現代詩集 電脳

lil-pesoa

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自己批判は腐った紫陽花の様

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小心者が嘘をついた
その日から彼の頭には白蛇が巻き付いて
彼は終日頭痛に苛まれた
痛みは長く長く続いた

フラフラと歩いていると
突然どこかから、肉の弦が引きちぎれるような
不気味な音がした
足下を見ると、1匹の蛙を踏み潰していた
それがきっかけとなり
彼は全てから逃げることを決断した
逃げた先は、彼が最も辿り着きたくない場所だった

(古い畳の上で流動する計算づくの丸みを帯びた肉欲は、他のどんなものよりも柔らかく、また、吐き気を催すほど淫らで、美しかった。私は敗北した。
次に、高い知能を持った赤目の猛禽類が窓辺に降り立って、鼠の最も効率的な殺し方と、その独占の仕方を話始めた。それは野蛮で非道なものだったが、猛禽類にとってはそうしない方がおかしい事だったのだ。私は絶望した。猛禽類はその後、若い雀達がいかに愚かな生き方をしているかを説明し出した。その説明は、あらゆる鳥類の処世的観点から見て、どうしようもなく正しい理論だった。)

誰もいなくなった部屋で
彼は自らが善人にも悪人にもなれない事に気がついた
その両方を嫌っていたのだ
夜が明ける前に、彼はまたしても逃げた
彼もまた若い雀に違いなかった
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