という説がある。
あれこれ意味が唱えられてはいるけれど、私個人としてはヒトは本能的に絵を描くのが好きな生き物なのだろうと思っている。
──ヒトの子供の多くは、教えられなくても描きたがる。
『島』に限らずガレディアやメルン、その他の国や地域の洞窟や古い遺跡や祠からも壁画は発見されており、古い地層や壁画の近くの遺跡などから文字の刻まれた石板や木片、粘土板の破片などが出土している。
そして、鍛冶や建築、農耕、織物、医学、工学、天文学、再現が可能な魔術式をはじめとする魔導力学と、魔力の干渉を極力排した実験物理学と理論物理学。高度な数学の知識と論理的思考が無くては成し得ないであろう建築物の痕跡と、記録の数々。
こうした古代の遺物がこれまでに数多く発見、報告されている。
現代の文明の起こるはるか昔に存在した高度な文明。
これらは『失われた古代文明』と呼ばれている。
魔物や魔獣の巣窟となっていたり、迷宮化で調査が進まないこともしばしばあるものの、発見された遺物から、昔の人々が記録と思考のために古くから植物や布、狩りで得た獣の骨や皮までも利用していたことがわかっており、さらにはより品質の良い紙を作るための研究も行っていたことがうかがえる。
不明なことは多くても、現在よりずっとはるか遠く、古代のヒトたちが想像以上に高度な試行錯誤を繰り返してきたことは疑いようのない事実だ。
中でも近年急速に注目されるようになっているのが、3,000年前にアルファルト大陸にあったとされる『トリスタニア文明』……
そこまで考えて私は思い出し、そして気がついた。
──塔型迷宮にシナップくんという管理者がいることを知る前に『謎のローブの人物』は言った。『ここは外れだと思ったが大当たりだ』と。
『何者か』が塔型迷宮を『大当たりの迷宮』だと考えたのは、数千年もの間塔型迷宮を維持する膨大な魔力を持った魔宝石、或いはそれに準ずる魔力資源の存在に気がついたからだ。そう考えたから私たちは、その在りかに繋がるシナップくんが狙われる危険を危惧してきた。
『謎のローブの人物』の狙いは『魔宝石』
本当にそれだけだろうか。
そもそも実際に塔を維持する力となるのは魔宝石だけではない。
『ローブの人物』が言った『大当たり』とは。
それが示す本当の意味は。
“塔型迷宮がトリスタニア文明の遺産そのもの”という意味ではなかっただろうか。
南門から今日も荷を運ぶヒトたちがやって来た。
変わっていく状況と裏腹に、街の活気は失われていない。
明るいガイアスくんの声がした。
「腹が減ったな!今日も“獣王の御用達”で昼飯にしようか!」
今日は所長さんの計らいで、予定していた警戒の任務が休みになった。百犬隊の捜索について改めて話し合うのに“獣王の御用達”は良い場所だ。
北は昨日イシュタルさんが構築した障壁がまだまだ機能しているし、街の冒険者パーティも1組を除いて戻ってきていることもあって、人員に余裕が生まれている。
「そうね!」「美味しかったからね」「賛成なのだ!」
「所長さんの話だとあのお店の料理を食べると“力”とか“スタミナ”が上がるらしいんだ」
百犬隊の無事を知らされ元気を取り戻したバッシュくんが、ガイアスくんの肩に乗ったままで、珍しくやや興奮気味に言った。
「王都にたどり着くまで日持ちしない食材の中には、身体機能向上効果の高いものがあるって言ってたよね。“獣王の御用達”ではそれを工夫して調理した料理を研究して、お客に振る舞っているんだって」
バッシュくんが言いながら目を細めた。
「そういえば魔獣用の専用フードの開発もしているみたいだったね。ヒト用の料理も能力上昇で研究しているというわけだね」
「美味しく食べて強くなれるなんて最高だよね!」
バッシュくんがそう言うと、ガイアスくんが
「バッシュ、ちゃんと聞いてたか?効能は普段の頑張りをちょっと底上げしてくれるくらいなんだぞ。期待しすぎちゃダメだぞ」
するとエレイナさんが口もとに手を当てて笑った。
「そう言うガイアスだって料理の効能目当てなんでしょ?」
「まあな。けど、期待しすぎて後でガッカリしたくないだろ?」
「繊細だな!」
「言ってるだろ?俺は繊細なんだって」
そうやって話しているうちに、食事処“獣王の御用達”に到着した。
私たちより先にお店の前にヒトがいて、何人かが中に入っていく。
昨日の夜に訪れたときより混雑しているみたいだね。
「席が空いてるといいな」
ジュエルスライムのエドくんが、返事のつもりなのかプルプルっとした。エドくんのボディが一瞬だけ、いつもよりキラキラしているように見えた。
◇
店に入ると、お昼直前で混雑はしていたけれど、まだ満席になるほどにはなっていなかった。
お客さんたちの声で店内は賑やかだ。
「へい、らっしゃい!」
威勢の良い声に迎えられ、昨日と同じように話の出来る個室が空いていたのでそちらへ案内してもらい、料理を注文していく。
個室ならジュエルスライムのエドくんが万一喋ってしまってもどうにかなりそうだし、話しやすい。
「これは前回食べなかったお品なのだ」
シナップくんがそう言うと
「そちらはお昼限定の品書きなんです」
にこやかにピンクの前掛けの店員さんが教えてくれた。
美味しそうな挿絵が描かれている。
「東の大陸のメルンで食べられている小麦の生地に具を乗せて焼き上げた軽食を参考に、料理長が考案したんすけど、思いの外人気で、うちのお昼の定番になったんす!」
「薄切りのパンにお客さんが好きな具を乗せて炙った物を食べるのね」
「美味しそうね!」「濃いめの味付けの具材を乗せても旨そうだな」「肉を乗せて食べるのも良い」
「折り畳んで食べて頂くと食べやすいっす!」
と食べ方の説明もしてもらった。
大きめのテーブルに注文した料理がドンドンと並べられていく。昨日来たときにエドくんが少し喋ってしまって、ピンクの前掛けの店員さんを驚かせたはずだけど、他の店員さんも含めて誰も追及したりする様子がない。
「ジュエルスライムくんにまた試食で協力してほしいっす」
ピンクの前掛けの店員さんが愛想良く言って、シナップくんが快く応じた。
エドくんがこの時無言で不機嫌そうにしたのは、飼い魔獣扱いに対してなのか、口に合わないフードを思い出したからなのかは、不明である。
料理を並べ追えて店員さんが部屋から出た後、ガイアスくんが言った。
「エドが喋った時は焦ったが、追及されなかったな」
「あの所長や自警団が頻繁に利用するだけのことはある」
ロデリックくんはそう言うと機嫌良さげに目の前の肉料理を早速口に運んだ。
大柄な体格のロデリックくんやガイアスくんでもゆったり座れる椅子なので、たまにある窮屈そうな感じが今日は見られない。
木製のテーブルは暖かみがあって落ち着く雰囲気だ。
シナップくんとピンクの前掛けの店員さんが、ジュエルスライムは何でも食べると言っていたけれど、それは“食べても平気”という意味合いであって、どうやら食べ物の好みとかはあるようだ。
◇
「それで、これからのことだが」
しばらく出された料理を食べ進めて、ガイアスくんが言った。
「これ迄も話し合ってきた通り、国が編成する百犬隊の捜索隊には参加せずに俺たちで百犬隊の足取りを追う予定なのは変わらない。それで問題ないか?」
「ああ」「問題ないわ」「はい!」「問題ないのだ」「うん!」
私も含めて全員が頷いたのを確認し、ガイアスくんが続けた。
「俺たちの予定では時期を見てワルゴ方面とカルディナを捜索するつもりでいたが、状況が変わったのは承知の通りだ」
「行き先を変更するかどうかだな」
ジャックくんが言って、ガイアスくんがそれに頷いた。
「百犬隊が東の大陸にいたのは伝梟の報告で明らかになっているが、短時間でアルファルト大陸から東のヘゼリア大陸まで移動したことを考えると、今も東の大陸にいるかはわからない」
「でもメルンへ行けば百犬隊の足取りや、何が起きているのか解る可能性は高いもの!」
エレイナさんの気持ちはハッキリ決まっている表情だ。
東の大陸まで行くことを厭わないだろう。
「エレイナが行くというなら、私が付いていかない道理がない」
ロデリックくんが果実酒を飲みながら言った。
ジャックくんと私も東の大陸に渡ることに異論はない。
シナップくんに至っては楽しみにしている様子さえ伺える。
「東の大陸にはまた別の甘食があるに違いないのだ!」
するとバッシュくんとノアくんが顔を見合せた。
「僕たちはガイアス君たちがそれで良いなら有り難いと思うんだけど、無駄足になる可能性はあるんだよ」
バッシュくんが遠慮がちに言って、ノアくんも頷いた。
その表情はどこか決意めいたものを滲ませている。
まさか2人だけで行くつもりだろうか?
そんなことさせられるはずがない。
私が何か言うまでもなく、ガイアスくんたちが当たり前のように話す。
「百犬隊の一件には『何者か』の関わりも十分考えられるからな」
「なら塔が襲撃を受けたボクも無関係じゃ無いのだよ!」
「ヒトや都市を襲うためにヤツが魔宝石を狙うなら、今のうちに何とかしないと不味いだろ」
「とにかく情報は必要だ」
「この任務が一段落ついたら準備して発とう」
私たちは全員でお互いにうなずきあった。
「ワルゴのように移動の制限がかかる前に東の大陸に到着したい」
東の大陸に着けば、シナップくんからもらった『攻略の証』を使って塔型迷宮を経由し、いつでもアルファルト大陸とヘゼリア大陸を行き来することが可能になる。
「『塔型迷宮』の出番なのだよ!任せるのだ!」
「ああ、よろしく、シナップ」
こうして私たちは互いの意思を確認し、東の大陸へ渡ることを決定し、昼食を済ませた後はその準備を含めて街で買い物をする。
「小さいが良い魔導石が置かれた店がある」
そう言って歩きだしたロデリックくんについていく。
「店主が変わった技術を使う人物らしく、作る魔導石も一風変わっている」
「へえ、どんな魔導石を作るんだ?」
「行ってみればわかる。特に羊君が使うと良い」
ロデリックくんに言われて私は嬉しくなった。
「私に向いた魔導石か、それは楽しみだね」
出来れば魔物や魔獣を捕獲したり、もっと確実に追い払えたりするような魔導石があれば欲しい。
バッシュくんたちも興味津々だ。
「僕らが思い付かない魔導石がたくさんありそう」
「加工魔石も置いてる?」
エレイナさんが明るい声でロデリックくんに聞いた。
「あまり気にしなかったが、置いてあるだろう」
ロデリックくんがそう答えると、ガイアスくんの肩に座ったままバッシュくんが「店主さんが魔術師だと売らないお店も多いんだ」と言った。
加工魔石は魔力や魔術を込められるように加工された魔石のことを指している。単に加工石と呼ぶこともある。
商売導具なので、商品としては売らない店主さんが多いのだろう。
「魔石を自分で加工してもいいんだけど、売っていれば買っておきたいわ」
そういえばエレイナさんたちは自分でも魔石を加工して作ることが出来るんだよね。
バッシュくんとノアくんが塔型迷宮で魔石を工夫していたし、魔冷庫まで自作してくれたのだった。
改めて考えるとすごい。
所長さん口ぶりだと、私たちの警戒任務はおそらく明日が最後。人員のあてがついてきたと言うのも大きいし、あの所長さんはバッシュくんたちを気にかけてくれている感じがするからだ。
東の大陸へ渡れば必要なもののほとんど現地調達になるし、塔型迷宮も利用する。
持ち込めるものは準備していくけれど、出来れば時間をかけずに発ちたい。
「まだ東の大陸での魔物の異変は伝わってきていないが、今後もそうかわからない」
私たちもそれにうなずく。
話しながらしばらく歩くと、“魔導石店バザック”と書かれた看板のお店が見えた。
◇
「いらっしゃいませ!」
扉を開けて店に入ると、女性店員さんの元気な声に出迎えられた。
比較的広い店内の奥に会計の受付台があって、小柄な兎族の男性店員さんが立ってお客さんに応対している。
明るい色調の店内は、私が想像していたよりきらびやかでちょっと派手だった。
水晶製のケースに収められた魔導石が宝石のように美しい。
そして
「高いな」
ガイアスくんが小声で言った。
私は無言でうなずいた。
使用されている魔石の種類や品質もいかにも良さそうなのだ。
よくよく見ると、店員さんたちの着ている制服もしつらえたような上質のものに見える。
エレイナさんとバッシュくんたちがロデリックくんに焦った表情をしている。
エレイナさんが小声で言った。
「ねぇ、ロデリック。私たち、場違いじゃないかしら?!」
けれど、ロデリックくんは特別に気にしている様子もなく、エレイナさんやバッシュくんたちの態度を不思議そうな顔で見返した。
エレイナさんたちが何を気にしているか、本気でわかっていなさそうなロデリックくんが言った。
「場違いであるわけがなかろう。この品質の魔導石を取り扱うだけの実力を私も君たちも持っている」
するとガイアスくんの背負袋に入って店内を見ていたシナップくんが「あれなんかすごく面白い魔導石なのだ!」と指差した。
「シナップ、君は目の付け所がいい!あれは私が羊君に勧めようと思っていた魔導石だ」
どんな効果なんだろう。
少し楽しみだ。
私は早速シナップくんが指差した魔導石の効果を確かめる。
『誘引石』
〈魔物や魔獣を引き寄せます!〉
「………」
「どうだい!羊君、素晴らしい効果だろう」
私がなんと答えていいかわからないでいると、ガイアスくんとジャックくんが
「訓練にも使えそうじゃないか!」
「これを使えば討伐依頼が捗りそうだな!」
なるほど、そういう使い方をするんだね。
てっきり、私を囮にするための魔導石かと思ってしまった。
勘違いを反省しかけた私に無情にもロデリックくんが言った。
「羊君が使えば、我々に有益だ」
◇
「このお店はなかなか個性的なのだよ」
ガイアスくんが前に抱え直した背負袋の中から、シナップくんが楽しげにケースに収められた魔導石を物色している。
「はじめは少し高いと思ったが、悪くないな」
ガイアスくんがそう言うと、ロデリックくんが言った。
「当然だ。価格に見合ったものが置かれている」
なるほど。言われてみれば他の店と品揃えが全く違う。
一般的なお店に置かれている魔導石というのは、火を点けたり、魔物を追い払ったり討伐するための護身用魔術が込められた『黒魔石』、他に『青魔石』『白魔石』と呼ばれているものがある。
大抵が中銅貨から、大銅貨くらいで買える使い捨ての消耗品だ。
『青魔石』や『白魔石』は、日常生活に関わる術が安価で手に入る魔導石のため、手軽に費用を抑えたいヒトや魔力の少ないヒトの強い味方になっている。
こうした魔導石の普及で、魔力を使わない油や、燃える気体を利用して火や明かりを灯す道具や設備は、魔力資源の発見と精製技術の向上、魔導技術の発達で消えつつある。
市場などでは、規格から外れた大きさにばらつきのある魔石が、袋詰めで売られている。用途は限られるものの小銅貨1枚に満たない、魔石1個当たり4ゴッズ以下という割安で手に入る。
魔導技術の資格を持ったヒトが、自分で刻印したり燃料魔石として使うのだ。半刻くらい灯りを灯す程度や、着火1回分くらいの魔力を持つ。
魔導技術の初級資格は魔力を必要としない技術のため、比較的多くのヒトが所持する生活技術だ。
エレイナさんやバッシュくんたちの加工石造りの簡易版のような技術で、彼女たちのように自分の魔力で調整を行うような真似は私には出来ないけれど、初級は一応私も所持している。
このお店ではそういう市場で簡単に手に入るような、手頃な価格の魔石や魔導石が見当たらない。
「これなんか罠として使えそうですよ」
シナップくんと一緒に背負袋に収まったノアくんが、いつもと違う不穏な雰囲気で言った。
同じく背負袋に収まったバッシュくんもニヤリと悪い表情で、コクりと頷き同意した。
モフモフとした愛らしい見た目の2人だけど、まれに不穏な雰囲気を醸し出すことがある。
『壁石』〈物理耐性の障壁を一定時間具現化します!3/3回〉
『網石』〈網が飛び出す魔導石!10/10回〉
『扉石』〈頑丈な扉を設置可能です!5/5回〉
この3つはそれぞれ書かれたものが現れる魔導石だ。
確かに使い方次第で罠としても使えそうだね。
扉が出現する魔導石なんかはヒトを対象にしている。
賊なんかと対峙するときには良さそうだし、網は捕獲に使えそう。
壁は色んな用途がありそうだ。
使用者の魔力の適正に合わせたものもある。
安いもので1つが1ゴールド高いものは100ゴールドは下らない。
金貨や黄銅貨、ゴールド紙幣が普通に扱われる店
──ロデリックくんは言わないけど、ここはゴールド以上の貨幣しか使われない、上級者向けのゴールドショップの類いかもしれない。
冒険者や探索者がよく利用する店でも、魔石価格は1つ4シルバーが主流で、魔導石でも1ゴールドを超えることはあまりない。
私たちが見ている小さな魔導石は10ゴールドもしている。使い方によっては直ぐに大赤字だ。
「どれも値の割に質の高い魔石が使われてるね」「うん、こっちは魔宝石だよ」バッシュくんとノアくんが言った。
──高いけれど、効果は期待できそうだね。
『障壁』の魔導石があれば私でも、バッシュくんたちのような防御壁を用意したり出来るし、『網』の魔導石なら地縛りの効かない魔物や魔獣に対応できる。
『扉』は敵を騙す以外にも通路に安全域をつくるのに役立つかもしれない。
障壁と捕獲に使える網の魔導石は購入決定だ。
いくつかの魔導石の性能が、昔友人と一緒に考えた物と似ているものもあって、懐かしく感じたりしながら見ていく。
そういえばロデリックくんは何を見ているんだろう?
少し気になって付いて見てみると、指輪やピアス、ペンダントなどの装飾品が並べられている。
金や白金が鎖や台に使用され、価格も見た目も王都の魔宝石店みたいだ。神聖金や神聖白金ではないようだけど、魔術文字が刻まれているし、体力や魔力が回復するように加工のされた魔宝石があしらわれている。
いつの間にか一緒に見ていたガイアスくんが、目を丸くして感想を言った。
「着けてると賊に襲われそうだな」
治安の良いガレディアの表通りで金品目的に襲われることは滅多に無い。
けれど、ヒトが少なくて暗がりにもなりやすい裏通りや地域によっては魔物に関係なく物騒な世の中だ。金品絡みでは下手な魔物よりヒトの方がむしろ残酷で恐ろしいことがある。
子供だろうとお年寄りだろうと、女性でも男性でも、それが身内であっても、自分より恵まれていそうだから、弱そうだからと、下らない理由と自分勝手な理屈で狙うヒトが、少ないとはいえどこにでも世の中にはいるのだ。
「シナップ、気を付けるんだぞ」
ペンダントやイヤリング、腕輪もそうだけど、シナップくんは売れば高そうな装飾品を身に付けているから、心配になったガイアスくんが言った。
そんなガイアスくんにシナップくんが
「大丈夫なのだ!」
と元気に対応する様子を見ながら私は思った。
シナップくんなら、賊なんて返り討ちに出来ちゃうんじゃないかな。
シナップくんは塔型迷宮で、たった一人で大掛かりな氷の障壁を作り上げ、たくさんの魔物もあっさり倒せてしまうほど強い。
それに、私はエレイナさんやバッシュくんたちでも難しいという創造魔術や空間魔術を普通にやってのけるシナップくんの魔力量に限界があるのかもよくわからない。
その割にシナップくんから強い魔力は感じられない不思議さがある。
もちろんシナップくんに限らず、強い魔力の持ち主が普段から魔力を放っていたりしないのは普通だ。
魔力で居場所がわかってしまうようなのは、何かしら理由でもない限り双方に生きづらいし、周囲を傷つけることにもなりかねない。
それで考えてみても、シナップくんの魔力は大きさの割に捉えにくい。
バッシュくんたちによると、シナップくんがどの程度意識しているか不明だけれど、息をするように圧縮と安定した力の扱いをして魔力を上手に体の内側におさめている状態らしい。
3,000年もの間眠り続けて正常に目覚めることが出来たのは、術者の力量のみならず、そうした術を受ける側であったシナップくん自身の力量も関係があると推測しているようだ。
──最初から身につけている装飾品にも秘密がありそうだよね。美しい文様のように細かく刻まれているのは、おそらく古代トリスタニアの魔術文字だ。
「ありがとうございました!」
魔導石店のあとも、いくつか店を回り一通り買い物を済ませる頃には日が傾き始めていた。
「値は張ったが、良い買い物が出来た」
「面白い魔導具が手に入ったのだ」
ガイアスくんたちの会話を聞きながら、私はさして広くない『カマル』という街が、宿場町として賑わいを見せている理由がわかった気がしていた。
◇
買い物を済ませて、早めの夕食のために再び訪れた食事処“獣王の御用達”の一室。
「今度のメルルクフードはエドくんに好評みたいで嬉しいっす」
ピンクの前掛けの店員さんがにこやかに言った。
よく見ると縞模様の前掛けの角に、お店の名前と立派な獅子の絵が配置されている。
「それではごゆっくりお過ごしくださいっす!」
料理を運び終えた店員さんたちが部屋から出て行った。
それを確認すると早速ジュエルスライムのエドくんが
『しゃべってもいいのだ?』
と声を出した。
「静かに話すならいいのだよ。店員のヒトが来たら黙るのだ」
『わかったのだ』
シナップくんが言うと、エドくんが嬉しそうにした気がした。
二人の声と話し方は似ているので、万一の時はそれで乗り切ることになっている。
大丈夫!
テーブルの席では早速ガイアスくんたちが明日について話し合っている。
「明日の警戒が、ここでの任務最終日になるかも知れないが、気を抜かずに対応しよう」
「イシュタルさまの魔障壁がまだあるから、私たちの出番は少なそうね」
幹線道沿いの結界の補強も進んでいるから、魔障壁が消えた後も心配は少ない。
明日の確認のあとは大陸を渡る手段だ。
船は現状で使えないうえ時間もかかりすぎることもあって、私たちは飛行船を利用することになる。
「ワルゴの飛行船乗り場以外だと、カルディナ、砂漠都市の乗り場がここからだと近い」
「距離だけなら砂漠だが、そこまでの移動が問題だな」
砂漠の飛行船場は大陸西の端の方に位置しているため、砂漠を横断しなければならない。
一番近いのはワルゴ方面にある飛行船乗り場だけれど、現在は通行制限で貨物便以外で利用できない状態だ。
王都には残念ながらヒトを運ぶための飛行船乗り場がもともと無い。東の乗り場は地理的に遠く、地図で見ると小さいけれど砂漠地帯がある。
私たちが乗り場をどこにするかあれこれ思案していると、出された料理を全部平らげたエドくんが不意に言った。
『シナップ、飛行船が使いたいならあるじゃないか』
「え?」
『え?』
シナップくんがきょとんとしている。
心当たりが無いみたいだ。
するとバッシュくんとノアくんが思い出して言った。
「そういえばシナップ、前に反重力の魔石の話をしてくれてたけど」
「それを使った乗り物があるの!?」
「……でもあれは飛行船なのだ??」
『超飛行なのだ』
シナップくんに聞かれてエドくんが返事し、バッシュくんたちが「飛んで移動できるなら飛行船だよ」とコクコクと頷いた。
「……確かにあれは厳密に言えば飛行なのだ!」
シナップくんの返答にバッシュくんとノアくんの瞳が驚きと期待と共にきらめいた。
ただシナップくんは乗り物を飛行船とは何か違うものだと思っているようだ。仕組みが全然違うのだろう。
「あれを使えば大陸もひとっとび……と言いたいところだけど、ダメなのだ」
「どうして?」
「あれは動かすだけでも、とてつもないエネルギーを必要とするのだ。忘れてたから確認してないけど、3000年の間でエネルギーはさすがに少しずつ放出されて燃料が空っぽのはずなのだ。再充填しないといけないのだ」
『やれやれなのだ』
「エド、うるさいのだ。ボクはまだ寝起きなのだ。魔石の在庫はあるのだ。充填作業には取りかかれるのだ」
どうもすぐには動かせないせいで、アタマから除外してしまっていたのかもしれないね。
残念だけれど、動かせたとしても大きさによってはとても目立つかもしれない。『何者か』のことを考えると、今はまだ使わない方がいいに違いない。
「うーん、急いでも充填にまだまだ時間がかかるのだ。宿に戻ったら塔で機体を見るだけ見てみるのだ?」
「み、見たい!」「いいの?」
「かまわないのだ」
『そうだ、ボクが乗ってきた飛行船はキミたちには小さすぎるけど、先に見せてあげるのだよ』
エドくんが何気なくそう言ったと思うと、グニャリと空中に歪みのようなものが生じる。
そこからなんと、エドくんより少し大きいくらいの円筒形の容れ物のようなものが空中に現れたので、エレイナさんが驚いて紅茶を盛大に溢してしまった。
「わッ、ごめんなさいっ」
「いや、魔術がよくわからん俺でも驚いたからなー」
驚いた拍子に私も無意識に手を動かしたらしく、卓上の調味料容れが倒れている。
飛行技術は東の大陸が最先端であり、アルファルト大陸ではまだ自国の魔導飛行船は技術的にもメルンに及ばないと言われている。
これが1人乗り用の魔導飛行船かぁ……。
うっすらと光を帯びた、銀白色の円柱形の物体は、回転羽根もないのにフワフワと確かに浮かんでいる。
周囲に風が起きている様子もなく静かだ。
おそらく魔力の元素から得られる莫大なエネルギーを原資にした技術に違いないけれど、高純度の魔石か匹敵する魔力が使用されている。
特筆すべきはその莫大なエネルギーを、暴走させずに制御している魔導技術だ。
「エドちゃんも空間魔術を使えたのね……すごい」
「ちょっと光ってるじゃないか。よくヒトに見つからずにここまでこれたな」
「地上を移動して来たのではなかったのか」
「操縦できるのか」
「どこから入るんだ?」
「こんなに小型の飛行船?!それが反重力なの!?」
現代でも一応、大型飛行船はずいぶん前から飛ばせていて、新型も近年開発されているけれど。小型の乗り物としての飛行技術のほうはあまり芳しくない。
魔力の源である元素を発見、特定した魔導工業大国メルンですら、低空での飛行が可能な魔導車を自国で試験的に、それもごく一部の地域でだけ普及させはじめたばかり。
そういう意味ではガレディアの飛行技術のほうは、魔導術が主体となっているからなのか、一部の技術は先を行っていて、メルンとは事情が少し違う。
風属性の魔力で大気に干渉し揚力を得る術式や、風属性に分類される軽い要素を生み出して揚力を得る術式が、メルンが魔力の元素を特定し、メルキナと命名するよりも早い時代からガレディアには存在している。
私は知らなかったけれど、その他にも例えば衛兵のクジョーさんが使い魔で筆記具や紙を、少しはなれた場所にいるヒトのところまで送り届けたような術式で、知名度と使える人が少ないだけで存在するそうだ。
それでも個人が空飛ぶ小型の乗り物で移動することが、世界的に未だ当たり前でないことは間違いないのが現状だ。
驚いたガイアスくんたちがエドくんを質問責めにするのを眺めながら、私は近く必ずやってくる未来に思いを馳せながら湯呑茶碗のお茶をゆっくりと啜った。
◇
「美味しかったのだー」
「お腹一杯だね」
“獣王の御用達”で夕飯を済ませて店を出ると、薄暗くなった通りに植えられた花や植物が、日中にためた魔力を使って淡く光り始めていた。
今後の計画も具体的に決まってきて、あとは宿に戻って細かい予定の調整だ。
「明日の警戒が終わったら王都へ戻る。それから渡航の準備を始めよう。それでいいか?」
ガイアスくんが声をかけるとバッシュくんたちが頷いた。
「よし。それと、こちらからヘゼリア大陸へ武器は持ち込めないから預けるとして、金の両替も必要だな」
飛行船は王都から距離はあるけれどヘゼリア大陸に最も近い東の乗り場を使うことになった。
シナップくんの塔型迷宮のある場所からさらに東の地域だ。
先に王都にある航空案内場で飛行船の搭乗予約を取り、その日程に合わせて準備を進める。
飛行場の乗り場まで駿馬が牽引する強化馬車なら通常3日。
普通の馬車や魔導車で早くて15日、通常の移動速度で30日程度かかる距離がある。
最速の駿馬の速さと悪路にも耐える、最新素材と技術で強化された馬車はよほど重要か、急ぎの荷でもない限り使用の許可は出ないのは互いに確認済みだ。
そして王都を出た後は東の飛行場まで、そもそも私たちは馬車を使わない予定だ。
なぜそういう決定になったかと言えば……
◇
ーー時間を遡って“獣王の御用達”
食事をあらかた終え、口元を布で拭いながらロデリックくんが言った。
「百犬隊の足取りを追う前提の提案だが、どうせならこの機会に戦力の底上げを本格的にやるのはどうだ。今のままでは塔に現れたヤツと対峙したとしても、また逃げられる」
その事はおそらく全員が考えてきたことだ。
塔型迷宮で私たちはシナップくんを除いた7人で対峙し、結果ローブの人物には逃げられている。
相手はヒルデブラントくんと合わせてたったの2人。
去る直前の口ぶりも、ローブの人物はまるで本気ではないといわんばかりだったことを思い出す。
あれはきっと負け惜しみではないだろう。
「退けたのだと言えば聞こえは良いが」
「そうね。今のままではたとえ装備専用魔石を使ってもきっと」
「他の仲間や手下が一緒に現れでもしたら、今のぼくたちでは全く歯が立ちません」
私たちの様子を、とりわけしょんぼりするノアくんとバッシュくんを確認したロデリックくんが不敵に笑った。
そして私たちをまるで試すように言ったのだ。
「百犬隊に追い付いても、今のままの我々ではただの足手まといだろう」
ロデリックくんの言葉にバッシュくんとノアくんがハッとしたように顔を上げた。
エレイナさんは固い表情で動きを止め、ガイアスくんが息を吐いた。
「お前の言うことはわかるが、だからといって訓練をして成果が出てからじゃ、出発がいつになるかわからん。それに俺はバッシュたちは今のままで十分だと思うし、そもそも俺たちが欲しいのは情報だ」
私もガイアスくんに同感だったけれど。
「バッシュたち自身が十分だとは思っていないんじゃないか?」
ロデリックくんの言葉にガイアスくんが首をふった。
「エレイナもバッシュたちも、この短期間で順調に力を付けてきている。これ以上焦る必要はない」
「そうなのか?」
ロデリックくんがエレイナさんに問いかけ、同時にバッシュくんたちを見る。
「僕たち……」
迷うような表情のバッシュくん。
「ロデリック!白金級のお前のペースに巻き込むな」
席から立ち上がってロデリックくんを諌めようとしたガイアスくんを、バッシュくんとノアくんとエレイナさんの3人が止めた。
「私、ロデリックの話を聞いてみる」
「僕も」「すみません、ガイアスさん」
そこで成り行きをみていたシナップくんが、口を開いた。
「話の流れでロデリック君も出発まで時間をかけるつもりはないはずなのだ。その上でボクたちを強くすることが可能な、何か特別なプランがあるのかね?時間を犠牲にするだけの価値のあるプランかね」
「当然だ」
こうして私たちはロデリックくんの計画案というのを聞いて、乗り場と移動手段を決定することにしたのだった。
◇
「シナップに頼らず、馬車も使わず、飛行船乗り場までの移動を鍛錬に充てるのはわかる。だが王都出発から15日以内の到着を目標と言うのはちょっと無理が無いか?俺とジャック、お前だけならわかるが」
「少し無理を目標とするくらいでなければ、鍛えられん」
「いいんじゃないか?3日で完走しろと言われている訳じゃないし」
「当たり前だ!3日でなんてメルンの最速魔導車でも無理だろ!」
「だが百犬隊は大陸を7日で横断できたと聞いたことがあるな」
「あ、さすがにそれは誇張です。実際には20日ほどかかったそうですよ。ですがシーバ隊長が西の砂漠から最東部にあたる東の港町まで僅か7日で走って戻ったという逸話は真実です」
「流石だよね!」
「シーバ隊長……」「マジか」『生身で!』「駿馬並みなのだ」
「ふっ、彼らに追い付くためにはまだまだ鍛練が必要ということだな」
「はい!」
「気合いを入れて取り組め!」
「はい!」
「……とりあえずこの話の続きは部屋でしよう。細かい計画の詰めは明日の警戒任務をきっちり済ませた後からだ」
「そうね。ところでガイアス、私」
「ん?」
「ロデリックのこの計画、少し楽しみかも!」
「僕もだよ!」
「そうか……まあ、俺も思っていたほど過酷で無謀な強化計画案じゃないのは確かだ。だが王都を出て15日以内というのは……」
ガイアスくんが少し和らいだ表情でそう言うと、ロデリックくんが口角を上げた。
「オレはカルディナの上級ダンジョンにでも放り込まれるのかと思った。ガイアスもそう思ったんだろ」
「ああ。入場券もあるからな」
「心配するな。まだそんなこと言わん」
ガレディアの王都から大陸東の端まで直線でおおよそ3,000カロノーツ。※メートル換算6,000キロ
魔獣も魔物もいる道程だ。
賊に襲われる危険もある。砂漠もある。
これは十分にとんでもない強化プランなのではないだろうか。
私は頭の中でそう思った。
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□共有アイテム□
◇主な食料の在庫
内訳(長期保存食料165食分)
◇嗜好品お菓子(魔導系回復あり)、各種調味料、未調理穀物5日分
◇魔力回復ポーション(EX102本、超回復74本、大153本、中647本、小970本)
◇治癒ポーション(治癒薬EX107本、超回復69本、大885本、中2,072本、小4,588本)、薬草(治癒1,059袋)1,059袋、他
□各自アイテムバッグ
ガイアス (魔力回復薬小3本)(治癒薬EX2本、超回復4本、大10本)薬草(治癒5袋、解毒5袋)麻痺解除薬5本
ジャック (魔力回復薬小4本)(治癒薬EX2本、超回復4本、大10本)薬草(治癒5袋、解毒5袋)麻痺解除薬1本)
エレイナ (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大6本、中1本、小3本)(治癒薬EX3本、超回復3本、小10本)薬草(治癒5袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
マクス (魔力回復薬EX3本、超回復5本、大5本、中5本、小10本)(治癒薬超回復5本、大5本、中10本、小20本)薬草(治癒18袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
バッシュ (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大2本)(治癒薬EX1本、超回復1本)薬草(治癒1袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
ノア (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大2本)(治癒薬EX1本、超回復1本)薬草(治癒1袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
シナップ 『塔にあるもの全部』
ロデリック『私物とお菓子』
□背負袋
ガイアス 『共有アイテム』『バッシュとノアの本』『エレイナ、バッシュ、ノア、シナップの荷物』『食糧』『魔導石』『入門!魔術』『魔術図鑑(魔力紙付)』
ジャック (魔力回復薬EX11本、超回復10本、大50本、中210本、小140本)(治癒薬EX1本、超回復85本、大35本、中80本、小120本)薬草(治癒10袋、解毒10袋)麻痺解除薬2本)『もしもの時の燻製肉』『魔導石』
エレイナ (魔力回復薬EX3本、超回復10本、大20本、中50本、小100本)(治癒薬EX5本、超回復25本、大30本、中50本、小50本)薬草(治癒60袋、解毒20袋)麻痺解除薬2本、万能薬3つ)『お菓子』『加工魔石(中)』『加工魔石(高)』『魔導石』
マクス (魔力回復薬大10本、中100本、小100本)(治癒薬超回復50本、大100本、中200本、小200本)薬草(治癒1,000袋、解毒30袋)麻痺解除薬4本、石化解除薬4つ、万能薬4つ)『草』『魔導石』『図解で解る魔導書』
バッシュ (魔力回復薬EX5本、超回復5本)(治癒薬EX5本、超回復5本)薬草(治癒25袋、解毒5袋)麻痺解除薬5本、石化解除薬1つ、万能薬5つ)『カリカリフード』『魔導石』
ノア (魔力回復薬EX5本、超回復5本)(治癒薬EX5本、超回復5本)薬草(治癒25袋、解毒5袋)麻痺解除薬4本、石化解除薬2つ、万能薬5つ)『カリカリフード』『魔導石』
シナップ 『塔にあるもの全部』
ロデリック『私物とお菓子』『魔導書』『入門魔術』『魔導石』
──百犬隊の無事は確認できたけれど、大陸全土で魔物の異変が起きている。
魔物たちが徒党を組んで何かを行うようになったという異変が、魔物の脅威を、これまでと比較にならないほどに増幅したと私に感じさせていた。
──異変はここアルファルト大陸だけでなく、世界中に及んでいるのかもしれない。東の大陸で魔物が力を増しているという噂だって本当のことかもしれない。
レオパルド領域でカマルの冒険者パーティが魔物の襲撃を受けたこと、何よりも消息がわからなくなっていた百犬隊が、この大陸から出て東の大陸にいた事実が、私にそう予感させる。
彼らは今も東の大陸にいるだろうか。
また何処か別の大陸へ移動してしまったのではないか。
──移動したのか、移動させられているのか。移動したのであれば、大丈夫。けれど移動させられたとしたら?
ブンブンと私は頭をふった。
百犬隊は伝梟を使って全員の無事を報せたのだ。伝梟は伝鳩よりも遥かに多くの情報を持ち帰る。
──彼らは伝梟を飛ばすことが可能な状態に戻っている。
何より彼らはバカみたいに強くて、魔導にも精通していると言うのだからね。ここで何も見ないで私が想像するばかりじゃどうしようもない。行って確かめなくてはわからない。
私は気持ちを切り替えようと周囲に目を向けた。
少し離れた通りから子供たちの楽しげな声が聞こえてきた。
数人で地面の砂地を棒で引っ掻き、なにかを描いて遊んでいるようだ。
それを見て、私は不意に『島』の古い遺跡の壁画を思い出した。
島の壁画はおおよそで3,000年前の物とされていて、壁画には羊人たちが祈りを捧げている様子などが描かれている。一説では降臨した神に祈りを捧げている場面だと云われているが、定かではない。
世界には『島』の壁画なんかより、もっともっと古いものが存在する。
何万年も昔の人々に描かれた、色のついた精彩な壁画が各地で見つかっているのだ。
その多くには当時の魔物や魔獣以外にも野性動物が描かれているため、大昔の、古代のヒトが狩り場を伝えるための絵であるという説の他、神への捧げ物、祈りの儀式の一部という説がある。
あれこれ意味が唱えられてはいるけれど、私個人としてはヒトは本能的に絵を描くのが好きな生き物なのだろうと思っている。
──ヒトの子供の多くは、教えられなくても描きたがる。
『島』に限らずガレディアやメルン、その他の国や地域の洞窟や古い遺跡や祠からも壁画は発見されており、古い地層や壁画の近くの遺跡などから文字の刻まれた石板や木片、粘土板の破片などが出土している。
そして、鍛冶や建築、農耕、織物、医学、工学、天文学、再現が可能な魔術式をはじめとする魔導力学と、魔力の干渉を極力排した実験物理学と理論物理学。高度な数学の知識と論理的思考が無くては成し得ないであろう建築物の痕跡と、記録の数々。
こうした古代の遺物がこれまでに数多く発見、報告されている。
現代の文明の起こるはるか昔に存在した高度な文明。
これらは『失われた古代文明』と呼ばれている。
魔物や魔獣の巣窟となっていたり、迷宮化で調査が進まないこともしばしばあるものの、発見された遺物から、昔の人々が記録と思考のために古くから植物や布、狩りで得た獣の骨や皮までも利用していたことがわかっており、さらにはより品質の良い紙を作るための研究も行っていたことがうかがえる。
不明なことは多くても、現在よりずっとはるか遠く、古代のヒトたちが想像以上に高度な試行錯誤を繰り返してきたことは疑いようのない事実だ。
中でも近年急速に注目されるようになっているのが、3,000年前にアルファルト大陸にあったとされる『トリスタニア文明』……
そこまで考えて私は思い出し、そして気がついた。
──塔型迷宮にシナップくんという管理者がいることを知る前に『謎のローブの人物』は言った。『ここは外れだと思ったが大当たりだ』と。
『何者か』が塔型迷宮を『大当たりの迷宮』だと考えたのは、数千年もの間塔型迷宮を維持する膨大な魔力を持った魔宝石、或いはそれに準ずる魔力資源の存在に気がついたからだ。そう考えたから私たちは、その在りかに繋がるシナップくんが狙われる危険を危惧してきた。
『謎のローブの人物』の狙いは『魔宝石』
本当にそれだけだろうか。
そもそも実際に塔を維持する力となるのは魔宝石だけではない。
『ローブの人物』が言った『大当たり』とは。
それが示す本当の意味は。
“塔型迷宮がトリスタニア文明の遺産そのもの”という意味ではなかっただろうか。
南門から今日も荷を運ぶヒトたちがやって来た。
変わっていく状況と裏腹に、街の活気は失われていない。
明るいガイアスくんの声がした。
「腹が減ったな!今日も“獣王の御用達”で昼飯にしようか!」
今日は所長さんの計らいで、予定していた警戒の任務が休みになった。百犬隊の捜索について改めて話し合うのに“獣王の御用達”は良い場所だ。
北は昨日イシュタルさんが構築した障壁がまだまだ機能しているし、街の冒険者パーティも1組を除いて戻ってきていることもあって、人員に余裕が生まれている。
「そうね!」「美味しかったからね」「賛成なのだ!」
「所長さんの話だとあのお店の料理を食べると“力”とか“スタミナ”が上がるらしいんだ」
百犬隊の無事を知らされ元気を取り戻したバッシュくんが、ガイアスくんの肩に乗ったままで、珍しくやや興奮気味に言った。
「王都にたどり着くまで日持ちしない食材の中には、身体機能向上効果の高いものがあるって言ってたよね。“獣王の御用達”ではそれを工夫して調理した料理を研究して、お客に振る舞っているんだって」
バッシュくんが言いながら目を細めた。
「そういえば魔獣用の専用フードの開発もしているみたいだったね。ヒト用の料理も能力上昇で研究しているというわけだね」
「美味しく食べて強くなれるなんて最高だよね!」
バッシュくんがそう言うと、ガイアスくんが
「バッシュ、ちゃんと聞いてたか?効能は普段の頑張りをちょっと底上げしてくれるくらいなんだぞ。期待しすぎちゃダメだぞ」
するとエレイナさんが口もとに手を当てて笑った。
「そう言うガイアスだって料理の効能目当てなんでしょ?」
「まあな。けど、期待しすぎて後でガッカリしたくないだろ?」
「繊細だな!」
「言ってるだろ?俺は繊細なんだって」
そうやって話しているうちに、食事処“獣王の御用達”に到着した。
私たちより先にお店の前にヒトがいて、何人かが中に入っていく。
昨日の夜に訪れたときより混雑しているみたいだね。
「席が空いてるといいな」
ジュエルスライムのエドくんが、返事のつもりなのかプルプルっとした。エドくんのボディが一瞬だけ、いつもよりキラキラしているように見えた。
◇
店に入ると、お昼直前で混雑はしていたけれど、まだ満席になるほどにはなっていなかった。
お客さんたちの声で店内は賑やかだ。
「へい、らっしゃい!」
威勢の良い声に迎えられ、昨日と同じように話の出来る個室が空いていたのでそちらへ案内してもらい、料理を注文していく。
個室ならジュエルスライムのエドくんが万一喋ってしまってもどうにかなりそうだし、話しやすい。
「これは前回食べなかったお品なのだ」
シナップくんがそう言うと
「そちらはお昼限定の品書きなんです」
にこやかにピンクの前掛けの店員さんが教えてくれた。
美味しそうな挿絵が描かれている。
「東の大陸のメルンで食べられている小麦の生地に具を乗せて焼き上げた軽食を参考に、料理長が考案したんすけど、思いの外人気で、うちのお昼の定番になったんす!」
「薄切りのパンにお客さんが好きな具を乗せて炙った物を食べるのね」
「美味しそうね!」「濃いめの味付けの具材を乗せても旨そうだな」「肉を乗せて食べるのも良い」
「折り畳んで食べて頂くと食べやすいっす!」
と食べ方の説明もしてもらった。
大きめのテーブルに注文した料理がドンドンと並べられていく。昨日来たときにエドくんが少し喋ってしまって、ピンクの前掛けの店員さんを驚かせたはずだけど、他の店員さんも含めて誰も追及したりする様子がない。
「ジュエルスライムくんにまた試食で協力してほしいっす」
ピンクの前掛けの店員さんが愛想良く言って、シナップくんが快く応じた。
エドくんがこの時無言で不機嫌そうにしたのは、飼い魔獣扱いに対してなのか、口に合わないフードを思い出したからなのかは、不明である。
料理を並べ追えて店員さんが部屋から出た後、ガイアスくんが言った。
「エドが喋った時は焦ったが、追及されなかったな」
「あの所長や自警団が頻繁に利用するだけのことはある」
ロデリックくんはそう言うと機嫌良さげに目の前の肉料理を早速口に運んだ。
大柄な体格のロデリックくんやガイアスくんでもゆったり座れる椅子なので、たまにある窮屈そうな感じが今日は見られない。
木製のテーブルは暖かみがあって落ち着く雰囲気だ。
シナップくんとピンクの前掛けの店員さんが、ジュエルスライムは何でも食べると言っていたけれど、それは“食べても平気”という意味合いであって、どうやら食べ物の好みとかはあるようだ。
◇
「それで、これからのことだが」
しばらく出された料理を食べ進めて、ガイアスくんが言った。
「これ迄も話し合ってきた通り、国が編成する百犬隊の捜索隊には参加せずに俺たちで百犬隊の足取りを追う予定なのは変わらない。それで問題ないか?」
「ああ」「問題ないわ」「はい!」「問題ないのだ」「うん!」
私も含めて全員が頷いたのを確認し、ガイアスくんが続けた。
「俺たちの予定では時期を見てワルゴ方面とカルディナを捜索するつもりでいたが、状況が変わったのは承知の通りだ」
「行き先を変更するかどうかだな」
ジャックくんが言って、ガイアスくんがそれに頷いた。
「百犬隊が東の大陸にいたのは伝梟の報告で明らかになっているが、短時間でアルファルト大陸から東のヘゼリア大陸まで移動したことを考えると、今も東の大陸にいるかはわからない」
「でもメルンへ行けば百犬隊の足取りや、何が起きているのか解る可能性は高いもの!」
エレイナさんの気持ちはハッキリ決まっている表情だ。
東の大陸まで行くことを厭わないだろう。
「エレイナが行くというなら、私が付いていかない道理がない」
ロデリックくんが果実酒を飲みながら言った。
ジャックくんと私も東の大陸に渡ることに異論はない。
シナップくんに至っては楽しみにしている様子さえ伺える。
「東の大陸にはまた別の甘食があるに違いないのだ!」
するとバッシュくんとノアくんが顔を見合せた。
「僕たちはガイアス君たちがそれで良いなら有り難いと思うんだけど、無駄足になる可能性はあるんだよ」
バッシュくんが遠慮がちに言って、ノアくんも頷いた。
その表情はどこか決意めいたものを滲ませている。
まさか2人だけで行くつもりだろうか?
そんなことさせられるはずがない。
私が何か言うまでもなく、ガイアスくんたちが当たり前のように話す。
「百犬隊の一件には『何者か』の関わりも十分考えられるからな」
「なら塔が襲撃を受けたボクも無関係じゃ無いのだよ!」
「ヒトや都市を襲うためにヤツが魔宝石を狙うなら、今のうちに何とかしないと不味いだろ」
「とにかく情報は必要だ」
「この任務が一段落ついたら準備して発とう」
私たちは全員でお互いにうなずきあった。
「ワルゴのように移動の制限がかかる前に東の大陸に到着したい」
東の大陸に着けば、シナップくんからもらった『攻略の証』を使って塔型迷宮を経由し、いつでもアルファルト大陸とヘゼリア大陸を行き来することが可能になる。
「『塔型迷宮』の出番なのだよ!任せるのだ!」
「ああ、よろしく、シナップ」
こうして私たちは互いの意思を確認し、東の大陸へ渡ることを決定し、昼食を済ませた後はその準備を含めて街で買い物をする。
「小さいが良い魔導石が置かれた店がある」
そう言って歩きだしたロデリックくんについていく。
「店主が変わった技術を使う人物らしく、作る魔導石も一風変わっている」
「へえ、どんな魔導石を作るんだ?」
「行ってみればわかる。特に羊君が使うと良い」
ロデリックくんに言われて私は嬉しくなった。
「私に向いた魔導石か、それは楽しみだね」
出来れば魔物や魔獣を捕獲したり、もっと確実に追い払えたりするような魔導石があれば欲しい。
バッシュくんたちも興味津々だ。
「僕らが思い付かない魔導石がたくさんありそう」
「加工魔石も置いてる?」
エレイナさんが明るい声でロデリックくんに聞いた。
「あまり気にしなかったが、置いてあるだろう」
ロデリックくんがそう答えると、ガイアスくんの肩に座ったままバッシュくんが「店主さんが魔術師だと売らないお店も多いんだ」と言った。
加工魔石は魔力や魔術を込められるように加工された魔石のことを指している。単に加工石と呼ぶこともある。
商売導具なので、商品としては売らない店主さんが多いのだろう。
「魔石を自分で加工してもいいんだけど、売っていれば買っておきたいわ」
そういえばエレイナさんたちは自分でも魔石を加工して作ることが出来るんだよね。
バッシュくんとノアくんが塔型迷宮で魔石を工夫していたし、魔冷庫まで自作してくれたのだった。
改めて考えるとすごい。
所長さん口ぶりだと、私たちの警戒任務はおそらく明日が最後。人員のあてがついてきたと言うのも大きいし、あの所長さんはバッシュくんたちを気にかけてくれている感じがするからだ。
東の大陸へ渡れば必要なもののほとんど現地調達になるし、塔型迷宮も利用する。
持ち込めるものは準備していくけれど、出来れば時間をかけずに発ちたい。
「まだ東の大陸での魔物の異変は伝わってきていないが、今後もそうかわからない」
私たちもそれにうなずく。
話しながらしばらく歩くと、“魔導石店バザック”と書かれた看板のお店が見えた。
◇
「いらっしゃいませ!」
扉を開けて店に入ると、女性店員さんの元気な声に出迎えられた。
比較的広い店内の奥に会計の受付台があって、小柄な兎族の男性店員さんが立ってお客さんに応対している。
明るい色調の店内は、私が想像していたよりきらびやかでちょっと派手だった。
水晶製のケースに収められた魔導石が宝石のように美しい。
そして
「高いな」
ガイアスくんが小声で言った。
私は無言でうなずいた。
使用されている魔石の種類や品質もいかにも良さそうなのだ。
よくよく見ると、店員さんたちの着ている制服もしつらえたような上質のものに見える。
エレイナさんとバッシュくんたちがロデリックくんに焦った表情をしている。
エレイナさんが小声で言った。
「ねぇ、ロデリック。私たち、場違いじゃないかしら?!」
けれど、ロデリックくんは特別に気にしている様子もなく、エレイナさんやバッシュくんたちの態度を不思議そうな顔で見返した。
エレイナさんたちが何を気にしているか、本気でわかっていなさそうなロデリックくんが言った。
「場違いであるわけがなかろう。この品質の魔導石を取り扱うだけの実力を私も君たちも持っている」
するとガイアスくんの背負袋に入って店内を見ていたシナップくんが「あれなんかすごく面白い魔導石なのだ!」と指差した。
「シナップ、君は目の付け所がいい!あれは私が羊君に勧めようと思っていた魔導石だ」
どんな効果なんだろう。
少し楽しみだ。
私は早速シナップくんが指差した魔導石の効果を確かめる。
『誘引石』
〈魔物や魔獣を引き寄せます!〉
「………」
「どうだい!羊君、素晴らしい効果だろう」
私がなんと答えていいかわからないでいると、ガイアスくんとジャックくんが
「訓練にも使えそうじゃないか!」
「これを使えば討伐依頼が捗りそうだな!」
なるほど、そういう使い方をするんだね。
てっきり、私を囮にするための魔導石かと思ってしまった。
勘違いを反省しかけた私に無情にもロデリックくんが言った。
「羊君が使えば、我々に有益だ」
◇
「このお店はなかなか個性的なのだよ」
ガイアスくんが前に抱え直した背負袋の中から、シナップくんが楽しげにケースに収められた魔導石を物色している。
「はじめは少し高いと思ったが、悪くないな」
ガイアスくんがそう言うと、ロデリックくんが言った。
「当然だ。価格に見合ったものが置かれている」
なるほど。言われてみれば他の店と品揃えが全く違う。
一般的なお店に置かれている魔導石というのは、火を点けたり、魔物を追い払ったり討伐するための護身用魔術が込められた『黒魔石』、他に『青魔石』『白魔石』と呼ばれているものがある。
大抵が中銅貨から、大銅貨くらいで買える使い捨ての消耗品だ。
『青魔石』や『白魔石』は、日常生活に関わる術が安価で手に入る魔導石のため、手軽に費用を抑えたいヒトや魔力の少ないヒトの強い味方になっている。
こうした魔導石の普及で、魔力を使わない油や、燃える気体を利用して火や明かりを灯す道具や設備は、魔力資源の発見と精製技術の向上、魔導技術の発達で消えつつある。
市場などでは、規格から外れた大きさにばらつきのある魔石が、袋詰めで売られている。用途は限られるものの小銅貨1枚に満たない、魔石1個当たり4ゴッズ以下という割安で手に入る。
魔導技術の資格を持ったヒトが、自分で刻印したり燃料魔石として使うのだ。半刻くらい灯りを灯す程度や、着火1回分くらいの魔力を持つ。
魔導技術の初級資格は魔力を必要としない技術のため、比較的多くのヒトが所持する生活技術だ。
エレイナさんやバッシュくんたちの加工石造りの簡易版のような技術で、彼女たちのように自分の魔力で調整を行うような真似は私には出来ないけれど、初級は一応私も所持している。
このお店ではそういう市場で簡単に手に入るような、手頃な価格の魔石や魔導石が見当たらない。
「これなんか罠として使えそうですよ」
シナップくんと一緒に背負袋に収まったノアくんが、いつもと違う不穏な雰囲気で言った。
同じく背負袋に収まったバッシュくんもニヤリと悪い表情で、コクりと頷き同意した。
モフモフとした愛らしい見た目の2人だけど、まれに不穏な雰囲気を醸し出すことがある。
『壁石』〈物理耐性の障壁を一定時間具現化します!3/3回〉
『網石』〈網が飛び出す魔導石!10/10回〉
『扉石』〈頑丈な扉を設置可能です!5/5回〉
この3つはそれぞれ書かれたものが現れる魔導石だ。
確かに使い方次第で罠としても使えそうだね。
扉が出現する魔導石なんかはヒトを対象にしている。
賊なんかと対峙するときには良さそうだし、網は捕獲に使えそう。
壁は色んな用途がありそうだ。
使用者の魔力の適正に合わせたものもある。
安いもので1つが1ゴールド高いものは100ゴールドは下らない。
金貨や黄銅貨、ゴールド紙幣が普通に扱われる店
──ロデリックくんは言わないけど、ここはゴールド以上の貨幣しか使われない、上級者向けのゴールドショップの類いかもしれない。
冒険者や探索者がよく利用する店でも、魔石価格は1つ4シルバーが主流で、魔導石でも1ゴールドを超えることはあまりない。
私たちが見ている小さな魔導石は10ゴールドもしている。使い方によっては直ぐに大赤字だ。
「どれも値の割に質の高い魔石が使われてるね」「うん、こっちは魔宝石だよ」バッシュくんとノアくんが言った。
──高いけれど、効果は期待できそうだね。
『障壁』の魔導石があれば私でも、バッシュくんたちのような防御壁を用意したり出来るし、『網』の魔導石なら地縛りの効かない魔物や魔獣に対応できる。
『扉』は敵を騙す以外にも通路に安全域をつくるのに役立つかもしれない。
障壁と捕獲に使える網の魔導石は購入決定だ。
いくつかの魔導石の性能が、昔友人と一緒に考えた物と似ているものもあって、懐かしく感じたりしながら見ていく。
そういえばロデリックくんは何を見ているんだろう?
少し気になって付いて見てみると、指輪やピアス、ペンダントなどの装飾品が並べられている。
金や白金が鎖や台に使用され、価格も見た目も王都の魔宝石店みたいだ。神聖金や神聖白金ではないようだけど、魔術文字が刻まれているし、体力や魔力が回復するように加工のされた魔宝石があしらわれている。
いつの間にか一緒に見ていたガイアスくんが、目を丸くして感想を言った。
「着けてると賊に襲われそうだな」
治安の良いガレディアの表通りで金品目的に襲われることは滅多に無い。
けれど、ヒトが少なくて暗がりにもなりやすい裏通りや地域によっては魔物に関係なく物騒な世の中だ。金品絡みでは下手な魔物よりヒトの方がむしろ残酷で恐ろしいことがある。
子供だろうとお年寄りだろうと、女性でも男性でも、それが身内であっても、自分より恵まれていそうだから、弱そうだからと、下らない理由と自分勝手な理屈で狙うヒトが、少ないとはいえどこにでも世の中にはいるのだ。
「シナップ、気を付けるんだぞ」
ペンダントやイヤリング、腕輪もそうだけど、シナップくんは売れば高そうな装飾品を身に付けているから、心配になったガイアスくんが言った。
そんなガイアスくんにシナップくんが
「大丈夫なのだ!」
と元気に対応する様子を見ながら私は思った。
シナップくんなら、賊なんて返り討ちに出来ちゃうんじゃないかな。
シナップくんは塔型迷宮で、たった一人で大掛かりな氷の障壁を作り上げ、たくさんの魔物もあっさり倒せてしまうほど強い。
それに、私はエレイナさんやバッシュくんたちでも難しいという創造魔術や空間魔術を普通にやってのけるシナップくんの魔力量に限界があるのかもよくわからない。
その割にシナップくんから強い魔力は感じられない不思議さがある。
もちろんシナップくんに限らず、強い魔力の持ち主が普段から魔力を放っていたりしないのは普通だ。
魔力で居場所がわかってしまうようなのは、何かしら理由でもない限り双方に生きづらいし、周囲を傷つけることにもなりかねない。
それで考えてみても、シナップくんの魔力は大きさの割に捉えにくい。
バッシュくんたちによると、シナップくんがどの程度意識しているか不明だけれど、息をするように圧縮と安定した力の扱いをして魔力を上手に体の内側におさめている状態らしい。
3,000年もの間眠り続けて正常に目覚めることが出来たのは、術者の力量のみならず、そうした術を受ける側であったシナップくん自身の力量も関係があると推測しているようだ。
──最初から身につけている装飾品にも秘密がありそうだよね。美しい文様のように細かく刻まれているのは、おそらく古代トリスタニアの魔術文字だ。
「ありがとうございました!」
魔導石店のあとも、いくつか店を回り一通り買い物を済ませる頃には日が傾き始めていた。
「値は張ったが、良い買い物が出来た」
「面白い魔導具が手に入ったのだ」
ガイアスくんたちの会話を聞きながら、私はさして広くない『カマル』という街が、宿場町として賑わいを見せている理由がわかった気がしていた。
◇
買い物を済ませて、早めの夕食のために再び訪れた食事処“獣王の御用達”の一室。
「今度のメルルクフードはエドくんに好評みたいで嬉しいっす」
ピンクの前掛けの店員さんがにこやかに言った。
よく見ると縞模様の前掛けの角に、お店の名前と立派な獅子の絵が配置されている。
「それではごゆっくりお過ごしくださいっす!」
料理を運び終えた店員さんたちが部屋から出て行った。
それを確認すると早速ジュエルスライムのエドくんが
『しゃべってもいいのだ?』
と声を出した。
「静かに話すならいいのだよ。店員のヒトが来たら黙るのだ」
『わかったのだ』
シナップくんが言うと、エドくんが嬉しそうにした気がした。
二人の声と話し方は似ているので、万一の時はそれで乗り切ることになっている。
大丈夫!
テーブルの席では早速ガイアスくんたちが明日について話し合っている。
「明日の警戒が、ここでの任務最終日になるかも知れないが、気を抜かずに対応しよう」
「イシュタルさまの魔障壁がまだあるから、私たちの出番は少なそうね」
幹線道沿いの結界の補強も進んでいるから、魔障壁が消えた後も心配は少ない。
明日の確認のあとは大陸を渡る手段だ。
船は現状で使えないうえ時間もかかりすぎることもあって、私たちは飛行船を利用することになる。
「ワルゴの飛行船乗り場以外だと、カルディナ、砂漠都市の乗り場がここからだと近い」
「距離だけなら砂漠だが、そこまでの移動が問題だな」
砂漠の飛行船場は大陸西の端の方に位置しているため、砂漠を横断しなければならない。
一番近いのはワルゴ方面にある飛行船乗り場だけれど、現在は通行制限で貨物便以外で利用できない状態だ。
王都には残念ながらヒトを運ぶための飛行船乗り場がもともと無い。東の乗り場は地理的に遠く、地図で見ると小さいけれど砂漠地帯がある。
私たちが乗り場をどこにするかあれこれ思案していると、出された料理を全部平らげたエドくんが不意に言った。
『シナップ、飛行船が使いたいならあるじゃないか』
「え?」
『え?』
シナップくんがきょとんとしている。
心当たりが無いみたいだ。
するとバッシュくんとノアくんが思い出して言った。
「そういえばシナップ、前に反重力の魔石の話をしてくれてたけど」
「それを使った乗り物があるの!?」
「……でもあれは飛行船なのだ??」
『超飛行なのだ』
シナップくんに聞かれてエドくんが返事し、バッシュくんたちが「飛んで移動できるなら飛行船だよ」とコクコクと頷いた。
「……確かにあれは厳密に言えば飛行なのだ!」
シナップくんの返答にバッシュくんとノアくんの瞳が驚きと期待と共にきらめいた。
ただシナップくんは乗り物を飛行船とは何か違うものだと思っているようだ。仕組みが全然違うのだろう。
「あれを使えば大陸もひとっとび……と言いたいところだけど、ダメなのだ」
「どうして?」
「あれは動かすだけでも、とてつもないエネルギーを必要とするのだ。忘れてたから確認してないけど、3000年の間でエネルギーはさすがに少しずつ放出されて燃料が空っぽのはずなのだ。再充填しないといけないのだ」
『やれやれなのだ』
「エド、うるさいのだ。ボクはまだ寝起きなのだ。魔石の在庫はあるのだ。充填作業には取りかかれるのだ」
どうもすぐには動かせないせいで、アタマから除外してしまっていたのかもしれないね。
残念だけれど、動かせたとしても大きさによってはとても目立つかもしれない。『何者か』のことを考えると、今はまだ使わない方がいいに違いない。
「うーん、急いでも充填にまだまだ時間がかかるのだ。宿に戻ったら塔で機体を見るだけ見てみるのだ?」
「み、見たい!」「いいの?」
「かまわないのだ」
『そうだ、ボクが乗ってきた飛行船はキミたちには小さすぎるけど、先に見せてあげるのだよ』
エドくんが何気なくそう言ったと思うと、グニャリと空中に歪みのようなものが生じる。
そこからなんと、エドくんより少し大きいくらいの円筒形の容れ物のようなものが空中に現れたので、エレイナさんが驚いて紅茶を盛大に溢してしまった。
「わッ、ごめんなさいっ」
「いや、魔術がよくわからん俺でも驚いたからなー」
驚いた拍子に私も無意識に手を動かしたらしく、卓上の調味料容れが倒れている。
飛行技術は東の大陸が最先端であり、アルファルト大陸ではまだ自国の魔導飛行船は技術的にもメルンに及ばないと言われている。
これが1人乗り用の魔導飛行船かぁ……。
うっすらと光を帯びた、銀白色の円柱形の物体は、回転羽根もないのにフワフワと確かに浮かんでいる。
周囲に風が起きている様子もなく静かだ。
おそらく魔力の元素から得られる莫大なエネルギーを原資にした技術に違いないけれど、高純度の魔石か匹敵する魔力が使用されている。
特筆すべきはその莫大なエネルギーを、暴走させずに制御している魔導技術だ。
「エドちゃんも空間魔術を使えたのね……すごい」
「ちょっと光ってるじゃないか。よくヒトに見つからずにここまでこれたな」
「地上を移動して来たのではなかったのか」
「操縦できるのか」
「どこから入るんだ?」
「こんなに小型の飛行船?!それが反重力なの!?」
現代でも一応、大型飛行船はずいぶん前から飛ばせていて、新型も近年開発されているけれど。小型の乗り物としての飛行技術のほうはあまり芳しくない。
魔力の源である元素を発見、特定した魔導工業大国メルンですら、低空での飛行が可能な魔導車を自国で試験的に、それもごく一部の地域でだけ普及させはじめたばかり。
そういう意味ではガレディアの飛行技術のほうは、魔導術が主体となっているからなのか、一部の技術は先を行っていて、メルンとは事情が少し違う。
風属性の魔力で大気に干渉し揚力を得る術式や、風属性に分類される軽い要素を生み出して揚力を得る術式が、メルンが魔力の元素を特定し、メルキナと命名するよりも早い時代からガレディアには存在している。
私は知らなかったけれど、その他にも例えば衛兵のクジョーさんが使い魔で筆記具や紙を、少しはなれた場所にいるヒトのところまで送り届けたような術式で、知名度と使える人が少ないだけで存在するそうだ。
それでも個人が空飛ぶ小型の乗り物で移動することが、世界的に未だ当たり前でないことは間違いないのが現状だ。
驚いたガイアスくんたちがエドくんを質問責めにするのを眺めながら、私は近く必ずやってくる未来に思いを馳せながら湯呑茶碗のお茶をゆっくりと啜った。
◇
「美味しかったのだー」
「お腹一杯だね」
“獣王の御用達”で夕飯を済ませて店を出ると、薄暗くなった通りに植えられた花や植物が、日中にためた魔力を使って淡く光り始めていた。
今後の計画も具体的に決まってきて、あとは宿に戻って細かい予定の調整だ。
「明日の警戒が終わったら王都へ戻る。それから渡航の準備を始めよう。それでいいか?」
ガイアスくんが声をかけるとバッシュくんたちが頷いた。
「よし。それと、こちらからヘゼリア大陸へ武器は持ち込めないから預けるとして、金の両替も必要だな」
飛行船は王都から距離はあるけれどヘゼリア大陸に最も近い東の乗り場を使うことになった。
シナップくんの塔型迷宮のある場所からさらに東の地域だ。
先に王都にある航空案内場で飛行船の搭乗予約を取り、その日程に合わせて準備を進める。
飛行場の乗り場まで駿馬が牽引する強化馬車なら通常3日。
普通の馬車や魔導車で早くて15日、通常の移動速度で30日程度かかる距離がある。
最速の駿馬の速さと悪路にも耐える、最新素材と技術で強化された馬車はよほど重要か、急ぎの荷でもない限り使用の許可は出ないのは互いに確認済みだ。
そして王都を出た後は東の飛行場まで、そもそも私たちは馬車を使わない予定だ。
なぜそういう決定になったかと言えば……
◇
ーー時間を遡って“獣王の御用達”
食事をあらかた終え、口元を布で拭いながらロデリックくんが言った。
「百犬隊の足取りを追う前提の提案だが、どうせならこの機会に戦力の底上げを本格的にやるのはどうだ。今のままでは塔に現れたヤツと対峙したとしても、また逃げられる」
その事はおそらく全員が考えてきたことだ。
塔型迷宮で私たちはシナップくんを除いた7人で対峙し、結果ローブの人物には逃げられている。
相手はヒルデブラントくんと合わせてたったの2人。
去る直前の口ぶりも、ローブの人物はまるで本気ではないといわんばかりだったことを思い出す。
あれはきっと負け惜しみではないだろう。
「退けたのだと言えば聞こえは良いが」
「そうね。今のままではたとえ装備専用魔石を使ってもきっと」
「他の仲間や手下が一緒に現れでもしたら、今のぼくたちでは全く歯が立ちません」
私たちの様子を、とりわけしょんぼりするノアくんとバッシュくんを確認したロデリックくんが不敵に笑った。
そして私たちをまるで試すように言ったのだ。
「百犬隊に追い付いても、今のままの我々ではただの足手まといだろう」
ロデリックくんの言葉にバッシュくんとノアくんがハッとしたように顔を上げた。
エレイナさんは固い表情で動きを止め、ガイアスくんが息を吐いた。
「お前の言うことはわかるが、だからといって訓練をして成果が出てからじゃ、出発がいつになるかわからん。それに俺はバッシュたちは今のままで十分だと思うし、そもそも俺たちが欲しいのは情報だ」
私もガイアスくんに同感だったけれど。
「バッシュたち自身が十分だとは思っていないんじゃないか?」
ロデリックくんの言葉にガイアスくんが首をふった。
「エレイナもバッシュたちも、この短期間で順調に力を付けてきている。これ以上焦る必要はない」
「そうなのか?」
ロデリックくんがエレイナさんに問いかけ、同時にバッシュくんたちを見る。
「僕たち……」
迷うような表情のバッシュくん。
「ロデリック!白金級のお前のペースに巻き込むな」
席から立ち上がってロデリックくんを諌めようとしたガイアスくんを、バッシュくんとノアくんとエレイナさんの3人が止めた。
「私、ロデリックの話を聞いてみる」
「僕も」「すみません、ガイアスさん」
そこで成り行きをみていたシナップくんが、口を開いた。
「話の流れでロデリック君も出発まで時間をかけるつもりはないはずなのだ。その上でボクたちを強くすることが可能な、何か特別なプランがあるのかね?時間を犠牲にするだけの価値のあるプランかね」
「当然だ」
こうして私たちはロデリックくんの計画案というのを聞いて、乗り場と移動手段を決定することにしたのだった。
◇
「シナップに頼らず、馬車も使わず、飛行船乗り場までの移動を鍛錬に充てるのはわかる。だが王都出発から15日以内の到着を目標と言うのはちょっと無理が無いか?俺とジャック、お前だけならわかるが」
「少し無理を目標とするくらいでなければ、鍛えられん」
「いいんじゃないか?3日で完走しろと言われている訳じゃないし」
「当たり前だ!3日でなんてメルンの最速魔導車でも無理だろ!」
「だが百犬隊は大陸を7日で横断できたと聞いたことがあるな」
「あ、さすがにそれは誇張です。実際には20日ほどかかったそうですよ。ですがシーバ隊長が西の砂漠から最東部にあたる東の港町まで僅か7日で走って戻ったという逸話は真実です」
「流石だよね!」
「シーバ隊長……」「マジか」『生身で!』「駿馬並みなのだ」
「ふっ、彼らに追い付くためにはまだまだ鍛練が必要ということだな」
「はい!」
「気合いを入れて取り組め!」
「はい!」
「……とりあえずこの話の続きは部屋でしよう。細かい計画の詰めは明日の警戒任務をきっちり済ませた後からだ」
「そうね。ところでガイアス、私」
「ん?」
「ロデリックのこの計画、少し楽しみかも!」
「僕もだよ!」
「そうか……まあ、俺も思っていたほど過酷で無謀な強化計画案じゃないのは確かだ。だが王都を出て15日以内というのは……」
ガイアスくんが少し和らいだ表情でそう言うと、ロデリックくんが口角を上げた。
「オレはカルディナの上級ダンジョンにでも放り込まれるのかと思った。ガイアスもそう思ったんだろ」
「ああ。入場券もあるからな」
「心配するな。まだそんなこと言わん」
ガレディアの王都から大陸東の端まで直線でおおよそ3,000カロノーツ。※メートル換算6,000キロ
魔獣も魔物もいる道程だ。
賊に襲われる危険もある。砂漠もある。
これは十分にとんでもない強化プランなのではないだろうか。
私は頭の中でそう思った。
────────
────────
□共有アイテム□
◇主な食料の在庫
内訳(長期保存食料165食分)
◇嗜好品お菓子(魔導系回復あり)、各種調味料、未調理穀物5日分
◇魔力回復ポーション(EX102本、超回復74本、大153本、中647本、小970本)
◇治癒ポーション(治癒薬EX107本、超回復69本、大885本、中2,072本、小4,588本)、薬草(治癒1,059袋)1,059袋、他
□各自アイテムバッグ
ガイアス (魔力回復薬小3本)(治癒薬EX2本、超回復4本、大10本)薬草(治癒5袋、解毒5袋)麻痺解除薬5本
ジャック (魔力回復薬小4本)(治癒薬EX2本、超回復4本、大10本)薬草(治癒5袋、解毒5袋)麻痺解除薬1本)
エレイナ (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大6本、中1本、小3本)(治癒薬EX3本、超回復3本、小10本)薬草(治癒5袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
マクス (魔力回復薬EX3本、超回復5本、大5本、中5本、小10本)(治癒薬超回復5本、大5本、中10本、小20本)薬草(治癒18袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
バッシュ (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大2本)(治癒薬EX1本、超回復1本)薬草(治癒1袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
ノア (魔力回復薬EX1本、超回復1本、大2本)(治癒薬EX1本、超回復1本)薬草(治癒1袋、解毒10袋)麻痺解除薬1本)
シナップ 『塔にあるもの全部』
ロデリック『私物とお菓子』
□背負袋
ガイアス 『共有アイテム』『バッシュとノアの本』『エレイナ、バッシュ、ノア、シナップの荷物』『食糧』『魔導石』『入門!魔術』『魔術図鑑(魔力紙付)』
ジャック (魔力回復薬EX11本、超回復10本、大50本、中210本、小140本)(治癒薬EX1本、超回復85本、大35本、中80本、小120本)薬草(治癒10袋、解毒10袋)麻痺解除薬2本)『もしもの時の燻製肉』『魔導石』
エレイナ (魔力回復薬EX3本、超回復10本、大20本、中50本、小100本)(治癒薬EX5本、超回復25本、大30本、中50本、小50本)薬草(治癒60袋、解毒20袋)麻痺解除薬2本、万能薬3つ)『お菓子』『加工魔石(中)』『加工魔石(高)』『魔導石』
マクス (魔力回復薬大10本、中100本、小100本)(治癒薬超回復50本、大100本、中200本、小200本)薬草(治癒1,000袋、解毒30袋)麻痺解除薬4本、石化解除薬4つ、万能薬4つ)『草』『魔導石』『図解で解る魔導書』
バッシュ (魔力回復薬EX5本、超回復5本)(治癒薬EX5本、超回復5本)薬草(治癒25袋、解毒5袋)麻痺解除薬5本、石化解除薬1つ、万能薬5つ)『カリカリフード』『魔導石』
ノア (魔力回復薬EX5本、超回復5本)(治癒薬EX5本、超回復5本)薬草(治癒25袋、解毒5袋)麻痺解除薬4本、石化解除薬2つ、万能薬5つ)『カリカリフード』『魔導石』
シナップ 『塔にあるもの全部』
ロデリック『私物とお菓子』『魔導書』『入門魔術』『魔導石』
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