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第二章 肆
しおりを挟む水曜日の午後九時過ぎ。
美咲とユキは同じ飲食店のバイトを終え、繁華街を歩いて帰路についていた。
「あー、疲れたなぁ夕方って客入り多いよね」
と、ユキが歩きながら両腕を上げて背伸びをして言った。
「だね、でもお客さんが来ないと、お店が潰れちゃうから、そうなると私達も困っちゃうしね」
美咲が苦笑する。
夜空には月が浮かんでいた。
美咲が月を見上げているとユキが、
「明日オカルト研究会に行くんでしょ? 桃華ちゃんが部長に美咲が研究会に相談に行くって伝えてくれてるだろうから」
美咲が、うん、と答える。
「でもさ珍しいよね美咲がオカルトに関して相談なんてさ、あたしが美咲に勧めたんだけど。あたしは、まぁ好きだけどね実際心霊スポットに他の友人達と行ってるしね」
ユキが笑顔で言った。
美咲は幽霊を視た事は無いし感じた事も無い翔宏寺で住職をしていた父親は霊感があった様だけど、美咲には霊感がまったく無かった。
だからユキのようにオカルトには興味が無かった。
だけどユキのオカルト好きで心霊スポットに興味ある気持ちは解らない訳ではなかった。
大抵の人の特に若い人は、怖いもの見たさで心霊モノのテレビを見たり、心霊スポットに行ったりしたくなるモノだと理解はしていた。いわゆる好奇心によるモノだろうと。
だが美咲は小学生の頃から父親に、心霊スポットには遊び半分で行く場所ではない、ほとんどは大丈夫だろうが稀に本当に危険な場所があると言われていた。
その為か高校生時代にも友達に肝試しに誘われても、一度も行く事はなかった。
だが今回は何故かいつもと違っていた。きっと父親の事があったからからだろう。
父親が例の神社に行ってからおかしくなった事、そして父親が残したノートに書かれていた事。
『邪眼の巫女』
何故か父親の死に関係しているような気がした。
美咲は父親が大好きだった。
母親も兄も妹も大切な大好きな家族だが、父親は特に好きだった。
強く優しく家族想い。
そんな父親が少し前から夢に出るようになった。
どこかの鳥居の入り口で真剣な顔をして、手招きをしている。
ただの夢だが連日のように夢に見る。
美咲は、その鳥居の先に何かあるような気がしてならなかった。
何か父親のメッセージがあるのかもと
そして、その場所は父親が行った名前の無い神社だろうと。
ひょっとしたら、もしかして自分にも気付かないだけで霊感があるのかもと思い始めていた。
実際に兄や母親はともかく妹は違っていた妹は前まで······。
そう思っていた時に、
「美咲」
ユキに声を掛けられた。
「美咲、何か凄い真剣な顔してたよ大丈夫?」
美咲は少し引きつった笑顔を見せて、
「大丈夫だよ、そんな真剣な顔してた? ごめんごめん」
と、答えてから、ふとユキに疑問を持った。
「ユキはさオカルト好きなんでしょう? だったら何でオカルト研究会に入らないの? 研究会の人達と話しがあうんじゃないのかな」
美咲がユキに聞くと、ユキが肩まで伸びた髪を手で撫でて、
「うーん、オカルト好きでも研究会には興味が無いかなぁ、て言うか色々面倒くさそう。バイトもしてるし」
「色々面倒って?」
「いや、何となく面倒、みたいな」
「ふーん」
と、二人は繁華街を抜けて住宅街を歩いて行く。
「ねぇ、美咲」
ユキが前を見ながら美咲に声を掛けた。
「ん、何?」
美咲がユキの横顔を見る。
「明日、オカルト研究会にあたしも一緒に行くからね。美咲だけでは心配だし、桃華ちゃんに頼んだのあたしだしさ」
ユキが美咲に、そう言うと。
「ユキなら、そう言うと思ってたよ。一緒に来てくれるって」
美咲が笑顔でユキに行った。
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