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三話 慣れるには
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憐祟と同居し始めて一週間が経つ。
相変わらず美男子だった。
けれど、そんな彼に腑に落ちないとこがある。
「それはずばり服装だ!」
食卓を囲んだ夕飯の時間。
私は、服装について話を持ちかけた。
「なんだ、急に叫びおって」
そしてこの口調である。
この間、憐祟が外へ出たいと言っていたのだ。
私も休みの日位はどっかに連れていきたいし、美味しいものを食べに行かせてあげたい。
だが、これでは外にすら出れない。
今はとりあえず通販で買ったTシャツとチャイナ服を着回してもらってるが、ずっとそうだとあまりにも可哀想だ。
「明日、憐祟の服を買いに行く。とりあえずその馴染みずらいチャイナ服を変えよう」
憐祟は、少しポケーっとした表情だった。
美男子がそんな顔をしてはいけません。
お母さん怒るわよやめなさい。
そう心の中で必死に叱った夕食だった。
「憐祟。明日は、昼寝なんてする暇ないからちゃんと寝てね」
そう言って、私はベットに入った。
あぁ、もうひとつベット買った方がいいかも。
それと、食器とか日用品も__
おはようございます。
いつの間にか朝になっている休日です。
そして、私のベットが狭い。
何しろ隣に憐祟が無理矢理寝てたからだ。
しかも私の顔の目の前に憐祟の顔だ。
勘弁してくれ本当に。
美男子が何をしても許されると思ってるのか。
……いや、許されるのか。
とにかく、起きたい。
「憐祟……起きて、頼むから狭いし朝だし」
全く反応なし。
だから、頬っぺをつねろうとしてやった。
が、次の瞬間。
「余の顔で遊ぶな。じっとしていろ、熱が外に逃げる。お前は温かい。余の温石になってろ」
少し寝起き声が走った。
あまりにもいきなりに手首を掴んできた。
心臓止まらせる気かこの男は。
しかも手首に掛ける力加減がおかしい絶対。
でも、暖かいせいで私も二度寝した。
案の定、買い物は午後からになった。
「それにしても、何でも似合うね憐祟って」
さっきから何を試着させても似合うのだ。
おかげで、周りに若い女子が集まってきた。
女子の反応で服を選び始めた私は、憐祟から一瞬だけ睨み付けられた。
不機嫌の証拠なんだが……怖い。
「俺の服を他の女の反応で決めるでない。大層気分を害す」
子供みたいな拗ね方をしている。
お前は、子供か、本当に。
「いや、でもいい服には間違えないだろうし」
そう言い訳すると、そっぽ向かれた。
まぁ、確かに私も悪かったか。
私が選ぶって元々言ってたんだし……
「お昼、何食べたい?」
憐祟はそれだけ即答して、
「まくどなんたらとやらを食いたい」
マクドナルドね。はいはい。
それは答えるのね。
「あの、憐祟。さっきはごめん。私が選ぶって言ってたのに、反応見て選んじゃって。ほら、若い子ってセンス良いし、若い子にうけそうな服を探してたから」
「誰が若い女に好かれるような服を選べと言ったか。俺はそんなもの望んではおらぬ」
この男難しすぎるんだよな。
もう少し美男子の自覚持つべきよ。
女子に好かれるのは憧れじゃないのかい。
「(勿体ないなぁ、憐祟は)」
「(本当に意味が分からぬのかこの女は)」
その夕方、車が渋滞してしまった。
隣の助手席で憐祟が遅めの昼寝をしていた。
よく寝てよく食べて。
「……でも、今まで辛かったんだろうね」
それはよく分かる。
そして、実の親から愛情を貰わなかった。
そうまでも思えてくるところがある。
私に力強く肩を抱き寄せてきたのも。
歯を食いしばりながら泣きを堪えるのも。
『俺は、ここに居てもいいのか?』
その言葉も。震えた声も。
憐祟は厳しい世界に生きてたんだ。
私より酷く過酷な世界で孤独だった。
ずっと、生まれてからずっと。
大人になれば、忙しさに追われる。
けど、埋め合わせの間なんてない。
そして、弟に殺されてしまう現実だ。
私には、過去なんて何も分からないけど。
辛いのだけは確実に感じ取れる。
理解してあげたい。
でも、今すぐには出来ないところがある。
だって、今隣にいる人が誰かも全て理解できていないのだから。
「憐祟……ごめんね、頑張るから」
私が独り言を呟いた。
と、思っていただけだ。
彼はそれを聞いていたらしい。
「余は、美羽に、お前に選んで欲しかった。ただそれだけの事だ。我儘と言われればそれまでになるが、本心は揺るがぬ。事実だ」
え……と、声が出てしまった。
起きてたことよりも、その言葉に驚いたのだ。
「……私だけに選んで欲しかったってこと?」
他の女子の反応を宛にした事よりも、私が一人で憐祟のことを思って選ばなかったことが気に食わなかったってことになるけどそれ。
…………
……
余は全てを話した。
この気持ちが何なのかは百も承知よ。
だが、会って間も無く、余がそれを面に出してしまうとは思ってなかった故、自身でも整理がついていなかったのだ。
しかし、それでも言いすぎたか。
「それは、ごめん。そこまで……」
「そこまで私の服選びのセンスが良いとは思ってなかったからなんか嬉しいや!」
やはり、気付いてない阿呆だ。
ここまで言って気付かぬのなら阿呆だ。
まぁそれも中々飽きないがな。
だが、こうなると時間はかかる、か。
「この阿呆が」
まぁ、少しずつ。
少しずつだ。
少しずつ慣れて気付けて貰えるのなら。
__それでも余は構わぬ。
相変わらず美男子だった。
けれど、そんな彼に腑に落ちないとこがある。
「それはずばり服装だ!」
食卓を囲んだ夕飯の時間。
私は、服装について話を持ちかけた。
「なんだ、急に叫びおって」
そしてこの口調である。
この間、憐祟が外へ出たいと言っていたのだ。
私も休みの日位はどっかに連れていきたいし、美味しいものを食べに行かせてあげたい。
だが、これでは外にすら出れない。
今はとりあえず通販で買ったTシャツとチャイナ服を着回してもらってるが、ずっとそうだとあまりにも可哀想だ。
「明日、憐祟の服を買いに行く。とりあえずその馴染みずらいチャイナ服を変えよう」
憐祟は、少しポケーっとした表情だった。
美男子がそんな顔をしてはいけません。
お母さん怒るわよやめなさい。
そう心の中で必死に叱った夕食だった。
「憐祟。明日は、昼寝なんてする暇ないからちゃんと寝てね」
そう言って、私はベットに入った。
あぁ、もうひとつベット買った方がいいかも。
それと、食器とか日用品も__
おはようございます。
いつの間にか朝になっている休日です。
そして、私のベットが狭い。
何しろ隣に憐祟が無理矢理寝てたからだ。
しかも私の顔の目の前に憐祟の顔だ。
勘弁してくれ本当に。
美男子が何をしても許されると思ってるのか。
……いや、許されるのか。
とにかく、起きたい。
「憐祟……起きて、頼むから狭いし朝だし」
全く反応なし。
だから、頬っぺをつねろうとしてやった。
が、次の瞬間。
「余の顔で遊ぶな。じっとしていろ、熱が外に逃げる。お前は温かい。余の温石になってろ」
少し寝起き声が走った。
あまりにもいきなりに手首を掴んできた。
心臓止まらせる気かこの男は。
しかも手首に掛ける力加減がおかしい絶対。
でも、暖かいせいで私も二度寝した。
案の定、買い物は午後からになった。
「それにしても、何でも似合うね憐祟って」
さっきから何を試着させても似合うのだ。
おかげで、周りに若い女子が集まってきた。
女子の反応で服を選び始めた私は、憐祟から一瞬だけ睨み付けられた。
不機嫌の証拠なんだが……怖い。
「俺の服を他の女の反応で決めるでない。大層気分を害す」
子供みたいな拗ね方をしている。
お前は、子供か、本当に。
「いや、でもいい服には間違えないだろうし」
そう言い訳すると、そっぽ向かれた。
まぁ、確かに私も悪かったか。
私が選ぶって元々言ってたんだし……
「お昼、何食べたい?」
憐祟はそれだけ即答して、
「まくどなんたらとやらを食いたい」
マクドナルドね。はいはい。
それは答えるのね。
「あの、憐祟。さっきはごめん。私が選ぶって言ってたのに、反応見て選んじゃって。ほら、若い子ってセンス良いし、若い子にうけそうな服を探してたから」
「誰が若い女に好かれるような服を選べと言ったか。俺はそんなもの望んではおらぬ」
この男難しすぎるんだよな。
もう少し美男子の自覚持つべきよ。
女子に好かれるのは憧れじゃないのかい。
「(勿体ないなぁ、憐祟は)」
「(本当に意味が分からぬのかこの女は)」
その夕方、車が渋滞してしまった。
隣の助手席で憐祟が遅めの昼寝をしていた。
よく寝てよく食べて。
「……でも、今まで辛かったんだろうね」
それはよく分かる。
そして、実の親から愛情を貰わなかった。
そうまでも思えてくるところがある。
私に力強く肩を抱き寄せてきたのも。
歯を食いしばりながら泣きを堪えるのも。
『俺は、ここに居てもいいのか?』
その言葉も。震えた声も。
憐祟は厳しい世界に生きてたんだ。
私より酷く過酷な世界で孤独だった。
ずっと、生まれてからずっと。
大人になれば、忙しさに追われる。
けど、埋め合わせの間なんてない。
そして、弟に殺されてしまう現実だ。
私には、過去なんて何も分からないけど。
辛いのだけは確実に感じ取れる。
理解してあげたい。
でも、今すぐには出来ないところがある。
だって、今隣にいる人が誰かも全て理解できていないのだから。
「憐祟……ごめんね、頑張るから」
私が独り言を呟いた。
と、思っていただけだ。
彼はそれを聞いていたらしい。
「余は、美羽に、お前に選んで欲しかった。ただそれだけの事だ。我儘と言われればそれまでになるが、本心は揺るがぬ。事実だ」
え……と、声が出てしまった。
起きてたことよりも、その言葉に驚いたのだ。
「……私だけに選んで欲しかったってこと?」
他の女子の反応を宛にした事よりも、私が一人で憐祟のことを思って選ばなかったことが気に食わなかったってことになるけどそれ。
…………
……
余は全てを話した。
この気持ちが何なのかは百も承知よ。
だが、会って間も無く、余がそれを面に出してしまうとは思ってなかった故、自身でも整理がついていなかったのだ。
しかし、それでも言いすぎたか。
「それは、ごめん。そこまで……」
「そこまで私の服選びのセンスが良いとは思ってなかったからなんか嬉しいや!」
やはり、気付いてない阿呆だ。
ここまで言って気付かぬのなら阿呆だ。
まぁそれも中々飽きないがな。
だが、こうなると時間はかかる、か。
「この阿呆が」
まぁ、少しずつ。
少しずつだ。
少しずつ慣れて気付けて貰えるのなら。
__それでも余は構わぬ。
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