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第一王子の帰還
ヴィ―ルヘミア王国王都近郊にて。
一台の豪華な馬車が走っていた。
馬車に彫られた家紋はヴィ―ルヘミア王国の王家のもの。
馬車は王都の門で一度とまった。
「失礼いたします。第一王子ルーセル様ですか?」
馬車の家紋からある程度の予測はつく。
第二王子と側妃は離宮に押し込められている。
国王は既に亡くなっていて王妃は現在政治の実権を握っているため簡単に王都を離れることはできない。
その点第一王子は他国に留学していて、国王の死を聞き、一か月以内に帰ってくるという情報は民たちにも出回っている。
「はい、そうです。」
専属の護衛騎士が言う。
すると衛兵は振り返って叫んだ。
「第一王子殿下がお帰りだ!」
その瞬間町ゆく人達が一斉に振り返り、沿道に避ける。
そして歓声をあげた。
「第一王子おかえりなさい!」
「第一王子様がいればこの国は安泰だな!」
一方馬車に乗る第一王子ルーセルは向かいに座っている側近のゼネに尋ねた。
「父上は死んだと聞いたが死因は何だ?もともと父上は民から嫌われてはいたが存在を無視されるほどではなかった。」
「民の多くが信頼しているかの宰相が国王を弑逆した・・・ようですね。」
「弑逆!?あの冷静な宰相がそんなことを!」
ルーセルは心底驚く。
「宰相のことだから何かしら行動を起こすと思っていたけれどまさか弑逆とは・・・。それで?今政治の実権を握っているのは誰なんだ?母上?それとも叔父上?」
「王妃殿下、だそうです。」
「母上が・・・。」
ルーセルは考え込む。
「民を考える、民を第一とした政治に民はみな王妃が時期女王にふさわしいとほざいています。」
「・・・ふざけているのか?母上は確かに筆頭公爵家出身で王家の血も少しばかり継いでいる。だが、王位継承権はないと言っても過言ではない。王弟ならまだわかるが母上だと?つまり私が王位継承することには反対といことか?」
ルーセルは笑顔で毒づく。
「い、いえ。そういうことではないと思います。素晴らしい政策を思いつく王妃殿下の1人息子なのだから王妃殿下と同じく民を第一に考えた政策を打ち出してくれるのではないかと考えているのでは?」
ゼネは顔をひきつらせながら言う。
「第一王子殿下。到着しました。」
御者がルーセルに声をかける。
馬車から降りたルーセルは御者を労う。
「ここまでありがとう。お疲れ様。」
その言葉に御者はペコペコと頭を下げた。
「い、いえ、第一王子殿下の馬車の御者を務められるだなんてこんな幸せありません!」
あはは、と朗らかに笑うルーセルに宰相が近づいた。
「お帰りなさいませ、第一王子殿下。」
「何年ぶりかな、久しぶりだね宰相。母上のご機嫌はいかがかな?」
ルーセルは宰相に気づき、ほほ笑む。
「王妃殿下は今日も執務に励んでおられます。殿下がご帰還なさるまでと立候補なさいまして。」
素晴らしいお方ですね、と宰相は言う。
「お帰りになり次第、王妃殿下がお会いしたいと言っていましたので。」
「母上が・・・。わかった。着替えてから行こう。」
ルーセルはゼネを連れて王宮へと歩いていく。
「母上も馬鹿だなぁ。」
ルーセルは王宮を見つめながら1人つぶやいた。
「ああ、ルーセル!よく帰ってきました!」
着替えた後、王妃の執務室に向かったルーセルは王妃と対面してすぐ抱き着かれた。
無事でよかった、と言う王妃にルーセルは半ば呆れた。
「戦場から戻ってきたわけではないのですし、無事でよかったと言うほどではないのでは?」
「でも、あの側妃のことよ。暗殺者の1人や2人差し向けると思うのよ。」
ルーセルを離した後、王妃は微笑んだ。
「側妃は今幽閉されているのですよね?暗殺者を差し向ける余裕などないように思えますが。」
「それでも心配だったのよ。」
王妃はルーセルに紅茶を勧める。
「先ほど部屋に寄った際に飲み物を飲んで来ましたので大丈夫です。」
ルーセルは笑顔で母の誘いを断る。
「できれば母上が手ずから入れていない紅茶を飲みたいですね。」
「なっ!それはどういうこと?」
王妃は顔をこわばらせる。
「母上の入れる紅茶はおいしくないので。」
ズバリと言うルーセルに王妃はふらりとした。
「おいしいくないだなんて!そんなこと言わないで!少し練習したから上達したと思うのよ。」
ね、飲んでみてと王妃はしつこく言う。
ルーセルは困ったように笑う。
「色からして危険な香りがしますね。どのくらい茶葉を入れたらこんな色になるんですか?」
「普通に入れたのよ!」
「母上の普通は普通ではありませんからね。」
怒ったように頬を膨らませる王妃。
執務室の中を見回していたルーセルはあることに気づく。
執務用の机に見慣れない薬瓶。
薬瓶はまだ一度も封が外されていないようだ。
薬瓶の中には薄いピンク色の液体が入っている。
明らかに危険な液体だ。
だが封が開けられていない、つまりこの紅茶にはあの薬は入っていないことになる。
「そこまで言うのならわかりました。一口飲んでみますね。」
ルーセルはカップの中の紅茶をひと思いに飲み切る。
「っ!?」
飲み干した後ルーセルは驚いたように王妃を見つめた。
「こんなすごい色をしているのに味はおいしいですね。」
「でしょう?」
王妃は胸をはる。
「ところで母上。一つ聞きたいことが・・・。」
ーコンコン
不意に執務室の扉が叩かれる。
「入りなさい。」
王妃が言うと宰相が中に入ってきた。
「王妃殿下にラピスラズリ大帝国から使者が来ています。第一王子殿下の帰還パーティーについてでお話があると。」
「あら、そう。ごめんなさいルーセル。あなたの話はまた後ででもいいかしら?」
王妃は残念そうに言う。
「はい、私は構いません。」
ルーセルは王妃を見送った。
部屋にはルーセルとゼネ以外の誰もいなくなった。
「ゼネ。あの薬、どう思う?」
ルーセルは机を指さして言う。
「これですか?」
ゼネは机に置いてあった薬瓶を持ってくる。
「まだ未使用なようだね。一体どんな薬なのか興味がわくね。ゼネ、それを持ち帰って成分を調べてくれるかい?確か、ゼネは護衛兼薬師だったよね?」
「覚えていたのですね。わかりました。調べ終わったらこの薬瓶はここに戻しますか?」
ゼネが尋ねた。
「いいや、私のもとに持ってきてくれ。もしかしたらあれかもしれない。もしそうだったらラピスラズリ大帝国側にいろいろと聞かなくてはいけなくなるね。」
ゼネは薬瓶を亜空間にしまうとルーセルに言った。
「そろそろ戻りましょう。」
「そうだね。」
ルーセルは立ち上がるとかすかに笑った。
「母上、覚悟してね。」
一台の豪華な馬車が走っていた。
馬車に彫られた家紋はヴィ―ルヘミア王国の王家のもの。
馬車は王都の門で一度とまった。
「失礼いたします。第一王子ルーセル様ですか?」
馬車の家紋からある程度の予測はつく。
第二王子と側妃は離宮に押し込められている。
国王は既に亡くなっていて王妃は現在政治の実権を握っているため簡単に王都を離れることはできない。
その点第一王子は他国に留学していて、国王の死を聞き、一か月以内に帰ってくるという情報は民たちにも出回っている。
「はい、そうです。」
専属の護衛騎士が言う。
すると衛兵は振り返って叫んだ。
「第一王子殿下がお帰りだ!」
その瞬間町ゆく人達が一斉に振り返り、沿道に避ける。
そして歓声をあげた。
「第一王子おかえりなさい!」
「第一王子様がいればこの国は安泰だな!」
一方馬車に乗る第一王子ルーセルは向かいに座っている側近のゼネに尋ねた。
「父上は死んだと聞いたが死因は何だ?もともと父上は民から嫌われてはいたが存在を無視されるほどではなかった。」
「民の多くが信頼しているかの宰相が国王を弑逆した・・・ようですね。」
「弑逆!?あの冷静な宰相がそんなことを!」
ルーセルは心底驚く。
「宰相のことだから何かしら行動を起こすと思っていたけれどまさか弑逆とは・・・。それで?今政治の実権を握っているのは誰なんだ?母上?それとも叔父上?」
「王妃殿下、だそうです。」
「母上が・・・。」
ルーセルは考え込む。
「民を考える、民を第一とした政治に民はみな王妃が時期女王にふさわしいとほざいています。」
「・・・ふざけているのか?母上は確かに筆頭公爵家出身で王家の血も少しばかり継いでいる。だが、王位継承権はないと言っても過言ではない。王弟ならまだわかるが母上だと?つまり私が王位継承することには反対といことか?」
ルーセルは笑顔で毒づく。
「い、いえ。そういうことではないと思います。素晴らしい政策を思いつく王妃殿下の1人息子なのだから王妃殿下と同じく民を第一に考えた政策を打ち出してくれるのではないかと考えているのでは?」
ゼネは顔をひきつらせながら言う。
「第一王子殿下。到着しました。」
御者がルーセルに声をかける。
馬車から降りたルーセルは御者を労う。
「ここまでありがとう。お疲れ様。」
その言葉に御者はペコペコと頭を下げた。
「い、いえ、第一王子殿下の馬車の御者を務められるだなんてこんな幸せありません!」
あはは、と朗らかに笑うルーセルに宰相が近づいた。
「お帰りなさいませ、第一王子殿下。」
「何年ぶりかな、久しぶりだね宰相。母上のご機嫌はいかがかな?」
ルーセルは宰相に気づき、ほほ笑む。
「王妃殿下は今日も執務に励んでおられます。殿下がご帰還なさるまでと立候補なさいまして。」
素晴らしいお方ですね、と宰相は言う。
「お帰りになり次第、王妃殿下がお会いしたいと言っていましたので。」
「母上が・・・。わかった。着替えてから行こう。」
ルーセルはゼネを連れて王宮へと歩いていく。
「母上も馬鹿だなぁ。」
ルーセルは王宮を見つめながら1人つぶやいた。
「ああ、ルーセル!よく帰ってきました!」
着替えた後、王妃の執務室に向かったルーセルは王妃と対面してすぐ抱き着かれた。
無事でよかった、と言う王妃にルーセルは半ば呆れた。
「戦場から戻ってきたわけではないのですし、無事でよかったと言うほどではないのでは?」
「でも、あの側妃のことよ。暗殺者の1人や2人差し向けると思うのよ。」
ルーセルを離した後、王妃は微笑んだ。
「側妃は今幽閉されているのですよね?暗殺者を差し向ける余裕などないように思えますが。」
「それでも心配だったのよ。」
王妃はルーセルに紅茶を勧める。
「先ほど部屋に寄った際に飲み物を飲んで来ましたので大丈夫です。」
ルーセルは笑顔で母の誘いを断る。
「できれば母上が手ずから入れていない紅茶を飲みたいですね。」
「なっ!それはどういうこと?」
王妃は顔をこわばらせる。
「母上の入れる紅茶はおいしくないので。」
ズバリと言うルーセルに王妃はふらりとした。
「おいしいくないだなんて!そんなこと言わないで!少し練習したから上達したと思うのよ。」
ね、飲んでみてと王妃はしつこく言う。
ルーセルは困ったように笑う。
「色からして危険な香りがしますね。どのくらい茶葉を入れたらこんな色になるんですか?」
「普通に入れたのよ!」
「母上の普通は普通ではありませんからね。」
怒ったように頬を膨らませる王妃。
執務室の中を見回していたルーセルはあることに気づく。
執務用の机に見慣れない薬瓶。
薬瓶はまだ一度も封が外されていないようだ。
薬瓶の中には薄いピンク色の液体が入っている。
明らかに危険な液体だ。
だが封が開けられていない、つまりこの紅茶にはあの薬は入っていないことになる。
「そこまで言うのならわかりました。一口飲んでみますね。」
ルーセルはカップの中の紅茶をひと思いに飲み切る。
「っ!?」
飲み干した後ルーセルは驚いたように王妃を見つめた。
「こんなすごい色をしているのに味はおいしいですね。」
「でしょう?」
王妃は胸をはる。
「ところで母上。一つ聞きたいことが・・・。」
ーコンコン
不意に執務室の扉が叩かれる。
「入りなさい。」
王妃が言うと宰相が中に入ってきた。
「王妃殿下にラピスラズリ大帝国から使者が来ています。第一王子殿下の帰還パーティーについてでお話があると。」
「あら、そう。ごめんなさいルーセル。あなたの話はまた後ででもいいかしら?」
王妃は残念そうに言う。
「はい、私は構いません。」
ルーセルは王妃を見送った。
部屋にはルーセルとゼネ以外の誰もいなくなった。
「ゼネ。あの薬、どう思う?」
ルーセルは机を指さして言う。
「これですか?」
ゼネは机に置いてあった薬瓶を持ってくる。
「まだ未使用なようだね。一体どんな薬なのか興味がわくね。ゼネ、それを持ち帰って成分を調べてくれるかい?確か、ゼネは護衛兼薬師だったよね?」
「覚えていたのですね。わかりました。調べ終わったらこの薬瓶はここに戻しますか?」
ゼネが尋ねた。
「いいや、私のもとに持ってきてくれ。もしかしたらあれかもしれない。もしそうだったらラピスラズリ大帝国側にいろいろと聞かなくてはいけなくなるね。」
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