悪役令嬢ですが、前世で乙女ゲームは未プレイなもので!

席ゆづる

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▼死亡フラグ

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私は出られないまでも、それまでアレクシスともエイベル様は交流が多分似合った方だ。当然ディオン家ともアレクシス自身が親交がある。

そんなアレクシスが行くのなら、多少無理でもなんとかなるし、信用もあるし、信頼もあるし、なにより表立った理由もあるのだ。

私に無い物づくしである。

勿論、両親の回答はYESだ。


アレクシスはアレクシスで動いてくれるのだから、私は私で出来ることをするために裏庭に出た。


新月を映す大きな水盆を置いて、魔力を中心に集めるようにチカラを込めていくと、水面に映っていた星々が回転し、軌跡を残して光を増していく。幾重にも残された軌跡で描かれた線が重なり、1枚の織物になった。

魔力を固定して、円盤型の薄く発光する布状のものを取り出して一息ついた。


薄く、透けるてしまうハンカチ大の布、のようなもの。

これでミッチェルと契約する魔力の核になっているものを包めば、ミッチェルに赦された自由の範囲から見て、恐らく契約が阻害されて解けるのではないかと思われる。確証はないし、その核がなになのかは分からないけれど。


ミッチェルに許されていないのは、言葉の範囲と、容姿の固定、行動範囲ではないかとアレクシスと話していた。

確かめようにも、ミッチェルは基本的に答えるつもりがないのかな?というワードはオウム返ししかしない。

ミッチェルの意思が確認できないのだ。


そこで。

そもそも論、ミッチェルを縛る核を潰してしまえばお話はミッチェルからスムーズにきけるんでは?という暴論が遂行される運びとなり、私はこの様なものをつくっている。


ようは、ディオン家の謎の答え合わせが早急にしたい。私は推理小説は、気合と根性で徹夜してでも読み始めたら一気に片付ける派なのだ。


月夜と星々の煌めきをギュッと集めたような、実質私の魔力の結晶でしかない布を畳んで明日ディオン家に行くアレクシスに持って行ってもらう。

私が居なくても、多分2人は、喋れると…おもう。

そこで、核の場所をミッチェルに教えてもらい、アレクシスが包んで効力を無力化させて、ミッチェルの契約が緩む様に仕向ける。

そこまですれば、大精霊ミッチェルさまなら契約を自力で解けないかな~という期待もある。し、そこまで出来なくとも、私の目的である事の真相くらい喋ってもらえると思ったのだ。


事の粗ましはミッチェル本人から聞きたかったが、アレクシスでもきちんと教えてくれるだろう。大精霊が捕まるに至った時の捕物帖噺、非常に楽しみです!


用意も済んだので、一応作った軽い防御壁の出るまじない具とさっきの包む布をアレクシスに渡しに行く。


「アレクシス、入ってもいいかしら。」

「どうぞ、アリシアちゃん。」


解呪が出来たらいいのにな作戦の概要は織り込み済みだったので、あの布、といって渡し、ついでにお守り、と言ってまじない具を渡した。

秘蔵の非売品を渡されたファンみたいな反応をされた。


「必ず、必ず、生きて帰ってくるから!」


まるで戦争映画の一場面のようにアレクシスは感無量の面持ちで抱きついてきたけれど、それは死亡フラグと言うやつじゃなかっただろうか。

攻略本によるとアレクシスもまだ死なないはずなので大丈夫だとは思うけれど。

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