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昔の話 sideシオン
あれは5代前の皇帝の時だった。私も父上から伝え聞いた話だから途中で話が真実とはねじ曲がっているかもしれない。
まあ、あのクリムゾン大公家がそんな偽りの真実を認めるわけがないから真実だと思うよ。
その5代前の皇帝には最愛の皇后が産んだ一人息子、ローウェルがいたんだ。
皇帝の最愛の皇后はローウェルの妹シェリーナを産んだ後、病で亡くなってしまった。
その当時ローウェルは5歳、シェリーナ生後1か月だったそうだ。
皇后の実家は当時の筆頭公爵家マイセーナ公爵家。
皇后はマイセーナ公爵家の次女だった。
そんな皇后と大恋愛の末結婚した皇帝は当然のごとくマイセーナ公爵家からの後ろ立てをもらった。
よくある話だ。
姉は疎まれて妹は可愛がられる。
でも皇后の姉はそれはそれは優しい人で皇后との仲も良好だった。
皇后の家族仲はこんなところかな。
これがなんの関係があるのかって?
それがね後々関係してくるんだよ。
最愛の皇后を亡くした皇帝は深い悲しみに暮れた。
臣下が子供たちのために側妃を娶ってはどうかと聞かれるたびに激高するほどには。
皇帝は結局筆頭侯爵家のセール―ン侯爵家からまだ独り身だった長女セリーヌを娶った。
だけどその婚姻は契約上の物であった。
つまりだ。
白い結婚という決まりだったのだ。
だけど何とか側妃になることができたセリーヌはどうしても皇帝の子供が欲しかった。
皇后にはなれなくても皇帝の子供を孕めば、それがもし男の子であったのなら、その子が皇帝になる確率は兄皇子ローウェルがいるため高くはないが継承権はローウェルの次となる。
もしローウェルが死ぬ、もしくは償うことのできない大罪を犯し継承権を剥奪されたのなら皇太子の座はセリーヌの子の物となる。
セリーヌは権力に貪欲な女だった。
しかし皇帝との約束は白い結婚。
閨に忍び込み皇帝の寝込みを襲うこともできるだろう。
だができたとしても一度だけだろう。
次の日には離宮に移されることが確定するのは当然のこと。
知恵だけはあるセリーヌは考えた。
今巷に出回っている媚薬というものを使えば皇帝をその気にさせるのは簡単。
後は子供を孕みやすい日に皇帝を誘惑すればいい。
セリーヌは媚薬を買うために夜、人目を忍んでとある魔女の店に行った。
「今巷で有名な媚薬というものはないのかしら?」
魔女は笑って言う。
「あるにはあるがお前さんの魂胆はわかりきっている。操りたいのだろう?我が子を。」
そして・・・
「だがもし襲うことが成功したとしても、その日が孕みやすい日だったとしても確実に男が産まれるかはわからない。」
困惑し、悩むセリーヌに魔女はある提案をした。
「確実に子が産まれるという薬をあげよう。そうだね、それが男となって産まれる薬もやろう。タダでだ。だが条件がある。」
条件と聞いてセリーヌは息を飲んだ。
当然だ。
「その結果を教えてくれ。それだけでいい。」
魔女の言葉を信じたセリーヌは媚薬と子が産まれやすい薬、男子が産まれやすい薬を魔女からもらった。
その結果は大成功。
いくら亡き皇后を愛する皇帝とはいえど媚薬の前には役立たずだった。
セリーヌは無事一夜を乗り切り、そして身籠った。
当然皇帝は激怒する。
しかし白い結婚という約束は皇帝とセリーヌの間で秘密裏に行われていたもの。
他の人たちはそんな事実は知らなかった。
だから公にすれば責められるのは皇帝。
だから皇帝は身籠ったセリーヌを離宮に追い立てることができなかった。
無事に生き延びたセリーヌは時を経て1人の男児を産み落とした。
皇帝によく似た容姿は明らかに皇帝の子であることを証明していた。
そしてその子は皇帝に似ているだけではないことが分かった。
セリーヌの子ヴィーヌは父王に似て天才だったのだ。
そんなヴィーヌは当然皇帝にふさわしいと多くの貴族が押した。
しかしその時点ではまだ皇太子の座がどちらかということは決まっていなかった。
結局皇帝はヴィーヌを皇太子の座に据えた。
セリーヌは歓喜した。
そしてそのヴィーヌには婚約者としてクリムゾン大公家の一人娘アンナリーゼがあてがわれた。
アンナリーゼとヴィーヌの婚約はもちろん政略でセリーヌがヴィーヌが皇帝となる為に絶対に必要な駒、それがアンナリーゼだった。
アンナリーゼはもちろんそのことには最初から気づいていて、わかっていたうえで婚約した。
ヴィーヌは幼いころから母セリーヌにローウェルを抜かせ、ローウェルを超えろ、ローウェルを潰せ・・・と言ってきた。
毎日毎日そんな言葉を言われれば当然嫌気がさしてくる。
それはヴィーヌも同じだった。
ヴィーヌは表面は母に従いアンナリーゼを大切にした。
しかし心のどこかでアンナリーゼを軽んじていた。
将来皇帝になるのは確実なヴィーヌの婚約者であるアンナリーゼは自分の恩恵に縋り皇后になることができると勘違いしていた。
皇太子になったとはいえヴィーヌはアンナリーゼと婚約する以前はこれといった後ろ立てはいない。
つまりだ、亡き皇后の実家マイセーナ公爵家の後ろ立ては兄皇子ローウェルにある。
しかしヴィーヌにはない。
いくら皇太子になったとはいえ後ろ立てのいない皇太子はまずありえないし、すぐに失脚する。
だからセリーヌは当時は第一皇子派にも第二皇子派にもついていなかったクリムゾン大公家に取引を持ち掛けたのだった。
取引の内容は「我が子ヴィーヌを皇帝にして欲しい。もし実現したのならアンナリーゼ様を皇后として迎える」だった。
アンナリーゼはこの取引を知っていた。
しかしヴィーヌは知らなかった。
ヴィーヌは賢い。
だが恋愛面では馬鹿だった。
セリーヌによりアンナリーゼ以外の年頃の令嬢と話してこなかったのだ。
セリーヌは令嬢の扱い方をヴィーヌに教えず、ヴィーヌは自分の思ったように令嬢に物を言う。
それは婚約者であるアンナリーゼにも同じだった。
その事実はアンナリーゼからクリムゾン大公家に伝わっていた。
本当ならいつ婚約を解消されてもおかしくない状況だったのだ。
そしてヴィーヌとアンナリーゼは帝国立学園に通うことになった。
アンナリーゼ以外の令嬢と話すことに慣れていないヴィーヌは当然アンナリーゼと接するときと同じように接する。
アンナリーゼは諫めなかった。
ヴィーヌの態度に最初はすり寄っていた令嬢たちもどんどん離れていった。
賢く、賢帝と呼ばれる皇帝の子だけれど、性格は最悪だと瞬く間に噂になった。
皇太子だからそこまでひどい噂にはならなかったが、そういう噂をたてられたことがないヴィーヌはひどく怒った。
噂をたてたと思われる令嬢たちの実家を片っ端から潰そうとした。
そんな情緒不安定なヴィーヌの前にあらわれたのはしがない男爵令嬢ミアナ・ポートルートだ。
ミアナは巧みな言葉でヴィーヌを窘め、悪いのは諫めなかったアンナリーゼだと言う。
今まですり寄られたことはあっても優しく諭してくれる存在がいなかったヴィーヌはミアナに惚れた。
そしてミアナの言うことを信じた。
そしてある日の皇家主催の夜会でヴィーヌの悪い噂を流したとして婚約破棄、そして幽閉しようとしたのだ。
当然アンナリーゼはそんなことはしていない。
「自業自得でしょう?」
アンナリーゼは否定も肯定もせず、ただその一言を言って微笑んでいた。
その言葉に込められた意味にヴィーヌは気づかない。
クリムゾン大公家は当時は皇帝の右腕と呼ばれるほどの忠臣だった、
しかし謂れのない罪で婚約破棄されたことによりクリムゾン大公家は大激怒。
当然アンナリーゼとヴィーヌの婚約は解消となり、クリムゾン大公家は第二皇子派から抜け、皇家に対し、何かしらの対応をとらなければそれ相応の処置をとる・・・と脅した。
慌てた皇帝は問題を起こしたヴィーヌとミアナを幽閉、そしてヴィーヌの皇太子の位を剝奪したのだ。
そうすると自然と皇太子になるのはローウェルだ。
そしてアンナリーゼはローウェルの婚約者に据えられた。
国内で有数の財力と権力を持つクリムゾン大公家をこれ以上怒らせ、野放しにはできないと皇帝は婚約を打診したのだ。
ローウェルは性格はよかった。
しかし少しばかりお頭が弱かった。
最初はアンナリーゼに惚れ、仲良くしていた。
しかし途中から学園に編入してきた平民の少女に捨て身で誘惑され、ローウェルはそれにのってしまった。
当然アンナリーゼは激怒した。
ヴィーヌのことでそれなりに怒っていたアンナリーゼは怒り心頭にほっした。
すぐに父へ手紙を書き、婚約の解消を申し出るようにお願いした。
クリムゾン大公は最愛の娘の現状を知りこれまた大激怒した。
そのまま皇帝のもとに押しかけたのだ。
「お前ら皇家は婚約者を大切にすらできないのか?」
その時クリムゾン大公は決意したそうだ。
ラピスラズリ大帝国の皇家は終わったと。
それならば偽りになってもらおうと。
娘をないがしろにされたことに激怒していた大公の行動は速かった。
他の高位貴族の賛成を受け、すぐに学園に秘密裏に私兵を数人送った。
自分は皇宮に出向きクリムゾン大公家の騎士に命じて皇帝を捕らえた。
私兵たちはすぐにローウェルを連れてきた。
そこで何が起こるのかやっと理解した皇帝は最後の悪あがきをした。
「箝口令を敷く!我が息子ローウェルのやったことは一生秘密だ!そして我が皇家が偽りになることもだ!」
クリムゾン大公家はある伝手からある薬をもらっていた。
『契約の薬』
飲ませた者、或いはその一族には決して逆らえない。
従う順位は一位飲ませた者、二位一族郎党・・・という感じである。
クリムゾン大公は仕入れた薬を水に混ぜ皇帝とローウェルに飲ませた。
苦しみはない。
ただ皇家の役割を果たせなくなるだけ。
「一生偽りのままでいろ。」
それからというものクリムゾン大公家は代々皇帝に子が産まれるたびに契約の薬を飲ませた。
これが偽りの皇家の話であった。
後日談
アンナリーゼはその後幼馴染の侯爵令息に求婚され、その人と結婚し、クリムゾン大公家を継ぎ子供にも恵まれ、幸せな日々を送ったそうだ。
ちなみに幽閉されたヴィーヌとミアナはその後病を患い幽閉されてから二か月後に死んだそうだ。
そしてもう一人のローウェルは辺境にある鉱山で働かされ、過酷な日々に心が折れ、自殺したそうだ。
これがすべてで真実だ。
ちなみに私もハルから契約の薬を飲まされたよ。
父上は前大公から飲まされていたけれど爵位継承に伴いハルが上書きでもう一度薬を飲ませたんだって。
でも私は別にクリムゾン大公家を恨んでいるわけではないよ。
クリムゾン大公家にそのような行動をさせてしまったのは私の先祖なのだから。
こんな汚い私は精霊の愛し子であるユリアにはふさわしくないよね。
―――――――――――――――――――
本日3話目となります。
書き終わったあと時計を見てびっくりしました。
こんな時間に更新すみません。
明日はさすがにこの勢いでは書けないと思います。
まあ、あのクリムゾン大公家がそんな偽りの真実を認めるわけがないから真実だと思うよ。
その5代前の皇帝には最愛の皇后が産んだ一人息子、ローウェルがいたんだ。
皇帝の最愛の皇后はローウェルの妹シェリーナを産んだ後、病で亡くなってしまった。
その当時ローウェルは5歳、シェリーナ生後1か月だったそうだ。
皇后の実家は当時の筆頭公爵家マイセーナ公爵家。
皇后はマイセーナ公爵家の次女だった。
そんな皇后と大恋愛の末結婚した皇帝は当然のごとくマイセーナ公爵家からの後ろ立てをもらった。
よくある話だ。
姉は疎まれて妹は可愛がられる。
でも皇后の姉はそれはそれは優しい人で皇后との仲も良好だった。
皇后の家族仲はこんなところかな。
これがなんの関係があるのかって?
それがね後々関係してくるんだよ。
最愛の皇后を亡くした皇帝は深い悲しみに暮れた。
臣下が子供たちのために側妃を娶ってはどうかと聞かれるたびに激高するほどには。
皇帝は結局筆頭侯爵家のセール―ン侯爵家からまだ独り身だった長女セリーヌを娶った。
だけどその婚姻は契約上の物であった。
つまりだ。
白い結婚という決まりだったのだ。
だけど何とか側妃になることができたセリーヌはどうしても皇帝の子供が欲しかった。
皇后にはなれなくても皇帝の子供を孕めば、それがもし男の子であったのなら、その子が皇帝になる確率は兄皇子ローウェルがいるため高くはないが継承権はローウェルの次となる。
もしローウェルが死ぬ、もしくは償うことのできない大罪を犯し継承権を剥奪されたのなら皇太子の座はセリーヌの子の物となる。
セリーヌは権力に貪欲な女だった。
しかし皇帝との約束は白い結婚。
閨に忍び込み皇帝の寝込みを襲うこともできるだろう。
だができたとしても一度だけだろう。
次の日には離宮に移されることが確定するのは当然のこと。
知恵だけはあるセリーヌは考えた。
今巷に出回っている媚薬というものを使えば皇帝をその気にさせるのは簡単。
後は子供を孕みやすい日に皇帝を誘惑すればいい。
セリーヌは媚薬を買うために夜、人目を忍んでとある魔女の店に行った。
「今巷で有名な媚薬というものはないのかしら?」
魔女は笑って言う。
「あるにはあるがお前さんの魂胆はわかりきっている。操りたいのだろう?我が子を。」
そして・・・
「だがもし襲うことが成功したとしても、その日が孕みやすい日だったとしても確実に男が産まれるかはわからない。」
困惑し、悩むセリーヌに魔女はある提案をした。
「確実に子が産まれるという薬をあげよう。そうだね、それが男となって産まれる薬もやろう。タダでだ。だが条件がある。」
条件と聞いてセリーヌは息を飲んだ。
当然だ。
「その結果を教えてくれ。それだけでいい。」
魔女の言葉を信じたセリーヌは媚薬と子が産まれやすい薬、男子が産まれやすい薬を魔女からもらった。
その結果は大成功。
いくら亡き皇后を愛する皇帝とはいえど媚薬の前には役立たずだった。
セリーヌは無事一夜を乗り切り、そして身籠った。
当然皇帝は激怒する。
しかし白い結婚という約束は皇帝とセリーヌの間で秘密裏に行われていたもの。
他の人たちはそんな事実は知らなかった。
だから公にすれば責められるのは皇帝。
だから皇帝は身籠ったセリーヌを離宮に追い立てることができなかった。
無事に生き延びたセリーヌは時を経て1人の男児を産み落とした。
皇帝によく似た容姿は明らかに皇帝の子であることを証明していた。
そしてその子は皇帝に似ているだけではないことが分かった。
セリーヌの子ヴィーヌは父王に似て天才だったのだ。
そんなヴィーヌは当然皇帝にふさわしいと多くの貴族が押した。
しかしその時点ではまだ皇太子の座がどちらかということは決まっていなかった。
結局皇帝はヴィーヌを皇太子の座に据えた。
セリーヌは歓喜した。
そしてそのヴィーヌには婚約者としてクリムゾン大公家の一人娘アンナリーゼがあてがわれた。
アンナリーゼとヴィーヌの婚約はもちろん政略でセリーヌがヴィーヌが皇帝となる為に絶対に必要な駒、それがアンナリーゼだった。
アンナリーゼはもちろんそのことには最初から気づいていて、わかっていたうえで婚約した。
ヴィーヌは幼いころから母セリーヌにローウェルを抜かせ、ローウェルを超えろ、ローウェルを潰せ・・・と言ってきた。
毎日毎日そんな言葉を言われれば当然嫌気がさしてくる。
それはヴィーヌも同じだった。
ヴィーヌは表面は母に従いアンナリーゼを大切にした。
しかし心のどこかでアンナリーゼを軽んじていた。
将来皇帝になるのは確実なヴィーヌの婚約者であるアンナリーゼは自分の恩恵に縋り皇后になることができると勘違いしていた。
皇太子になったとはいえヴィーヌはアンナリーゼと婚約する以前はこれといった後ろ立てはいない。
つまりだ、亡き皇后の実家マイセーナ公爵家の後ろ立ては兄皇子ローウェルにある。
しかしヴィーヌにはない。
いくら皇太子になったとはいえ後ろ立てのいない皇太子はまずありえないし、すぐに失脚する。
だからセリーヌは当時は第一皇子派にも第二皇子派にもついていなかったクリムゾン大公家に取引を持ち掛けたのだった。
取引の内容は「我が子ヴィーヌを皇帝にして欲しい。もし実現したのならアンナリーゼ様を皇后として迎える」だった。
アンナリーゼはこの取引を知っていた。
しかしヴィーヌは知らなかった。
ヴィーヌは賢い。
だが恋愛面では馬鹿だった。
セリーヌによりアンナリーゼ以外の年頃の令嬢と話してこなかったのだ。
セリーヌは令嬢の扱い方をヴィーヌに教えず、ヴィーヌは自分の思ったように令嬢に物を言う。
それは婚約者であるアンナリーゼにも同じだった。
その事実はアンナリーゼからクリムゾン大公家に伝わっていた。
本当ならいつ婚約を解消されてもおかしくない状況だったのだ。
そしてヴィーヌとアンナリーゼは帝国立学園に通うことになった。
アンナリーゼ以外の令嬢と話すことに慣れていないヴィーヌは当然アンナリーゼと接するときと同じように接する。
アンナリーゼは諫めなかった。
ヴィーヌの態度に最初はすり寄っていた令嬢たちもどんどん離れていった。
賢く、賢帝と呼ばれる皇帝の子だけれど、性格は最悪だと瞬く間に噂になった。
皇太子だからそこまでひどい噂にはならなかったが、そういう噂をたてられたことがないヴィーヌはひどく怒った。
噂をたてたと思われる令嬢たちの実家を片っ端から潰そうとした。
そんな情緒不安定なヴィーヌの前にあらわれたのはしがない男爵令嬢ミアナ・ポートルートだ。
ミアナは巧みな言葉でヴィーヌを窘め、悪いのは諫めなかったアンナリーゼだと言う。
今まですり寄られたことはあっても優しく諭してくれる存在がいなかったヴィーヌはミアナに惚れた。
そしてミアナの言うことを信じた。
そしてある日の皇家主催の夜会でヴィーヌの悪い噂を流したとして婚約破棄、そして幽閉しようとしたのだ。
当然アンナリーゼはそんなことはしていない。
「自業自得でしょう?」
アンナリーゼは否定も肯定もせず、ただその一言を言って微笑んでいた。
その言葉に込められた意味にヴィーヌは気づかない。
クリムゾン大公家は当時は皇帝の右腕と呼ばれるほどの忠臣だった、
しかし謂れのない罪で婚約破棄されたことによりクリムゾン大公家は大激怒。
当然アンナリーゼとヴィーヌの婚約は解消となり、クリムゾン大公家は第二皇子派から抜け、皇家に対し、何かしらの対応をとらなければそれ相応の処置をとる・・・と脅した。
慌てた皇帝は問題を起こしたヴィーヌとミアナを幽閉、そしてヴィーヌの皇太子の位を剝奪したのだ。
そうすると自然と皇太子になるのはローウェルだ。
そしてアンナリーゼはローウェルの婚約者に据えられた。
国内で有数の財力と権力を持つクリムゾン大公家をこれ以上怒らせ、野放しにはできないと皇帝は婚約を打診したのだ。
ローウェルは性格はよかった。
しかし少しばかりお頭が弱かった。
最初はアンナリーゼに惚れ、仲良くしていた。
しかし途中から学園に編入してきた平民の少女に捨て身で誘惑され、ローウェルはそれにのってしまった。
当然アンナリーゼは激怒した。
ヴィーヌのことでそれなりに怒っていたアンナリーゼは怒り心頭にほっした。
すぐに父へ手紙を書き、婚約の解消を申し出るようにお願いした。
クリムゾン大公は最愛の娘の現状を知りこれまた大激怒した。
そのまま皇帝のもとに押しかけたのだ。
「お前ら皇家は婚約者を大切にすらできないのか?」
その時クリムゾン大公は決意したそうだ。
ラピスラズリ大帝国の皇家は終わったと。
それならば偽りになってもらおうと。
娘をないがしろにされたことに激怒していた大公の行動は速かった。
他の高位貴族の賛成を受け、すぐに学園に秘密裏に私兵を数人送った。
自分は皇宮に出向きクリムゾン大公家の騎士に命じて皇帝を捕らえた。
私兵たちはすぐにローウェルを連れてきた。
そこで何が起こるのかやっと理解した皇帝は最後の悪あがきをした。
「箝口令を敷く!我が息子ローウェルのやったことは一生秘密だ!そして我が皇家が偽りになることもだ!」
クリムゾン大公家はある伝手からある薬をもらっていた。
『契約の薬』
飲ませた者、或いはその一族には決して逆らえない。
従う順位は一位飲ませた者、二位一族郎党・・・という感じである。
クリムゾン大公は仕入れた薬を水に混ぜ皇帝とローウェルに飲ませた。
苦しみはない。
ただ皇家の役割を果たせなくなるだけ。
「一生偽りのままでいろ。」
それからというものクリムゾン大公家は代々皇帝に子が産まれるたびに契約の薬を飲ませた。
これが偽りの皇家の話であった。
後日談
アンナリーゼはその後幼馴染の侯爵令息に求婚され、その人と結婚し、クリムゾン大公家を継ぎ子供にも恵まれ、幸せな日々を送ったそうだ。
ちなみに幽閉されたヴィーヌとミアナはその後病を患い幽閉されてから二か月後に死んだそうだ。
そしてもう一人のローウェルは辺境にある鉱山で働かされ、過酷な日々に心が折れ、自殺したそうだ。
これがすべてで真実だ。
ちなみに私もハルから契約の薬を飲まされたよ。
父上は前大公から飲まされていたけれど爵位継承に伴いハルが上書きでもう一度薬を飲ませたんだって。
でも私は別にクリムゾン大公家を恨んでいるわけではないよ。
クリムゾン大公家にそのような行動をさせてしまったのは私の先祖なのだから。
こんな汚い私は精霊の愛し子であるユリアにはふさわしくないよね。
―――――――――――――――――――
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こんな時間に更新すみません。
明日はさすがにこの勢いでは書けないと思います。
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