邪眼の巫女

豊島ダイ

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第二章  捌

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 黒木と杉村が、それぞれ運転する車を道路の路肩に止め二台の車から数名が降りて町の人達に神社の場所を聞く事にする。

 土曜日のわりには、道路を行き交う車は少なく町の中を歩く人も少ない、黒木達数名は見かけた人達に神社の場所を尋ねるが、『知らない』や『神社はあるらしいが詳しい場所は分からない』と言った返答だった。

 暫く聞き込みをしていたが、収穫は確かに神社はあると言う事だった。
 だが、詳細な場所は分からない。

 聞き込みをしていた数名が路肩に停めた車に戻り、車を走らせ別な場所へと移動する。

 黒木が運転する車の助手席に座るアキナが、
「コンビニがあるわね。寄りたいわ」
 と黒木に言うと、後部座席に座る美咲やユキも同意見だった。
 それにコンビニの店員なら神社の事を何か知っているかも知れない。
 黒木は左にウィンカーを出しコンビニの駐車場に入ると、後ろを走っていた杉村の運転する車もコンビニの駐車場に入る。

 駐車場には、黒木と杉村の二台の車だけが止まっていた。

 全員が車から降りコンビニに入る。
 皆んなが、飲み物や食べ物を選んでいる間に黒木が店員に神社の事を聞いているが、どうやら店員も神社の詳細な場所は分かっていないらしい。

 美咲とユキそして黒木達が、買い物や手洗いを済ませコンビニを出ると、さっきまで誰も居なかった駐車場の端に高校生らしき男子三人が向かい合って地面に座っていた。

 黒木が三人の高校生に歩み寄ると、美咲も黒木の後に続いた。
 黒木が高校生に話し掛ける。
「君達。いきなりですまないが、聞きたい事があるんだがね」
 と黒木が質問しようとすると。

「巫女の悪霊ですか?」
 と高校生の一人が、いきなり質問もされていないのに聞き返して来た。

 黒木も、後ろにいる美咲もギョッとした。神社の場所を聞こうとしたのに、その一人の高校生は突然、巫女の悪霊を口にしたのだ。

「それってアレじゃねぇ、邪眼の巫女の事じゃん?」

 違う高校生が又しても黒木と美咲を驚かせる。
 確かに聞きたい事は、神社は元より邪眼の巫女だが、黒木は神社の場所も邪眼の巫女の事も質問していない。
 なのに、この高校生達はまるで質問される事を知っているかの様に話し出している。

 理解出来ないで不思議に感じている黒木が、
「君達、邪眼の巫女の話しを知っているのかね?」

 高校生達が、今度は黒木の質問に答える様に、
「姿を見ても大丈夫らしいけど、ただ目を合わせたら呪われるって話しだよな」
「いや姿を見ても呪われるんじゃなかったけ」

 高校生達が淡々と話す。

 黒木は高校生達の話しを興味深く聞いているが、後ろにいる美咲は、なぜこの高校生達は聞いてもいない邪眼の巫女を口にしたのか、不思議にそして不気味に感じていた。
 もしかして、自分達の様に邪眼の巫女の出る神社を目的とした人達に何度も聞かれている為に、直感的に、先に巫女の悪霊と答えたのだろうか。そうとしか思えなかった。

 黒木が高校生達に聞く、
「邪眼の巫女の噂は、やはりあるのだね。その巫女の出る神社を探しているのだが、何処か分かるだろうか?」

 すると一人の高校生が地面から立ち上がり、コンビニから田園地帯の先にある山々の一つの山に指をさした。

「あの山の参道を登れば、直ぐに神社がありますよ」

 黒木と美咲が、高校生の指さした方向の山を見る。

「うむ。よし、分かった。ありがとう。君達のおかげで助かったよ」
 と黒木が礼を言うと振り返り車に向う。

 美咲は、やはり不思議に思い高校生に、
「ねぇ、あの······どうして······」

 立ち上がり山を指さした高校生は、また地面に座った。
 そして三人の高校生達は互いに向かい合っているが、何も話さないで黙っている。
 しかも、何だか高校生達の目の焦点が合っていない。
 美咲は、自分の背中が冷たくなるのを感じた。

「美咲、何してるの? 皆んな車に乗って待ってるよ」

 ユキが、後ろから美咲に話し掛けた。

「あ······うん。わかった、今行く」

 美咲は振り返りユキと車に向う。

 黒木の車の後部座席に乗り、窓から駐車場の端を見る美咲。
 三人の高校生が地面に座っている。
 そして、車が走り始めた。

 田園地帯にできた車道を二台の車が山に向かって行く。
 やがて、山の参道が見えて来た。

 参道の入口の前に、駐車場らしき広場があり、車が一台止まっていた。

「先客かな?」
 黒木が呟く。

 黒木と杉村が運転する車が広場に並んで止まり、全員が車を降りた。

「おい! コレ、高級車じゃねぇ?」

 杉村が、先に止まっていた一台の車を指でさしている。

「フェラーリじゃないか?」

 森山が、腕を組みながら高級車をマジマジと眺めている。

「ここの駐車場に止めているのなら、神社に行ったのかしら」
 アキナが、そう言うと、
「じゃあ、悪霊が出るんじゃなくて、本当にパワースポットなんじゃ······」
 江古田が、眼鏡を指で押し上げながら唾を飲んだ。

「とにかく、我々も参道を登り神社に行こうではないか」
 と黒木が片手で髪を掻き上げながら行った。

 日は少し傾いていた。

 黒木を先頭に美咲達七名が参道を歩いて行く。

 黒木が、一眼レフカメラを持ち、江古田と杉村がハンディカムカメラをそれぞれ持っていた。

 美咲、ユキ、アキナは、一応懐中電灯を持っている。
 
 参道は思いのほか綺麗だった。
 左右に雑草が生え揃え、砂利道が続く。

 断崖絶壁の様な危険な場所ではなく、落石の危険もなさそうだった。
 何故、名前の無い神社なのか。

 七名が、参道を暫く進んで上がって行くと、前から二人の男女が参道を下りて歩いて来た。


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