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ハル・クリムゾン
執事を引き連れて応接室に入ってきた少女ハル・クリムゾンはユリアを見て目を丸くした。
「あら、貴女・・・。きれいな銀髪なのね。大叔母様にそっくりなのね。瞳の色は水色ではないけれど銀髪を持っているだけでも証明できるわね。」
「見ただけで話しの内容がわかるのですか?精霊神ティターニア様から精霊王様経由で話が行っている・・・ということはありませんよね?」
シオンはハルに微笑みかける。
「来るわけがないでしょう。精霊たちはこの時期は忙しいのよ。」
「忙しい・・・ですか?」
ハルの言葉にシオンは首を傾げた。
「ええ。なんだったかしら。この前ルシェアが言っていたのよね。確かティターニア様生誕祭って言っていたかしら。ティターニア様がお生まれになった日をお祝いするお祭りだそうよ。」
「ティターニア様生誕祭ですか?それはいつ、どこで行われるのですか?」
シオンはティターニア様生誕祭という言葉に食いつく。
「ティターニア様第1主義者ね、食いつきが速いわ。精霊界で明後日から行われるそうよ。」
そこでハルはユリアの周りに異常な数の精霊がいることに気づく。
「そういえば思ったのだけど、貴女、精霊の愛し子か何かなのかしら?いつもは準備に忙しいと言って駆けずり回っている精霊たちがこんなにもいるだなんて。」
驚いたようにじっとユリアを見た。
「貴女・・・お名前は?」
「ユリアと申します。ヴィ―ルヘミア王国から来ました。」
ユリアは立ち上がり綺麗なカーテシーをする。
「あら。可愛い子じゃない。ヴィ―ルヘミア王国出身というのが難点だけれど大叔母様のお孫さんならラピスラズリ大帝国でも貴族として認められるのもはやいわよ。」
ハルはクスクスと笑う。
「お孫さんですか?」
「あら、ティターニア様から聞いていたのだと思っていたのだけど。まさか聞いていないの?」
ユリアが首を傾げるとハルはきょとんする。
「いえ、そうではなく知っていることに驚きまして。」
ユリアが慌てて訂正するとハルはにっこりと笑った。
「知らないだなんて失礼に当たるわ。いくら周囲の反対を押しのけて敵国に嫁いだとしても勘当はされていないのだから。大叔母様の一族のこともきちんと覚えたわ。シェーラ侯爵家のご出身だそうね。」
「はい。」
「それなら貴女は精霊の愛し子ということになるわね。噂では聞いていたのよ。貴女が精霊の愛し子だということは。だから『これ』から手紙をもらったときは驚いたわ。精霊の愛し子として大切にされていると思っていたのだもの。そんなことされて追い出されるとは信じられないわ。王国の神経を疑うわ。偽物を囲って今さぞ苦しんでいることでしょうね。」
ハルはあははと笑った。
「あの総帥閣下。『これ』とは一体・・・?」
「あら。『これ』は『これ』よ。シオンのことよ。」
「皇太子殿下のことですか!?」
恐れ多くも皇太子のことを『これ』呼ばわりするハルにユリアは驚いた。
「それで?ティターニア様にお会いして一体何を話してきたのかしら?ここに来たのはティターニア様の提案でもあるのでしょう?」
ハルはシオンを見る。
「なんで私を見るんですか?」
シオンは言う。
「あら、だって貴方付き添ったのよね?ティターニア様に会ったのよね?なら話した内容ぐらいわかるでしょう?」
「ユリア様に聞いてもよいと思うのですが・・・。」
「精霊神ティターニア様の愛し子なのよ。そんな説明させるわけにはいかないでしょう。さあ、早く説明してくださらない?私この後皇帝とお食事会があるの。」
ハルはシオンをせかす。
「・・・もう13時は過ぎていますが・・・。」
「貴方だって知っているでしょう!皇帝は夕飯を食べるのは13時過ぎからなのよ。なんでそんな遅い時間に食べるのかしら。」
ハルは文句を言う。
「わかりました。説明しますよ。」
諦めたようにシオンは言った。
「・・・ということです。大体こんな感じの話をしていました。」
シオンはかいつまんで説明する。
「ふーん。よくわかったわ。ティターニア様にここを頼れって言われたのね。本当に愛し子には甘いんだから。」
半ば呆れたようにハルは言う。
「それで、ユリア様のことは保護してくれますか?」
シオンは確認する。
「あたりまえでしょう。同じ血筋の者なのに皇家預かりにさせるわけないでしょう。」
「それは建前ですよね本音は?」
「本音なんてそんなものないわ。」
ハルはシオンの言葉を突っぱねる。
「あらもうこんな時間。そろそろ食事会の時間だわ。」
ハルは時計を見て慌てる。
「じゃあ、私はこの辺でお暇させていただくわ。シオンとエルは皇宮に戻りなさい。ついでで送ってあげるわよ。ユリアさんとそちらの・・・ユリアさんのお父君かしら?」
「ユリアの父のロバートと申します。」
「そう、ロバートというのね。ユリアさんとロバートさんはここに泊っていきなさい。これからのことは明日また話し合いましょう。そうそう。シオンは来なくていいわ。事後報告になるけれど・・・よろしくね。」
ハルはシオンに微笑みかける。
「メリィ。」
そして応接室の外で控えている侍女メリィを呼び出した。
「お呼びでしょうか。」
あらわれたメリィにハルは言う。
「屋敷で一番の客室をユリアさんとロバートさんに一部屋ずつ頼めるかしら?侍女も一人につき最低2人はつけてね。」
「かしこまりました。」
メリィの返事を聞くとハルは応接室から去っていった。
「ユリア様。お先に失礼します。」
シオンとエルはハルについていった。
「昨日ぶりですわね皇帝陛下♪」
侍従に案内されてテーブルについたハルは笑顔で言う。
「う、うむ。こんな時間に食事会など開いてすまなかった。」
皇帝フィオレンスはおずおずと言う。
「うふふ。陛下のお夕食が遅いことぐらい存じていますわ。」
(訳 すまないと思っているのなら呼ぶな。呼んだとしてももっと食事会を早くから始めてもらえない?)
「そ、そうか。」
ハルの嫌味にフィオレンスは顔を引き攣らせた。
「そうです陛下。私からヴィ―ルヘミア王国がらみの精霊の愛し子のご報告がございます。聞きますか?」
ハルはフィオレンスに意味深な笑みを浮かべた。
「あら、貴女・・・。きれいな銀髪なのね。大叔母様にそっくりなのね。瞳の色は水色ではないけれど銀髪を持っているだけでも証明できるわね。」
「見ただけで話しの内容がわかるのですか?精霊神ティターニア様から精霊王様経由で話が行っている・・・ということはありませんよね?」
シオンはハルに微笑みかける。
「来るわけがないでしょう。精霊たちはこの時期は忙しいのよ。」
「忙しい・・・ですか?」
ハルの言葉にシオンは首を傾げた。
「ええ。なんだったかしら。この前ルシェアが言っていたのよね。確かティターニア様生誕祭って言っていたかしら。ティターニア様がお生まれになった日をお祝いするお祭りだそうよ。」
「ティターニア様生誕祭ですか?それはいつ、どこで行われるのですか?」
シオンはティターニア様生誕祭という言葉に食いつく。
「ティターニア様第1主義者ね、食いつきが速いわ。精霊界で明後日から行われるそうよ。」
そこでハルはユリアの周りに異常な数の精霊がいることに気づく。
「そういえば思ったのだけど、貴女、精霊の愛し子か何かなのかしら?いつもは準備に忙しいと言って駆けずり回っている精霊たちがこんなにもいるだなんて。」
驚いたようにじっとユリアを見た。
「貴女・・・お名前は?」
「ユリアと申します。ヴィ―ルヘミア王国から来ました。」
ユリアは立ち上がり綺麗なカーテシーをする。
「あら。可愛い子じゃない。ヴィ―ルヘミア王国出身というのが難点だけれど大叔母様のお孫さんならラピスラズリ大帝国でも貴族として認められるのもはやいわよ。」
ハルはクスクスと笑う。
「お孫さんですか?」
「あら、ティターニア様から聞いていたのだと思っていたのだけど。まさか聞いていないの?」
ユリアが首を傾げるとハルはきょとんする。
「いえ、そうではなく知っていることに驚きまして。」
ユリアが慌てて訂正するとハルはにっこりと笑った。
「知らないだなんて失礼に当たるわ。いくら周囲の反対を押しのけて敵国に嫁いだとしても勘当はされていないのだから。大叔母様の一族のこともきちんと覚えたわ。シェーラ侯爵家のご出身だそうね。」
「はい。」
「それなら貴女は精霊の愛し子ということになるわね。噂では聞いていたのよ。貴女が精霊の愛し子だということは。だから『これ』から手紙をもらったときは驚いたわ。精霊の愛し子として大切にされていると思っていたのだもの。そんなことされて追い出されるとは信じられないわ。王国の神経を疑うわ。偽物を囲って今さぞ苦しんでいることでしょうね。」
ハルはあははと笑った。
「あの総帥閣下。『これ』とは一体・・・?」
「あら。『これ』は『これ』よ。シオンのことよ。」
「皇太子殿下のことですか!?」
恐れ多くも皇太子のことを『これ』呼ばわりするハルにユリアは驚いた。
「それで?ティターニア様にお会いして一体何を話してきたのかしら?ここに来たのはティターニア様の提案でもあるのでしょう?」
ハルはシオンを見る。
「なんで私を見るんですか?」
シオンは言う。
「あら、だって貴方付き添ったのよね?ティターニア様に会ったのよね?なら話した内容ぐらいわかるでしょう?」
「ユリア様に聞いてもよいと思うのですが・・・。」
「精霊神ティターニア様の愛し子なのよ。そんな説明させるわけにはいかないでしょう。さあ、早く説明してくださらない?私この後皇帝とお食事会があるの。」
ハルはシオンをせかす。
「・・・もう13時は過ぎていますが・・・。」
「貴方だって知っているでしょう!皇帝は夕飯を食べるのは13時過ぎからなのよ。なんでそんな遅い時間に食べるのかしら。」
ハルは文句を言う。
「わかりました。説明しますよ。」
諦めたようにシオンは言った。
「・・・ということです。大体こんな感じの話をしていました。」
シオンはかいつまんで説明する。
「ふーん。よくわかったわ。ティターニア様にここを頼れって言われたのね。本当に愛し子には甘いんだから。」
半ば呆れたようにハルは言う。
「それで、ユリア様のことは保護してくれますか?」
シオンは確認する。
「あたりまえでしょう。同じ血筋の者なのに皇家預かりにさせるわけないでしょう。」
「それは建前ですよね本音は?」
「本音なんてそんなものないわ。」
ハルはシオンの言葉を突っぱねる。
「あらもうこんな時間。そろそろ食事会の時間だわ。」
ハルは時計を見て慌てる。
「じゃあ、私はこの辺でお暇させていただくわ。シオンとエルは皇宮に戻りなさい。ついでで送ってあげるわよ。ユリアさんとそちらの・・・ユリアさんのお父君かしら?」
「ユリアの父のロバートと申します。」
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ハルはシオンに微笑みかける。
「メリィ。」
そして応接室の外で控えている侍女メリィを呼び出した。
「お呼びでしょうか。」
あらわれたメリィにハルは言う。
「屋敷で一番の客室をユリアさんとロバートさんに一部屋ずつ頼めるかしら?侍女も一人につき最低2人はつけてね。」
「かしこまりました。」
メリィの返事を聞くとハルは応接室から去っていった。
「ユリア様。お先に失礼します。」
シオンとエルはハルについていった。
「昨日ぶりですわね皇帝陛下♪」
侍従に案内されてテーブルについたハルは笑顔で言う。
「う、うむ。こんな時間に食事会など開いてすまなかった。」
皇帝フィオレンスはおずおずと言う。
「うふふ。陛下のお夕食が遅いことぐらい存じていますわ。」
(訳 すまないと思っているのなら呼ぶな。呼んだとしてももっと食事会を早くから始めてもらえない?)
「そ、そうか。」
ハルの嫌味にフィオレンスは顔を引き攣らせた。
「そうです陛下。私からヴィ―ルヘミア王国がらみの精霊の愛し子のご報告がございます。聞きますか?」
ハルはフィオレンスに意味深な笑みを浮かべた。
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