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きちんと調べずに婚約破棄とか言うからこんなことになるんですのよ?
「リーゼ・オルバス!お前との婚約を破棄する!」
王家主催のパーティーで、両陛下、下の王子二人よりも一足先に会場入りしていた第一王子アイザック・ルスランが自らの婚約者であるリーゼが入場してきたのを確認するとリーゼのもとにとある令嬢をエスコートしてやってきた。そして、罵声を浴びせた。
「・・・まぁ。王命での婚約を王子殿下と言え簡単に破棄できるとお思いですの?こちらは大歓迎ですが、一応理由を聞いてもよろしいですか?」
婚約者であるアイザックがエスコートをさぼっているがために、兄のリヴァエル・オルバスにエスコートしてもらっているリーゼは微笑みを崩すことなく言った。
「お前は私の愛するベリーを虐めた!挙句の果てには殺そうとした!リーゼ、お前は処刑だ!」
アイザックの一言にリヴァエルの額に青筋を浮かべた。
「お兄様、落ち着いてくださいませ。ここは私に任せて早く両陛下を呼んできてくださいませ。」
リーゼは一歩前に出て、小声で後ろにいるリヴァエルに言った。
「・・・分かった。」
リヴァエルはすっと一歩下がると憎々し気にアイザックを睨みつけて、会場を後にした。貴族たちはその様子を興味津々と言ったように見つめている。居心地悪そうにきょろきょろとしているベリーと、不快そうに眉を顰めるアイザックにリーゼはオルバス公爵家の長女としてしっかりと向き合った。
「処刑とおっしゃいますが、王子殿下が勝手に処刑を執り行うことは許されておりませんわ。また、虐めたということですが私とそちらのベリーさんでしたか?彼女と私は初対面ですわ。そもそも虐める理由がありません。」
「父上から許可を得ればいいのだろう?」
簡単そうに言うアイザックにリーゼは冷めた視線を送った。
「お前は私の寵愛を得ているベリーに嫉妬したんだ。お前は私のことを愛しているだろう?」
さも当然と言いたげに自信満々に言い放つアイザックにリーゼは一瞬顔を顰めた。
「・・・冗談は他所で言ってくださる?私が王子殿下のことを好き、ですか?嫌いになることはあっても好きになることはないですね。この際言わせてもらいますが、私は王子殿下のことをこれっぽちも愛していません。政略結婚に愛は必要ありませんわ。だって、そうでしょう?正妃は国王を仕事の面で支えるのが仕事ですわ。子を産む役は側妃ですの。ですから必然と側妃の方の身分も相応の身分と教養が求められます。伯爵家以上の家柄の令嬢に限定されます。私は最初から仕事の面で殿下を支えていくと決めておりましたし、両陛下もご存じです。ですからすでに側妃候補を選定しており、そろそろ殿下にお話しするタイミングだとは思っておりましたが・・・婚約を破棄なさるのでしょう?」
リーゼは笑顔でアイザックを圧する。
「も、もちろんだ!」
「でしたらこちらの書類にサインしてくださいませ。」
リーゼは後ろに現れた従者がさしだした書類をアイザックにペンと一緒に渡した。アイザックは内容も読まずにサインして、返した。
「ありがとうございます。これで私と殿下の婚約は無事殿下の有責で破棄されました。」
リーゼが言うとアイザックは目を剥いて怒鳴った。
「どういうことだ!?」
「あら、内容読まれていないのですか?では読み上げて差し上げますわ。私リーゼ・オルバスはアイザック・ルスラン王子殿下との婚約を王子殿下の有責で破棄します。理由は王子殿下の不貞、国家予算の私的流用です。これらの物的証拠は既に揃っており、両陛下からも承認が降りております。よってオルバス公爵家だけではなく国家の不利益となりかねないアイザック殿下との婚約は考え直させていただきます。これは公爵家の総意です。否定なさる場合、オルバス公爵家はこの国を離れることにいたします。・・・ちなみに両陛下からの印はもらっております。」
そう言ってリーゼは親指で書類の右端を隠すようにもって見せた。
「・・・確かに。し、しかし神殿長の印がなければ受理されないはずだ!」
はっと気づいて叫んだアイザックにリーゼはにっこりとほほ笑んで、右下の端を掴んでいた指をすっとずらした。
「あ・・・あ・・・そんな、馬鹿な・・・。」
茫然としているアイザックにリーゼは言い放った。
「双方からの許可は得ております。」
「あ・・・。」
リーゼは身をひるがえすとその場を去ろうとした。
「・・・すまない遅くなったな。」
その時現れたのは両陛下。その後ろには二人の王子殿下がいる。一番後ろを歩いているのはリヴァエルだ。
「この場で皆に伝えたいことがある。事の仔細はリヴァエルから聞いた。まず、リーゼ、私の馬鹿息子がすまなかった。何度も謝るようだが許してほしい。」
そう言って頭を下げた国王陛下にアイザックは声をあげた。
「父上、なぜそんな女に頭を・・・!!」
「馬鹿者!!お前には何度も言ってきただろう!?オルバス公爵家は皇族だと!」
「そ、それがどうしたんですか?」
本気で意味が分かっていないのかアイザックは混乱したような表情で首をかしげる。
「お前、はっ!!皇族と言えば西の大陸を支配するスミレ帝国しかないだろう!!そんなことも分からないのか!?」
国王は開いた口が塞がらないと言ったように顔を覆った。
「オルバス公爵夫人は、スミレ帝国現皇帝の実の妹で、別名聖女、愛され姫と呼ばれる精霊の愛し子様だぞ。その子であるリヴァエル殿は時期オルバス公爵家当主、リーゼ嬢はスミレ帝国皇太子殿下の妃候補なんだぞ。そこを、なんとか頼み込んで五年間だけ婚約者になってもらったというのに。お前はなんていうことをしてくれたんだ!!」
国王に王妃が耳打ちした。公式の場に側妃は出て来ない。なぜなら、側妃の仕事は子を成すことだからだ。それ以外の余計なことはしてはならないのである。国王はうなづくと言った。
「アイザックよ、そなたの王位継承権を剥奪し、王籍も抜こう。これからは平民として暮らせ。」
顔面蒼白になったアイザックは泣いて国王陛下に縋った。この場には実母である側妃アイリーンの姿はない。それゆえに頼れるのは実の父親である国王のみ。王妃は厳しい人で有名で、アイザックは苦手だった。
「父上!お考え直しを!私がいなくなったら一体誰が第一王子としての仕事をするのですか?」
「なにを言っている!お前は仕事なんてしていなかったではないか!お前の仕事は全てリーゼ嬢がおこなっていたのだぞ。お前の所にまわってくるのは王子としての印が必要な物ばかり。お前は印を押す以外に何か仕事をやったか?」
「・・・やっておりません。」
アイザックは項垂れた。
「やはり、アイザック。お前は女人禁制の男の学園で三年間暮らせ。当然だが王籍は抜くから平民としてそこに行くことになる。お前は顔は良いから可愛がられるだろう。」
その言葉にアイザックはガタガタと震えだした。可愛がられるがどういう意味なのか馬鹿な彼でも理解したようだ。
「そして、素知らぬふりをしているそこの女。名前は何だ?」
国王に声をかけられて、ベリーはびくっと肩を震わせた。
「ベリー・トンです。」
「トン準男爵家の令嬢か・・・。お前が犯した罪は二つある。まず一つ目、時期王太子候補を誑かし、準男爵家の分際で正妃の座を狙ったこと。これは国家転覆罪にあたる。次に二つ目だが。身分が上のリーゼ嬢に冤罪を吹っかけたことだ。リーゼ嬢は常に誰かしら国王派の令嬢たちと行動を共にしていて、彼女らから虐めの話などないと断言された。彼女らは全員が侯爵家以上の家柄で時期側妃候補。嘘は犯罪と教えられてきている彼女らが嘘をつくはずがない、と私は判断したがお前の意見を聞こうか。」
「申し訳ありません!!虐めは本当にあったんです!だけど、私はリーゼ様がやったとは一言も言っておりません。今日の婚約破棄も私は何も聞かされてないです!」
その言葉に国王が眉を顰める。
「・・・アイザックよ。」
おそるおそる顔をあげたアイザックは話し始めた。
「ベリーの言う通りです。ベリーは虐めはうけたと言っていましたが、リーゼがやったとは言っていませんでした。私が勘違いしたんです。嫉妬するなら婚約者のリーゼだろうと。婚約破棄も私の独断です!!」
「アイザック、お前はもうどうしようもないな。」
国王は深いため息をついた。
「してベリーとやら。お前はアイザックのことをどう思っている。単刀直入に言って好きか?」
その問にベリーは勢いよく首をふった。
「そんな!私はただアイザック様に良くしていただいただけで、そんな恋愛感情はこれっぽちもありません!!」
その言葉にアイザックは目を見開いた。
「そんな・・・。」
自分の勘違いに気づき、アイザックは崩れ落ちた。
「嘘だと言ってくれ!」
「嘘じゃないです!なんで、こんな身分違いの恋ができると思ってるんですか?私にとってアイザック様は憧れでかっこいい人で会って好き、というわけではありません。」
その言葉はベリーなりの拒絶の言葉だった。
「あ・・・。」
「これで分かっただろう。ベリー嬢。馬鹿息子が迷惑をかけたな。今回のことはなんらそなたに責は問わない。」
「あ、ありがとうございます!」
ベリーは勢いよく頭を下げた。
「そして、リーゼ嬢よ。長い間縛り付けて申し訳なかった。どうかこれからは自由に生きて欲しい。」
「はい、陛下。」
そして、リーゼは退場しようとしたその時、リーゼの前に誰かが立った。
「やぁ、リーゼ。久しぶりだね。」
「・・・皇太子殿下!!」
リーゼは目を丸くし、すぐにカーテシーをした。
「他人行儀だね。僕のことはアーサーと呼んでと言っているよね?」
「畏れ多いですわ。」
「そうだ、リヴァエル。少しの間リーゼを借りていくから公爵夫妻によろしく言っておいてね。」
そう言うと返事を聞かずにリーゼを抱き上げた。
「きゃっ!皇太子殿下?・・・アーサー様っ。困ります。」
リーゼは小さく悲鳴をあげる。しかし、アーサーはただ微笑むとそのまま転移魔法を使い去って行った。
その後、リーゼはアーサーに一週間もの間ずっと愛を囁かれ続け、ついに折れたとか。婚約破棄から一年後、リーゼは無事アーサーのもとに嫁ぎ皇太子妃となった。ベリーはその騒動の後ずっと好きだったとかいう幼馴染の男爵令息と婚約し、リーゼが結婚してから半年後籍を入れた。アイザックは女人禁制の男の学園に送られ三年間過ごすことになったが、三年後彼の性癖は歪み、逆に出たがらなかったとか。三年間ですっかり染められてしまったようだった。
王家主催のパーティーで、両陛下、下の王子二人よりも一足先に会場入りしていた第一王子アイザック・ルスランが自らの婚約者であるリーゼが入場してきたのを確認するとリーゼのもとにとある令嬢をエスコートしてやってきた。そして、罵声を浴びせた。
「・・・まぁ。王命での婚約を王子殿下と言え簡単に破棄できるとお思いですの?こちらは大歓迎ですが、一応理由を聞いてもよろしいですか?」
婚約者であるアイザックがエスコートをさぼっているがために、兄のリヴァエル・オルバスにエスコートしてもらっているリーゼは微笑みを崩すことなく言った。
「お前は私の愛するベリーを虐めた!挙句の果てには殺そうとした!リーゼ、お前は処刑だ!」
アイザックの一言にリヴァエルの額に青筋を浮かべた。
「お兄様、落ち着いてくださいませ。ここは私に任せて早く両陛下を呼んできてくださいませ。」
リーゼは一歩前に出て、小声で後ろにいるリヴァエルに言った。
「・・・分かった。」
リヴァエルはすっと一歩下がると憎々し気にアイザックを睨みつけて、会場を後にした。貴族たちはその様子を興味津々と言ったように見つめている。居心地悪そうにきょろきょろとしているベリーと、不快そうに眉を顰めるアイザックにリーゼはオルバス公爵家の長女としてしっかりと向き合った。
「処刑とおっしゃいますが、王子殿下が勝手に処刑を執り行うことは許されておりませんわ。また、虐めたということですが私とそちらのベリーさんでしたか?彼女と私は初対面ですわ。そもそも虐める理由がありません。」
「父上から許可を得ればいいのだろう?」
簡単そうに言うアイザックにリーゼは冷めた視線を送った。
「お前は私の寵愛を得ているベリーに嫉妬したんだ。お前は私のことを愛しているだろう?」
さも当然と言いたげに自信満々に言い放つアイザックにリーゼは一瞬顔を顰めた。
「・・・冗談は他所で言ってくださる?私が王子殿下のことを好き、ですか?嫌いになることはあっても好きになることはないですね。この際言わせてもらいますが、私は王子殿下のことをこれっぽちも愛していません。政略結婚に愛は必要ありませんわ。だって、そうでしょう?正妃は国王を仕事の面で支えるのが仕事ですわ。子を産む役は側妃ですの。ですから必然と側妃の方の身分も相応の身分と教養が求められます。伯爵家以上の家柄の令嬢に限定されます。私は最初から仕事の面で殿下を支えていくと決めておりましたし、両陛下もご存じです。ですからすでに側妃候補を選定しており、そろそろ殿下にお話しするタイミングだとは思っておりましたが・・・婚約を破棄なさるのでしょう?」
リーゼは笑顔でアイザックを圧する。
「も、もちろんだ!」
「でしたらこちらの書類にサインしてくださいませ。」
リーゼは後ろに現れた従者がさしだした書類をアイザックにペンと一緒に渡した。アイザックは内容も読まずにサインして、返した。
「ありがとうございます。これで私と殿下の婚約は無事殿下の有責で破棄されました。」
リーゼが言うとアイザックは目を剥いて怒鳴った。
「どういうことだ!?」
「あら、内容読まれていないのですか?では読み上げて差し上げますわ。私リーゼ・オルバスはアイザック・ルスラン王子殿下との婚約を王子殿下の有責で破棄します。理由は王子殿下の不貞、国家予算の私的流用です。これらの物的証拠は既に揃っており、両陛下からも承認が降りております。よってオルバス公爵家だけではなく国家の不利益となりかねないアイザック殿下との婚約は考え直させていただきます。これは公爵家の総意です。否定なさる場合、オルバス公爵家はこの国を離れることにいたします。・・・ちなみに両陛下からの印はもらっております。」
そう言ってリーゼは親指で書類の右端を隠すようにもって見せた。
「・・・確かに。し、しかし神殿長の印がなければ受理されないはずだ!」
はっと気づいて叫んだアイザックにリーゼはにっこりとほほ笑んで、右下の端を掴んでいた指をすっとずらした。
「あ・・・あ・・・そんな、馬鹿な・・・。」
茫然としているアイザックにリーゼは言い放った。
「双方からの許可は得ております。」
「あ・・・。」
リーゼは身をひるがえすとその場を去ろうとした。
「・・・すまない遅くなったな。」
その時現れたのは両陛下。その後ろには二人の王子殿下がいる。一番後ろを歩いているのはリヴァエルだ。
「この場で皆に伝えたいことがある。事の仔細はリヴァエルから聞いた。まず、リーゼ、私の馬鹿息子がすまなかった。何度も謝るようだが許してほしい。」
そう言って頭を下げた国王陛下にアイザックは声をあげた。
「父上、なぜそんな女に頭を・・・!!」
「馬鹿者!!お前には何度も言ってきただろう!?オルバス公爵家は皇族だと!」
「そ、それがどうしたんですか?」
本気で意味が分かっていないのかアイザックは混乱したような表情で首をかしげる。
「お前、はっ!!皇族と言えば西の大陸を支配するスミレ帝国しかないだろう!!そんなことも分からないのか!?」
国王は開いた口が塞がらないと言ったように顔を覆った。
「オルバス公爵夫人は、スミレ帝国現皇帝の実の妹で、別名聖女、愛され姫と呼ばれる精霊の愛し子様だぞ。その子であるリヴァエル殿は時期オルバス公爵家当主、リーゼ嬢はスミレ帝国皇太子殿下の妃候補なんだぞ。そこを、なんとか頼み込んで五年間だけ婚約者になってもらったというのに。お前はなんていうことをしてくれたんだ!!」
国王に王妃が耳打ちした。公式の場に側妃は出て来ない。なぜなら、側妃の仕事は子を成すことだからだ。それ以外の余計なことはしてはならないのである。国王はうなづくと言った。
「アイザックよ、そなたの王位継承権を剥奪し、王籍も抜こう。これからは平民として暮らせ。」
顔面蒼白になったアイザックは泣いて国王陛下に縋った。この場には実母である側妃アイリーンの姿はない。それゆえに頼れるのは実の父親である国王のみ。王妃は厳しい人で有名で、アイザックは苦手だった。
「父上!お考え直しを!私がいなくなったら一体誰が第一王子としての仕事をするのですか?」
「なにを言っている!お前は仕事なんてしていなかったではないか!お前の仕事は全てリーゼ嬢がおこなっていたのだぞ。お前の所にまわってくるのは王子としての印が必要な物ばかり。お前は印を押す以外に何か仕事をやったか?」
「・・・やっておりません。」
アイザックは項垂れた。
「やはり、アイザック。お前は女人禁制の男の学園で三年間暮らせ。当然だが王籍は抜くから平民としてそこに行くことになる。お前は顔は良いから可愛がられるだろう。」
その言葉にアイザックはガタガタと震えだした。可愛がられるがどういう意味なのか馬鹿な彼でも理解したようだ。
「そして、素知らぬふりをしているそこの女。名前は何だ?」
国王に声をかけられて、ベリーはびくっと肩を震わせた。
「ベリー・トンです。」
「トン準男爵家の令嬢か・・・。お前が犯した罪は二つある。まず一つ目、時期王太子候補を誑かし、準男爵家の分際で正妃の座を狙ったこと。これは国家転覆罪にあたる。次に二つ目だが。身分が上のリーゼ嬢に冤罪を吹っかけたことだ。リーゼ嬢は常に誰かしら国王派の令嬢たちと行動を共にしていて、彼女らから虐めの話などないと断言された。彼女らは全員が侯爵家以上の家柄で時期側妃候補。嘘は犯罪と教えられてきている彼女らが嘘をつくはずがない、と私は判断したがお前の意見を聞こうか。」
「申し訳ありません!!虐めは本当にあったんです!だけど、私はリーゼ様がやったとは一言も言っておりません。今日の婚約破棄も私は何も聞かされてないです!」
その言葉に国王が眉を顰める。
「・・・アイザックよ。」
おそるおそる顔をあげたアイザックは話し始めた。
「ベリーの言う通りです。ベリーは虐めはうけたと言っていましたが、リーゼがやったとは言っていませんでした。私が勘違いしたんです。嫉妬するなら婚約者のリーゼだろうと。婚約破棄も私の独断です!!」
「アイザック、お前はもうどうしようもないな。」
国王は深いため息をついた。
「してベリーとやら。お前はアイザックのことをどう思っている。単刀直入に言って好きか?」
その問にベリーは勢いよく首をふった。
「そんな!私はただアイザック様に良くしていただいただけで、そんな恋愛感情はこれっぽちもありません!!」
その言葉にアイザックは目を見開いた。
「そんな・・・。」
自分の勘違いに気づき、アイザックは崩れ落ちた。
「嘘だと言ってくれ!」
「嘘じゃないです!なんで、こんな身分違いの恋ができると思ってるんですか?私にとってアイザック様は憧れでかっこいい人で会って好き、というわけではありません。」
その言葉はベリーなりの拒絶の言葉だった。
「あ・・・。」
「これで分かっただろう。ベリー嬢。馬鹿息子が迷惑をかけたな。今回のことはなんらそなたに責は問わない。」
「あ、ありがとうございます!」
ベリーは勢いよく頭を下げた。
「そして、リーゼ嬢よ。長い間縛り付けて申し訳なかった。どうかこれからは自由に生きて欲しい。」
「はい、陛下。」
そして、リーゼは退場しようとしたその時、リーゼの前に誰かが立った。
「やぁ、リーゼ。久しぶりだね。」
「・・・皇太子殿下!!」
リーゼは目を丸くし、すぐにカーテシーをした。
「他人行儀だね。僕のことはアーサーと呼んでと言っているよね?」
「畏れ多いですわ。」
「そうだ、リヴァエル。少しの間リーゼを借りていくから公爵夫妻によろしく言っておいてね。」
そう言うと返事を聞かずにリーゼを抱き上げた。
「きゃっ!皇太子殿下?・・・アーサー様っ。困ります。」
リーゼは小さく悲鳴をあげる。しかし、アーサーはただ微笑むとそのまま転移魔法を使い去って行った。
その後、リーゼはアーサーに一週間もの間ずっと愛を囁かれ続け、ついに折れたとか。婚約破棄から一年後、リーゼは無事アーサーのもとに嫁ぎ皇太子妃となった。ベリーはその騒動の後ずっと好きだったとかいう幼馴染の男爵令息と婚約し、リーゼが結婚してから半年後籍を入れた。アイザックは女人禁制の男の学園に送られ三年間過ごすことになったが、三年後彼の性癖は歪み、逆に出たがらなかったとか。三年間ですっかり染められてしまったようだった。
この作品は感想を受け付けておりません。
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