私は・・・悪役令嬢ですよね・・・?

ルー

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プロローグ編

1 脱走 後編

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「リア!
 来てくれたの?」


『うん!
 ところで精霊が怖いだのなんだのって話してたけどそれ、下位精霊のことでしょ?』


「下位精霊?」


『精霊の中には序列があって一番上が神の精霊王様。
 二番目が他の精霊王達。
 三番目が高位精霊。
 で次が中位精霊で次が、下位精霊。』


「じゃあ君は?」


「彼女はリアだよ。
 水の精霊王だよ。」


『よろしく。』


「僕はハク。
 よろしく。」


『そういえば、貴方聖竜でしょ?』


「な、なぜそれを・・・!?」


『だって光の精霊王。
 貴方にデレデレよ?』


「え?リオンが?」


ハルシルフィがハクの方を見た。


「ほんとだ。」


「ところでハルは外に出たいとは思わないの?」


「外?
 出たーい!」


「ねぇ。
 ならいっしょに行こ?」


「でも、レビウスに聞かなきゃ分かんないし・・・。」


「神官長様に言ったらダメって言われるから聞かないで行こう?」


ハクがハルシルフィにほほえみかけるとハルシルフィは顔を赤くして下をむいた。


「うん。いいよ。
 リアも行こ。」


『行く行くー!』


ハクは『気配察知』というスキルを使って周りに誰かの気配がないのを確認すると音をたてないように扉を開け、足音をたてないように廊下を歩いた。


「誰か来る!」


ハクが突然立ち止まりハルシルフィが慌てて立ち止まった。コツンコツンと足音がして、話し声も聞こえた。


「姫様。
 最近元気がないらしいわね。」


「うん。
 そうなの。
 エリカだったら何かいい案ある?」


ハクが振り向いた。


「ハル。
 姿隠しの魔法使える?」


「使えるけど?」


「隠れるよ。」



『姿隠し』



無詠唱で二人は唱えた。


さっと二人の姿が見えなくなった。


二人が隠れている前を二人の通りすぎていく。


「ハルシルフィ様のところ寄ってく?」


「うん。
 心配だから。」


二人が通りすぎて、すぐ二人は魔法を解いた。


「ヤバいかも。
 早く行こ。」


「うん。」


二人は回廊走って通りすぎ、神殿の中庭に通じる扉を開けた。



━カチャ



中庭では一人の女性が見守るなか、金髪黒目の少女が遊んでいる。


そこに豪華な服を着た男性が現れた。


「お父様!」


ハルシルフィがその男性を見て突然走りだした。


ハクの制止も聞かないで。


「待って!」


声に気づいたのか、三人が振り返った。


「ねぇ。
 お父様。
 あの子だぁれ?」


「さあ。
 しらな・・・。
 ハル!
 ハルではないか!」


懐かしのハルシルフィを見てその男性いや、ヴィルス王国女王、リィーラの夫、アインセルダは顔に笑みをうかべた。


「ハル?
 誰それ?
 王宮にそんな子いたっけ?」

かけよってきたハルシルフィは父であるアインセルダに抱きついた。

「久しぶりだなハル。
 会えてよかった。」

「お父様。私も!」


「ところで聖竜殿もいるところを見るとレビウスの許可は得てないように見えるのだが・・・?」


「お父様、分かるの?
 ところでその子は?」


ハルシルフィは困惑気味の瞳を父に向けた。


「ちょっと。
 その子ってあんたの身分で・・・。」


「こら、ルル。
 やめなさい。
 ハル。
 彼女はルル。
 ルルの母はリアルゼだ。
 私の側妃だ。」


「側妃って・・・。
 お父様はグロアニア王国の国王だもんね。
 側妃いてあたりまえだよね。」


「ルル。
 紹介しよう。
 彼女はヴィルス王国女王リィーラの長女、ハルシ
 ルフィだ。私の娘だ。
 ヴィルス王国では第一王女。
 グロアニア王国でも第一王女だ。
 ハルの兄のヘイリーがグロアニア王国の王位を継
 ぐ方を選んだからね。
 自然とヴィルス王国女王の座につくのはハルとな
 るのだ。」


「お父様!そんなながながしい説明いらない。」


ツンとした表情でそっぽを向くルルをアインセルダはあきれた表情で見ていた。


「大変だ。
 神竜様がいらっしゃらない。」


「ハル。
 脱走したのがばれたな。」


「ハハハ・・・。」


「いた!?」


目がいいハルシルフィ専属侍女、アリアは中庭にいるハルシルフィをいちはやくみつけた。


「姫様!?
 何部屋を脱け出しているんですか?
 お体にさわります。」


嫌がるハルシルフィをアリアを含めた侍女達で部屋にひっぱって行った。





少し追加させていただきました。
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