29 / 37
帰還パーティー
最初のみルーセル視点です。
―――――――――――――――――――――
「薬の成分が分かりました。」
帰還パーティーの前日にゼネは薬の成分をまとめた紙を持ってきた。
「これは!我が国では禁止薬物に指定されているライオネルにスフェアが入っているだと!?」
私はその紙を見て驚いた。
禁止薬物が含まれている薬を王妃が所持していただなんて笑えない。
まさか・・・あの母上が・・・。
そして私の予想通りだったその薬の効能。
『飲んだ者は解毒薬を飲まない限り一生飲ませたものに従わなければならない』
そして、母上が王座を狙っていたことを私は知った。
あれほど強引に紅茶を勧めてきたのも私にこう言わせるためだったに違いない。
『母上の紅茶はおいしいですね。また飲みたいです。」
こう言えば母上は私が即位した後にいつでも飲ませることができる。
慌てていたためこれが母上のものだという証拠を持ってくるのを忘れてしまった。
一歩間違えれば私が禁止薬物を持っていると思われかねない。
あんなわかりやすい所に置いておくぐらいだからきっと禁止薬物が入っていることすら知らないかもしれない。
とりあえずこの薬をどうするか。
母上はこの薬をどこから手に入れたのか。
ラピスラズリ大帝国側に問い詰めなくてはいけないな。
サイラスのこともあるからきっとパーティーが終わった後に接触してくるはず。
その時に聞いてみるか。
「そこの君、困ってはいないかね?」
不意に誰かの声が聞こえ、ゼネは腰の剣に手をかける。
私はまわりを見回した。
声の主は部屋の端に立っていた。
黒いローブを着て、仮面で顔を隠している。
けれどその体格と声の高さから声の主が女性であることが分かった。
「これだと怪しさがあふれ出ているかな?」
女性はフードをとり、仮面を外した。
綺麗な顔立ちだった。
「初めまして、王子サマ。私はその薬を作ったご本人、白月の魔女だよ。」
「白月の魔女?薬を作った張本人だと!」
ゼネが白月の魔女を睨みつける。
「怖い怖い。さあて、私もながいする気はないんだよ。お前さん達知りたいだろう?その薬がなぜここにあるのか分かったのか。」
白月の魔女はえへんと胸を貼る。
「この薬・・・契約の薬はもともとラピスラズリ大帝国のクリムゾン大公家にしか売っていなかった。もし他の人に売るのであれば追跡魔法を仕込む・・・これがクリムゾン大公家との契約さ。だから、この薬には追跡魔法を仕掛けた。なんかキナ臭かったからのぞき見の魔法も追加でつけといた。そしたらなんとびっくりお前さんが勝手に成分を調べているではないか。いやあ、あせった。でもでもだ。ラピスラズリ大帝国は何の関係もないから。これだけは言っておく。そして、その王妃とやらの断罪が終わったらその薬を返してもらうそれが条件で買った時の契約書を貸してあげてもいい。」
白月の魔女は勝手に話を勧める。
話を聞かない人だ。
まあ、この話を聞いて乗らない人はいないだろう。
それが最善だ。
「わかった。この薬を返す条件で契約書を貸してほしい。」
「綺麗だよ、ユリア嬢。」
今日はヴィ―ルヘミア王国第一王子殿下の帰還パーティーの日だ。
パーティー会場で今日の主役第一王子ルーセルの入場をパートナーのシオンとともに待っていた。
その時だった。
「あ、おいユリアじゃないか!」
後ろから声をかけられユリアは振り向いた。
「貴方は・・・まさかサイラス殿下!?」
少しやつれているサイラスはユリアの隣にいるシオンを見て顔を顰めた。
「私の婚約者であるというのに誰だその男は?お前は無能なだけではなく浮気までしていたのか?」
その瞬間その場がシンと静まり返った。
サイラスの隣にははあの日一緒にいたリリアはいなかった。
「なにを言っているのですか、殿下。私と殿下の婚約は一か月も前に破棄されましたよ。殿下が私のことを無能と言って国を追放したではありませんか。」
「そんなこと言うわけがないだろう!と言うよりその隣の男は誰だ!」
サイラスは怒鳴り散らす。
「初めましてサイラス第二王子殿下。ラピスラズリ大帝国皇太子シオン・ルゥ・ラピスラズリです。」
シオンはユリアの隣に並び、サイラスにほほ笑む。
「う、浮気だ!」
サイラスは叫ぶがその場にいる貴族は誰も助けに行かない。
だって事実だから。
サイラスがユリアを追い出したのは事実だった。
「なにをやっているのサイラス。」
そこに側妃がやってきた。
皆不思議に思った。
離宮に幽閉されていたはずの親子がなぜここにいるのだろう・・・と。
「母上!聞いてください!ユリアが婚約者である私を裏切って浮気しているんですよ!」
サイラスはやってきた側妃に言う。
ーパシン!
何かを叩く音がした。
「え?」
サイラス呆気にとられる。
サイラスの頬にはしっかりと手の跡が残っている。
「は、母上!?」
突然のことに理解が及ばなかったのだろう、サイラスは側妃を茫然と見つめた。
「このバカ息子が!もうやめて!どれだけ私の顔に泥を塗ったら気が済むの!」
あの側妃が溺愛している1人息子に手をあげた。
そして、涙を流しながら怒ったのだ。
「ユリアさんが言っていることは本当よ!貴方は一か月前のパーティーでユリアさんを無能呼ばわりして追い出したのよ。公衆の面前での婚約破棄だなんてユリアさんの体裁を何一つ考えずに嘘ばっかりついたのよ。」
そんな側妃の勢いにサイラスはたじたじだ。
「新たに精霊の愛し子となったリリアは偽物だし、精霊の愛し子を失ったこの国は精霊神ティターニア様から見捨てられて魔物の脅威に脅かされている。全部何もかも私とあなたとリリアのせいでしょう!私の育て方が悪かったんだわ!」
側妃はユリアに頭を下げた。
「本当にごめんなさいユリアさん。私のバカ息子が貴女に迷惑をかけて。謝って許してもらえることだとは思ってないわ。でも、謝らせてほしいの。」
「待ってください母上!私は本当にユリアとの婚約を破棄した覚えがないのです!リリアとかいう女のことも何も知りません!」
血相を変えてサイラスが叫ぶ。
「なにを言ってるのサイラス!」
さすがの側妃も不審な表情をしている。
「側妃殿下、もしかしたら何か薬を飲まされた可能性があります。」
シオンは側妃をみてそういった。
―――――――――――――――――――――――
『離縁してください旦那様』を新しく投稿しました。
そちらの方もよかったら見てください。
お気に入り登録が100を超えました!
皆様読んでくださりありがとうございます。
完結までお付き合いくださると嬉しいです。
―――――――――――――――――――――
「薬の成分が分かりました。」
帰還パーティーの前日にゼネは薬の成分をまとめた紙を持ってきた。
「これは!我が国では禁止薬物に指定されているライオネルにスフェアが入っているだと!?」
私はその紙を見て驚いた。
禁止薬物が含まれている薬を王妃が所持していただなんて笑えない。
まさか・・・あの母上が・・・。
そして私の予想通りだったその薬の効能。
『飲んだ者は解毒薬を飲まない限り一生飲ませたものに従わなければならない』
そして、母上が王座を狙っていたことを私は知った。
あれほど強引に紅茶を勧めてきたのも私にこう言わせるためだったに違いない。
『母上の紅茶はおいしいですね。また飲みたいです。」
こう言えば母上は私が即位した後にいつでも飲ませることができる。
慌てていたためこれが母上のものだという証拠を持ってくるのを忘れてしまった。
一歩間違えれば私が禁止薬物を持っていると思われかねない。
あんなわかりやすい所に置いておくぐらいだからきっと禁止薬物が入っていることすら知らないかもしれない。
とりあえずこの薬をどうするか。
母上はこの薬をどこから手に入れたのか。
ラピスラズリ大帝国側に問い詰めなくてはいけないな。
サイラスのこともあるからきっとパーティーが終わった後に接触してくるはず。
その時に聞いてみるか。
「そこの君、困ってはいないかね?」
不意に誰かの声が聞こえ、ゼネは腰の剣に手をかける。
私はまわりを見回した。
声の主は部屋の端に立っていた。
黒いローブを着て、仮面で顔を隠している。
けれどその体格と声の高さから声の主が女性であることが分かった。
「これだと怪しさがあふれ出ているかな?」
女性はフードをとり、仮面を外した。
綺麗な顔立ちだった。
「初めまして、王子サマ。私はその薬を作ったご本人、白月の魔女だよ。」
「白月の魔女?薬を作った張本人だと!」
ゼネが白月の魔女を睨みつける。
「怖い怖い。さあて、私もながいする気はないんだよ。お前さん達知りたいだろう?その薬がなぜここにあるのか分かったのか。」
白月の魔女はえへんと胸を貼る。
「この薬・・・契約の薬はもともとラピスラズリ大帝国のクリムゾン大公家にしか売っていなかった。もし他の人に売るのであれば追跡魔法を仕込む・・・これがクリムゾン大公家との契約さ。だから、この薬には追跡魔法を仕掛けた。なんかキナ臭かったからのぞき見の魔法も追加でつけといた。そしたらなんとびっくりお前さんが勝手に成分を調べているではないか。いやあ、あせった。でもでもだ。ラピスラズリ大帝国は何の関係もないから。これだけは言っておく。そして、その王妃とやらの断罪が終わったらその薬を返してもらうそれが条件で買った時の契約書を貸してあげてもいい。」
白月の魔女は勝手に話を勧める。
話を聞かない人だ。
まあ、この話を聞いて乗らない人はいないだろう。
それが最善だ。
「わかった。この薬を返す条件で契約書を貸してほしい。」
「綺麗だよ、ユリア嬢。」
今日はヴィ―ルヘミア王国第一王子殿下の帰還パーティーの日だ。
パーティー会場で今日の主役第一王子ルーセルの入場をパートナーのシオンとともに待っていた。
その時だった。
「あ、おいユリアじゃないか!」
後ろから声をかけられユリアは振り向いた。
「貴方は・・・まさかサイラス殿下!?」
少しやつれているサイラスはユリアの隣にいるシオンを見て顔を顰めた。
「私の婚約者であるというのに誰だその男は?お前は無能なだけではなく浮気までしていたのか?」
その瞬間その場がシンと静まり返った。
サイラスの隣にははあの日一緒にいたリリアはいなかった。
「なにを言っているのですか、殿下。私と殿下の婚約は一か月も前に破棄されましたよ。殿下が私のことを無能と言って国を追放したではありませんか。」
「そんなこと言うわけがないだろう!と言うよりその隣の男は誰だ!」
サイラスは怒鳴り散らす。
「初めましてサイラス第二王子殿下。ラピスラズリ大帝国皇太子シオン・ルゥ・ラピスラズリです。」
シオンはユリアの隣に並び、サイラスにほほ笑む。
「う、浮気だ!」
サイラスは叫ぶがその場にいる貴族は誰も助けに行かない。
だって事実だから。
サイラスがユリアを追い出したのは事実だった。
「なにをやっているのサイラス。」
そこに側妃がやってきた。
皆不思議に思った。
離宮に幽閉されていたはずの親子がなぜここにいるのだろう・・・と。
「母上!聞いてください!ユリアが婚約者である私を裏切って浮気しているんですよ!」
サイラスはやってきた側妃に言う。
ーパシン!
何かを叩く音がした。
「え?」
サイラス呆気にとられる。
サイラスの頬にはしっかりと手の跡が残っている。
「は、母上!?」
突然のことに理解が及ばなかったのだろう、サイラスは側妃を茫然と見つめた。
「このバカ息子が!もうやめて!どれだけ私の顔に泥を塗ったら気が済むの!」
あの側妃が溺愛している1人息子に手をあげた。
そして、涙を流しながら怒ったのだ。
「ユリアさんが言っていることは本当よ!貴方は一か月前のパーティーでユリアさんを無能呼ばわりして追い出したのよ。公衆の面前での婚約破棄だなんてユリアさんの体裁を何一つ考えずに嘘ばっかりついたのよ。」
そんな側妃の勢いにサイラスはたじたじだ。
「新たに精霊の愛し子となったリリアは偽物だし、精霊の愛し子を失ったこの国は精霊神ティターニア様から見捨てられて魔物の脅威に脅かされている。全部何もかも私とあなたとリリアのせいでしょう!私の育て方が悪かったんだわ!」
側妃はユリアに頭を下げた。
「本当にごめんなさいユリアさん。私のバカ息子が貴女に迷惑をかけて。謝って許してもらえることだとは思ってないわ。でも、謝らせてほしいの。」
「待ってください母上!私は本当にユリアとの婚約を破棄した覚えがないのです!リリアとかいう女のことも何も知りません!」
血相を変えてサイラスが叫ぶ。
「なにを言ってるのサイラス!」
さすがの側妃も不審な表情をしている。
「側妃殿下、もしかしたら何か薬を飲まされた可能性があります。」
シオンは側妃をみてそういった。
―――――――――――――――――――――――
『離縁してください旦那様』を新しく投稿しました。
そちらの方もよかったら見てください。
お気に入り登録が100を超えました!
皆様読んでくださりありがとうございます。
完結までお付き合いくださると嬉しいです。
あなたにおすすめの小説
殿下は婚約破棄した私を“横領犯”として追放しましたが、私が“王国の財布”だとご存じなかったのですか?
なかすあき
恋愛
王太子の婚約者であるレティシアは、愛ではなく“王国の財布”に選ばれた内政官だった。
干ばつ救済基金を管理し、徴税と支出の流れを整え、国が崩れないように回してきたはずなのに。
舞踏会の夜。
聖女セシルの涙と王太子の言葉が、レティシアを一瞬で“横領犯”に仕立て上げる。
反論しても届かない。空気が判決を下す場所で、レティシアは追放された。
落とされた先は、干ばつに喘ぐ辺境。
水のない井戸、荒れた配給所、怒りの列。
レティシアは泣く代わりに、配給と水路と記録を整えた。奇跡ではなく、段取りで。
やがて王都は、レティシアがいなくなった穴から静かに壊れ始める。
支払いは止まり、責任は溶け、聖女の“物語”だけが空回りする。
呼び戻しの使者が来ても、レティシアは従わない。戻る条件はひとつ。
――公開監査。
記録水晶が映し出すのは、涙では隠せない日付と署名、そして“誰が何を決めたか”という事実。
この逃げ場のない復讐劇の先に残るのは、王都の再起ではなく、辺境の明日だった。
これは、道具として捨てられた内政官が、二度と道具に戻らず、“責任を固定する”ことで国を救い、自分の居場所を選び直す物語。
婚約破棄までの168時間 悪役令嬢は断罪を回避したいだけなのに、無関心王子が突然溺愛してきて困惑しています
みゅー
恋愛
アレクサンドラ・デュカス公爵令嬢は舞踏会で、ある男爵令嬢から突然『悪役令嬢』として断罪されてしまう。
そして身に覚えのない罪を着せられ、婚約者である王太子殿下には婚約の破棄を言い渡された。
それでもアレクサンドラは、いつか無実を証明できる日が来ると信じて屈辱に耐えていた。
だが、無情にもそれを証明するまもなく男爵令嬢の手にかかり最悪の最期を迎えることになった。
ところが目覚めると自室のベッドの上におり、断罪されたはずの舞踏会から1週間前に戻っていた。
アレクサンドラにとって断罪される日まではたったの一週間しか残されていない。
こうして、その一週間でアレクサンドラは自身の身の潔白を証明するため奮闘することになるのだが……。
甘めな話になるのは20話以降です。
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花*Q−73@文フリ東京5/4
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
今まで尽してきた私に、妾になれと言うんですか…?
水垣するめ
恋愛
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。
メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。
そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。
しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。
そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。
メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。
婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。
そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。
※小説家になろうでも掲載しています。
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
酔っぱらい令嬢の英雄譚 ~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~
ゆずこしょう
恋愛
婚約者と共に参加するはずだった、
夜会当日──
婚約者は「馬車の予約ができなかった」という理由で、
迎えに来ることはなかった。
そして王宮で彼女が目にしたのは、
婚約者と、見知らぬ女性が寄り添う姿。
領地存続のために婿が必要だったエヴァンジェリンは、
感情に流されることもなく、
淡々と婚約破棄の算段を立て始める。
目の前にあった美味しいチョコレートをつまみながら、
頭の中で、今後の算段を考えていると
別の修羅場が始まって──!?
その夜、ほんの少しお酒を口にしたことで、
エヴァンジェリンの評価と人生は、
思いもよらぬ方向へ転がり始める──
2月11日 第一章完結
2月15日 第二章スタート予定
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?
志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」
第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。
「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」
「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」
「そうですわ、お姉様」
王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。
「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」
私だけが知っている妹の秘密。
それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。